DRAW:４１ 戦火の残光　作：人喰い

◉TURN:０３◉


火群【LP 4000】
場:ガルドニクス[攻 2700]
魔法:炎王の孤島(フィールド)
伏せ:なし
手札:3枚


戒【LP 4500】
場:エターナルブレイド[攻 2200]◉⑴
@天命の聖剣＊効果使用済
伏せ:なし
手札:3枚




火群「ーーーガルドニクスでエターナルブレイドに攻撃！〝バーニング・イレイザー〟！！」



ガルドニクス
[攻 2700]
ーーーVSーーー
[攻 2200]
エターナルブレイド




火群「いっけえええぇえええっ！」



ニクスの身体が真紅に染まり、炎に包まれる。
炎を纏ったニクスの突進を止めるものは無く、雷鳥を貫いた。













遊戯王 Ph.X DRAW:４１
《戦火の残光》













戒「……くっ…！！ 雷鳥……！」【LP 4500→4000】



明日人「やった！ 火群が戒から先手を取ったぞ！」


園長「…だがそれでもライフは互角。うまい感じにいなされた感じがするな…」


明日人（…そういえば、さっきから橋本さんの姿が見えない…。一体どこに行ったんだ…？）




火群「…俺はカードを1枚伏せてターンエンド！」




火群【LP 4000】
場:ガルドニクス[攻 2700]
魔法:炎王の孤島(フィールド)
伏せ:1枚


戒【LP 4000】
場:なし
伏せ:なし
手札:3枚


◉TURN:０４◉



戒「…俺の…ターーン！！ ドロー！」【手札:4枚】


火群「このスタンバイフェイズ時、効果で破壊されたバロンの効果で、デッキから『炎王炎環』を手札に加える！」


戒（…奴は次のターンの返しも万全か…！ ならば無理をしてでも、このターンのうちに勝負を決めに行くしかない！）


戒「ーーこれで終わらせる…ッ！ 魔法発動！『聖騎士伝説の終幕』！」


《聖騎士伝説の終幕》【通常魔法 】
「聖騎士伝説の終幕」は１ターンに１枚しか発動できない。 (1)：相手フィールドにモンスターが存在し、 自分フィールドにモンスターが存在しない場合、 自分の墓地の、「聖騎士」モンスター１体と そのモンスターが装備可能な「聖剣」装備魔法カード１枚を対象として発動できる。 そのモンスターを特殊召喚し、その装備魔法カードを正しい対象となるそのモンスターに装備する。



ニクス『……奴はラストカードを切ってきた！ このターンで終わらせるつもりだぞ！』


火群「…何…！？ まだ俺のライフは4000…！ 1ターンキルを狙うつもりか…！？」


戒「この効果により、墓地のモルドレッドを特殊召喚！ そして墓地に眠る聖剣アロンダイトを装備！」


モルドレッド[攻 1700]☆4


戒「そして聖剣アロンダイトの効果！ 1ターンに1度、装備モンスターの攻撃力を500下げることで、セットされたカード1枚を破壊する！」


火群「…くっ…！ チェーン発動だ！ 罠カード、『強制脱出装置』！ 場のモンスター1体を手札に戻す！ モルドレッドを手札に！」


戒「…だがまだ通常召喚権が残っている！ モルドレッドを再び召喚！」


モルドレッド[攻 1700]☆4


戒「更にこのカードは、場に光属性の通常モンスターが存在する場合、手札から守備表示で特殊召喚できる！ 俺は手札の2体の『聖騎士 ガウェイン』を特殊召喚！」


ガウェイン[守 500]☆4



火群「レベル4のモンスターが…3体…！！」



戒「…見せてやる……！ 雷鳥だけが俺のエースではない……！！
俺は2体の聖騎士ガウェインでオーバーレイ！！」



火群「……くっ…！！」



戒「ーーー掲げよ聖剣！ 円卓の主よ！ 迷える騎士達に希望を示せ！！ エクシーズ召喚！『聖騎士王 アルトリウス』！！」



アルトリウス『…こぉぉおお………はぁあああぁあああッ！！』[攻 2000]



戒「アルトリウスがエクシーズ召喚に成功した時、墓地の聖剣を3種類まで選択し、自身に装備することができる！ 俺は墓地の『聖剣 アロンダイト』、『聖剣 カリバーン』、『天命の聖剣』をアルトリウスに装備！！」


戒の墓地に眠る3本の聖剣が1つに収束し、1本の剣となり、騎士王はそれを硬く握りしめる。


アルトリウス[攻 2000→2500]


そして突然。


戒「更にアルトリウスのモンスター効果、発動！ エクシーズ素材を1つ取り除くことで、場の聖剣の数まで、フィールドの魔法・罠カードを破壊する！」


戒がアルトリウスの効果の発動を宣言した時だった。










？？「ーーーそのデュエル、ちょっと待ってもらえませんか」










現れたのは、1人の御老体と……



明日人「…橋本さん…！？」


姿を消していた橋本の姿だった。



火群「…植物園の、橋本さんか…！？ その方は……？」



戒「あ、貴方は……！」



橋本「そっちの“断罪の剣”くんはご存知のようだね。
こちらの方は、今年よりWDCSの主催をしている、『YAGAMI』の『綾小路 忠雄(あやのこうじ ただお)』理事長だ」




火群「理事長ォ！？」


明日人「でもなんで、橋本さんが理事長と…？」


園長「…そうだ。ちょっと唐突すぎないかい…？」



橋本「…ごめんね明日人くん、園長。黙っているつもりはなかったんだけど…。実は僕、植物園の方は副職で、本職は『YAGAMI』の社員なんだ。」



戒「…それより、デュエルを待てとは、一体……？」



理事長「君達のような素晴らしき、未来あるデュエリストのデュエルが、こんなところで決着していいはずがないのですよ。もっと、相応しい舞台で決着を付けるべきだと思いましてね。止めさせていただきました」


火群「…相応しい、舞台…？」


戒「………なるほど、WDCSか」



理事長「ホッホッホ！ その通りです！」




戒「…だが、俺はこのデュエルを止めるつもりは無い。俺はこいつに勝利し、もっと上に行かねばならない。その上で俺はWDCSに臨むつもりだ」


火群「………」


ニクス『…火群…？』



理事長「…うむ。ですが、ここでの事が世間に知れ渡ってしまっては大変です。植物園の一角を焼け野原にしたのが君たちの仕業ではなくても」


理事長は辺りを見渡しながら、平然と言う。


理事長「では、こういうのは如何でしょうか？
このデュエルをやめていただく代わりに、ここでの出来事は全て我々『YAGAMI』が処理しましょう」



火群「…そんなことができるんですか…？」


理事長「ホッホッホ！ 容易い御用です。それよりも私にとっては、未来あるデュエリストがこんなところで潰れてしまう方が何より惜しいのです」


火群（…どういう…ことだ…！？）


理事長「もうじき、各カードショップにて、WDCS出場を賭けた権利戦が開催されます。あなた方には、是非参加して頂きたい」



戒「…チッ…！ 仕方あるまい。今日のところは理事長に免じて、デュエルは中止する。
だが、貴方達は人殺しを野に放つことになるんですよ…？ その事をご理解ください」


モンスターの立体映像が消え、デュエルモードが解除される。


火群「……戒…っ」



理事長「…ホッホッホ！ 斬波の息子くん、君には人なんて殺せないよ」



戒「………」



理事長「そこに転がっている2人も、君は殺せなかった」



火群「…えっ…！！？」


戒「…貴方の前で隠し事はできない、か。
…そこに転がっている2人は人形だ」


火群
「…えええぇえええっ！！？」
明日人


戒「奴らは誰より早く俺の気配を察知し、俺が剣を振るう直前に、本物そっくりな人形に入れ替わっていたんだ。舐められたものだな」


火群と明日人は、倒れている『終焉の焔』の裏部隊ーーーイッカクとニカクらしきものに駆け寄り、それを調べる。


明日人「…ほ、本当だ。人形だ……！ ご丁寧に血糊まで…」

火群「…良かった…っ」


戒「…良かった、だと？ あの2人が生きていることがか？」


火群「…いや、それもあるけど、一番は…戒、お前が人殺しなんかじゃ無かったって事。それが嬉しい」


戒「…とことん甘いな。市瀬 火群」


明日人「…あれ、でもそれじゃあ、さっきのデュエルには一体どんな意味が……」



戒「…俺にはまだやる事がある。先に行くぞ」


火群「…戒っ！ またーーーデュエルしような…！」


戒「…今度は前回の『運命の分かれ道』のような……ふざけたデュエルは絶対に許さない」


火群「…ははは。わかってる」



戒「ーーー俺たちのデュエルに分かれ道など無い。あるのは、果てまで続く一本の道だけだ」



火群「…戒……」



戒「…あと一つ、いいか？」


火群「………？」





戒「ーーーお前は、お前自身の大切なものを絶対に守り通せ。以上だ」





戒はそう言い残すと、一度も振り向くこと無く、植物園を後にした。
去っていく戒の背中は寂しげで、でも、どこか満足している、そんな感じだった。





理事長「…ホッホッホ！ 斬波の息子くんは、火群くん、本気の君とデュエルをするために、わざわざ一芝居打ったのかもしれませんねぇ。あそこに倒れている方々が人形でかわすのを見越して」


明日人「…ははは。まさか、ね」



園長「…でもますます、今のデュエルは無駄だったことにならないかい…？」



橋本「…いや、案外そんなことはないんじゃないですか？ 園長」



明日人「…火群……」



火群「………」



ーーー〜〜〜ーーー



戒「ーーー更にアルトリウスのモンスター効果、発動！ エクシーズ素材を1つ取り除くことで、場の聖剣の数まで、フィールドの魔法・罠カードを破壊する！」



ーーー〜〜〜ーーー




火群（…もしあの時、デュエルが続いていて、アルトリウスの効果で炎王の孤島が破壊されていたら、炎王の孤島の効果で俺のモンスターは全て破壊され、場はガラ空きに…）

火群（そこにアルトリウスと、モルドレッドの攻撃が通れば、俺の負けだった）

火群（ーーーいや、あのデュエルは完全に、俺の完敗だ…）


火群は悔しさのあまり拳を固く握り締める。
ニクスと出会ってからのーーー初めての敗北。
それは火群にとって、とても辛く、厳しいものだった。



ニクス『………火群……』








＊







ーーー帰り道。時刻はAM:11:20
学校をサボってしまった火群と明日人は、今更学校に戻る気分になれず、黒髭川の土手を歩いていた。

火群（…未だ謎に包まれた理事長は、植物園の復興を支援してくれるみたいで、1週間は休館するみたいだけど、あまり大事にならずに済んだのは良かったのかな…？）


明日人「…そうだ。火群」


火群「…？ なんだいクラース」


明日人「前にさ、俺が剛田とデュエルしてたの見て、お前、『いつからやってた？』って聞いたじゃん？」


火群「…ああ、あの時ははぐらかされちゃったけどな」


明日人「…実はさ、俺、お前がデュエル始めたのと同じ頃ーーー小学校の頃から、デュエルしてたんだ」


火群「…！」


明日人「…でも俺、てんで弱くってさ。火群とやるには、もっと強くなってからにして、火群をびっくりさせてやろうって思ってたんだ」


火群「…そうだったのか」


明日人「そんで腕試ししようって事で剛田とデュエルしてるとこ、火群に見られちまうんだもんなぁ」


火群「…ははは。あの時はビックリしたな。思えば、あの時俺にデュエルの熱を再び燃え上がらせてくれたのは、剛田とクラースだったよな…！」


明日人「そういえば、あんな感じだったけど、初めて火群とデュエルした時、お前の姉貴の邪魔が入ったお陰でデュエル中断しちゃったのは悔しかったな」


火群「…はは…は…、ああ、あれね。ホント悪かった」


ニクス『…私は悪くないぞ。お前が変なとこに血液を集中させているから私の実体化が暴発して……』


火群（ニクスちょっと黙ってて）


明日人「…でもまぁ、今日のタッグデュエルは、なかなか連携が取れてて、楽しかったなぁ…」


火群「俺も！ 特に砂塵の大竜巻でセットを介して渡した炎王炎環をクラースがうまく使ってくれたのは嬉しかったな！」


明日人「…今日のデュエルで、決心がついた。俺も、WDCSに出てみようと思う。自分がどれだけやれるか試してみたい」


火群「ホントか！？ それじゃあ次の権利戦も2人で取ろう、お互い頑張ろうぜ」



明日人「ああ！」








青き空。白き雲が絶え間なく上空を流れるこの黒川にて、2人の若き決闘者は誓う。



ーーーやがて時は少し流れ、夏。
ーーー決戦の火蓋は、切って落とされる。









ーーー-ーーー-ーーー-ーーー-ーーーTo Be Continued…






〜おまけ〜



. . 人人人.人人人.人人人.人人人.
＜教えて！ スッキーせんせー！＞
. . Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y



◉このコーナーは、読者のみんな(少数)から寄せられた質問(多分無い)に、『美 好先生(以下スッキー先生)』が一刀両断！ 快刀乱麻の回答をしていくコーナーだ！
質問が無い場合は自問自答をしていく痛々しいコーナーになるから気をつけな！(ドン☆)
＊質問をいただいた時点で、本SSに載せる事を承諾したものと見做します。あらかじめご了承ください。
匿名希望の場合は言ってくださいね！



質問待ってるぜ！！(切実)









《次回予告》


月日は流れ、7月ーーー。
黒髭町唯一のカードショップ『カナリア』にて、WDCS出場権利を賭けた権利戦に参加する火群だったが、緊張のせいで本調子が出ず……！？





次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:４２ 開幕、夏の権利戦！





ーーーデュエルディスク・セット・イン！