第67話：不滅の戦士！ 幻影騎士団　作：光芒

　遊希とエヴァ、そして髑髏の仮面の三人は深夜のデュエル場へと移動した。つい先ほどまで遊希の命を奪おうとしていた者である。デュエルの前に襲ってくる可能性もあったため、遊希とエヴァは移動中も後ろに目配せしながら警戒していたが、髑髏の仮面は何もしてこなかった。
　闇討ちという手段を取っておきながら、ゴムのナイフを用い、最終的にデュエルに応じたこともあって髑髏の仮面もデュエルで遊希を倒したかったのだろう。千夏と違って仮面をつけているため、誰が操られているのかはまだわからないが、操られてもなおデュエリストとしての誇りは残っているのかもしれなかった。

「さて、ここでいいでしょう」
『アア』

　デュエル場は夜だけあってさすがに暗かったが、常夜灯がついており、また差し込む月明りによってデュエルをするには十分な明るさだった。それでもデュエルの相手は黒のローブに髑髏の仮面とだけあってまるで幽霊や死神とデュエルしているようで普通にデュエルをする以上に妙な恐ろしさがあった。

（……なんか不気味）
―――お前は昔からホラーは苦手だったな。恐れるなよ？
（それとこれとは話は別よ！）
『天都 遊希、貴様ハ我ガ手デ仕留メル……』
「悪いけどそう簡単に仕留められるわけには行かないわ。倒れた仲間のためにもあんたたちの黒幕を引きずり出してやるんだから」

　デュエルディスクによって先攻後攻の決定権が遊希に与えられる。遊希のデッキは後攻有利のため、遊希は後攻を選択した。当然後攻有利というのもあるが、敢えて後攻を選ぶことで相手がどのようなカードを使ってくるか。それを確かめたいという思惑もあった。

「『デュエル！！』」


髑髏　LP8000　手札5枚
デッキ：35　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：0　除外：0
遊希　LP8000　手札5枚
デッキ：40　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：0　除外：0


☆TURN01


『私ノ先攻。私ハ手札抹殺ヲ発動。互イニ手札ヲ全テ捨テ、捨テタ分ダケデッキカラドロースル。私ハ4枚ドローダ』
「あら、いきなり思い切るわね。私は5枚ドローよ」

　遊希は手札抹殺の効果で墓地に送られた髑髏の仮面のカードに注目しようとした。薄暗いこともあってあまりよく見えなかったが数枚のモンスターが含まれているのは確認できた。

『私ハ手札カラ魔界発現世行きデスガイドヲ召喚。デスガイドノ効果デデッキカラレベル3・闇属性・悪魔族ノモンスターヲ効果ヲ無効ニシ、表側守備表示デ特殊召喚スル。私ハ“彼岸の悪鬼 スカラマリオン”ヲ特殊召喚スル』


※彼岸の悪鬼 スカラマリオン
効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻800/守2000
「彼岸の悪鬼 スカラマリオン」の(1)(3)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1)：自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
(2)：自分フィールドに「彼岸」モンスター以外のモンスターが存在する場合にこのカードは破壊される。
(3)：このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。デッキから「彼岸の悪鬼 スカラマリオン」以外の悪魔族・闇属性・レベル3モンスター1体を手札に加える。


『ソシテ私ハレベル3ノデスガイドトスカラマリオンデオーバーレイ。2体ノモンスターデオーバーレイ・ネットワークヲ構築。エクシーズ召喚！！ 9ツノ地獄ト7ツノ煉獄ヲ旅スル詩人ヨ、全テノ困難ヲ踏破シ天国ヘト導ケ！ ランク3、彼岸の旅人 ダンテ！』
（ダンテ……もしや【彼岸】デッキかしら。それだったらだいぶ厄介ね）
―――だが、ダンテはランク3を出せるデッキならどのデッキにも入るモンスターだ。まだデッキを決めつけるには早計だろう。
『ダンテノ効果ヲ発動。1ターンニ1度、コノカードノオーバーレイユニットヲ1ツ取リ除キ、自分ノデッキノ上カラ3枚マデカードヲ墓地ニ送ッテ発動デキル。コノカードノ攻撃力ハコノターンノ終了時マデ墓地ニ送ッタカードノ枚数×500ポイントアップスル。当然私ハ3枚ノカードヲ墓地ニ送ル』

彼岸の旅人 ダンテ ATK1000→2500

『マア、ダンテハ守備表示ナノデアマリ意味ハ為サナイガナ』
「本当の目的は墓地肥やし、でしょう？」
『……アア。オカゲデコチラモ先攻カラ動クコトが出来ル。私ハ墓地ノ“幻影騎士団サイレントブーツ”ト“幻影剣”ノ効果ヲ発動！』


※幻影騎士団サイレントブーツ
効果モンスター
星3/闇属性/戦士族/攻200/守1200
「幻影騎士団サイレントブーツ」の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)：自分フィールドに「幻影騎士団」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)：墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「ファントム」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

※幻影剣（ファントム・ソード）
永続罠
フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
「幻影剣」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)：対象のモンスターの攻撃力は800アップし、戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊できる。そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。
(2)：墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「幻影騎士団」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。

　髑髏の仮面の墓地から現れたのはボロボロの装飾を纏った人魂のようなモンスターだった。そのモンスターもやはり遊希が知らないモンスターである。

「【幻影騎士団（ファントムナイツ）】……？」
『幻影騎士団ハ不滅ノ騎士。命ヲ落トシテモナオ主ガタメニ戦ウ者ダ……』
「不滅……なるほど、そういうこと」
『サイレントブーツハ墓地カラ除外スルコトデデッキカラ「ファントム」ト名ノツイタ魔法・罠カード1枚ヲ手札ニ加エル。ソシテ幻影剣は墓地から除外スルコトデ墓地ノ「幻影騎士団」1体ヲ蘇生スル。サイレントブーツノ効果デデッキカラ“幻影霧剣”ヲ、ソシテ幻影剣ノ効果デ墓地ノ“幻影騎士団ラギッドグローブ”ヲ特殊召喚スル』


※幻影騎士団ラギッドグローブ
効果モンスター
星3/闇属性/戦士族/攻1000/守500
「幻影騎士団ラギッドグローブ」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)：フィールドのこのカードを素材としてＸ召喚した闇属性モンスターは以下の効果を得る。●このX召喚に成功した場合に発動する。このカードの攻撃力は1000アップする。
(2)：墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「幻影騎士団」カードまたは「ファントム」魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。


『ソシテフィールドニ幻影騎士団モンスターガ存在スルコトニヨリ、サイレントブーツハ手札カラ特殊召喚スルコトガ出来ル。来イ、サイレントブーツ』
「フィールドにレベル3のモンスターが2体……1ターンに2度のエクシーズ召喚か」
『私ハレベル3ノラギッドグローブトサイレントブーツデオーバーレイ！ 2体ノモンスターデオーバーレイ・ネットワークヲ構築！ エクシーズ召喚！“戦場デ倒レシ騎士タチノ魂ヨ。今コソ蘇リ、ソノ剣デ万物ヲ切リ刻メ！”現レヨ！“幻影騎士団ブレイクソード”！！」


※幻影騎士団ブレイクソード
エクシーズ・効果モンスター
ランク3/闇属性/戦士族/攻2000/守1000
レベル3モンスター×2
(1)：1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分及び相手フィールドのカードを1枚ずつ対象として発動できる。そのカードを破壊する。
(2)：X召喚されたこのカードが破壊された場合、自分の墓地の同じレベルの「幻影騎士団」モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターのレベルは1つ上がる。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できない。


『ラギッドグローブガ素材トナッタ闇属性ノエクシーズモンスターハ攻撃力ガ1000ポイントアップスル』

幻影騎士団ブレイクソード ATK2000→3000

「攻撃力3000……！」
『私ハカードヲ2枚セット。ソシテエンドフェイズニオーバーレイユニットトシテ墓地ニ送ラレタスカラマリオンノ効果デデッキカラ“彼岸ノ悪鬼ファーファレル”ヲ手札ニ加エル。コレデ私ハターンエンドダ』


髑髏　LP8000　手札2枚
デッキ：25　モンスター：2（幻影騎士団ブレイクソード ORU:2、彼岸の旅人 ダンテ ORU:1）魔法・罠：2　墓地：6　除外：2
遊希　LP8000　手札5枚
デッキ：35　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：5　除外：0


☆TURN02


「私のターン、ドロー！」

　遊希はカードをドローするが、あまりいい引きではなかった。最初に髑髏の仮面が発動した手札抹殺によって初手の比較的良い動きが出来る手札が墓地に送られてしまったため、新たに引き直した今の手札はあまりいい手札とは言い難かった。それでも今ある手札であの髑髏の仮面が使う謎の多いデッキ、幻影騎士団デッキをどのように攻略するか瞬時に頭を働かせる。

（幻影騎士団……どんなテーマかはまだよくわからないけど、さっきのターンの動きを見てると墓地で効果を発動するカードのようね）
―――そのようだな。そして千夏の使ったスピードロイド同様高い展開力を持っている。
（1ターンに2体のエクシーズ召喚。でもエクシーズモンスター相手なら私のデッキは……）　
「私は手札から魔法カード“ワン・フォー・ワン”を発動！」


※ワン・フォー・ワン
通常魔法（制限カード）
(1)：手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。


「私は手札の銀河眼の光子竜を墓地に送り、デッキから銀河眼の雲篭を特殊召喚するわ！」
『攻撃力300……ソンナモンスターデ何ガ出来ル』
「銀河眼の雲篭は銀河眼の幼生よ。じゃあこのモンスターが成長したらどうなるかしら？ 銀河眼の雲篭をリリースし、その効果を発動！ 手札か墓地から「ギャラクシーアイズ」1体を特殊召喚するわ！ 蘇りなさい、銀河眼の光子竜！！」

　雲篭の身体が光に包まれるや否や瞬く間に成長し、銀河眼の光子竜へと変化する。その光はフィールドを照らし出し、今二人がデュエルを行っているスペースでさえも明るくするほどのものだった。

『銀河眼の光子竜……成程、エクシーズモンスターニ対スル効果ヲ持ッテイル』
「分かっているなら話は早いわね。バトルフェイズ、銀河眼の光子竜で幻影騎士団ブレイクソードを攻撃するわ！！」

　銀河眼の光子竜とラギッドグローブの効果で強化されたブレイクソードの攻撃力は同じ3000。普通のモンスター同士の戦闘なら相討ちとなるのだが、銀河眼の光子竜はそれをさせないだけの効果を持っている。

「銀河眼の光子竜は自身と戦闘相手をバトルフェイズ終了時までゲームから除外できるわ！ そしてその除外したモンスターがエクシーズモンスターならそのモンスターのオーバーレイユニットの数×500ポイント銀河眼の光子竜の攻撃力はアップする！」
『……一度フィールドヲ離レルタメ、ブレイクソードノ攻撃力上昇モ消エル』
「そういうこと。ダンテも厄介だけどそのブレイクソードも捨てがたいからね！ 銀河眼の光子竜、自身とブレイクソードをゲームから―――」
『思イ通リニハサセナイ。ソノ効果ニチェーンシテリバースカードオープン！ 銀河眼の光子竜ヲ対象ニ永続罠“幻影霧剣”ヲ発動！！』


※幻影霧剣（ファントム・フォッグ・ブレード）
永続罠
フィールドの効果モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。「幻影霧剣」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)：このカードが魔法＆罠ゾーンに存在する限り、対象のモンスターは攻撃できず、攻撃対象にならず、効果は無効化される。そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。
(2)：墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「幻影騎士団」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。


『コノカードノ対象ニナッタモンスターハコノカードガフィールドニ存在スル限リ、攻撃出来ナイ。ソシテソノ効果モ無効化サレル！』
「……っ、攻撃も効果も封じられた」
『ダガソレト同時ニ攻撃対象ニモナラナイタメ、コチラモ銀河眼の光子竜を戦闘デハ破壊出来ナイガナ』
「……バトルフェイズを終えてメインフェイズ2。私はカードを2枚セットしてターンエンド」


髑髏　LP8000　手札2枚
デッキ：25　モンスター：2（幻影騎士団ブレイクソード ORU:2、彼岸の旅人 ダンテ ORU:1）魔法・罠：2（幻影霧剣→銀河眼の光子竜）墓地：6　除外：2
遊希　LP8000　手札2枚
デッキ：33　モンスター：1（銀河眼の光子竜）魔法・罠：2　墓地：6　除外：0