真希vs蓮華 蓮華の武装待女デッキ！④　作：はにわ

　
（ーーここまで来れば、千歳様の狙いはほぼ確定ね。
あのリバース・カードの内、１枚は十中八九『ヒステリック・パーティー』）

ーー真希と蓮華のデュエル。
蓮華は真希の狙いを看破しつつあった。

（しかもそれはあくまで通過点。
ヒステリック・パーティーで復活させたハーピィ３体ないし４体を使って、何かをしようとしているーー）

ヒステリック・パーティーはハーピィのサポートカードの１つ。
発動すれば墓地の『ハーピィ・レディ』を可能な限り特殊召喚出来るのだ。
真希の墓地には名前をハーピィ・レディ扱いとする、ハーピィ・ライダーが２枚に、ハーピィ・ウィンガーが１枚の計３枚が眠っている。
すなわちその３枚の特殊召喚を狙っていると、蓮華は読む。
プロデュエリスト時代の対戦と、真希の行動を照らし合わせた結果の読みだ。

（ならば・・・これで良し）

蓮華は手札のカード１枚を握る。

「永続魔法『待女の務め』の効果を発動いたします。
手札から『銃装待女（ガトリング・メイド・アームズ） アリス』を特殊召喚します」

「ーー！
また新たな『待女』モンスターが！」

１ターンに１度、通常召喚権を放棄することで『待女』モンスターを特殊召喚出来る『待女の務め』。
その効果により現れたのは、青のドレスに白いエプロンを付けた童顔な金髪の少女。
頭には大きなリボンが付けられ、ドレスにはトランプカードの模様が刺繍されている。
だが最大の特徴は両手に持った機関銃であろう。
背丈を越える銃身、かなりの重量なはずだが、軽々と片手で持ち、明るい笑顔を見せている。

レベルは８で、攻撃力は２８００である。

「そして銃装待女 アリスの効果を発動いたします」

「効果ーーっ！」

「このターンのバトルフェイズを放棄することで、次の私のスタンバイフェイズまで、
相手が最初に発動した魔法・罠、そして表側表示で召喚・特殊召喚したモンスターを１ターンに各１回ずつ破壊します」

「な・・・っ？！」

「更にオーレリアの効果も発動いたします。
同じく、次の私のスタンバイフェイズまで、千歳様は１ターンに各１回ずつしか、魔法・罠・モンスター効果の発動、モンスターの特殊召喚が行えません」

「く・・・、またロック効果がーーっ」

「ターンを終了いたします」

アリスの効果に続き、オーレリアのロック効果。
これによって、真希は非常に動きを取り辛い状況を強いられる事となった。

（攻撃してきてくれれば、あたしの『神鳥の爆風』でデッキに戻せたのにーー読まれたっての？！）

今、蓮華の場にいるモンスターの総攻撃力は５８００に至っていた。
つまり攻撃を通せば勝ちだったのだが、そこは真希も対策を用意していた。
だが蓮華は踏み切らなかったのである。
プロデュエリスト時代の習性だろうか、迂闊な動きは見せてこない。

（しかもあのアリスがいる限り・・・あたしの『ヒステリック・パーティー』はーー）

そう、蓮華の読みは正に的を射ていたのだ。
真希のリバース・カード、もう１枚はヒステリック・パーティー。
これで墓地のハーピィをまとめて特殊召喚する事を狙っていたのだが、アリスがいる限り、それは不可能。

何故ならヒステリック・パーティーはそのカード自体がフィールドを離れると、折角復活したハーピィが破壊されてしまうからで、
アリスがいる限り、ヒステリック・パーティーは発動すると同時に破壊されてしまう。

（まずい・・・戦略を立て直さないとーー）

だからといって、手をこまねいていては蓮華の場はどんどん磐石な態勢を築かれてしまう。
恐らく完全に安全を確認してから、総攻撃をかける狙いだろう。
今のターンの蓮華の行動がそれを物語っている。

（オーレリア、アリス・・・。
二つの効果をすり抜けて、戦略を立て直すなんてーー）

この真希のターンのドロー。
そこで光明見える１枚が来なければ、恐らく間に合わない。
元・プロデュエリストの蓮華がそんな甘えは許してはくれないだろうからだ。

「あ、あたしのターン、カード、ドロー！」

目を瞑りながら、念を込めたドローカード。
真希はこの状況下で道を切り開けるのかーー。