DRAW:１８９ 第１０のクリファ　作：人喰い

(189)






〜YAGAMI本社ビル45階・神託の間〜



【Side 火群】



マイン「───貴様ら人間共にも魅せてやる……ッッ…“闇黒の世界”をなァ……ッッ…！！」


そして、高く掲げ上げられたカードにより、その“殺意”はより一層深く濃くなり、辺りを漆黒に染めた。





マイン「フィールド魔法───
『闇黒世界ーシャドウ・ディストピアー』
ァァアァッッッ！！！！」





《闇黒世界
あんこくせかい
－シャドウ・ディストピア－/Lair of Darkness》 †
フィールド魔法
(1)：フィールドの表側表示モンスターは闇属性になる。
(2)：１ターンに１度、自分がカードの効果を発動するために自分フィールドのモンスターをリリースする場合、
自分フィールドのモンスター１体の代わりに相手フィールドの闇属性モンスター１体をリリースできる。
(3)：自分・相手のエンドフェイズに発動する。
このターンにこのカードが表側表示で存在する状態でリリースされたモンスターの数まで、
ターンプレイヤーのフィールドに「シャドウトークン」（悪魔族・闇・星３・攻／守１０００）を可能な限り守備表示で特殊召喚する。



八神「……ッ…！！」


火群「…社長の場のクリフォートが…闇に包まれて行く……！？」


マイン「………クク…ク…ッ！！
このカードが場にある限り、フィールドのモンスターは全て闇属性となる───」


『クリフォート・エイリアス』[地→闇]




八神【LP 4300】
(モンスター)
『クリフォート・エイリアス』[ATK 2800]
(魔法)
『クリフォート・ツール』[♦︎ 9]
『クリフォート・アセンブラ』[♦︎ 1]
『機殻の要塞』(フィールド)
(罠)
『機殻の再星』(永続)
伏せ:0
手札:2


マイン【LP 5200】
(魔法)
『暗黒世界ーシャドウ・ディストピアー』(フィールド)
伏せ:0
手札:6
墓地:ネヘモスx1 アドラメレクx1 アシュメダイx1 シャイターンx1 デカトロンx1




マイン「……ここにいる貴様らもやがて漆黒の闇に全てを奪われ………この世界は俺のモノとなる……ッ…！！
今こそ消え朽ちろ……ッッ！！」

激情のままに振り払われた右腕。
直後にマインの墓地から２体の悪魔が消滅し、フィールドに橙色の発光体が現れる。


マイン「……墓地の２体の悪魔を贄に、蘇れ…ッ！
第８のクリファ[ケムダー]───貪欲なる悪魔『インフェルノイド・アドラメレク』ッ！」[ATK 2800]


墓地→除外
『インフェルノイド・シャイターン』
『インフェルノイド・デカトロン』


火群「…攻撃力は社長のクリフォート・エイリアスと同じ───」


八神「───場にレベル５以上のモンスターが特殊召喚された事で、『機殻の再星』の効果が発動ー───アドラメレクの効果をエンドフェイズまで無効にする…！」

しかしマインは怯まない。

マイン「……無駄だ…ッ…！！ その発動に対して、アドラメレクの効果を発動！！」


(2)：１ターンに１度、自分フィールドのモンスター１体をリリースし、
相手の墓地のカード１枚を対象として発動できる。
そのカードを除外する。
この効果は相手ターンでも発動できる。



火群「…自分のモンスターをリリースして相手の墓地のカードを除外する効果……！？ なんでこのタイミングで───」

社長の墓地には墓地で発動する効果を持たない魔法罠しかない……！
一体どういうつもりなんだ……！？


マイン「───馬鹿が……ッ…！
この闇黒世界の支配者である俺は……、カードの効果を発動する為に場のモンスターを生贄とする際、相手の場の闇属性モンスターをその生贄とする事ができる…ッッ！！」


火群「…何…っ…！？」


八神「………ッッ…！」


地に開いた闇の狭間へと機殻は沈み、飲み込まれてしまう。


『クリフォート・エイリアス』場→EXデッキ

『隠されし機殻』墓地→除外


八神（……奴の墓地にはまだインフェルノイド１体を出すだけの“贄”がある───どうやらここまでのようだな───）


そしてその直後に、アドラメレクの効果は無効となり───


マイン「………ッッ───！！」


マインの口元から流れ落ちる、赤い液体。



マイン「───グォ”ァ”ヴァ”ッッ……！！！！」


火群「……ッッ……！？」


咳き込んだマインの目の前には赤黒い血液が広がり、一同は突然の出来事に困惑する。


メアリー「……Why…⁉︎ シルバさん、あれって……！？」

シルバ「…ッ……」


八神「───ッ（……未来が───変わった……ッ…？）」















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１８９ーーー
《第１０のクリファ》















マイン「……バトルだァァッッ！！！」


激しく吐血した直後にもかかわらず、間髪入れずにマインは歪んだ表情でバトルフェイズ移行を宣言する───


八神「…ッ……！」

アドラメレクによる橙の焔を纏った一撃が社長に直撃した。


八神「…ぐぁ……ッ…！」【LP 4300→1500】


火群「…社長……ッ！！」

マインは手札のヴァエルを召喚できる状態だったはずなのに……召喚しなかった…。
……悪魔を呼び出すのには、それだけ体力を消耗するってことなのか───？


マイン「…クク……ク……ッ……、命拾いしたなァ………カードを1枚伏せ、ターンエンドだ…ッ……」[手札 5]


胸元を強く握り抑えながら、マインはターンを返す。


マイン「…そしてこのエンドフェイズ時、シャドウ・ディストピアの効果により……ッ…、このターンに生贄となったモンスターの数まで、ターンプレイヤーのフィールドにシャドウトークンを生み出す───」


辺りを渦巻く邪念のようなものがモンスターとなって、１体、マインを守るようにしてフィールドに現れた。


『シャドウトークン』[DEF 1000]☆3



◉TURN:０５◉


八神「……ワタシのターン…ッ！」[手札 3]


カードを引き、そしてスタンバイフェイズ。


マイン「……やる事は一つだ。
───俺はこの瞬間、伏せカードオープン……ッ…！！
罠カード『煉獄の狂宴』ッッ！！！」



《煉獄
れんごく
の狂宴
きょうえん
/Void Feast》 †
通常罠
(1)：手札及び自分フィールドの表側表示の魔法・罠カードの中から、
「煉獄」魔法・罠カード１枚を墓地へ送って発動できる。
レベルの合計が８になるように、デッキから
「インフェルノイド」モンスターを３体まで選んで召喚条件を無視して特殊召喚する。



マイン「───俺は手札からもう一枚の『煉獄の狂宴』を捨て、効果発動……ッ…！
……デッキより現れろ……ッ………煉獄の悪魔共ッ！！」


焔は激しく燃え盛り、業火の中からは２体の悪魔が姿を現わす。


デッキ→メインゾーン
『インフェルノイド・デカトロン』[DEF 200]☆1
『インフェルノイド・ヴァエル』[ATK 2700]☆7



マイン「ヴァエルの効果は機殻の再星により無効となるが……、特殊召喚されたデカトロンのレベルは１……ッ！ よって機殻の再星の効果は受けず、効果を発動させて貰う…ッ！」


《インフェルノイド・デカトロン/Infernoid Decatron》 †
チューナー・効果モンスター
星１/炎属性/悪魔族/攻 500/守 200
(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「インフェルノイド・デカトロン」以外の
「インフェルノイド」モンスター１体を墓地へ送る。
このカードのレベルをそのモンスターのレベル分だけ上げ、
このカードはそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。



マイン「───俺はデッキから、『インフェルノイド・ネヘモス』を墓地へと埋葬する……ッ…」



デッキ→墓地
『インフェルノイド・ネヘモス』


『インフェルノイド・デカトロン』☆1→☆11



火群「……ネヘモス…ッ……！！ ニクスと同じ全体破壊効果を持つ……マインのエースモンスター…ッッ…！！」

メアリー「…そのモンスター効果……1ターンに1度、自分のモンスター1体をリリースする事で魔法罠の発動を無効にして除外する効果を得たって訳ネ……！ これは非常に厄介よ…！」

シルバ「……これでクリフォート・ツールによるサーチも牽制されたか……ッ……」


八神「……ッ…」

しかし社長は屈せず手を突き出すと、振り子は揺れ、光が弧を描く───


『クリフォート・ツール』[♦︎ 9]
・
・
・
『クリフォート・アセンブラ』[♦︎ 1]


八神「───ペンデュラム召喚……ッ！！」


社長の手札、そしてEXデッキから、計２体のモンスターが特殊召喚された。


手札→メインゾーン
『クリフォート・アーカイブ』[ATK 1800]☆4

EXデッキ→EXゾーン
『クリフォート・アーカイブ』[ATK 1800]☆4



マイン（───生贄が２体…ッ………双方共…生贄となった時に俺の場に干渉できる能力を持つ。上級インフェルノイドで生贄とするには多少のリスクを負わなきゃいけない）

八神「……」

マイン（しかしヤツにとっては、俺のネヘモスの力を受け継いだデカトロンが邪魔で仕方ないはずだ……こいつを処理する為に、まずはアドバンス召喚を狙って来る───）



火群「…マインが選択を迷っている……っ…？」

シルバ「……八神社長の残り2枚の手札を推測し、考えうる可能性全てを考えているのか───」


マイン（……来た場合にウゼェのが、『第２』か『第４』かーーーーーいずれにせよ、ここで先手を打つ必要がありそうだ………）


八神「───フッ…」


そこで何を思ったか、社長は僅かに笑みをこぼす。


マイン「……ッ………！？」


八神「…前半とは打って変わって、随分と保守的な思考になっているようだな。マイン」


マイン「……黙れ。
負け筋は徹底的に潰していく。それが俺のやり方だ。
……つまんねぇ死に方だけは、したくないからな───」

怒りの中に、信念が見える一言だった。
社長はそれを聞き、納得したような口調で答える。

八神「……よく知っている。
ワタシがそう教えたのだからなーーーー」


直後、周囲の影が不安定に捻じ曲がってゆく。


マイン「───黙れと言っている……ッッ何度も…言わせるな……ッ…、貴様の言葉は俺には届かない…ッ……！
アドラメレクの効果発動ッッ！！」


リリースコスト
『クリフォート・アーカイブ』メインゾーン→EXデッキ


火群「…効果が無効になっていてもコストは支払える…！」

メアリー「……しかもそのコストが相手の場から賄えるっていうんだから、タチが悪いわね───」


八神「───リリースされたアーカイブの効果…ッ！ 相手モンスター一体を手札に戻す…ッ。
自分の事を『インフェルノイド・ネヘモス』だと思い込んでいるガラクタには消えてもらう……ッ…！」


『インフェルノイド・ネヘモス（インフェルノイド・デカトロン）』メインゾーン→手札


マイン「……ッ…」[手札 5]


八神「……これで大分動きやすくなったな……ワタシは『クリフォート・ツール』のペンデュラム効果を発動…ッ！」【LP 1500→700】

八神「800ライフを払う事で、デッキから『機殻の生贄』を手札に加える───」[手札 3]


マイン「……ッ…（ここで機殻の生贄をサーチした───残り２枚の手札の内１枚は最上級クリフォート、そしてデッキタイプを考えるに最後の１枚は罠カードと見るのが自然か……ッ）」


八神「───装備魔法『機殻の生贄』をアーカイブに装備…！」


《機殻の生贄
サクリフォート
/Saqlifice》 †
装備魔法
「クリフォート」モンスターにのみ装備可能。
(1)：装備モンスターの攻撃力は３００アップし、戦闘では破壊されない。
(2)：「クリフォート」モンスターをアドバンス召喚する場合、
装備モンスターは２体分のリリースにできる。
(3)：このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「クリフォート」モンスター１体を手札に加える。


『クリフォート・アーカイブ』[ATK 1800→2100]


八神「『機殻の生贄』を装備したモンスターは、１体で２体分の生贄とする事ができる───クリフォート・アーカイブをリリースし……ッ…アドバンス召喚ッッ！！」


アーカイブの“核石”が砕け、上空から新たに現れた“核石”が青色に光り輝く。


八神「現れよ……ッ第４のクリファ[アディシェス]───『クリフォート・ディスク』ッッ！！」[ATK 2800]


《クリフォート・ディスク/Qliphort Disk》 †
ペンデュラム・効果モンスター
星７/地属性/機械族/攻2800/守1000
【Ｐスケール：青１/赤１】
(1)：自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。
この効果は無効化されない。
(2)：自分フィールドの「クリフォート」モンスターの攻撃力は３００アップする。
【モンスター効果】
(1)：このカードはリリースなしで召喚できる。
(2)：特殊召喚またはリリースなしで召喚した
このカードのレベルは４になり、元々の攻撃力は１８００になる。
(3)：通常召喚したこのカードは、このカードのレベルよりも
元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果を受けない。
(4)：「クリフォート」モンスターをリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「クリフォート」モンスター２体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。



チェーン③『クリフォート・ディスク』

チェーン②『クリフォート・アーカイブ』

チェーン①『機殻の生贄』


八神「……クリフォートをリリースしてアドバンス召喚した『クリフォート・ディスク』の効果……ッ…！
デッキから２体のクリフォートを特殊召喚する───」

ディスクの両脇に、赤と黒の“核石”が現れる。

八神「…現れよ…、第３のクリファ[シェリダー]───『クリフォート・シェル』！！
第５のクリファ[アクゼリュス]───『クリフォート・アクセス』！！」


デッキ→メインゾーン
『クリフォート・アクセス』[ATK 1800]☆4
『クリフォート・シェル』[ATK 1800]☆4


八神「…続けて、リリースされたアーカイブの効果により、お前の場の『インフェルノイド・アドラメレク』を手札に戻す───もっとも、そいつは機殻の再星の効果を受けたモンスターだ。手札には戻らずゲームから除外される───」


『インフェルノイド・アドラメレク』メインゾーン→除外


八神「……更に、フィールドから墓地へ送られた『機殻の生贄』の効果…ッ…ワタシはデッキから───第１０のクリファ……『アポクリフォート・キラー』のカードを手札に加える───」[手札 2]


マイン「……ッ…！」


社長が手札に加えたカードから、虹色の輝きが放たれた。


火群「……っ…！！」

メアリー「…きゃぁ…っっ！！」


シルバ「───っっ…！！」



八神「……バトルだ…！！
クリフォート・ディスクでインフェルノイド・ヴァエルを攻撃───」



『クリフォート・ディスク』
[ATK 2800]
ーーーVSーーー
[ATK 2700]
『インフェルノイド・ヴァエル』


ディスクの一撃がヴァエルを撃ち貫き、僅かながらもマインにダメージが入る。

マイン「……っ………」【LP 5200→5100】


八神「続けてクリフォート・シェルでシャドウトークンを攻撃…！」


『クリフォート・シェル』
[ATK 1800]
ーーーVSーーー
[DEF 1000]
『シャドウトークン』


シェルによりシャドウトークンも破壊され、マインの場がガラ空きとなる。


八神「……我が一撃を受け取れ───マイン…！！
クリフォート・アクセスでダイレクトアタック……ッ！！」


『クリフォート・アクセス』[ATK 1800]


赤き光を放つ光線がマインの腹部を貫く───


マイン「───ガフ…ァヴォァッッ…ッ！！！」【LP 5100→3300】


直後、バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2へと移行された。
そしてその瞬間に先程の虹色の光がより一層強まり、強力な輝きを放つ───



八神「…フィールド魔法『機殻の要塞』が存在する限り、ワタシは通常召喚に加えて1度だけ『クリフォート』モンスターの召喚が可能───」


場のクリフォート３体の“核石”が天へと吸い込まれ、新たに虹色の“核石”が天より姿を現わした。


リリース
『クリフォート・ディスク』
『クリフォート・アクセス』
『クリフォート・シェル』


八神「───今こそ現れよ……ッ…」




マイン「……ッッ！」


火群「……３体のリリースを必要とするモンスター……ッ…！」


地鳴りと共に、社長が足場にしていた『機殻の要塞』が、今動き出す───




八神「───アドバンス召喚……ッ！！
“第１０のクリファ”[キムラヌート]ー───『アポクリフォート・キラー』ッッ！！！」




『アポクリフォート・キラー』[ATK 3000]



起動した要塞は、まるで何者をも寄せ付けない威圧感と存在感を放ち、目の前の悪魔に銃口を向ける。


マイン「───クク…クククク…ッ…！」


それでも、悪魔は嗤う。

銃口を前に脳裏によぎるのは過去の憧憬か、それとも未来の情景か。

それは悪魔のみぞ知る───





To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１９０ 悪魔が産まれた日






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙