OtP28　Prelude　作：Ales

　「メインフェイズ……」

　本能で察している。デッキの残り以上に、ライフポイント以上に、決着の瞬間が近いと。
　これ以上続ければ、自分の身体が保たないと。

　「ここで引くのかぁ……」

　雪雲の立ち込める空を見上げた少女は、引いてきたカードを静かに場に置いた。

　「除外されたメタフィジカ・ドラゴン－イリスを墓地に戻してメタフィジカ・ステラパルヴィス・ドラゴンの効果を発動。このターン、このカード以外のフィールドのカードの効果を無効にする。魔法カード《モンスターゲート》を発動。フィールドのモンスター１体をリリースしデッキトップから捲り、から通常召喚可能なモンスター１体を特殊召喚します。」
　「勝つためとは言え、大胆な事をするわね……」

　遊貴のフィールドのメタフィジカ・ステラパルヴィス・ドラゴンの攻撃力では、倒せるモンスターに限度がある。さりとて強力な効果を持ったモンスターをリリースするのは覚悟が要る。が、魔鐘洞の抑止が効いているこのタイミング以外、前進するタイミングはない。そう決断しての一手だった。

　「デッキトップ……メタフィジカ・ドラゴン－ニクス。通常召喚可能かつ特殊召喚もできるのでそのまま特殊召喚。自身の効果以外で特殊召喚に成功したニクスの効果、デッキからメタフィジカ・ドラゴン－ウンブラを手札に加える。ウンブラを召喚して墓地のイリス、グラシエス、ラピスの効果を発動。それぞれレベル２のチューナーとして特殊召喚。レベル４のメタフィジカ・ドラゴン－ニクスに、レベル２となったメタフィジカ・ドラゴン－ラピスをチューニング。シンクロ召喚、再び顕現せよ、極炎の幻竜！メタフィジカ・ドラゴン－イグニス！シンクロ召喚に成功したイグニスの効果、フィールドのモンスター１体を破壊します。チェーンしてグラシエスの効果、デッキから１枚ドロー……」



　閃光が、抜き放たれた。



　「……ここが、分水嶺ね。」

　遊希も察していた。このターンを凌げば、遊貴は一気に流れを失う。つまりそれは総力を賭した一打を放つという事と同義であり、これに耐えられれば勝てるという事なのである。

　「はい……魔法カード、ハーフ・ライトを発動。デッキからメタフィジカ・ドラゴン－プロセラを効果を無効にし、攻撃力・守備力・レベルが半分のチューナーとして特殊召喚します。」



　再び、閃光が放たれる。遊貴がカードを手繰る度、彼女の内から光が札に宿っていく。




　「レベル６のメタフィジカ・ドラゴン－イグニスに、レベル２となったメタフィジカ・ドラゴン－イリス、メタフィジカ・ドラゴン－グラシエス、メタフィジカ・ドラゴン－プロセラをチューニング。



　“鳴り響け、北銀の旋律！天地空そして全ての世界、全ての時空を極彩色で満たせ！




　　星の扉を……開く！”





　「シンクロ召喚……これが正真正銘、最後の切り札、です！《Квант Аврора Дракон（クアンタム・アウローラ・ドラゴン）》！！」

　暗雲立ち込める闇を、一条の光が照らす。遊貴が展開したそれと同じ翼を広げた幻竜が、まさにこの世に唯一の光条であるかのように輝き、闇空に輝いた。

　「これが……あなたの……」

　遊希は少ない言葉ながら、この龍がなんであるかであるかすぐに合点した。自分が持つカードと同じように、彼女もまたこの龍を駆る事でひとつの試練、あるいは転換点を乗りこえ－恐らく好転させたのだと。

　「まず、極彩龍は他のカードの効果を受けません。更にこのカードとの戦闘によって私が受ける戦闘ダメージは０となり、このカードの効果発動時に相手はカードの効果を使用できません。」
　「ええ。」
　「ではシンクロ召喚成功時に効果を発動。除外された「メタフィジカ」を全てデッキに戻し、デッキに加えた数までデッキから「メタフィジカ」を手札に加えるか墓地に送ります。“リインカーネーション・ドライブ”！」

　転生の光が輝き、幻竜たちを昇華させる。

　「イリス、プルヴィア、プロセラ、ニクス、ネブラ、ウンブラ、ラピス、グラシエス、シニス……９体のメタフィジカを１体ずつ手札に加えてもうひとつの効果を発動。エクストラデッキの「メタフィジカ」２体を墓地に送り、その２体の効果を得る。“デコヒーレンス・ドライブ”！」

　幻竜が、量子の光となって霧散する。しかしそれは極彩龍の元に集い、かの龍の光を更に強める。

　「エクストラデッキのイグニスとトニトルスの効果を得てバトルフェイズに移行。これで……終わりです！」

　２体を選択する必要がある以上トニトルスの方はおまけだろうが、本命のイグニスの効果は遊希自身既に知っている。４０００の攻撃力を倍にされれば、どのモンスターを攻撃されてもその時点でゲームエンドである。つまり、どうにかしてこの攻撃を凌がねばならないのである。

　「Квант Аврора Драконで星龍皇 ラスタウィルムを攻撃。ダメージステップに……」
　「待ちなさい！攻撃宣言時に墓地の星龍皇翔破の効果を発動。このカードを除外して、手札または墓地の「星龍皇」１体を特殊召喚できるわ。」
　「チェーンはありません、けど……？」

　遊貴の方はといえば、フィールドに残ったカードのうち有効に機能するのは極彩龍のみである。その極彩龍も攻撃面以外に有用な効果は付与しておらず、当然この効果は通す事になる。とはいえ攻撃の対象を変えなければ、この効果は無駄も同然である。

　「なら、私はこの効果にチェーンしてラスタウィルムの効果を発動！魔法・罠・モンスター効果が発動した場合にその発動を無効にし、このカードを除外するわ。」
　「でもその効果はメタフィジカ・ステラパルヴィス・ドラゴンの効果で無効に……」
　「ええ、だから星龍皇翔破の効果は有効になり、墓地からモンスター１体を特殊召喚できる。私が特殊召喚するのは星龍皇 ウィルムダシクよ。」
　「……？モンスターの数が変化した事により、攻撃の巻き戻しが発生。攻撃対象をラードゥウィルムに変更して攻撃宣言。」
　「まだよ！もうひとつ！墓地の星龍皇雷の効果を発動！このカードを除外する事で、星龍皇トークン１体を守備表示で特殊召喚するわ！そしてこの効果にチェーンしてウィルムダシクの効果を発動、魔法・罠カードが発動した時、手札または墓地の「星龍皇」カード１枚を除外する事で無効にして破壊するわ。墓地のウィルムサーフィを除外して、効果を無効にして破壊！」
　「それに何の意味が……あっ。」

　遊貴の攻撃を回避するには、遊希には手段が足りない。だからこそ、このような回りくどい事をせざるを得なかったのだ。

　「「星龍皇」の効果により除外されたウィルムサーフィの効果、デッキから１枚ドロー！」
　「攻撃の対象は変わりません。でも、この状況でドローして発動できるカードって……」
　「そうね。でも、デュエリストは１枚の可能性にかけるもの、でしょう？」
　「……Квант Аврора Драконで攻撃！“クロノブレイク・ドライブ”！！」

　時間さえも超越する「概念」。極彩色の龍から発せられるオーラが、具現化されてフィールドを襲った。


Квант Аврора Дракон　ATK：8000　　ATK：2800　真星龍皇 ラードゥウィルム

　遊希　LP：4300　→　1700





　「……え？」



　極彩龍の攻撃力は8000であり、攻撃対象に指定したラードゥウィルムは攻撃力2800である。その差は5600となり、ダメージ計算が行われた時点でゲーム終了となる。


　はずだった。



　「ふぅ……まさか、ここまで追い詰められるなんて思ってなかったわ。」


　でも、私も―



　「残念ながら、私も悪運が強いみたいね。ダメージ計算時に《スモーク・モスキート》の効果を発動していたわ。このカードを特殊召喚して戦闘ダメージを半分にし、その後バトルフェイズを終了する。さあ、残るはメインフェイズ２とエンドフェイズだけ、だけれど？」
　「……まっすぐ来ると思ってた。」
　「全力で来い、と言ったのはあなたでしょう？」
　「むぅ……見解の相違。」

　遊貴はデュエル前、確かに「全力で来て欲しい」と言った。だが、人によって注力する趣旨は異なる。より砕いて言うなら、「勝負」に拘るか、あるいは「勝敗」に拘るかである。
　遊貴が全力を出して賭けたのは「勝負」に勝つ、すなわち相手の戦略を凌いで最後の一打で勝つ、言わばその行為自体が一種のパフォーマンスであった。無論これ自体が問題という訳ではない。カードゲームも遊技である以上、相手との応酬を楽しむ事は当然の事であり、その結果が敗北に終わってもその満足感のために投資した金銭や時間は無駄ではない。
　しかし、どの分野にも「勝敗」に拘る人は一定数居るものである。ましてやプロ組織のあるデュエルモンスターズとなれば、相手との対話は二の次にして一直線に勝利を目指すのは、ひいては自身の生活を守る事に直結するため、彼らに何ら不自然はないのである。

　「だから、全力で勝ちに行ってあげたわ。勝つ事に全力を尽くしたわよ。」
　「かくも恐ろしき意見のすれ違い……」


　勝負という課程を優先するか、勝敗という結果を優先するか。

　遊貴は前者を選択したため、例えどれだけ追い詰められる結果となろうともデッキを変えなかった。等身大の自分で、「勝負」したかったからである。一方、現実的に考えた場合戦略は多いに越した事はない。結果に拘ったからこそ、遊希は「勝敗」を優先し、自分のデッキに似つかわしくないこのカードを採用したのだ。

　「勝てば官軍よ、何とでも言いなさい。」
　「むぅ……メインフェイズ２へ移行する前に戦闘でモンスターを破壊したトニトルスの効果を得た極彩龍の効果、手札または墓地のメタフィジカ１体を除外して、フィールドのカード１枚を破壊する。手札のラピスを除外して、私のフィールドのウンブラを破壊します。メインフェイズ２は何もなし。そのままターンエンドです。」

　相手モンスターを破壊したいのはやまやまであるが、残りライフポイントが少ない以上、決して高くないステータスを晒すのはリスクが高い。勝負に拘ったと言い条、遊貴も勝利への信念がない訳ではない。


6th.Turn
　TP：遊希

遊貴　LP：700　D：12　H：6　G：20　Ex：13　V：1
　F：Квант Аврора Дракон　ATK：4000
　　メタフィジカル・ステラストーム
　　魔鐘洞

遊希　LP：1700　D：24　H：0　G：13　Ex：11　V：4
　F：スモーク・モスキート　DEF：0
　　星龍皇 エルタウィルム　ATK：3000
　　星龍皇 ウィルムダシク　DEF：2800


　「私のターン、ドロー！さてと、なんだかんだであなたも本気で来たのだから、私も本気で応えないとね。手札からフィールド魔法《星龍皇の聖域》を発動、自分フィールド上の星龍皇モンスターの攻撃力・守備力を300アップし、フィールド上の全てのモンスターを「星龍皇」として扱うわ。」

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星龍皇の聖域（ドラグリステル・サンクチュアリ）
フィールド魔法
(1):自分フィールド上に表側表示で存在する「星龍皇」と名のついたモンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。また、このカードがフィールドに存在する限り、自分は「星龍皇」と名のついたモンスターしか特殊召喚できず、フィールドに表側表示で存在するモンスターは「星龍皇」としても扱う。
(2):1ターンに1度、手札・墓地から「星龍皇」と名のついたモンスター1体をゲームから除外して発動できる。フィールドに表側表示で存在する魔法・罠カード1枚を破壊する。
(3):自分メインフェイズ時に墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動できる。自分の墓地に存在する「星龍皇」と名のついた魔法・罠カード1枚を選択して手札に加える。
「星龍皇の聖域」の(3)の効果はこのカードが墓地に送られたターンには発動できない。
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　「はい。」
　「更にふたつめの効果、手札または墓地の星龍皇を除外して、フィールドの表側表示の魔法・罠カード１枚を破壊する！除外するのは墓地のウィルムサーフィ、選択するのは勿論魔鍾洞よ！」
　「……はい。」
　「これでモンスター効果が使えるようになったわね。除外されたウィルムサーフィの効果、デッキから１枚ドロー！……ウィルムヴァインを通常召喚、召喚または特殊召喚に成功したウィルムヴァインの効果で除外されたウィルムゼクンドを特殊召喚！ウィルムゼクンドの効果、デッキから《神星龍皇 ヘーラーウィルム》をサーチ。レベル１のスモーク・モスキートに、レベル４の星龍皇 ウィルムヴァインをチューニング。シンクロ召喚、レベル５。《瑚之龍》！更にレベル４の星龍皇 ウィルゼクンドにレベル５の瑚之龍をチューニング。シンクロ召喚、レベル９！《灼眼の機龍》！」
　「ここのカード効果は強力なはずなのに……どうも、薄れてる気がするなぁ……」

　展開の最中、遊貴はついそう漏らした。無理もない。彼女を始終苦しめていたのは例外なく「星龍皇」カードであり、前ターンから突如として現れたモンスター群がどうも弱く見えてしまうのだ。とはいえ追い詰められている事に変わりはなく、さりとて何ができるでもなく感想めいた言葉を吐くのみである。

　「シンクロ召喚によりフィールドに特殊召喚され、墓地に送られた瑚之龍の効果、デッキから１枚ドロー！魔法カード《置換融合》を発動！自分フィールド上のみを対象として融合モンスターを融合召喚するわ。「星龍皇」として扱う灼眼の機龍と、星龍皇 ウィルムダシクをリリース。

　“遥かなる天上にて輝く星の龍よ。今その命、その力を1つとし、女神に仕える美しき精霊として転生せよ！””

　融合召喚、《真星龍皇 ヘスペリウィルム》！」

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真星龍皇 ヘスペリウィルム
融合・効果モンスター
星8/風属性/幻竜族/攻2900/守2800
「星龍皇」と名のついたモンスター×2
相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが2体以上存在する場合に手札・墓地から「星龍皇」と名のついたモンスター2体をゲームから除外することでこのカードはエクストラデッキから融合召喚扱いとして特殊召喚できる。（「融合」カードは必要としない。）「真星龍皇 ヘスペリウィルム」は1ターンに1体までしか特殊召喚できない。
(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し、墓地へ送った場合に以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分はデッキからカードを1枚ドローする。この効果でドローしたカードが「星龍皇」と名のついたカードだった場合、更にもう1枚ドローできる。
●自分のデッキから「星龍皇」と名のついたモンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚する。
(2):メインフェイズ時にこのカードをゲームから除外して発動できる。ゲームから除外されている「真星龍皇」以外の「星龍皇」と名のついたモンスター2体を自分フィールド上に表側表示で特殊召喚できる。この効果は相手ターンでも発動できる。
「真星龍皇 ヘスペリウィルム」の効果はそれぞれ1ターンに1度までしか発動できない。

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　「ステータス面では少々見劣りするけど……戦闘特化と思いきや相手ターンにも分裂して効果の回避や防御が可能、か。これは……」
　「宮戸さん。」

　少女の如き風霊を挟んで対峙する遊希が、静かに声を掛けた。

　「……？」

　遊貴は首を傾げて応じる。このターンを乗り切れば、まだ自分にも勝機がある。身体の方は不安だが、もう１ターンなら耐えられるだろう。そう考え、逆転の一手を思案する彼女は、あまり他の思考にリソースを割けていなかった。


　「正直、こんな回りくどいやり方でなくても勝てたわ。レベル８にできるモンスターが３体以上いたのだから、適当に《超銀河眼の光子龍》をエクシーズ召喚すれば、そのモンスターを除去した上で勝負を決める事もできた。でも、何故そうしなかったか……わかるかしら？」
　「あー……他の勝ち方をしたかったから？」

　負ける。そう察した瞬間、殆ど気合いので支えていた身体が悲鳴を上げはじめた。

　「ええ、そうよ。あなたが全力で……そのカードを出したのだから、私も全力で応えないと。フィールドの真星龍皇 ヘスペリウィルム、墓地の真星龍皇 トゥーヴァウィルム、真星龍皇 ラードゥウィルム、そして真星龍皇 ドラコニスウィルムの4体の真星龍皇たちをゲームから除外。


“天の都に鎮座する龍皇を束ねし大いなる女神。その神意を以って力を奮い、相対するものを殲滅せん。我が願いに応え、この地へ降臨せよ！”


　絶対神、《神星龍皇 ヘーラーウィルム》！！」

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神星龍皇 ヘーラーウィルム
特殊召喚・ペンデュラム・効果モンスター
星12/光属性/幻竜族/攻4000/守4000
【Pスケール：青3/赤3】
(1):1ターンに1度、ゲームから除外されている「星龍皇」と名のついたカード1枚を自分のデッキに戻して発動できる。自分のデッキまたはエクストラデッキから「星龍皇」と名のついたPモンスター1体を手札に加える。
【モンスター効果】
このカードは通常召喚できず、自分フィールド上に1体までしか存在できない。このカードは自分の手札・フィールド・墓地から「真星龍皇」と名のついた融合・儀式・S・Xモンスターをそれぞれ1体ずつゲームから除外することでのみ手札から特殊召喚できる。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。フィールドに存在するこのカード以外のカードの効果を無効にし、このカード以外のフィールドに存在するカードを全て破壊する。その後、このカードの効果で破壊されたカードの数×800ポイントのダメージを相手ライフに与える。このカードの(1)の効果に対して相手はカードの効果を発動できない。
(2):1ターンに1度、墓地に存在する「星龍皇」と名のついたモンスター1体もしくはゲームから除外されている「星龍皇」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。この効果で特殊召喚に成功したモンスターはこのカードが破壊された場合に破壊される。この効果は相手ターンでも発動できる。
(3):モンスターゾーンに存在するこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを自分のPゾーンに置く。
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　「……なるほど、それが理由か。ふふっ。」

　強大な威圧感を放つ神龍を前に、遊貴は笑っていた。それは諦念でも、自嘲でもなく。


　遊希にはどこか、満足げに見えた。


　「ヘーラーウィルムの効果、このカードの特殊召喚に成功した時、このカード以外のフィールドのカードの効果を無効にし、全て破壊する！そして破壊したカード１枚に付き、800ポイントのダメージを与える！」
　「極彩龍は永続効果で他の効果を受けないから免れるけど……」
　「あなたの場のメタフィジカ・ステラストームと私の場のエルタウィルム、そして聖域の３枚が破壊されるわ！消えなさい！“神技・天地崩乱”！！」


遊貴　LP：700　→　0
　Win：遊希






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　これで良かったの？―

　「んー……？」

　あなたが望むなら、力は貸したわ。それで勝てたはずでしょう？―

　「んー……」

　でも、あなたはそれを望まなかった―

　「ん……」

　その選択に後悔はないのかしら？

　「あるんじゃないかな？」

　へぇ……後悔したまま、それでも構わないと？

　「そうだよ。それでいい。というか……」

　何かしら？―

　「そんな余裕ないから。」





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　「宮戸さん？」
　「……はい。」

　豪雪の最中に終わったデュエルの後、遊貴はその場に佇んだまま動かなかった。

　「色々言いたい事とか、訊きたい事とかあるけれど……」
　「はい。」


　「とりあえず、校舎に戻りましょう。凍死しそうよ。」
　「……はい。」




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制限改定を丸一回分放置していた……そもそも環境とは何だ？（アストラル脳）