透矢vsエリザ 偉大なる吸血鬼の力！③　作：はにわ改

　
「ーーカードを１枚セットして、ターンを終了します。
さぁ、トーヤのターンですわ」

リバース・カードを１枚出し、エリザはターンを終了。
モンスターゾーンには、『純血のヴァンパイア』である『ジル・ド・レ』と、魂を奪われた『白銀の盾』。
大事な戦士を奪われ、透矢は開始早々、緊張を強いられる事となった。

「俺のターン、ドロー！」

透矢のターン、ドローカード。
引いてきたのは『女帝』。
『白銀の盾』が魂を奪われる前にその能力で、引かせてくれたカードだ。

「ーースタンバイフェイズ！
『守護の鎧』の効果により、デッキから別の『守護の鎧』を手札に加える！」

次に『守護の鎧』。
『守護の鎧』自体はエリザのターンで破壊されたが、この効果は残存するためフィールドにいなくとも効果は適用される。

そうして『女帝』を加えた手札４枚を手にした透矢。
するとすぐに『女帝』が語りかけてきた。

（ーー吸血鬼、それも『純血の血筋』か。
奴らは不死身とも言われている。
厄介な相手だな、透矢）

（・・・ああ。
悪い、『アリアス』を奪われちまった）

（ーーいつまでも悔やんでいても仕方あるまい。
お前がそうやって臆しては、奴の思う壺だ）

（・・・ああ、分かってる）

（今ではアリアスも、不死者の仲間に過ぎない。
お前がアリアスの事を思うなら早く解放してやれ）

（ーー解放・・・か）

『女帝』の声を聞いて、頷く透矢。
だが、それを成し遂げるにはまだ手段が不十分。
そこで彼はまず『女帝』の力を借りる事にする。

「ーー俺は手札から『女帝の施し』を発動！」

『女帝の施し』。
手札かフィールドに『女帝』がある時に発動でき、手札の『三騎士』モンスター１枚をコストに２枚ドロー出来る。

まず手札の『女帝』をエリザに見せた後、手札から『守護の鎧』を墓地に送り、透矢は新たにカードを２枚ドローした。

「ーーよし、俺は更に『増援』を発動！
その効果でデッキから『白銀の盾』を手札に加える！」

魔法カード『増援』は、デッキからレベル４以下の戦士族モンスターを手札に加える、戦士族専用のサポートカード。
そうしてデッキから別の『白銀の盾』を加えると、すかさずそのカードをモンスターカードゾーンに置く。

「『白銀の盾』、召喚・・・！
召喚時にデッキトップにカードを置く効果は、今回は使わない」

召喚された『白銀の盾』。
攻撃力は１４００。
これで透矢とエリザのフィールドに１体ずつ、互いに睨み合う形で置かれる。
二人とも『アリアス』という戦士の魂の一部分であるが、このままではその魂を目覚めさせる事は出来ない。
『女帝』の言うように、不死者と化した魂を解放してやらなければならない。

「そして俺は手札から、『白銀の魂（シルヴァンス）』を特殊召喚！」

「『白銀の魂（シルヴァンス）』・・・？」

「『白銀の魂』は俺のフィールドに『白銀の盾』が存在する時に特殊召喚出来るカードさ！

・・・エリザに『白銀の盾』を取られなけりゃスムーズに召喚出来てたんだけどな」

「くす・・・それはそれはごめんあそばせ」

読みを狂わされた事を愚痴る透矢に、エリザはいたずらな笑みを見せる。
そうして特殊召喚された『白銀の魂（シルヴァンス）』。
『白銀の盾』の横に、銀色に輝く球体が姿を現す。
レベルは１、守備力は５００。

前のシェリルとのデュエルでは、『轟火の魂（バーニング・クロス）』という、よく似たモンスターがいたが、能力はどうなのか。

「『白銀の魂』の効果発動！
このカードを装備カード扱いとして、『白銀の盾』に装備する！」

「・・・なるほど。
一種のユニオン・モンスター、ですのね？」

「ま、そうだな！
『白銀の魂』を装備した『白銀の盾』の攻守が３００ずつアップ！」

白銀の輝きが『白銀の盾』に融合し、彼女自身の身体が光輝いているように見える。
その輝きが能力を高め、攻撃力を１７００へと上昇させた。

「そして装備カードとなった『白銀の魂』の効果を発動！
装備カード状態のこのカードを手札に戻す！」

「あら、せっかく装備しましたのに？
何か別の効果の発動条件（トリガー）かしら」

「そうさ！
その効果により俺はデッキから『三騎士』モンスター１体を墓地に送る事が出来る！
俺は『守護の鎧』を墓地に送るぜ！」

装備して、直ぐ様解除される『白銀の魂』。
だがそのカードを手札に戻す事によって、透矢は『守護の鎧』を墓地へ送った。

「よし、これで『３枚』！
行くぜ、エリザ！」

「ふふ・・・威勢がよろしいこと。
殿方はそうでなくてはね」

「リバースカード、『トライ・フォーメーション』！」

カードをいくつか使用する中で、準備を整えた透矢。
満を持してそのリバースカードを発動させる。

ーー『トライ・フォーメーション』。
墓地にＴ・Ｆ召喚に必要な素材モンスターが３体揃っている時に発動出来、その３体を素材とするＴ・Ｆモンスターを特殊召喚出来る。

「俺の墓地には『守護の鎧』が３体いる！
その３体でＴ・Ｆ召喚だ！」

「（ーーＴ・Ｆ召喚・・・。
ワシントン校のアルフレッドに並ぶという噂のＴ・Ｆ・モンスター使いが、彼・・・トーヤ・ユセナ！）」

地から空に向けて突き抜ける３本の金色に輝く光の柱。
その演出に観客たちが大いにざわめく。
エリザはその光をぼんやりと見つめながら、彼女がある筋から耳に挟んでいた事を思い出していた。

「ーーＴ・Ｆ召喚！
来いっ、『不屈の闘姫（ふくつのとうき）メルセディア』！」

今大会初となる透矢のＴ・Ｆ召喚。
３本の金色の柱が１つになり、それが弾けるように光が飛び散ると、
その中から絶対的な守備能力を持つ戦士が姿を現した。

・・・まだデュエルは序盤。
透矢とエリザの熱戦は始まったばかりであるーー。