運命のデュエル！Ｄ・Ｋの正体！②　作：はにわ

　
（ーーよし、『アリアス』を召喚できた。
いくらあいつでも、そう簡単には突破できないはずだ）

白い光を発する銀髪の女戦士・アリアス。
守備表示で召喚された彼女の守備力は１１００。
数値としてはそこまで高くはないが、彼女には１ターンに３回まで戦闘と効果で破壊されない、という効果を有している。
Ｔ・Ｆモンスターの共有耐性と合わせて、突破は容易ではない。

更にーー。

「アリアスの効果！
墓地の『白銀の盾』を１枚デッキに戻して、デッキから『轟炎の剣』を特殊召喚！」

アリアスの特殊能力。
１ターンに１度、『三騎士』モンスターを手札に加えるか、特殊召喚出来る。
透矢は『轟炎の剣』を宣言し、デッキから赤い鎧を纏う気迫に満ちた女傑が姿を現す。

「そして轟炎の剣の効果！
このカードを手札に戻すことで、デッキから轟炎の剣を１枚手札に加える！」

「ふん・・・更なるサーチか」

そしてすかさず効果発動。
轟炎の剣は手札へと還り、デッキから２枚目の轟炎の剣を手札に加える。

これで手札は５枚。
１ターンの間に手札と場に戦力を揃えた。

「さて、と・・・まだ通常召喚してないけどーーこれでターンエンドだ！」

最初のターンから多くのカードを駆使した透矢。
通常召喚権を残しているものの、守備はアリアスで充分、と敢えてモンスターを召喚しなかった。

「頼りにしてるぜ！」

透矢がアリアスに目配せすると、アリアスは透矢を後ろ目で見ながら小さく笑った。
意志ある者のように、透矢に応えるアリアス。
決死の覚悟を以て、透矢を守り抜く決意をした眼差しだ。

「ーー俺の、ターンだな」

迎えたデュエル・キラーのターン。
カードをドローし、手札は６枚となる。

（ふふ・・・かなりカードをサーチして気分はいいんだろうね。
でも、それが弱点でもあるってのよ）

デュエル・キラーは仮面の奥でほくそ笑む。

確かに透矢は大量のカードをサーチしたが、その結果現状の透矢の手札の全てが情報として伝わっている。

本来、見えない相手の手札。
それ故に、自分がどう動くか。
見えない手札から、何らかの切り返しが為された時、自分はどういう対策を練るか、という駆け引きが生まれる。

しかしカードが知れている今、デュエル・キラーは戦術が立てやすいのだ。

「だが１ターン目からＴ・Ｆ召喚を魅せてくれたお前に・・・俺も魅せてやらないとな」

「へへ・・・上等だ。
遠慮なくどんどん来やがれ！」

「よかろう。
ならばその目でしかと見届けるがいい！」

気合いの強さを見せた透矢だが、内心は緊張もある。
前回の事を思い出せば無理もない。

「俺はまず永続魔法、『ウインドミルレイジ』を発動！」

本格的に始まるデュエル・キラーのターン。
手始めに発動されたのがその永続魔法。

「『ウインドミルレイジ』発動後、３回目の俺のスタンバイフェイズに破壊される。
だがその効果により、１ターンに１度、手札の速攻魔法をコストにデッキからレベル４以下の鳥獣族モンスターを特殊召喚できる！」

「そっちもサーチか！」

「俺は手札から速攻魔法を１枚捨てて効果を発動！
『疾風の乙女（ハイソニック・レディ）』を特殊召喚する！」

ウインドミルレイジの効果を使い、デュエル・キラーもデッキからモンスターをサーチ、特殊召喚する。
特殊召喚されたのは、このデッキの起点となる疾風の乙女だ。

錫杖を持った少女が姿をみせる。
レベルは４、攻撃力は１１００である。

「そしてウインドミルレイジの二つ目の効果！
特殊召喚した鳥獣族モンスターの攻撃力は４００ポイントアップする！」

「デッキ・サーチに攻撃力強化だと！？」

ウインドミルレイジの二つ目の効果が連動して発動。
疾風の乙女の攻撃力は１５００となった。

「そして！
疾風の乙女の効果！
手札の速攻魔法を墓地に送り、デッキからレベル４以下の鳥獣族モンスターを特殊召喚する！」

「まだまだ来るか！」

「俺はデッキから、『ソニック・チャージャー』を特殊召喚！」

手札の速攻魔法を墓地に送り、疾風の乙女が効果を発動。
疾風の乙女の祈りによって新たに呼び出されたのは、黄緑やパープルなどカラフルな羽根を纏った、嘴の長い鳥。
レベルは３、攻撃力は９００。

「疾風の乙女は自身の効果で特殊召喚したモンスターの半分の攻撃力分アップ！
更にウインドミルレイジの効果により、ソニック・チャージャーの攻撃力も１３００にアップだ！」

「くっ！」

「そして手札から『隼の乙女（レディ・オブ・ファング）』を通常召喚！」

どんどんモンスターを召喚してくるデュエル・キラー。
人間と鳥が融合し、両手の爪が異様に鋭く発達した隼の乙女。
レベルは４で攻撃力は１４００。

（この展開力ーーこれがワンターンキルを生み出す原動力、ってわけか！）

見る見る間に３体ものモンスターを召喚したデュエル・キラーの戦術。
始まって間もない時に、これだけ展開されてしまうと、防御の手段は限られてしまう。
故に防ぎ切れずに高い確率でワンターンキルされてしまうのだろう。

（ーーアリアス・・・っ、耐え抜いてくれーー！）

透矢の拠り所。
それはアリアスの防御能力。

何とかこの攻撃を凌いでさえくれれば、反撃のチャンスを見いだせるだろう。

「隼の乙女の効果を使えば、透矢・・・お前にダイレクトアタックすることも出来るのだがな」

「ぐっ・・・」

「だが敢えて使わずに、まずはその厄介な壁モンスターを屠るとしよう！」

隼の乙女はフィールド上の鳥獣族モンスターを指定し、直接攻撃能力を付加させる効果がある。
だがデュエル・キラーはそれを使わず、アリアスに狙いを定めた。

「行くぞ！
疾風の乙女、隼の乙女、ソニック・チャージャーでアリアスを攻撃！」

バトルフェイズ。
３体のモンスターが一斉にアリアスに襲い掛かった。
疾風の乙女の超能力による、風の刃、隼の乙女による爪、ソニック・チャージャーの身を回転させて嘴をドリルのように特攻させる攻撃。

「ーーアリアス！」

容赦ない攻撃に、アリアスは身を傷付けられていき、たまらず透矢が叫ぶ。
それでも守り抜く、という強い一念の元に彼女は耐え抜いた。

「アリアスは１ターンに３回まで戦闘と効果で破壊されない！」

「分かっているさ。
だが次の攻撃はどうかな？」

「つ、次の攻撃ーー？」

アリアスは３回まで耐える。
つまり４回目の次の攻撃は耐えられない。
だがデュエル・キラーの場にもう攻撃可能なモンスターはいないはずーー。

「手札から速攻魔法！
『女王の大翼』を発動！」

「あーーっ！？

「フィールド上の３体の鳥獣族モンスターを生け贄に、
デッキ・手札・墓地から『疾風の女王（ハイソニック・クイーン）・ミサギ』を特殊召喚する！」

３体の鳥獣族モンスターが生け贄にされ、大きな竜巻が形成される。
デュエル・キラーのエース・モンスター。
前回も最後に姿を現し、炎魅子の邪魔が無ければ透矢に止めを刺していたカード。

その秘められた能力が今、開放される。