DRAW:１４９ 近づく狂気　作：人喰い

(149)




小次郎「ーーー何度来ようが僕が全て返り討ちにしてくれる…。
…主人にも伝えておいてください」


黒焔「……グァ…ァァ…！」

黒い焔は力無く呻き声を上げると、霧状になって消えてしまった。


竜貴「やったなコジロー！」

跡部「流石は我が弟子だ。小次郎」


小次郎「…先生、それに竜貴殿ーーーっぎゃあぁぁなんで二人とも裸なんですかァァっっ！！」

竜貴「あっ…、そういや先生につられて……ってか男同士なんだし、別に気にするこたねーだろ？」

小次郎「……む…。
とっ、とにかく！！ 風邪引くといけないから早く服着てください！！
先生も！！！」


跡部「…確かにこのまま訓練したのでは風邪を引いてしまうな。着替えてくるとしよう」

竜貴「…俺に全裸で訓練させる気だったんスか……」






〜5分後〜

着替えて戻ってきた。

竜貴「…なぁコジロー。さっきの黒い炎みたいな奴って何者なんだ？」

小次郎「…え、えっと、あの炎は『終焉の焔』と名乗る集団の雑兵です」

竜貴「…！！ 終焉の焔…！！ やっぱあいつらか…！」

小次郎「…ご存知でしたか。竜貴殿」

竜貴「…ああ…、なんたって、今回俺がここに修行しに来たのも、終焉の焔をぶっ飛ばすためなんだからな…！！」

小次郎「…！ そうだったのですね…。
奴らはこの山の精霊のカードを狙っています。
それにここ最近は雑魚ばかりをけしかけて、恐らくはこちら側の実力を図り、データを取っている…」

竜貴「…データ…か…。
ってことは奴らと戦えば戦うほど、向こうは俺たちへの対抗策を引っさげてやってくるってことかよ…！」

跡部「…かなり厄介ではあるが、自分の弱点がちゃんとわかっている決闘者ならば、ピンポイントメタなどには屈さぬ構築力とプレイングスキルを持ち合わせているものだ。臆する事はない」

小次郎「…そう、ですね。
自分の力と、魂を込めたデッキを信じましょう。それが一番です」

竜貴「…っ！」

そうだ、それを怠っていたから俺は負けたんだ…。


跡部「……さて、夕飯の支度でもするか。そろそろ日も落ちる」

小次郎「…はい！ たくさん食べて明日に備えましょう！」
















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１４９ーーー
《近づく狂気》
















〜翌日〜



大きく息を吸ってーーー

竜貴「ーーーっっりゃぁああっっ！！」

拳を突き出す。


小次郎「…なかなか様になってきましたね、竜貴殿」

竜貴「…とりあえず先生に言われた通りに身体動かしてっけどよぉ……正直身についてる気がしねぇぜ…」

小次郎「…それで良いのです。体術の極意とは、日々の鍛錬の中で、自ずと身についているものです」

竜貴「…けど、それにしちゃあ『3日』って期間は短すぎると思わねーか？
昨日入れたら後二日しかない訳だし……それだけの日数で体得できるとは思えねーんだよなぁ」

小次郎「恐らく3日というのは、この山の霊気が身体に馴染むまでの期間の事でしょう。そして霊気を浴びながら身体を動かす事によって、拳技の型の中に奥義は練り込まれるものだと、先生は言ってました」

竜貴「…そういうもんなのか…。
ところで、先生はどこに行ったんだ？」

小次郎「先生は、山を降りて買い出しに行かれました。多分、あと２時間程で戻られるかと」

竜貴「２時間！？」

俺が登ってくるのに片道約５時間かかったってのに…、あの人何者だよ…。

小次郎「そうだ。竜貴殿も、明日はこの山を散策してみたらどうでしょう？ 足腰の鍛錬にもなります」

竜貴「おっ！ いいねぇ！」

小次郎「…では、戻れなくなるといけないので明日は僕もお伴します。
先生が帰ってきたら相談してみますね」

竜貴「…おう！」




竜貴（……終焉の焔ーーー今度は…負けねぇ…！！）










＊＊＊




ーーー１日後。

〜？？？〜



星奈「ねーね、星の動きは今のところ問題ないみたい☆」

巨乳の女子「…おっけー、じゃああたしはそろそろ行くけど、星奈。あんた一人でちゃんと来れるんでしょーねー」

星奈「子供扱いしないでよっっ！ 大丈夫だってば！」

巨乳の女子「子供扱いも何も…あんたまだまだ子供なんだから…そりゃ心配もするわよ…」



ｶﾞﾁｬ…

放浪「……只今、戻った」


星奈「あっ、ホーロー！ あんた今までどこに行ってーーー」

放浪「…うるさいぜ、ガキ」

星奈「！！ ガキって言うなぁっ！！」

巨乳の女子「…まぁまぁ…」

巨乳の女子（あいつ……いきなり現れたかと思えば真っ先にマイン様のところへーーー）


放浪「………マイン。明日の件、俺は竜霊山へ行く。下調べも万全だ」

星奈「…ぅ〜、あいつまたマイン様にタメ口で〜…っ！」


マイン「ーーーククク…。いいだろう…。
……三本の火柱のうち残ったのはお前のみだからな…。…期待している」

放浪「……言われなくとも結果は出す。誰のものでもないーーー俺の『意思』でな…ッ…！」


マイン「…ククク…ッ！ 楽しみにしているぞ……ッ…、お前の『意思』の先にある答えとやらをなァ……ッ…！」


放浪（ーーー必ず人間界の邪魔な決闘者共を駆逐する…！！ そしてその次は……マイン…ッ！ 貴様を倒し復讐を遂げる…ッッ！！）







＊＊＊





〜黒髭中学校・職員室〜




好「ーーーああ、連絡感謝する。メアリー」

メアリーとの通話を切り、好はバンダナをして立ち上がった。

好「…この学校に、『終焉の焔』がねぇ……」

メアリーからの電話というのは、翌日、この学校に終焉の焔の襲撃があるということ。
そしてそれを迎え撃つために明日人と栗須が積木町から向かってきていることを伝えるものだった。

現在時刻は夕方6時半ごろ。
部活動で来ていた生徒も出払い、教員も好以外は今日は早めに帰ってしまったので、後は戸締りをするだけだった。


好「……しかしまぁ、なんでこの学校に狙いをつけたのかねぇ…」

この学校の関係者に直接的な恨みがあるのか、それとも、この学校にはとんでもない宝でも眠っているのか……？

好「…倉川と古宮が学校に到着するまで約一時間…。少し調べてみるかーーー」

っと、その前に。

好「…先生方と部活のある生徒に、明日は学校に来ないよう連絡するのが先だネ」







＊＊＊



〜電車内〜


明日人「……メアリーさんが、学校のスッキー先生と連絡を取ってくれたみたいだ。学校で合流することになってる」

栗須「…マジか！ 先生も戦ってくれんなら心強いぜ！！」

明日人「……ああ」

栗須「…どうしたんだよ？ 浮かない顔して」

明日人「…お前も聞いただろ？ 俺たちよりも元から強くて、今回の合宿でさらに強くなったはずの戒と火群が…敵幹部の１人に手も足もでなかったんだぞ…？」

栗須「……」

明日人「…それに俺とお前も、反帝アリーナで奴らの幹部に負けてんだ…！
流石に勝てねぇかも…って思っちまうんだよ…！！」

栗須「…まー、そうだなー。勝てねーかも知んねーな」

明日人「……お前な…っ」

栗須「ーーーけどよ、だからって全部放ったらかして逃げんのか？」

明日人「……ッ…！」

栗須「それはいくらなんでもちげえだろ」

明日人「…〜〜〜…！」

栗須「…？」

明日人「ーーーなんでだよ！！」

栗須「！？」


明日人「あーっっくそっ！ なんで俺がお前なんかに励まされなきゃなんねーんだよ！！
今の無しだ！！ お前が弱音吐いた事にしろ！！」

栗須「いやいやいやそれこそおかしいだろ！？」

明日人「……とにかく、だ。
さっさとケリつけて、“いつもの日常”に戻ろうぜ」

栗須「……あたぼーよ！！ 足引っ張んじゃねーぞ！」

明日人「…こっちのセリフだ！」






To Be Continued…






《次回予告》


火群「…なぁ、ニクス」

ニクス「……ん？」

火群「…抱きしめてもらっても、いいか？」

ニクス「…！ 急にどうした…！？
……別に、構わないが」

火群「……こうしてると、あったかくて落ち着く。
不思議だよなーーー」



ニクス「次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１５０ 《Sisters》！」



和泉「ーーー火群くーん！ 体調は……って、なに抱き合ってんの？？？」

火群「…あぁぁあっっ！ えっとその…！」

ニクス「…火群のヤツが強引に…っ…！ 私は抵抗したのだが……無理矢理服を脱がされーーー」

火群「捏造すな！！」

和泉「…そんな…っ！ 火群くん…最低…っ…！ 変態…！ ケダモノっ！！」

火群「ぁぁっ！ 違うんだ…！ 和泉いぃぃいいーーー」




………


火群「ーーーうーん……俺は……変態でも……ケダモノでも……無い………！」

ニクス「…火群、物凄くうなされているな」

爽香「…悪い夢でも見てるんじゃないですかねー」



＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙