第186話：星龍皇覚醒・4（修正済）　作：光芒

「真星龍皇 ドラコニスウィルム……攻撃力はスカーライトと同じ3000デスカ」

　スカーライトの効果は自身の攻撃力“以下”の特殊召喚されたモンスターを全て破壊する“アブソリュート・パワー・フレイム”。そのため攻撃力3000のドラコニスウィルムならば問題なく破壊することができる。ただ、スカーライトの効果はラスタウィルムによって無効化されてしまっているため、この効果を使ってドラコニスウィルムを破壊することはできない。
　一方でドラコニスウィルムもスカーライトと同じ攻撃力3000であるが故にスカーライトを倒すのであれば相討ち覚悟でスカーライトとバトルをしなければならないため、せっかくのエクシーズモンスターを使い捨てることはしないだろう、とエヴァは踏んでいた。

「メインフェイズ1を終えてバトルフェイズに移るわ！ 真星龍皇 ドラコニスウィルムでレッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトを攻撃！！」
「スカーライトを！？ 攻撃力は同じ3000デス！」
「そうね、このまま行けば相討ちで双方が破壊される。でも、破壊されるのはエヴァ、あなたのモンスターだけよ！ 真星龍皇 ドラコニスウィルムの効果を発動！」

　スカーライトに向かっていくドラコニスウィルムの身体を光り輝くオーラが取り巻いていく。スカーライトの灼熱の炎が全てを破壊するのであれば、ドラコニスウィルムの蒼い炎は全てを守護する炎。

「オーバーレイユニットを1つ取り除き、このターンの終了時まで私のフィールドの星龍皇カードをあらゆる破壊から守る！」
「あらゆる破壊から……ということは……」
「そう！ 戦闘による破壊からもよ！“ドラコニス・バースト・ブレイズ”！！」
「っ！ “灼熱のクリムゾン・ヘル・バーニング”！！」

真星龍皇 ドラコニスウィルム ATK3000 VS レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ATK3000

　ドラコニスウィルムとスカーライト。2体のドラゴンの炎が激しくぶつかり合い、やがて大爆発を起こす。その激しい爆発に2体は巻き込まれるが、スカーライトが灰燼へと消えたのに対し、ドラコニスウィルムは悠然とその場に留まり続けていた。

「スカーライトがこうもあっさり倒されるとは……」
「どれだけ高い攻撃力を持っていたとしてもモンスターである以上、案外あっさり破壊されてしまうものよ。私はこれでターンエンドよ」


遊希 LP6400　手札：3
デッキ：31　モンスター：1（真星龍皇 ドラコニスウィルム ORU:1）魔法・罠：1　墓地：10　除外：2
エヴァ LP8000　手札：2
デッキ：36　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：8　除外：0


☆TURN06


「私のターン、ドローデス！！……っ」

　ドローカードを見たエヴァは思わず顔をしかめる。このカードがあと数ターン早くドローできていれば、というカードであったため遅きに失したという気持ちを否めなかった。

「私は……カードを1枚セット。これでターンを終了しマス」


遊希 LP6400　手札：3
デッキ：31　モンスター：1（真星龍皇 ドラコニスウィルム ORU:1）魔法・罠：1　墓地：10　除外：2
エヴァ LP8000　手札：2
デッキ：35　モンスター：0　魔法・罠：1　墓地：8　除外：0


☆TURN07


「私のターン、ドローよ。私は手札から星龍皇 ウィルムゼクンドを召喚。ゼクンドの召喚に成功したことでその効果を発動。デッキから星龍皇 ウィルムプリムスを手札に加えるわ」
「攻撃力1900の下級モンスター……私のライフをどこまでも削るおつもりデスネ」
「その通りよ。バトル！ まずは星龍皇 ウィルムゼクンドでダイレクトアタック！！」

星龍皇 ウィルムゼクンド ATK1900

エヴァ LP8000→6100

「そして真星龍皇 ドラコニスウィルムで追撃！ ドラコニス・バースト・ブレイズ！！」

真星龍皇 ドラコニスウィルム ATK3000

エヴァ LP6100→3100

　2体の星龍皇の連続攻撃によってエヴァのライフは初期状態の8000から一気に4900も削られてしまった。ハンドアドバンテージもボードアドバンテージも失い、唯一優位に立てていたライフにおいても遊希を下回り、まさに風前の灯火といっても過言ではない状態である。
　エヴァが次のターンにすべきこと。まず最優先にしなければならないことはこの2体の星龍皇を動かさせないことだろう。オーバーレイユニットを持ったドラコニスウィルムが存在するため、まず遊希は星龍皇を破壊させてはくれないだろう。しかし、ドラコニスウィルムの攻撃力3000を上回るだけのモンスターを出すことができれば少なくともライフを削られることはない。
　エヴァのデッキにおいて攻撃力3000を上回るモンスターはレッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトとそれに関連するカードたちだけだ。しかし、肝心のスカーライトは墓地にいるため、まずは何としてもスカーライトを蘇らせなければいけないのだ。

「私はこれでターンエンドよ」


遊希 LP6400　手札：4
デッキ：29　モンスター：1（真星龍皇 ドラコニスウィルム ORU:1、星龍皇 ウィルムゼクンド）魔法・罠：1　墓地：10　除外：2
エヴァ LP3100　手札：3
デッキ：35　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：8　除外：0


☆TURN08


「私の……ターン！！……ドロー！！ このカードに賭けマス！ 手札から通常魔法“闇氷の宝札”を発動しマス！！」


※闇氷の宝札（オリジナルカード）
通常魔法
(1):手札から「闇氷」と名のついたモンスター1体を墓地に送って発動できる。自分のデッキからカードを2枚ドローする。このカードを発動したターン、自分はドラゴン族モンスターしか召喚・特殊召喚できない。
「闇氷の宝札」は1ターンに1枚までしか発動できない。


「手札の闇氷竜 ワイバーンを墓地に送って2枚ドローデス！……そして、手札から魔法カード、死者蘇生を発動しマス！！」
「死者蘇生！？」
「蘇生するのはもちろんこの子！ レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト！！ そしてレッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトの効果を発動しマス！」
「だったらその効果にチェーンしてドラコニスウィルムの効果も発動！ オーバーレイユニットを1つ取り除くことでこのターンの星龍皇カードをあらゆる破壊から―――！！」
「ならばそれに更にチェーンしマス！」

　蒼いオーラで全てを纏おうとしたドラコニスウィルムであったが、突如そのオーラが打ち消されてしまった。

「っ……ブレイクスルー・スキル……」


チェーン3（エヴァ）：ブレイクスルー・スキル→真星龍皇 ドラコニスウィルム
チェーン2（遊希）：真星龍皇 ドラコニスウィルム
チェーン1（エヴァ）：レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト


「チェーン3に発動したブレイクスルー・スキルによって、チェーン2のドラコニスウィルムの効果は無効！ そしてチェーン1のスカーライトの効果で相手フィールド上の特殊召喚されたモンスターを全て破壊しマス！ アブソリュート・パワー・フレイム！！」
「ドラコニスウィルム！！」

遊希 LP6400→5900

　真紅の炎に飲み込まれて消滅するドラコニスウィルム。スカーライトの効果で破壊されるのはあくまで特殊召喚されたモンスターであるため、通常召喚されたウィルムゼクンドが生き残ったのは遊希にとっては不幸中の幸いというべきだろうか。
　それでもスカーライトと互角の攻撃力を持つモンスターが破壊されたことは遊希にとっては痛手であったが、ドラコニスウィルムが万が一突破された時のリカバリーは効くようになっていた。

「破壊されたドラコニスウィルムの効果を発動！！ 墓地の星龍皇 ウィルムヴァインをゲームから除外し、エクストラデッキから真星龍皇1体を召喚条件を無視して特殊召喚する！ 現れなさい、真星龍皇 ヘスペリウィルム！！ そして除外されたウィルムヴァインの効果でデッキから星龍皇と名のついた魔法・罠カード1枚を手札に加える。私が手札に加えるのは……フィールド魔法“星龍皇の聖域（ドラグリステル・サンクチュアリ）”！」
「星龍皇のフィールド魔法……どんな効果かはわかりませんが、破壊されてもなお二の矢三の矢を撃ち込もうという姿勢は流石デス。遊希サン……やっぱりあなたは私の目標デス。誰よりも強くて、誰よりも綺麗で……私が死ぬほど憧れたデュエリスト……でも、だからこそ！ 私は絶対に負けるわけにはいきまセン！ 私の持てる、最大の力を持ってあなたと向き合いマス！！」
「最大の力……？」
「この子を遊希サンの前で呼ぶのは初めてでシタネ。私は手札から魔法カード、闇氷の終輝を発動！ 自分フィールド上にドラゴン族のシンクロモンスターが存在する時、手札1枚を墓地に送り、ライフを半分支払って発動しマス！！」

エヴァ LP3100→1550

「自分のデッキから闇氷チューナー2体を効果を無効にして特殊召喚しマス！ そしてこの効果で特殊召喚したモンスターのレベルは半分になり、攻撃力と守備力は0になりマス！ 来てください、闇氷竜 ワーム！ 闇氷竜 バジリスク！」
「チューナー2体……？」

闇氷竜 ワーム 星4　ATK1000/DEF1500→星2　ATK0/DEF0
闇氷竜 バジリスク 星4　ATK1200/DEF1300→星2　ATK0/DEF0

「この効果で特殊召喚されたモンスターはこのターンの終了時にゲームから除外され、この効果で除外されたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを私は受けマス！」
「終輝、まさに最後の輝きというわけね。でも何故そんなカードを……」
「遊希サンに見せてあげマス！ 私はレベル8のレッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトに、レベル2となったチューナーモンスターの闇氷竜 ワームと闇氷竜 バジリスクを―――ダブル・チューニング！！」
「ダブル……チューニング……！？」

　ワームとバジリスク、2体のチューナーモンスターの身体が灼熱の炎となってスカーライトの身体を包んでいく。遊希が激しい戦いと苦悩を経て光子竜を超光子龍や光子龍皇に進化させたように、エヴァもまた精霊界での激戦、そしてスカーライトとの間に結んだ強い絆を経てスカーライトの真の姿を解き放っていたのである。
　全身に真紅のオーラを纏ったエヴァが右手を天へと突き上げる。その様はまさに王者の誇りと悪魔の魂が一つとなった魔竜を呼び覚ますが如く、美しくもあり、また堂々としていた。


「“絆が1つとなる時、我が中に燃える熱き魂は新たな命を生み落とす！ 暗黒の天を灼熱の炎で照らし、世界に光を！！”シンクロ召喚！！―――咆哮せよ、スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン！！」


　超新星の竜、スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン。これこそがレッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトという精霊だったカードの真の姿であり、この世界にただ一人、エヴァ・ジムリアというデュエリストのみが所有するレッド・デーモンズの究極の姿であった。

「スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン……これが……」
「スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンの攻撃力は私の墓地のチューナーの数×500ポイントアップしマス！ 私の墓地に存在するチューナーモンスターは4体！ よって攻撃力は2000ポイントアップしマス！！」

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン ATK4000→6000

「攻撃力……6000！？」
「バトルデス！ スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンで星龍皇 ウィルムゼクンドを攻撃！ 燃えあがれ、真紅の魂！ “バーニング・ソウル”！！」

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン ATK6000 VS 星龍皇 ウィルムゼクンド ATK1900

遊希 LP5900→1800

「きゃああっ！！」

　灼熱の炎が遊希の身体を襲った。スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンはもう精霊ではないため、ダメージを受けた時の痛みや炎の熱さは感じない。しかし、精霊でなくなったとしても強すぎるカードの力が精霊使いだった遊希にはわかるのか、ライフが減ると共に遊希は身体が途端に重くなったように感じた。

「っ……！」
「これが私たちの力。この力を上回れないようでは……遊希サンの勝ちはありマセン。私はこれでターンエンドデス！」


遊希 LP1800　手札：5
デッキ：28　モンスター：1（真星龍皇 ヘスペリウィルム）魔法・罠：1　墓地：12　除外：3
エヴァ LP1550　手札：0
デッキ：30　モンスター：1（スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン）魔法・罠：0　墓地：14　除外：0


☆TURN09


（超新星の竜……スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン……これが、エヴァの辿り着いた境地。熱い、凄い力が伝わってくる……）

　これまでの優位が一転、首の皮一枚というところまで追いつめられてしまった遊希。しかし、スカーレッドの力に感嘆こそしつつも、決して怯えていたり及び腰になってなどはいなかった。
　スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンの力は確かに強い。しかし、遊希も自分がこの1年で身に着けた力を、友情をもって星龍皇というデッキを体現させた。その力を最大限に発揮すれば、スカーレッドであろうとも倒すことができる。確証こそないが、彼女の中にはその気持ちが大木のように根差していた。

「私のターン、ドロー！ まずは前のターンに発動したフィールド魔法“星龍皇の聖域”を発動するわ！！」

　遊希のフィールドは満天の星空が煌めく庭園のような美しい世界へと変貌する。この地こそ女神に仕える星龍皇たちの世界であり、星龍皇たちがその力を最大限に発揮することのできる聖域であった。


※星龍皇の聖域（ドラグリステル・サンクチュアリ、オリジナルカード）
フィールド魔法
(1):自分フィールド上に表側表示で存在する「星龍皇」と名のついたモンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。また、このカードがフィールドに存在する限り、自分は「星龍皇」と名のついたモンスターしか特殊召喚できず、フィールドに表側表示で存在するモンスターは「星龍皇」としても扱う。
(2):1ターンに1度、手札・墓地から「星龍皇」と名のついたモンスター1体をゲームから除外して発動できる。フィールドに表側表示で存在する魔法・罠カード1枚を破壊する。
(3):自分メインフェイズに墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動できる。自分の墓地に存在する「星龍皇」と名のついた魔法・罠カード1枚を選択して手札に加える。このカードの(3)の効果はこのカードが墓地に送られたターンには発動できない。


「星龍皇の聖域の効果で私のフィールドに表側表示で存在する星龍皇の攻撃力・守備力はそれぞれ300ポイントアップする」

真星龍皇 ヘスペリウィルム ATK2900/DEF2800→ATK3200/DEF3100

「ステータス強化系のフィールドデスカ。ですが、それではスカーレッドには到底及びマセン！」
「確かにヘスペリウィルムではスカーレッドに勝つことはできない。でも、ヘスペリウィルムだけじゃない。みんなの力を結集して私はそのスカーレッド・ノヴァ・ドラゴンを打ち倒す！！ 手札から魔法カード、星龍皇の煌めきを発動！ 手札のウィルムサーフィを除外して2枚ドロー！ そして星龍皇の効果で除外されたウィルムサーフィの効果でさらに1枚ドローよ！」

　2枚の手札を消費して3枚のカードをドローする。除外というリスクの大きい戦術を基軸としておきながら、決してアド損にはならないように振る舞うことができるのもまた遊希の操る星龍皇の真価であると言える。

「手札から星龍皇 ウィルムプリムスを召喚！ 召喚に成功したウィルムプリムスの効果で手札からレベル4以下の星龍皇 ウィルムゼクンドを特殊召喚するわ！ そして特殊召喚に成功したウィルムゼクンドの効果でデッキからウィルムアンサルを手札に加える！」

星龍皇 ウィルムプリムス ATK1700/DEF1700→ATK2000/DEF2000
星龍皇 ウィルムゼクンド ATK1900/DEF1500→ATK2200/DEF1800

「一気にモンスターを展開しマシタカ！ ですが……」
「まだよ！ ヘスペリウィルムにはまだ別の力があるわ！ 真星龍皇 ヘスペリウィルムの2つ目の効果を発動！ このカードをゲームから除外することでゲームから除外されている真星龍皇以外の星龍皇モンスター2体を自分フィールド上に特殊召喚するわ！」

　ヘスペリウィルムは両手に持つ雌雄一対の剣で空間を切り裂くと、自らその中へと消えていく。そしてヘスペリウィルムが開けた穴を通じて2体の星龍皇が飛び出してきた。予め除外されていたエルタウィルムとウィルムサーフィである。

星龍皇 エルタウィルム ATK3000/DEF2500→ATK3300/DEF2800
星龍皇 ウィルムサーフィ ATK0/DEF200→ATK300/DEF500

「特殊召喚に成功したエルタウィルムの効果を発動！ フィールド上に存在する星龍皇モンスターの数×600ポイント、自分フィールド上の星龍皇全ての攻撃力をアップさせる！」
「出ましたね、エルタウィルムの全体強化……ですが、遊希サンのフィールドに星龍皇モンスターは4体いますが、それだけではスカーレッド・ノヴァ・ドラゴンの攻撃力には届きまセン！！」

　遊希のフィールドに存在する星龍皇モンスターは4体。その上昇幅は600×4＝2400となり、星龍皇の聖域の強化で底上げしてあるとしても、攻撃力は5700止まりとなってしまう。墓地にチューナーが4体存在する以上、スカーレッドの攻撃力は6000となるため、エルタウィルムではスカーレッドは超えられない。エヴァはそう思っていた。攻撃力で負けない限り、スカーレッドが破壊されることなど―――あり得ないと。


星龍皇 エルタウィルム ATK3300→ATK6300


「……！？ 攻撃力6300！？ 何故！！」
「エヴァ、星龍王の聖域のテキストをよく読んでみて」
「えっ……？」

　エヴァはデュエルディスクを通して星龍皇の聖域のテキストを読み直してみた。そして彼女は気づいた。





―――フィールドに表側表示で存在するモンスターは「星龍皇」としても扱う―――





―――フィールドに―――





「……星龍皇の聖域の効果は、フィールド全体に及ぶ……？」
「そう！ 星龍皇の聖域がある場合―――相手フィールドのモンスターも「星龍皇」として扱う！ そしてエルタウィルムの攻撃力上昇もフィールド全体の星龍皇の数を参照する！」

　星龍皇 エルタウィルムの身体が青く激しく輝く。遊希のフィールドの星龍皇―――エルタウィルム、ウィルムゼクンド、ウィルムプリムス、ウィルムサーフィの4体、そして星龍皇としての名も得たエヴァのフィールドのスカーレッド・ノヴァ・ドラゴン。双方のフィールドに存在する計5体の星龍皇の命が―――エルタウィルムの、遊希の星龍皇たちの力となる。


星龍皇 ウィルムゼクンド ATK2200→ATK5200
星龍皇 ウィルムプリムス ATK2000→ATK5000
星龍皇 ウィルムサーフィ ATK300→ATK3300


「っ……！？」

　スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンには戦闘時に自身を除外して相手モンスター1体の攻撃を無効にすることができる。しかし、どのモンスターもエヴァのライフを大きく上回る攻撃力を持っているため、その効果も意味を為さないのだ。

「……遊希サン。今回はあなたに勝ちを譲りマス。ですが、次はこうはいきマセン！ いつかきっと……私とこのデッキであなたに勝ってみせマス！ さあ、来てくだサイ！！」
「エヴァ……わかったわ。バトル！ 星龍皇 エルタウィルムでスカーレッド・ノヴァ・ドラゴンを攻撃！！ エルタニン・ギガフレア！！」


星龍皇 エルタウィルム ATK6300 VS スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン ATK6000


　エヴァの想いが、魂が籠った真紅の竜は―――蒼い炎の中へと消えていった。


エヴァ LP1550→1250


「戦闘で相手モンスターを破壊したエルタウィルムの効果！ 破壊したモンスターをゲームから除外し、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを……相手ライフに与える！！」


エヴァ LP1250→0





＊





「はぁ、負けちゃったデスネ」
「でも正直こっちもヒヤヒヤしたわ。あんた、やっぱり強いのね」
「遊希サンが頑張っているのを知っているから私も頑張れるのデス。さあ、あと一戦デス！ ここまで来たら全勝で終わりマショウ！！」

　そう言って笑顔で手を振りながらデュエルスペースを降りていくエヴァ。4人連続のデュエルもあと1戦で終わるが、遊希に残された体力は思いの外少ない。
　それでも遊希は辛い顔を見せることなく、ただ前を見据える。何故なら最後の相手は―――遊希とはこのアカデミアで最初のデュエルした因縁の相手であり、また遊希にとって最高の親友であり、仲間―――星乃 綾香なのだから。