DRAW:１４４ 竜霊山での出会い　作：人喰い

(144)



【SIDE 竜貴】



〜竜霊山〜



竜貴「ーーーかれこれ3時間は登ってるが……、頂上はまだ先っぽいな…！」

稽古の前から訓練はもう始まってるってことか…！


竜貴「…はぁ……っ…！ はぁ…！」


更に1時間ほど登った頃だった。

竜貴「……っ？」

目を凝らしてよく見てみると、人が倒れている。

竜貴「…！！」

俺は慌てて駆け寄り、声をかける。

竜貴「…っおい！ お前大丈夫か！？」


？？「………」

返事は帰ってこない。

竜貴「…生きてる……よな…？」

？？「………」

中性的な顔立ちの青年だ。
身長は俺よりやや小柄。
前髪を真ん中でわけた綺麗な青髪ポニーテールに、薄手の袴姿。
胸が無いから男なのだろうが、思わず女と見間違えてしまってもおかしくないーーー綺麗な人だった。


？？「………」

竜貴「…おいーーー」

あまりにも反応が無いので、身体に触れようとしたその時ーーー



？？「ーーーッ！！」



青年は一瞬にして目を覚まし跳ね起きる。

竜貴「！」

そして二歩、三歩と距離を取り、背負った棒状の何かを右手で握りこちらを見据える。

否、それは刀の柄だった。

竜貴「刀ぁぁ！？」

思わず叫んでしまったが、もう遅かった。


？？「ーーー御免」


その一言と共に、鞘から刀身が抜かれ、銀色の刀身が姿を現し始めた。


しかしその瞬間。



ｸﾞ~ ~ ~


と、気の抜けるような腹の虫が鳴った。
それも俺の腹からでは無く、その青年の腹から。


？？「………」

竜貴「………」


しばし無言で見つめあった後、


竜貴「…コンビニのおにぎりなら、あるけど？」


だいぶ引きつった顔でそう言った。















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１４４ーーー
《竜霊山での出会い》















？？「ーーーいやぁーっ、かたじけない！
一昨日から何も食べていなかったもので…」

わずか数十秒でおにぎり5個を平らげてしまった青年は満面の笑みで言う。

竜貴「…そいつは良かった」

お陰で俺の今日の晩飯が消えてしまったが……まあいいか。人助けは悪い気がしない。

？？「…おっと、失敬。自己紹介がまだでした」


小次郎「僕は『時枝 小次郎(ときえだ こじろう)』、歳は１６。職業はーーー侍だ」


竜貴「は？」

小次郎「え？ いやだから、時えd…」

竜貴「そこじゃなく！
……侍？」

小次郎「ああ、侍だ」

コジローはニッと笑い、背後の刀の柄を握ると力強く言った。

竜貴「…そんないい笑顔で言うなよ…」

本当に居たんだな……侍って。
ってか、１６って事は同い年か。

竜貴「…俺は『東雲 竜貴(しののめ りゅうき)』、歳は君と同じ１６歳だ。
今日は修行のためにここに来た」


小次郎「…修行…？」

竜貴「ああ、“青龍抜闘術”っていう格闘術の奥義を体得する為に、俺はこの山の頂上まで行かなきゃいけねーんだ」

小次郎「！！
なるほど……君が…！」

竜貴「…？」

小次郎「…実は、僕はこの山の頂上にいる人の元で剣術の修行をしています。
今日君が来るって事も“先生”から聞いている」

竜貴「！！ マジか！」

小次郎「…ここで会えたのも何かの縁。頂上まで案内します。
ーーーただし」

竜貴「…ただし？」


小次郎「ーーーこの山を登りながら、僕と決闘をしてもらいます」


竜貴「……決闘…！？ 俺がコジローと！？」

小次郎「…竜貴殿が先生の元で修行をするに相応しい力を持っているのかどうか、確かめさせてもらおうと思って」

竜貴「……いいぜ、そういうことなら受けて立つ…！」

俺は鞄の中から決闘盤を取り出し、左手に装着する。

小次郎「……竜貴殿、感謝します」

コジローは一言そういうと、あろうことか背負った刀の柄に手をかける。

竜貴「！？ 決闘って、リアルファイトか！？」


小次郎「ーーーはぁぁ！！」

掛け声と共に抜刀される。

竜貴「！！」

しかしそれは人を斬る為の刀ではなく、抜刀した瞬間に変形し決闘盤となった。

竜貴「！？」

侍がバリバリ科学に頼るのかよ！！

小次郎「ーーーさぁ、始めよう。１対１の真剣勝負を」





＊＊＊





岩肌に覆われた山道を駆けながら始まった決闘ーーー先攻は小次郎。


小次郎【LP 8000】

竜貴【LP 8000】


◉TURN０１◉


小次郎「ーーー僕の先攻…！」【手札 5】


小次郎「……僕は、手札から永続魔法『六武の門』を発動！！」


《六武
ろくぶ
の門
もん
/Gateway of the Six》 †
永続魔法
(1)：「六武衆」モンスターが召喚・特殊召喚される度に
このカードに武士道カウンターを２つ置く。
(2)：自分フィールドの武士道カウンターを以下の数だけ取り除き、その効果を発動できる。
●２つ：フィールドの「六武衆」効果モンスターまたは「紫炎」効果モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで５００アップする。
●４つ：自分のデッキ・墓地から「六武衆」モンスター１体を選んで手札に加える。
●６つ：自分の墓地の「紫炎」効果モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。


小次郎「…更に、このカードもだ！ 永続魔法『六武衆の結束』を発動！」


《六武衆
ろくぶしゅう
の結束
けっそく
/Six Samurai United》 †
永続魔法
(1)：「六武衆」モンスターが召喚・特殊召喚される度に
このカードに武士道カウンターを１つ置く（最大２つまで）。
(2)：武士道カウンターが置かれているこのカードを墓地へ送って発動できる。
このカードに置かれていた武士道カウンターの数だけ、自分はデッキからドローする。


竜貴「…六武衆…っ！ サムライさんにはおあつらえ向きのデッキだな…！」


小次郎「……続いて、魔法カード『紫炎の狼煙』を発動ーーー」


《紫炎
シエン
の狼煙
のろし
/Shiens Smoke Signal》 †
通常魔法
(1)：デッキからレベル３以下の「六武衆」モンスター１体を手札に加える。


小次郎「この効果でデッキから『真六武衆ーカゲキ』を手札に加える。
そして手札に加えたカゲキ殿を召喚！！」[ATK 200]


《真六武衆
しんろくぶしゅう
－カゲキ/Legendary Six Samurai - Kageki》 †
効果モンスター
星３/風属性/戦士族/攻 200/守2000
このカードが召喚に成功した時、手札からレベル４以下の
「六武衆」と名のついたモンスター１体を特殊召喚する事ができる。
自分フィールド上に「真六武衆－カゲキ」以外の
「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で存在する限り、
このカードの攻撃力は１５００ポイントアップする。


小次郎「六武衆が召喚された事で、六武の門と六武衆の結束にそれぞれカウンターが置かれるーーー」

『六武の門』◉0→2
『六武衆の結束』◉0→1

小次郎「召喚成功時、カゲキ殿のモンスター効果発動！ 手札より出でよ…『六武衆ーイロウ』！！」[ATK 1700]


《六武衆
ろくぶしゅう
－イロウ/The Six Samurai - Irou》 †
効果モンスター
星４/闇属性/戦士族/攻1700/守1200
自分フィールド上に「六武衆－イロウ」以外の
「六武衆」と名のついたモンスターが存在し、
このカードが裏側守備表示のモンスターを攻撃した場合、
ダメージ計算を行わず裏側守備表示のままそのモンスターを破壊する。
また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、
代わりにこのカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する
「六武衆」と名のついたモンスター１体を破壊できる。


竜貴「…これで永続魔法にも更にカウンターが……！」

『六武の門』◉2→4
『六武衆の結束』◉1→2

小次郎「ーーー更にここで、『六武の門』の効果を発動させてもらおう。
『六武の門』から２つ、そして『六武衆の結束』から２つの武士道カウンターを取り除き、デッキから『真六武衆ーキザン』を手札に加える！！」【手札 2】

『六武の門』◉4→2
『六武衆の結束』◉2→0


小次郎「そしてキザン殿は、場に同名以外の六武衆が存在する時、手札から特殊召喚できる！！ 出でよ、『真六武衆ーキザン』！！」[ATK 1800]


《真六武衆
しんろくぶしゅう
－キザン/Legendary Six Samurai - Kizan》 †
効果モンスター
星４/地属性/戦士族/攻1800/守 500
(1)：自分フィールドに「真六武衆－キザン」以外の「六武衆」モンスターが存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)：自分フィールドにこのカード以外の「六武衆」モンスターが２体以上存在する場合、
このカードの攻撃力・守備力は３００アップする。


竜貴「…！！ 特殊召喚……って事は…！ また武士道カウンターが…ッ！」

『六武の門』◉2→4
『六武衆の結束』◉0→1

小次郎「場に他の六武衆が２体以上存在する事で、キザン殿の攻守は３００ポイントアップ！」

『真六武衆ーキザン』[ATK 1800→2100]

小次郎「ーーーまだまだ行きます…！ 『六武の門』の効果を再び発動！ 自身の武士道カウンターを４つ取り除き、デッキから『六武衆の師範』を手札に！」【手札 2】

『六武の門』◉4→0

小次郎「今手札に加えた師範も、キザンと同様の条件で特殊召喚できる…！ 出でよ、『六武衆の師範』！」[ATK 2100]


《六武衆
ろくぶしゅう
の師範
しはん
/Grandmaster of the Six Samurai》 †
効果モンスター
星５/地属性/戦士族/攻2100/守 800
(1)：「六武衆の師範」は自分フィールドに１体しか表側表示で存在できない。
(2)：自分フィールドに「六武衆」モンスターが存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(3)：このカードが相手の効果で破壊された場合、
自分の墓地の「六武衆」モンスター１体を対象として発動する。
そのモンスターを手札に加える。


竜貴「何体出てくんだよおい！？
しかもこれでまたまた武士道カウンターが！」

『六武の門』◉0→2
『六武衆の結束』1→2

小次郎「ーーーカウンターの２つ乗った『六武衆の結束』を墓地へ送り、２枚ドロー！！」【手札 ３】

小次郎「…！」

竜貴「…おまけにドローまで…！」

しかもあの様子…！ 何か引いたな……っ…？


小次郎「……更に！！ このカードは、場の六武衆が２体以上存在する場合に、手札から特殊召喚できるーーー」

竜貴「…来るか……っ…！？」


小次郎「ーーー大いなる野望を胸に、紫紺の炎を覚悟と燃やせっっ！！
今こそ出陣せよーーー『大将軍 紫炎』！！」[ATK 2500]


《大将軍
だいしょうぐん
紫炎
シエン
/Great Shogun Shien》 †
効果モンスター
星７/炎属性/戦士族/攻2500/守2400
自分フィールド上に「六武衆」と名のついたモンスターが
２体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
相手は１ターンに１度しか魔法・罠カードを発動できない。
また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、
代わりに自分フィールド上に表側表示で存在する
「六武衆」と名のついたモンスター１体を破壊できる。


竜貴「……ッッ！！」


召喚された将軍は、今まで感じたことのないようなプレッシャーを放ち、存在している。
それは、数メートル離れた場所にただ存在しているだけでも、肌がビリビリと震えるくらいの、威圧感とーーー高揚感。


竜貴「……やっぱ決闘はこうでなくっちゃなァ……！！」








To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１４５ 実力伯仲






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙