02　導入その２　作：Ales

Turn1
Turn Player：『NSaver』
NSaver　Deck：35　Hand：5　Graveyard：0　Field：なし
Snowispell　Deck：35　Hand：5　Graveyard：0　Field：なし

　「先攻は俺か、ならまずは《六武の門》を発動！更に《六武衆の結束》を発動！！」
　「もう握ってたんだ…」

　『NSaver』の発動したカードは、どちらも【六武衆】における大きなアドバンテージ源だ。前者はバフとサーチの効果を持ち、後者はドローソースである。以前に天下を取ったデッキの、そのパワー源と言って過言ではない２枚を両方、初手で発動したのだ。当然、彼のデッキはここから回り出す。

　「へへっ、惜しむらくは影武者がいないことだけどな…まあ問題ないぜ、まずはこいつだ。《真六武衆－カゲキ》！召喚に成功したことで《六武の門》に２つ、《六武衆の結束》に１つ、武士道カウンターを乗せる。
　カゲキの効果、手札から《六武衆－ザンジ》を特殊召喚！門と結束にカウンターを乗せるぜ。」
　「ホントにいなかったんだ…」

　往時の六武衆のセオリーは、カゲキの効果で《六武衆の影武者》を特殊召喚し、強力な効果を持つ《真六武衆－シエン》につなげることだった。が、彼は宣言通り影武者を持っていなかったらしく、非チューナーのザンジを特殊召喚した。

　「おっと、真シエンを出すだけが六武衆じゃないぜ？門の効果、結束から１つ、門から３つの武士道カウンターを取り除いて、デッキから《真六武衆－キザン》を手札に加える。
　手札に加えたキザンの効果、自分フィールド上に六武衆が存在する時、手札から特殊召喚できる。門と結束にカウンターを乗せる。もう一回キザンを手札に加えて特殊召喚だ。」
　「ん……」
　「次は門と結束、両方から２つずつ武士道カウンターを取り除いて効果発動だ。3枚目のキザンを手札に加えて特殊召喚。カウンターを乗せる。さあいくぜ！レベル4の《真六武衆－キザン》2体でオーバーレイ、2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚、来い《六武衆の影－紫炎》！
　門と結束にカウンターを乗せ、結束の効果発動！カウンターの乗ったこのカードを墓地に送り、カウンターの分だけドローできる。2つ乗っていたので2枚ドロー！あっ……」
「……？」

　六武衆得意の大量展開を行い、今尚展開の最中にある彼が黙り込んだのを見て、『Swon』は首を傾げた。はて、この状況でドローして困るカードがあるのだろうか。

　「……まあいいか、《六武衆の影－紫炎》の効果、オーバーレイ・ユニットをひとつ消費して、フィールドの六武衆モンスターの元々の攻撃力を2000にする。俺は《真六武衆－カゲキ》を選択。

《真六武衆－カゲキ》ATK:1700　→　3500

　「門の効果でさっき落としたキザンを回収して特殊召喚！また門にカウンターが乗る。
　次はこいつだ、《六武衆－ザンジ》と《真六武衆－キザン》でオーバーレイ、2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚！《Ｈ－Ｃ　ガーンデーヴァ》！」
「え……？」

　見慣れないカードに、『Snow』が驚きの声を上げた。とはいえいつもの小声より更に小さく、ボイスログにも乗らない程度だったが。

　「後はカードを2枚セットしてターンエンドだ。さあ、お手並み拝見といかせてもらうぜ！」



Turn2
TP：『Snowispell』
Snowispell　LP:8000　D：35　H：5　G：0
F：なし

NSaver　LP:8000　D：30　H：1　G：1
F：《Ｈ－Ｃ　ガーンデーヴァ》《六武衆の影－紫炎》《真六武衆－カゲキ》《真六武衆－キザン》
《六武の門（武士道カウンターx2）》《セットカード》x2



　（六武衆でガーンデーヴァ…完全に予想外だった……でも、ペンデュラム召喚を2回防ぐと考えたら投資効率はいい…か。真シエン出てなくて、ホントにラッキーだったかもしれない……
　でも伏せカード…おそらくはどっちかが勾玉。破壊効果は使えない……となると戦闘破壊…でもカゲキも除去しないと次のターンで真シエンか、難しい……門は、今は諦めよう。）

　「私のターン、ドロー。」

　（とにかく、一度効果を使わせるしかないか…手札も悪くない。）

　「自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このモンスターは手札から特殊召喚出来る。《太陽風帆船》を特殊召喚。そして、《幻獣機オライオン》を召喚。レベル5の《太陽風帆船》にレベル2の《幻獣機オライオン》をチューニング…シンクロ召喚、《カラクリ将軍　無零》。」
　「は？幻獣機？カラクリ？一体どっちなんだよ…」

　『NSaver』が苦笑気味に呟いた。

　「無零の効果、シンクロ召喚に成功した時にデッキから「カラクリ」1体を特殊召喚できる。それにチェーンしてオライオンの効果。
　チェーン解決、オライオンの効果で《幻獣機トークン》を特殊召喚、無零の効果で《カラクリ守衛　参壱参》を特殊召喚。」
　「おっと、じゃあ参壱参の特殊召喚時にガーンデーヴァの効果発動だ。参壱参を破壊するぜ。」
　「ん……じゃあ《アイアンコール》発動で……」
　「あー、やっぱあったか…」
　「墓地の参壱参を特殊召喚、ついでに無零の効果で…《真六武衆－カゲキ》の表示形式を変更する。」
　「カゲキか…ま、しゃーねーわな。」

　こちらもまた苦笑気味に呟かれる。最大攻撃力3700のモンスターは、壁として驚異だ。しかも次のターンにレベル2のチューナー、《六武衆の影武者》を引かれればもっと厄介な《真六武衆－シエン》が出てくる。そう考えると、カゲキを除去しようとするのは必定である。

　「レベル3の《幻獣機トークン》にレベル4の《カラクリ守衛　参壱参》をチューニング…シンクロ召喚、《カラクリ将軍　無零》。無零の効果で《カラクリ参謀　弐四八》を特殊召喚、効果でキザンを守備表示に、無零のもうひとつの効果で紫炎を守備表示に。」
　「くっ…」
　「バトルフェイズ、弐四八で紫炎を攻撃。」


《カラクリ参謀　弐四八》　ATK:500　DEF:400　《六武衆の影－紫炎》


　「無零でカゲキを攻撃。」


《カラクリ将軍　無零》　ATK:2600　DEF:2000　《真六武衆－カゲキ》


　「もう1体の無零でガーンデーヴァを攻撃。」


《カラクリ将軍　無零》　ATK:2600　ATK:2100　《Ｈ－Ｃ　ガーンデーヴァ》
『NSaver』　LP:8000　→　7500


　（キザンは残ったけど…仕方ない、か。）
　「メインフェイズ2、《カラクリ将軍　無零》2体をオーバーレイ、2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚…《幻獣機ドラゴサック》。ドラゴサックの効果発動、オーバーレイ・ユニットをひとつ消費して《幻獣機トークン》2体を特殊召喚。
　んー……レベル3の《幻獣機トークン》にレベル3の《カラクリ参謀　弐四八》をチューニング…シンクロ召喚、《レッド・ワイバーン》。カードを1枚セットして、ターンエンド。」



Turn3
TP：『NSaver』
NSaver　LP：7500　D：30　H：2　G：7
F：《真六武衆－キザン》
《六武の門（2）》《セットカード》x2

Snowispell　LP：8000　D：33　H：2　G：8
F：《幻獣機ドラゴサック》《レッド・ワイバーン》《幻獣機トークン》
《セットカード》



　「俺のターン、ドロー！」
　（まあこんだけ残ってるなら何とかなるだろ…門飛ばされてたら終わってたかもな。）

　フィールドのモンスターこそほとんど駆逐されたものの、彼のフィールドは充分にリカバリー可能な状態だ。展開のキーカードである《六武の門》が残っているので、決して厳しい立場にある訳ではない。

　「手札から《真六武衆－エニシ》を召喚。門にカウンターが乗る。エニシの効果、墓地の《六武衆の影－紫炎》と《六武衆－ザンジ》を除外して、《レッド・ワイバーン》をバウンスする。」
　「ドラゴサックじゃないんだ…」
　「そっちは後、今は面倒な妨害効果を何とかしないとな。リバースカードオープン、速攻魔法《六武衆の荒行》を発動！フィールドの《真六武衆－キザン》を選択して、デッキから《六武衆－ザンジ》を特殊召喚。門にカウンターが乗る。門のカウンターを4つ取り除いて効果発動、墓地のキザンを手札に。そのまま特殊召喚、門にカウンターを2つ乗せる。」
　「荒行を伏せてたんだ…思い切った事する……」

　《六武衆の荒行》は条件はあるものの、デッキから直接特殊召喚出来る優秀な効果を持つが、ターン終了時に破壊とダメージが発生するため、相手ターンでは使いづらいカードだ。それだけに、セットという行為は珍しい。

　「頭がいいと、色々邪推してくれるから助かるんだよ。レベル4の《六武衆－ザンジ》と《真六武衆－キザン》でオーバーレイ、2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚！《Ｈ－Ｃ　エクスカリバー》！
エクスカリバーの効果発動、オーバーレイ・ユニットを2つ取り除いて次の相手ターン終了時まで攻撃力を倍にする。」
　「……なるほど、宣言は嘘じゃない、か。」
　「バトル！まずは《六武衆－イロウ》で《幻獣機トークン》を攻撃。イロウの効果、フィールド上に別の六武衆がいる場合、表側守備表示モンスターをダメージ計算を行わずに破壊する。次は本命だ！《Ｈ－Ｃ　エクスカリバー》で《幻獣機ドラゴサック》を攻撃！」
　「リバースカードオープン、速攻魔法、《スケープ・ゴート》を発動。《羊トークン》4体を守備表示で生成。」
　「ちっ、破壊耐性付与に壁増やしか…【幻獣機】と相性いいじゃねぇか。なら、攻撃対象を《羊トークン》に変更する。」

《Ｈ－Ｃ　エクスカリバー》　ATK:4000　DEF:0　《羊トークン》

　「《真六武衆－ザンジ》で《羊トークン》を攻撃。」

《真六武衆－ザンジ》　ATK:1800　DEF:0　《羊トークン》

　「俺はこれでターンエンドだ。」



Turn4
TP：『Snowispell』
Snowispell　LP：8000　D：32　H：2　G：9
F：《幻獣機ドラゴサック》《羊トークン》x2

NSaver　LP：7500　D：28　H：2　G：7
F：《真六武衆－キザン》《Ｈ－Ｃ　エクスカリバー》《六武衆－イロウ》
《六武の門（2）》《セットカード》


　「私のターン、ドロー。スタンバイ、メイン。まずはドラゴサックの効果発動、オーバーレイ・ユニットを1つ消費して《幻獣機トークン》2体を特殊召喚。手札から魔法カード、《置換融合》を発動。」
　「おいおい、融合まで使うのかよ…ずいぶん強欲なデッキだな。」
　「戦況に合わせて取捨選択できる、と言って欲しい…《羊トークン》2体で、《始祖竜ワイアーム》を融合召喚。」
　「げっ…ワイアームかよ、どうしてくれんのこれ。」

　ワイアームはモンスター効果耐性と通常モンスター以外との戦闘破壊耐性を持っている。効果モンスターが全てを占めると言っていい【六武衆】では、除去手段がほとんどない。

　「相手のいやがることをするのがデュエリストだって、『La+』が言ってた…手札から、《貪欲な壺》を発動。《カラクリ将軍　無零》2体と《カラクリ参謀　弐四八》《幻獣機オライオン》《太陽風帆船》を選択、デッキに戻してシャッフル。2枚ドロー……あっ」
　「ん？どうした？」

　1ターン目に彼が行った2枚ドローの後と同じ音声を、『Snow』は発声した。

　「んー…いや、なんでもない……」

　（このドローなら……勝てる。）

　「《幻獣機オライオン》を召喚。レベル3の《幻獣機トークン》にレベル2の《幻獣機オライオン》をチューニング…シンクロ召喚、《Ａ・Ｏ・Ｊ　カタストル》。オライオンの効果で《幻獣機トークン》を特殊召喚、後は……《簡易融合》を発動、ライフを1000払ってエクストラデッキから《重裝機甲　パンツァードラゴン》を特殊召喚。」

『Snowispell』　LP:8000　→　7000

　「レベル5の機械族が2体って……おいやめろ。」
　「相手のいやがることを以下略…レベル5の《Ａ・Ｏ・Ｊ　カタストル》と《重裝機甲　パンツァードラゴン》でオーバーレイ、2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築…エクシーズ召喚、《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》……」
　「なーんてな！ノヴァのエクシーズ召喚成功時にこいつを発動するぜ。罠カード、《エクシーズ・ユニバース》！《Ｈ－Ｃ　エクスカリバー》と《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》を墓地に送る。2体のランクの合計は9、俺はランク8の《神竜騎士フェルグラント》を特殊召喚するぜ。」
　「むぅ……」

　好事魔多し。いや、《エクシーズ・ユニバース》を引いていた彼を称えるべきか。とにかく、インフィニティの強力な効果を利用して一気に押し切ろうと目論んだ『Snow』の策は、あえなく玉砕した。

　「相手のいやがることをするのがデュエリスト、だろ？さあどう来る？」
　「……ふふ」

　しかし、暫しむくれていた『Snow』は、ややあって笑みを浮かべた。

　「ん？どうした？」
　「そう、相手のいやがることをするのがデュエリスト……まずは《幻獣機ドラゴサック》の効果発動。1ターンに1度、「幻獣機」をリリースすることでカード1枚を破壊できる。《神竜騎士フェルグラント》を選択。」
　「フェルグラントの効果発動。オーバーレイ・ユニットを1つ使い、モンスターの効果を無効にし、このターンこのカード以外の効果を受けなくする。ドラゴサックを選択。
　チェーン解決、《神竜騎士フェルグラント》の効果で《幻獣機ドラゴサック》の効果を無効に。《幻獣機ドラゴサック》の効果は不発だな。」
　「うん……魔法発動、《死者蘇生》。蘇生させるのは墓地の《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》。」
　「あ、おいバカ止めろ下さいお願いします何でもしますから。」
　「言葉、間違ってる……《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》は1ターンに1度、《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》の上に重ねてエクシーズ召喚出来る…というわけで、《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》をエクシーズ召喚。
　インフィニティの効果、《神竜騎士フェルグラント》をオーバーレイ・ユニットとして吸収。後は……墓地の《置換融合》の効果発動。このカードを除外して、墓地の《重裝機甲　パンツァードラゴン》をエクストラデッキ戻す。その後、1枚ドロー……魔法発動、《アイアンコール》。墓地の《カラクリ守衛　参壱参》を特殊召喚。レベル3の《幻獣機トークン》にレベル4の《カラクリ守衛　参壱参》をチューニング…シンクロ召喚、《カラクリ将軍　無零》。無零の効果、デッキから《カラクリ守衛　参壱参》を特殊召喚。無零のもうひとつの効果、キザンを守備表示にする。
　バトルフェイズ、《カラクリ守衛　参壱参》で《真六武衆－キザン》を攻撃。」

《カラクリ守衛　参壱参》　ATK:600　DEF:500　《真六武衆－キザン》

　「《始祖竜ワイアーム》で《六武衆－イロウ》を攻撃。」

《始祖竜ワイアーム》　ATK:2700　ATK:1700　《六武衆－イロウ》
『NSaver』　LP　7500　→　6500


　「くっ……」
　「《カラクリ将軍　無零》でダイレクトアタック。」

《カラクリ将軍　無零》　ATK:2600
『NSaver』　LP　6500　→　3900


　「ぐうっ…」

　（ドラゴサックはトークンの特殊召喚効果を使用下ターンは攻撃できない…インフィニティの攻撃を食らってもまだライフは残る……）

　「《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》でダイレクトアタック。ダメージステップに《リミッター解除》を発動。機械族モンスターの攻撃力を倍にする。」
　「……負け、か。」


《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》　ATK:2500　→　5000
『NSaver』　LP　3900　→　0


Win:『Snowispell』