DRAW:５２ 二枚の羽　作：人喰い

『私ね、誰も傷ついてほしくない。
優しくーーーなりたい』















遊戯王 Ph.X DRAW:５２
《二枚の羽》















火群「ーーー行くぞ！ 俺の先攻！」



◉TURN:０１◉



火群「俺は『炎王獣 バロン』を召喚！！」[ATK 1800]


火群「カードを1枚伏せて、ターンエンド！」




火群【LP 8000】
場:バロン[ATK 1800]
伏せ:1枚
手札:3枚



◉TURN:０２◉



結維「………私の、ターン、ドロー！」[手札:6枚]


結維「…私は、フィールド魔法『天空の聖域』を発動します」



火群「…天空の聖域…！ （和泉と同じで天使のデッキを使うのか…！）




結維「そして『神秘の代行者 アース』を召喚…！」


チューナー（効果モンスター）
星２/光属性/天使族/攻1000/守 800
このカードが召喚に成功した時、
自分のデッキから「神秘の代行者アース」以外の「代行者」と名のついたモンスター１体を手札に加える事ができる。
フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、
代わりに「マスター・ヒュペリオン」１体を手札に加える事ができる。



結維「アースの効果で、デッキから『マスター・ヒュペリオン』を手札に」


結維「…このカードは、天空の聖域がある時手札から特殊召喚できます…『死の代行者 ウラヌスを攻撃表示で特殊召喚！」



チューナー・効果モンスター
星５/闇属性/天使族/攻2200/守1200
(1)：フィールドに「天空の聖域」が存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)：１ターンに１度、自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「代行者」モンスター１体を墓地へ送る。
このカードのレベルは、この効果で墓地へ送ったモンスターのレベルと同じになる。



結維「更にウラヌスの効果で、デッキから神秘の代行者アースを墓地に送り、エンドフェイズまでウラヌスのレベルを2に変更」

ウラヌス[☆5→☆2]

火群「…レベルを変動…！？」




結維「…2体のモンスターでオーバーレイ！！」



火群「…ッ！！」


戒「…何……？」



結維「ーーー疾風纏いし炎鳥よ………！ 嵐の如き猛攻で敵を討てっ！
ランク２、『ダイガスタ・フェニクス』！！」[ATK 1500]



エクシーズ・効果モンスター
ランク２/風属性/炎族/攻1500/守1100
レベル２モンスター×２
１ターンに１度、このカードのエクシーズ素材を１つ取り除き、
自分フィールド上の風属性モンスター１体を選択して発動できる。
このターン、選択したモンスターは
１度のバトルフェイズ中に２回攻撃する事ができる。



火群「…結維、君もエクシーズ召喚を……！？」



戒「…なるほどな（…どうりで、俺に捜索依頼が来たわけだ）」



結維「ダイガスタ・フェニクスのモンスター効果、エクシーズ素材のアースを墓地に送り、ダイガスタ・フェニクスを選択。このターン、選択した風属性モンスターは2回攻撃することができる…！」


火群「なに…っ！ だがそれでもバロンの方が攻撃力は上…！」


結維「…まだ終わりじゃない、見せてあげるわ。〝右腕の意思〟、その力、その強さを…っ！！」



火群「……っ！？」



結維「このカードは、墓地の『代行者』1体をゲームから除外して手札から特殊召喚できる…！ 墓地の神秘の代行者アースを除外しーーーその燃え盛る翼を以って、地へと舞い降り“強さ”を示せっ！
恒星を司る太陽の神！『マスター・ヒュペリオン』！！」［ATK 2700］




結維「……バトルフェイズ、マスター・ヒュペリオンでバロンを攻撃…！〝サンバースト・ディザスター〟！！」



マスター・ヒュペリオン
[ATK 2700]
ーーーVSーーー
[ATK 1800]
炎王獣 バロン



火群「…っ！ 伏せカードオープン！『ジェネレーション・チェンジ！』」


通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター１体を選択して破壊する。
その後、デッキから破壊したカードと同名のカード１枚を手札に加える。



火群「俺はこの効果で、俺の場のバロンを破壊し、更にデッキからもう一枚のバロンを手札に加える！」【手札 4枚】


火群「更にこのカードは、場の『炎王』が破壊された場合、手札から特殊召喚できる！ 現われろ！『炎王獣 ヤクシャ』！」[DEF 200]



結維「……ヒュペリオンの攻撃は続行、ヤクシャを攻撃します！〝サンバースト・ディザスター〟！！」






マスター・ヒュペリオン
[攻 1500]
ーーーVSーーー
[守 200]
炎王獣 ヤクシャ




ヒュペリオンが右手を天にかざすと、その手に周囲から光が集まり紅く燃える球体を生み出した。



結維「……ッ！」


見てみると、結維もヒュペリオンと同じように右腕を突き上げている。
結維がその手を勢いよく振り下ろすと、その動きに連動しているようにヒュペリオンも右腕を振り下ろし、投げ出された直径おおよそ50センチの紅蓮の球体はヤクシャに直撃し、弾けた。






火群「くっぅ…！ なんて爆発だ…ッ！ だが！」



結維「……っ？」



火群「ヤクシャが破壊された事により、俺の手札のモンスター1体を破壊する事ができる。
俺が破壊するのはーーー『炎王神獣 ガルドニクス』！！」




結維「ーーーっ！！ 不死鳥……っ！」




火群「……？ (さっきまでまるで変化のなかった表情を変えた…！？)」



結維「絶対に……壊す！ ダイガスタ・フェニクスでプレイヤーに直接攻撃！〝熱風衝連旋〟！！」




ダイガスタ・フェニクス
［ATK 1500］


火群【LP 8000】




熱風を纏ったダイガスタ・フェニクスが俺に向かい猛スピードで突進してくる。




火群「……ッ！ ぐぁァアッ！」【LP 8000→6500】




火群（……待てよ…ッ！ この痛み…！ あの時と同じーーー）




戒「………（市瀬の様子がおかしい…、まさかこのデュエルはーーー）




結維「ーーー闇のゲーム、です」





直後、俺の背後から一閃ーーー俺は一瞬、何が起こったのかわからなかったが、すぐに理解する。
ダイガスタ・フェニクスの二度目の攻撃だ。




火群「ぐぁぁああっっ！！」【LP 6500→5000】




ニクス「……ほ…むら…ッ！」



戒（………）



火群「…はぁ…っ！ はぁ……ッ！！」






結維「……貴方もわかって。……この痛みを」





結維は言う。和泉と同じ顔で、和泉と同じ声で、俺の心臓をえぐる様な言葉を投げかける。



火群（……そういや、前にもこんなことあったな）




俺は崩れそうになる足を無理やり踏ん張らせ、あの時のーーーダーク・フェアリー・チア・ガールとのデュエルを思い出す。


リン♪ リン♪ リーン♫



和泉の姿、声で不気味に笑う《狂気な凶器》。
記憶とともに蘇るのは、混じり気のないーーー恐怖感。


火群「…あの時はニクスに助けられちまったな…」




ニクス「………っ…？」



震える身体を強引に押さえつけ、俺は言った。



火群「今度は俺が助ける番だ！」




結維「……意味が……わからない…！」



火群「…もちろん結維さん！ 君も助けるから！ 絶対に！」



結維「…意味がわからない！！
カードを1枚伏せてターンエンド！」




結維【LP 8000】
場:マスター・ヒュペリオン[攻 2700]
伏せ:1枚
手札:2枚


火群【LP 5000】
場:なし
伏せ:なし
手札:3枚



◉TURN:０３◉



火群「…俺のターンッ！ ドロー！」[手札:4枚］





火群「…このスタンバイフェイズ時、効果で破壊された不死鳥は墓地より舞い戻る！！
蘇れーーーッ！ 『炎王神獣 ガルドニクス』！！」




結維「ーーーっ！！」




ニクス「……！ 私の身体が……精霊の姿に…！」



火群「…ニクス！ 来い！」



ニクスの身体が激しく燃え上り、巨大な不死鳥になり俺の場に舞い降りる。




ニクス『…ぉおおぉおおおッ！』[ATK 2700]




結維「…死しても蘇るーーー不死鳥…！！」



戒「…！ あの時よりも強く、大きい炎…！」



火群「自身の効果により蘇ったガルドニクスは、自分以外の全てのモンスターを焼き払う！
ﾘﾊﾞｲﾊﾞﾙ・ﾌﾞﾚｲｽﾞ
《再生の業火》！！」



ニクスの放った豪炎が結維のモンスターを包み込む。



結維「…くぅぅうう…ッ！！」



左腕を押さえながら唸る結維に、ニクスが声をかける。


ニクス『…結維！』


結維「…っ…？」


ニクス『…貴様は“和泉の中に眠っていた右腕の意思”と言っていたが、それは一体どういう意味だ』



結維「言った通りの意味です。
私は、今は無き桜庭和泉の右腕の意思。
いわば和泉の体の一部。私と和泉は、一心同体だったの」




火群「ーーー和泉と、一心同体……」



結維「…私は和泉の“右腕”を守る存在だった。
だからあの時の炎からも、私はこの身を犠牲にして和泉を護った」


火群「………ッ」



そういう、ことか。



ニクス『……躊躇うなよ、火群。お前がここで逃げたら、それこそ和泉を裏切る事になるんだぞ』




火群「…わかってる。でも……ッ！」



和泉は結維であり。
結維もまた、和泉なのだ。



火群「…どうすりゃ、いいんだ……ッ」




結維「『憎い…っ憎い…ッ！』、『殺せ…っ殺せ…ッ！』」



火群「……っ！？」



結維「…私はあなたの炎で焼かれてから、毎晩のように和泉にそう言いました。
ーーーただ、一つ誤算が」



ニクス「…和泉の“優しさ”と、ダーク・フェアリー・チア・ガールか」


結維「その通りです。優しすぎるあの子は、市瀬火群の事を憎めなかった。それどころか、まさか右腕を切断しようなんて……」



火群「………（…和泉……っ）」



和泉は前から言っていた。
『誰も傷ついてほしくない。優しくなりたい』と。

結維は先ほど言っていた。
『求めるのは何者にも屈しない強さ』だと。



結維「…その後私たちはそれぞれ個々の意思を持ち、“片方ずつに分断されました。ーーー辛い記憶ばかり、私に押し付けて」



火群（…そうか、和泉の記憶は結維が…）


結維「……ですが、私はあの子とは違うから…っ！ あの子のように不死鳥を許すわけにはいかないし、“私”を切断したチア・ガールを許すつもりもありません…」



ニクス「………」





結維「だからあなた達に復讐するために、私は目覚め、この地までやって来ました」



火群「…復讐……っ！」


結維「…さぁ、デュエルを、続けましょう」



火群「……くっ…！！」



戦って、いいのか…？

攻撃して、いいのか…？


ここにきてまた、迷いが生じる。

俺は和泉も、ニクスも、そして結維までも助けたい。
それは贅沢な願いなのだろうか。



ニクス『……火群』



火群「ニクス…？」



ニクス『…言ったはずだぞ。躊躇うなと」




火群「……！」


わーったよ。

やってみる。

俺が、終わらせなきゃ。




火群「ーーーバトルフェイズ！ ガルドニクスの攻撃！
焼き貫けッ！
ーﾊﾞ-ﾆﾝｸﾞ・ｲﾚｲｻﾞ-ー
《業火炎の抹焼熱線》！！




今度は、誰も傷つけない。
暖かい焔で、護るんだ。






To Be Continued…






〜おまけ〜



. . 人人人.人人人.人人人.人人人.
＜教えて！ スッキーせんせー！＞
. . Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y



◉このコーナーは、読者のみんな(少数)から寄せられた質問(多分無い)に、『美 好先生(以下スッキー先生)』が一刀両断！ 快刀乱麻の回答をしていくコーナーだ！
質問が無い場合は、キャラ紹介や自問自答をしていく痛々しいコーナーになるから気をつけな！(ドン☆)
＊質問をいただいた時点で、本SSに載せる事を承諾したものと見做します。あらかじめご了承ください。
匿名希望の場合は言ってくださいね！



質問待ってるぜ！！





《次回予告》







次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:５３ 左支右吾