13　追いかけた星は　作：Ales

　－はい、参りましょう！

　次に琉枝がシンクロ召喚したのは、彼女たちが初めてであった時と同じ姿の『ロロナ』だった。唯一違う所は、右手に短い杖を持っている事ぐらいだろうか。


---

《星眼の魔術師（スターアイズ・マジシャン）/Star-eyes Magician》
シンクロ・効果モンスター
星７/光属性/魔法使い族/攻２４００/守２０００
チューナー+チューナー以外の「ＬＶ」モンスター１体以上
このカードのＳ召喚時、魔法・罠・モンスター効果を発動できない。また、このカードは罠カードの効果を受けない。このカードの（１）（２）の効果は、それぞれ１ターンに１度しか発動できない。
（１）：手札のレベル６以下の「ＬＶ」モンスター１体を選択して発動する。そのモンスターを、そのカードに記されているモンスターの効果による特殊召喚扱いとして特殊召喚する。
（２）：墓地の「ＬＶ」モンスターを２体まで除外する。除外した数だけ、フィールド上のカードを選択して破壊する。
（３）：ダメージ計算時に１度、自分の墓地の「ＬＶ」モンスター１体を除外して発動する。このカードの攻撃力は、バトルフェイズ終了時までそのモンスターの攻撃力分アップする。この効果は相手ターンにも使用する事ができる。

---


　「カードを１枚セットしてエンドフェイズに移行。まずはＳ素材にした《隠密暗黒物質　ＬＶ１》の効果、デッキから《隠密暗黒物質　ＬＶ３》を特殊召喚する。合計２体素材にしたので２体特殊召喚。」


---

《隠密暗黒物質　ＬＶ３/Stealth Dark matter LV3》
チューナー・効果モンスター
星３/闇属性/魔法使い族/攻０/守０
このカードはカードの効果で破壊されず、攻撃対象に選択できない。
（１）：「隠密暗黒物質　ＬＶ１」の効果で特殊召喚したこのカードをＳ召喚に使用する場合、このカードのレベルを１または２として扱うことができる。この効果を適用する場合、このカードは「ＬＶ」チューナーをＳ素材とするＳ召喚にしか使用できない。
（２）：このカードがＳ召喚によって墓地に送られたターンのエンドフェイズ、手札・デッキから「隠密暗黒物質　ＬＶ５」１体を特殊召喚できる。
（３）：相手ターンのメインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールド上の「ＬＶ」モンスターをＳ素材としてＳ召喚する。

---


　「さて、《レベル調整実験室》の効果で全「ＬＶ」モンスターをレベルアップ！デッキから《ホルスの黒炎竜　ＬＶ８》と《隠密暗黒物質　ＬＶ５》２体を特殊召喚。」


---

《隠密暗黒物質　ＬＶ５/Stealth Dark matter LV5》
チューナー・効果モンスター
星５/闇属性/魔法使い族/攻０/守０
このモンスターは通常召喚できない。「隠密暗黒物質　ＬＶ３」の効果で特殊召喚されたこのカードはカードの効果で破壊されず、攻撃対象に選択できない。このカードの（１）（２）の効果は、「隠密暗黒物質　ＬＶ３」の効果で特殊召喚した場合のみ適用できる。
（１）：このカードをＳ召喚に使用する場合、このカードのレベルを１～４として扱うことができる。この効果を適用する場合、このカードは「ＬＶ」チューナーをＳ素材とするＳ召喚にしか使用できない。
（２）：このカードをＳ素材としたＳモンスターは、以下の効果を得る。
・このカードはカードの効果で破壊されず、攻撃対象に選択されない。
・１ターンに１度、このモンスターのレベルをターン終了時まで１にすることができる。
（３）：相手ターンのメインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールド上の「ＬＶ」モンスターをＳ素材としてＳ召喚する。

---


　「私はこれでターンエンド。さて、お手並み拝見といこうかしら。」

　レベルモンスターの致命的な弱点は、特定の条件を達成しなければ進化できない事だ。低レベルの時にはさほど驚異ではないため、その間に除去されるのがオチだった。しかし、琉枝はその欠点を与えられたカードで克服した。条件はエンドフェイズである事だけ。ＬＶ６のホルスの黒炎竜を召喚してエンドフェイズまで維持すれば、ＬＶモンスター中最強と言っても過言ではないＬＶ８を特殊召喚できるのだ。



2nd.Turn
　TP：？？？

？？？　LP：8000　D：35　H：5　G：0
　F：none

La+　LP：8000　D：24　H：2　G：8
　F：《星眼の魔術師》《スターマイン・ウォリアー》《ホルスの黒炎竜　ＬＶ８》《隠密暗黒物質　ＬＶ５》×２
　　《レベル調整実験室》《セットカード》


　「私ノターン、ドロー。」

　遊貴の時と同じように無機質な声が響き、カードが動いた。

　「《エレキリン》ヲ召喚。バトルフェイズニ入ル。」
　「待った、メインフェイズ終了時に速攻魔法、《星間戦艦》を発動。《隠密暗黒物質　ＬＶ５》をリリースして、２枚のカードを破壊。選択するのはもう１枚の《隠密暗黒物質　ＬＶ５》と《エレキリン》。」
　「チェーンシテ、《エレキリン》ヲ対象ニ《禁じられた聖槍》ヲ発動。コノターン、魔法・罠カードノ効果ヲ受ケナイ。」
　「《ホルスの黒炎竜　ＬＶ８》の効果……いや、通すわ。《隠密暗黒物質　ＬＶ５》はＬＶ３の効果で特殊召喚されているから、カードの効果で破壊されない。」


---

《星間戦艦/Star Buster》
速攻魔法
（１）：「ＬＶ」モンスター１体をリリースして発動する。フィールド上カードを２枚選択して破壊する。この効果でカードを破壊したターン、自分は「ＬＶ」モンスター以外特殊召喚できない。

---


　琉枝がアド損を覚悟で《エレキリン》の除去を敢行した理由は、《エレキリン》の効果でホルスの黒炎竜の効果を封じられ、メインフェイズ２での魔法カードの発動を許してしまう事態を避けるためだった。次のターンでＬＶ８を出せる保証がない以上、《ブラック・ホール》などで除去されれば展開に影響を与えかねない。しかし、相手がチェーンして魔法カードを発動したという事は恐らく、黒炎竜を《幽鬼うさぎ》辺りで破壊できる状況だったのだろう。そう考えて黒炎竜の効果は使用しなかった。

　「でも、メインフェイズ終了時にもうひとつ。《隠密暗黒物質　ＬＶ５》の効果で今、シンクロ召喚を行うわ。このモンスターは、「ＬＶ」チューナーを指定したモンスターのＳ召喚に使う場合、レベルを変化させる事が出来る。レベル７の《星眼の魔術師》に、レベル３となった《隠密暗黒物質　ＬＶ５》をチューニング……」


　－深淵に光るは星の双眸、迷い路を抜け、我が前に希望を映せ。


　「シンクロ召喚、《星眼の深淵龍》！」

　ロロナの杖に、浮遊していた黒い物体が吸い込まれた。そしてその色を映すように、杖全体が、やがてロロナ自身が黒に染まっていく。

　「ロロナ、大丈夫？って言ってももう止められないけど。」
　－あなたは……もう。デュエル中なのですから、モンスターに要らぬ心配をしないで下さい。

　闇の中から出てきた黒龍が、ロロナと同じ声を出した。ロロナとの共通点は目の色のみだが、醸し出す雰囲気は彼女にそっくりの穏やかなものである。


---

《星眼の深淵龍（スターアイズ・ディープアビス・ドラゴン）/Star-eyes Deepabyss Dragon》
シンクロ・効果モンスター
星１０/闇属性/ドラゴン族/攻３０００/守３０００
「ＬＶ」チューナー+「星眼の魔術師」
このカードの（１）の効果発動時、相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できない。
（１）：このカードのＳ召喚に成功した時に発動する。相手フィールド上のカードを２枚まで破壊してゲームから除外する。
（２）：このカードが破壊され墓地に送られた場合に発動する。墓地の「星眼の魔術師」１体を特殊召喚し、このカードをエクストラデッキに戻す。

---


　「深淵龍の効果。Ｓ召喚成功時に、相手フィールドのカードを２枚まで破壊してゲームから除外する。《エレキリン》には消えてもらうよ！」
　「……メインフェイズ２ニ移行。カードヲ２枚セットシテターンエンド。」



3rd.Turn
　TP：La+

La+　LP：8000　D：24　H：2　G：12
　F：《星眼の深淵龍》《スターマイン・ウォリアー》《ホルスの黒炎竜　ＬＶ８》
　　《レベル調整実験室》

？？？　LP：8000　D：34　H：2　G：1
　F：《セットカード》×２



　「私のターン、ドロー！」

　初動こそ完璧に押さえ込んだ琉枝だが、相手フィールドには伏せカードが２枚ある。前ターンでの読みでは、手札は《幽鬼ウサギ》と《ブラック・ホール》だが、その他のカードに関しては見通しが立っていない。見えたカードは《エレキリン》と《禁じられた聖槍》のみであり、他方琉枝はデッキの半分近くをさらしている状態だ。

　（石橋叩いたのが裏目に出ないといいけど…）
　－『La+』さん？
　「ん？ああ、気にしないでいいわ。このままバトルフェイズ…」
　「メインフェイズ終了時ニ、《威嚇する咆吼》ヲ発動。コノターンオ前ハ攻撃宣言デキナイ。」

　【エレキ】の長所は相手モンスターの有無に関わらずダイレクトアタック可能な事だが、弱点は戦闘で相手モンスターを除去しない事だ。その所為で相手の攻撃を止めなければダメージレースで負けてしまう。それは百も承知だったが、妨害用のカードは想定内でも、除去カードを引く事が出来なければ回避できない。

　「む……バトルフェイズは終了してメイン２、《レベル調整実験室》の効果を発動。墓地の《隠密暗黒物質　ＬＶ５》をデッキに戻して１枚ドロー。ん、カードを２枚セットしてターンエンド。」



4th.Turn
　TP：？？？

？？？　LP：8000　D：34　H：2　G：2
　F：《セットカード》

La+　LP：8000　D：23　H：1　G：12
　F：《星眼の深淵龍》《スターマイン・ウォリアー》《ホルスの黒炎竜　ＬＶ８》
　　《レベル調整実験室》《セットカード》×２



　「私ノターン、ドロー。メインフェイズ、《エレキリン》ヲ召喚。」
　「……何このデジャヴ。」

　しかし琉枝の仮定－つまり、今相手の手札が《幽鬼うさぎ》と《ブラック・ホール》で正しいとするなら、この《エレキリン》は今引いてきた事になる。デッキに３枚投入可能な《幽鬼うさぎ》はともかく、1/17の《エレキリン》をドローし、かつ制限カードの《ブラック・ホール》を握っているいうのは些か運が良すぎるようにも思える。メインフェイズの宣言と共に手札を一度一纏めにされてしまったため、ドローしたカードを召喚したかどうかは判らなかった。

　（私が除去を警戒する事を想定して……ブラフを打ってきた？）





---

《？次回予告？》

琉枝　「おい、次回予告１回分ずれてんぞ」
ロロナ　「え？ちょっと、だからその目は……ひゃんっ！」


遊貴　「でも、共通点って……」
征　「あるか？」


次回、「More beauty, like ’’Pēnelopē’’」
夜昼なれ、花の舞。


---
追記
今朝見たら閲覧数が丁度1000でした。
とってもとっても、ありがとう。