第97話：矛を交える決闘者・2　作：光芒

第97話（番外編第16話）：矛を交える決闘者・2



「うう……まけちゃった……」
「気を落とすことはありませんよ、歩美ちゃん。勝敗は紙一重の差でした」

　勝敗を分けたポイントは、歩美がゼンマインをあの時攻撃表示にしなかったことだろう。もし攻撃表示にしてティアラミスと共に攻撃していればニトロ・ウォリアーの効果で追撃されることは無かった。しかし、ゼンマインはそのステータスや効果を鑑みても自ら攻めて戦うモンスターではない。そのため歩美の判断は決して間違ったものではないと言える。
　また一方でラストターンのドローでベアトリスがボルト・ヘッジホッグをドローしたのも大きい。仮にあの時のドローでボルト・ヘッジホッグ以外のカードをドローしていたとしたらベアトリスはドリル・ウォリアーの効果でダンディライオンをサルベージし、このターンで決着がつくことはなかっただろう。

「2人ともいいデュエルだったわ！ とても初心者とは思えないくらいよ！」
「ありがとうございます、綾香さん。エヴァさんの教えを信じ、従ったことによる勝利でした」
「ウーン……そう言われると照れ臭いデスネ。歩美サンもわずか1日でここまで成長するとは思っていませんでシタ」
「ふええ、でもわたしまけちゃったよ？」
「負けることは決して悪いことじゃないデス。負けからしか学べないこともあるのデスヨ」

　エヴァに頭を撫でられて顔を赤面させる歩美。勝敗こそ分かれてしまったが、この2人がこのデュエルで学べたことはとても多いはずだ。
　そしてデュエルの舞台は第2試合に移る。第2試合の組み合わせは奇しくも同じデュエリストに師事する凛と心のデュエルである。最初にデュエルをした時は心に何もさせず凛がバーンダメージで勝利をおさめたが、ほとんど何もできなかった心に比べて凛の戦法は心に筒抜けである、というアドバンテージがあった。

「凛さん、心くん。昨日学んだことを生かす時が来ました。どのような結果となっても、それを悔やまずに次への道へとしてくださいね」
「「はい！」」

　凛と心の返事は実に気持ちのいいものであった。昨日生まれたわだかまりはすっかり無くなり、2人の絆はさらに深まったといえる。

「あの時以来、2回目のデュエルになるね。でもボクはそれでも負ける気はないからね！」
「うん、私も……全力を尽くすね」

　凛と心のデュエルが始まるにあたり、先攻後攻の決定権は心に与えられた。心は前回後攻で何もできずに敗れたため、今回は先攻を取った。

「「デュエル！！」」


心　LP4000　手札：5枚
デッキ：35　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：0　除外：0
凛　LP4000　手札：5枚
デッキ：35　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：0　除外：0


☆TURN01


　凛のデッキはチェーンバーンデッキ。キーカードを揃えられてしまえば、まず心に勝ち目はない。そのため凛がキーカードを揃えるまでに心は凛のライフを0にしなければ勝ち目はないと言えた。

「私は手札の“毒蛇王ヴェノミノン”をコストに魔法カード“スネーク・レイン”を発動！」


※スネーク・レイン
通常魔法
手札を1枚捨てて発動できる。
デッキから爬虫類族モンスター4体を墓地へ送る。


「デッキから2枚目のヴェノミノン、“ワーム・キング”、“ワーム・クイーン”、“エーリアン・ソルジャー”の4体を墓地に送ります！ そしてワーム・ゼクスを召喚！ ワーム・ゼクスの効果でデッキから“ワーム・ヤガン”を墓地に送ります！ そして墓地のワーム・ヤガンの効果を発動します！」


※ワーム・ヤガン
効果モンスター
星4/光属性/爬虫類族/攻1000/守1800
自分フィールド上のモンスターが「ワーム・ゼクス」1体のみの場合、このカードを墓地から裏側守備表示で特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。
このカードがリバースした時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して持ち主の手札に戻す。


「自分フィールドに存在するモンスターがワーム・ゼクス1体のみの場合、このカードを墓地から裏側守備表示で特殊召喚できます！」

　ワーム・ヤガンが表側表示で存在する場合、ワーム・ゼクスは戦闘破壊耐性を得る。この2体はカードのイラストに写っているだけあって、互いで互いを活かしあうモンスターなのだ。

「私はカードを2枚セットしてターンエンドです！」


心　LP4000　手札：0枚
デッキ：30　モンスター：2（ワーム・ゼクス）魔法・罠：2　墓地：6　除外：0
凛　LP4000　手札：5枚
デッキ：35　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：0　除外：0


☆TURN02


「ボクのターン、ドロー！」

　一方で後攻の凛であるが、この時彼女の手札は決して良いとは言えなかった。罠カードこそ引けているものの、相手にダメージを与えるためのカードが無いのである。

（うーん、取り敢えずデッキを回転させることが大事かな）
「ボクはカードを3枚セット。そして“カードカー・D”を召喚！」


※カードカー・D
効果モンスター
星2/地属性/機械族/攻800/守400
このカードは特殊召喚できない。このカードの効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。
(1)：このカードが召喚に成功した自分メインフェイズ1にこのカードをリリースして発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。その後、このターンのエンドフェイズになる。


「ボクはカードカー・Dをリリースして効果発動！ デッキからカードを2枚ドロー！ そしてこれでボクのターンのエンドフェイズになるよ！」
「じゃあそのエンドフェイズにリバースカードオープン！ 速攻魔法、サイクロンで一番左側のセットカードを破壊するよ！」

　エンドフェイズに発動したサイクロンによって凛がセットしたおじゃまトリオが破壊される。このカードを発動されてしまえば、心のフィールドのモンスターゾーンが5つ全て埋まってしまい、これ以上の展開ができなくなってしまうところだった。

「せっかくのおじゃまトリオだったのに……しかたないか、これでターンエンドだよ」


心　LP4000　手札：0枚
デッキ：30　モンスター：2（ワーム・ゼクス）魔法・罠：1　墓地：7　除外：0
凛　LP4000　手札：4枚
デッキ：32　モンスター：0　魔法・罠：2　墓地：2　除外：0


☆TURN03


「私のターン、ドロー！」
（凛ちゃんのセットカードは2枚……あのカードが何か気になるけど、2枚じゃ連鎖爆撃でも大きなダメージを与えられないはず……だったら！）
「裏側守備表示のワーム・ヤガンを反転召喚します。ワーム・ヤガンにはリバースした時に相手フィールド上に存在するモンスター1体を手札に戻すことができるけど……」

　ワーム・ヤガンの効果は強力ではあるが、モンスターをほとんどフィールドに出さない凛相手にはまず通用しない効果だ。それならばゼクスとヤガン、2体のレベル4モンスターでやることは決まっている。

「だったら……私はレベル4のワーム・ゼクスとワーム・ヤガンでオーバーレイ！ 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築！ エクシーズ召喚！ “数多の軍勢を率いる爬虫の王よ、あらゆる者を集め動かせ！”ランク4！“キングレムリン”！！」


※キングレムリン
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/爬虫類族/攻2300/守2000
レベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから爬虫類族モンスター1体を手札に加える。


「キングレムリンの効果を発動！ オーバーレイユニットを1つ取り除き、デッキから爬虫類族モンスター1体を手札に加えます！ 私が手札に加えるのは“エーリアンモナイト”！ そして今加えたエーリアンモナイトを召喚！」


※エーリアンモナイト
チューナー（効果モンスター）
星1/光属性/爬虫類族/攻500/守200
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地からレベル4以下の「エーリアン」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。


「召喚に成功したエーリアンモナイトの効果で墓地のエーリアン・ソルジャーを特殊召喚！」


※エーリアン・ソルジャー
通常モンスター
星4/地属性/爬虫類族/攻1900/守800
謎の生命体、エーリアンの上級戦士。
比較的高い攻撃力を持つが、反面特殊な能力は身につけていない。


「そして私はレベル4のエーリアン・ソルジャーにレベル1のチューナーモンスター、エーリアンモナイトをチューニング！ “宇宙より飛来せし侵略者の要塞、星を侵略し我がものとせよ！” シンクロ召喚！ “宇宙砦ゴルガー”！！」


※宇宙砦ゴルガー
シンクロ・効果モンスター
星5/光属性/爬虫類族/攻2600/守1800
「エーリアンモナイト」＋チューナー以外の「エーリアン」と名のついたモンスター1体以上
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カードを任意の枚数選択して持ち主の手札に戻し、その後手札に戻したカードの数だけAカウンターをフィールド上に表側表示で存在するモンスターに置く。
また、1ターンに1度、フィールド上のAカウンターを2つ取り除く事で、相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。


　心のフィールドには攻撃力2600の宇宙砦ゴルガーと攻撃力2300のキングレムリンの2体のモンスターが立ち並ぶ。この2体の攻撃が通れば凛のライフは0になる。しかし、心は凛がこのまま自分の攻撃を受けてくれるなど思っていなかった。

（きっとこのまま素直に終わってくれないよね……だったらその遅延カードを使い切らせるだけ！）
「メインフェイズ1からバトルフェイズに移行します！ キングレムリンで凛ちゃんにダイレクトアタック！ “キング・オブ・レプトル”！」

キングレムリン ATK2300

「この瞬間、ボクは手札の速攻のかかしを墓地に送って効果を発動するよ！ 直接攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させるよ！」
「やっぱり……私はバトルフェイズ終了によりメインフェイズ2に移行します。カードを1枚セットしてターンエンド！」


心　LP4000　手札：0枚
デッキ：28　モンスター：2（宇宙砦ゴルガー、キングレムリン ORU:1）魔法・罠：2　墓地：9　除外：0
凛　LP4000　手札：3枚
デッキ：32　モンスター：0　魔法・罠：2　墓地：3　除外：0


☆TURN04


　攻める心とそれを受け流す凛。2人のデュエルは4000ライフながら互いに長期戦の様相をにわかに示し始めていた。しかし、その拮抗を破ろうとしていたのは防備を固める側の凛がドローしたカードだった。

「ボクのターン、ドロー！ このカードは……詩織さんから貰った力。今こそ発揮する時だね！」
「まさか……」
「そのまさかだよ！ ボクは心ちゃんのフィールドの宇宙砦ゴルガーとキングレムリンの2体をリリースして、心ちゃんのフィールドに“溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム”を特殊召喚するよ！！」

　宇宙砦ゴルガーとキングレムリンの2体が灼熱の溶岩に飲み込まれ、プレイヤーである心の後ろに溶岩に意志が宿ったかのような悪魔が彼に覆いかぶさるようにして顕現した。これこそが相手フィールドのモンスター2体をリリースすることで相手フィールドに特殊召喚ができる特殊なモンスター、溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムである。


※溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム
特殊召喚・効果モンスター
星8/炎属性/悪魔族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
相手フィールドのモンスター2体をリリースした場合に相手フィールドに特殊召喚できる。
このカードを特殊召喚するターン、自分は通常召喚できない。
(1)：自分スタンバイフェイズに発動する。自分は1000ダメージを受ける。


「くっ……！」
「ボクはカードを2枚セットしてターンエンド！」
「待って！ 私は凛ちゃんのターンのエンドフェイズにリバースカードを発動します！ 永続罠“リミット・リバース”！」


※リミット・リバース
永続罠
自分の墓地の攻撃力1000以下のモンスター1体を選択し、表側攻撃表示で特殊召喚する。
そのモンスターが守備表示になった時、そのモンスターとこのカードを破壊する。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。


「私が墓地から特殊召喚するのは攻撃力0の毒蛇王ヴェノミノンです！ そしてヴェノミノンの攻撃力は墓地の爬虫類族モンスターの数×500ポイントの数値アップします！」


※毒蛇王ヴェノミノン
効果モンスター
星8/闇属性/爬虫類族/攻0/守0
このカードはこのカード以外の効果モンスターの効果では特殊召喚できない。
このカードの攻撃力は、自分の墓地の爬虫類族モンスターの数×500ポイントアップする。
このカードはフィールド上に表側表示で存在する限り、「ヴェノム・スワンプ」の効果を受けない。
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、このカード以外の自分の墓地の爬虫類族モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。


　心の墓地に存在する爬虫類族モンスターは毒蛇王ヴェノミノン、ワーム・キング、ワーム・クイーン、ワーム・ゼクス、ワーム・ヤガン、エーリアン・ソルジャー、エーリアンモナイト、キングレムリン、宇宙砦ゴルガーの9体である。よってその攻撃力も0から大きく跳ね上がる。

毒蛇王ヴェノミノン ATK0→4500

「攻撃力……4500！？ でも、ボクの守りは固い！ 簡単には触れさせないよ！」


心　LP4000　手札：0枚
デッキ：28　モンスター：2（毒蛇王ヴェノミノン、溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム）魔法・罠：2（リミット・リバース）墓地：11　除外：0
凛　LP4000　手札：1枚
デッキ：31　モンスター：0　魔法・罠：4　墓地：3　除外：0


☆TURN05


「私のターン、ドロー！」
「スタンバイフェイズにラヴァ・ゴーレムの効果が発動！ 心ちゃんのライフに1000ダメージを与える！」

　ラヴァ・ゴーレムの身体から灼熱の溶岩が心に垂れていく。現実なら命の危機に関わる事態だが、ソリッドビジョンなので熱さも痛みも感じることは無い。

心　LP4000→3000

「つっ……！」
「ラヴァ・ゴーレムは攻撃力3000と高いけど、その分デメリットも大きい。ボクからのプレゼントでダメージを受けた気分はどう？」
「……この程度のダメージなんて、凛ちゃんに嫌われるのに比べたら大したことないよ」

　こんなバーンダメージを受けることなど大したことないと胸を張る心であったが、それを聞いた凛は何故か顔を真っ赤にして膨れっ面を浮かべる。

「！？……もう、今はデュエル中だよ！ 早くメインフェイズ1に移行しなよ！」
「う、うん。えっと……じゃあメインフェイズ1」
「リバースカードオープン！ “威嚇する咆哮”を発動するよ！」


※威嚇する咆哮
通常罠
(1)：このターン相手は攻撃宣言できない。


「そんな……」
「これで心ちゃんはこのターン攻撃宣言できないよ！ どんなに高い攻撃力を持っていても意味ないね！」
「うーん……まあいいや、これでターンエンド」


心　LP3000　手札：1枚
デッキ：26　モンスター：2（毒蛇王ヴェノミノン、溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム）魔法・罠：2（リミット・リバース）墓地：11　除外：0
凛　LP4000　手札：1枚
デッキ：31　モンスター：0　魔法・罠：3　墓地：4　除外：0


☆TURN06


「ボクのターン、ドロー！……よし。ボクはカードを1枚セットしてターンエンドだよ！」


心　LP3000　手札：1枚
デッキ：26　モンスター：2（毒蛇王ヴェノミノン、溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム）魔法・罠：2（リミット・リバース）墓地：11　除外：0
凛　LP4000　手札：1枚
デッキ：30　モンスター：0　魔法・罠：4　墓地：4　除外：0


　6ターン目、凛は今ドローしたカードをそのままセットしただけでターンを心に渡した。カードをドローした時に一瞬だけ喜んだ様子を見せたことから、待ち望んだカードが来たのだろう。


☆TURN07


（さっき凛ちゃんがドローしたカード……きっとダメージを与えるカードだ。あのカード次第で……）
「私のターン、ドロー！」
「この瞬間、リバースカードを発動するよ！ 罠カード、強欲な瓶！ そしてそれにチェーンして罠カード“仕込み爆弾”！ さらにチェーンして速攻魔法、連鎖爆撃！」


※仕込み爆弾
通常罠
(1)：相手フィールドのカードの数×300ダメージを相手に与える。
(2)：フィールドのこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合に発動する。相手に1000ダメージを与える。


　凛が得意とするチェーン3連コンボが決まる。チェーン3の連鎖爆撃によって1200ダメージ、そして仕込み爆弾によって1200ダメージとなり心のライフは合計で2400削られる。そして心のスタンバイフェイズにラヴァ・ゴーレムの効果で1000ダメージを受ければ心のライフは0になるのだ。

「どう！ これがボクのチェーンコンボさ！」
「……」
「何もない？ じゃあチェーン処理に移るよ！」
「待って……連鎖爆撃に更にチェーンしてリバースカードを発動するよ！」
「えっ！？」
「手札を1枚捨てて罠カード“レインボー・ライフ”を発動！！」


※レインボー・ライフ
通常罠
手札を1枚捨てて発動できる。
このターンのエンドフェイズ時まで、自分は戦闘及びカードの効果によってダメージを受ける代わりに、その数値分だけライフポイントを回復する。


「レインボー・ライフ！？ まさか、ボクのデッキに対するメタカードを……」
「私、昨日の夜改めて思ったんだ。このイベントが終わった後でも凛ちゃんとは一緒にデュエルができる仲でいたいって……だからこのカードをデッキに入れた」
「……レインボー・ライフでボクのバーンコンボのダメージは全部ライフ回復に……」

　連鎖爆撃と仕込み爆弾によって生じたダメージは2400。よって心のライフが2400回復する。

心 LP3000→5400

「ドローフェイズを終えてスタンバイフェイズに移るよ。ラヴァ・ゴーレムの効果も発動するけど、これもライフ回復に変わる！」

心 LP5400→6400

「ははは……やっぱりバーンだけで勝てるほど甘くないよね、デュエルって。心ちゃん、強欲な瓶でドローしたけどボクに防ぐためのカードはないよ」
「わかった……じゃあバトルフェイズに移るね。毒蛇王ヴェノミノンで凛ちゃんにダイレクトアタック！ “ヴェノム・ブロー”！」

毒蛇王ヴェノミノン ATK4500

「今回はボクの負けだけど……次は絶対に勝つからね！！」
「うん、だから……次デュエルするときも全力でやろうね！」

凛 LP4000→0





＊






「いやー、負けちゃったなぁ……まさかレインボー・ライフをメインから入れて来るなんて思わなかったよー」
「私のデッキはヴェノミナーガを出すことに特化したから……」

　今回のデュエルでは召喚できなかったが、毒蛇神ヴェノミナーガはそのカード効果から非常に場持ちのいいカードである。そのため、戦闘ダメージを受けにくいことからヴェノミナーガをすり抜けられるバーンダメージ対策としてレインボー・ライフを採用することを決めていたのである。

「なるほどね……」
「お二人とも、いいデュエルでしたね」

　デュエルを終えた凛と心の元に詩織がやってくる。詩織は最初こそどんなデュエルになるのかハラハラしながら見ていたが、終わってみてその心配が杞憂であったことに安心したようだった。

「詩織さん！」
「どちらも互いのデッキの良さを最大限に生かしたデュエルをしていましたね。ですが、このデュエルからまた学べることはあったと思います。この1日でその学んだことを次に繋げられるように一緒に頑張りましょう。私もできる限りのサポートをしますから」
「「はい！」」

　そして舞台は第3試合へと移る。6人の中で最もデュエルに通じているであろう結衣と美夏のデュエルを迎えるのであった。