DRAW:３８ 不穏の幕開け　作：人喰い

時は少し遡り…

〜黒髭中学〜




キーンコーンカーンコーン…



火群「予鈴、鳴っちゃったな」


和泉「…そうだね。もどろっか」


火群「俺がこんなこと言うのは酷いことかもしれないけど、辛かったらいつでも頼ってくれよ」


和泉「…うん。ありがとう」






ニクス『火群ーーーッ』


不意に、窓の外からニクスが大声で呼びかける。


火群「…ニクス！？」

和泉「…にくすさん！？」

千愛『どうしたの？ そんなに慌てて。貴女らしくないわ』


ニクスが窓を開けて入ってくる。


ニクス『私服姿のまま家を出て行く倉川明日人を見たから、気になって後を付けて見たんだ………そしたら、奴はそのままこの町の植物園に入って行った』


火群「この町の植物園っていうと、クラースの父親がやってるトコじゃないか」


和泉「何か父親に用事があったのかな？」

千愛『…でも、腹痛だか頭痛だか知らないけど、学校休んでまで、わざわざ会いに行かなきゃならない用事っていうのも気になるわね』


火群「普段真面目なあいつが学校休んでまで、植物園に………？ ちょっと嫌な予感がするな……行くぞ！ ニクス！」


和泉「…えぇえ！？ ちょっと！ 火群くん！？ 学校は！？」


ニクス『…そうこなくてはな…！』


千愛「…にくすもノリノリね……」ヤレヤレ



火群「……千愛、和泉をよろしく頼む」

和泉「ちょっ…！ 話を…！」


千愛『任せなさい。…でも、アンタが思ってるほど、この子は弱くないわよ』



火群「…そうだな、胸は無くても度胸はあるもんなっ」



ニクス『………』


千愛『………』


和泉「………」


火群「……あれ？」



和泉「………最っ低ぇー」







火群【LP4000→0】












遊戯王 Ph.X DRAW:３８
《不穏の幕開け》












〜黒髭植物園〜


火群「ーーーなんか、思った以上にヤバそうなことになってんじゃん」



明日人「おせーよ、ホs……じゃなかった。火群。その右頬の手の痕はどうした」


火群「…これは、まぁ、気にすんな」


マンティス「なんでもいいから、さっさと始めようぜ。……おい、市瀬 火群とやら。部下達はお前がやったのか？」



火群「……部下…？ ここに来る途中、倒れてた黒ずくめの連中の事か…？」


マンティス「何……？ お前がやったんじゃ無いのか…？」


火群「…ああ、俺が来た時にはもう、何者かにやられた後だった。なんか、全身を刃物で斬りつけられたような傷があって不気味だったんだよな…」


火群のその言葉を聞いた途端、先程まで平然を装っていたマンティスが血相を変えて声を荒げる。


マンティス「全身を…！ 刃物……ッ！？ まさか、“ヤツ”がもう動き出したってのか！？」



ドロワ「“ヤツ”って……もしかして“断罪の剣”の事？ あんなのにビビっちゃってどうしたのさマンティス。
…大体あんなの、ここ一週間で出回り出したただの都市伝sーーー」



マンティス「…いや、都市伝説なんかじゃない。あいつは、マジで、ヤバイ。ーーー引くぞ、ドロワ。放浪。本部に連絡だ」



放浪「………」


ドロワ「仕方ないなぁ……ったく！」



火群「…！？ おい！」


明日人「……まてよッ！ 荒らすだけ荒らして、逃げるのか！？」


あまりの突然の出来事に、状況が飲み込めない火群と明日人。


マンティス「…ギャーギャーうるせぇ奴らだ…！ 裏部隊！！ 来やがれ！」


マンティスが叫ぶと、どこからともなく、またもや黒ローブに身を包んだーーー二人の男が現れる。




裏部隊A「ハッ！」

裏部隊B「ハッ！」



マンティス「…できれば裏部隊は使いたく無かったが……仕方ねぇ。
…テメー等の相手は、いつか必ずしてやるよ。覚えてろ」



放浪「………大樹のカードはどうする」


ドロワ「…そうだよ！ カード！ 僕たちの当初の目的はこの“大樹”に眠る『縁の黒いカード』じゃんかぁ！」


植物園中央に位置する、立派にそびえ立つ大樹を指差して、ドロワは子供のように言う。


火群 （縁の黒いカード…？ それってもしかして、エクシーズの事か…！？)



園長（…やはり、奴らの狙いは、あのカード……！！）


マンティス「…喋りすぎだ、ドロワ。
大樹のエネルギーが溜まる10時までは待ってられない。苦しいが、ここは諦める」


ドロワ「…すると、また来年かぁ…」


放浪「………」


完全に話に置いてけぼりな火群と明日人。
だが二人とも、マンティス達の話を聞いて、何か思うところがあるようだ。


明日人（…あいつらの言っていた、縁の黒いカード…、俺はそれを知っている。俺が昔、父さんから貰ったそのカードが、今はあの大樹の中に護り神として眠っているんだ。

問題は、あいつらが何故それを知っているか。そして、何故あのカードが狙われているのか…だな）


火群（モンスター・エクシーズ…。チアガールとのデュエルで、俺はその恐ろしさを知っている…！
思い出したくないものを思い出してしまったな…）




マンティス「…そういうわけだ。俺たちは行かせてもらうぜ。あばよ」


火群「！」

明日人「…くっ！ 待て！ まだ聞きたいことが…！」


マンティス、ドロワ、放浪。3人の姿が陽炎の中に消えていく。
それを追いかけようと足を踏み出す火群と明日人だったが、立ちはだかる裏部隊の二人に阻まれてしまう。


ザッ！


裏部隊A「ここから先は……」


裏部隊B「通さねぇ！！」



火群「うわっ！目の前が真っ暗に！」


明日人「なってないから安心しろ。そんなことやってないで、さっさと倒してこの植物園を取り戻すぞ！」


火群「えっ？ あ、ああ！」




裏部隊A「先に名乗っておく。我はイッカク」

裏部隊B「我はニカク」



火群/明日人「ーーーデュエルスタンバイ！」





『デュエル！！！』






裏部隊A「ライフは二人合わせて4000！ 場、墓地は共有のタッグデュエル方式で行わせてもらうぞ！」

裏部隊B「我ら裏部隊、命令を受けた以上、全力で貴様らの相手をする！」




火群/明日人【LP4000】


イッカク/ニカク【LP4000】




◉TURN:０１◉



イッカク「我の先攻！ ドロー！」【手札 6枚】


イッカク「『終末の騎士』を召喚！」[攻1400]



イッカク「終末の騎士が召喚に成功した時、我のデッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。我が墓地へ送るのは……『ネクロ・ガードナー』！」


火群「…ネクロガードナーか…。厄介なモンスターを落とされたな…」



イッカク「カードを2枚伏せて、ターンエンド！」



イッカク/(ニカク)【LP4000】
場:終末[攻1400]
伏せ:2枚
手札:3枚/(5枚)
墓地:ネクガx1



◉TURN:０２◉



明日人「 俺のターン！ ドロー！」【手札 6枚】


明日人「俺は、『ローンファイア・ブロッサム』を召喚！」[攻 500]


明日人「ローンファイアの効果発動！ 自身を生贄に捧げ、デッキの『ギガプラント』を特殊召喚！！」[攻2400]


火群「よしっ！ いい流れだ！」


明日人「ーーーバトルだ！ ギガプラントで、終末の騎士を攻撃！〝ハード・プラント〟！！」


ギガプラント
[攻2400]
ーーーVSーーー
[攻1400]
終末の騎士



ギガプラントが、無数に存在する鎌のような形状をした幹を地に突き刺すと、巨大な根が地を這い終末の騎士へと襲いかかる。


イッカク「…墓地のネクロガードナーの効果発動！ 自身を除外することによって、相手の攻撃を一回だけ無効にする！」


終末の騎士へ向かった巨大な根は、どこからともなく現れたネクロガードナーの幻影によって防がれてしまう。


火群「…ネクロガードナーは温存せずに使ってきたか…！」


明日人「…俺は、カードを2枚伏せてターンエンド！」



明日人/(火群)【LP4000】
場:ギガプラント[攻2400]
伏せ:2枚
手札:4枚/(5枚)


ニカク/(イッカク)【LP4000】
場:終末[攻1400]
伏せ:2枚
手札:5枚/(3枚)


◉TURN:０３◉



ニカク「我のターン！ ドロー！」【手札6枚】


ニカク「我は、手札の『ダーク・パーシアスを捨て、『ダーク・グレファー』を特殊召喚！」[攻1700]



火群「ダークグレファー…！」


ニカク「ダークグレファーのモンスター効果！ 1ターンに1度、手札の闇属性モンスター1体を捨てることで、デッキの闇属性モンスター1体を墓地へ送ることができる！
我が手札から墓地へ送るのはーーーネクロガードナー！」


火群「…またか…！」


ニカク「そしてデッキからもう1体のネクロガードナーを墓地へ送る！」


明日人「…いつでもネクロガードナーは装填できるって訳か…！
だが、いくら守りを固めても、ギガプラントの攻撃力は2400！ このままじゃジリ貧だぜ」



ニクス（…レベル4モンスターが2体…！ 来るぞ！ ほm……）


イッカク「我らを甘く見るなよ！！ ニカクよ、奴らに絶望を見せてやれぃ！」


ニカク「…うむ！
貴様らは気づいていないようだが……我々の墓地には“闇属性モンスターが3体のみ”……この意味がわかるな？」



火群「なにっ！！！」

明日人「……まさか…！！」


ニクス（…来るぞ！ ほm……）



ニカク「ーーー雷雲よ集えっ！ 闇を束ねし武装龍をこの地に呼び給え！
現れろ！『ダーク・アームド・ドラゴン！」


ダムド『グギョグワァァァアア！！！』[攻2800]



明日人「…！ 凄い衝撃波だ…っ。これ本当に立体映像なのかよ…！？
ーーーでも悪いが、その召喚、止めさせてもらうぜ！ リバースカードオープン！『ポリノシス』！」


ニカク「……何？」


明日人「自分フィールドの植物族モンスター1体をリリースし、魔法罠の発動、モンスターの召喚、特殊召喚を無効にして破壊する！」



ズシィィン！


ギガプラントが大きな音を立てて倒れ伏し、光に包まれて消えていく。

大量の花粉を撒き散らしながら。



イッカク「…これは…？ 花粉か！？」


ダムド『……グ、ググ…ゥ…ッ！！ ガァァアアァア！！』



バリィィン！


火群「…やった！ ダークアームドドラゴンを破壊した！」


ニカク「…武装龍ともあろう者が、花粉ごときにやられるとはな……
だが、今のが我らの切り札だと思ったら大間違いだ！」


明日人「…何…？」


イッカク「それに、貴様の場にモンスターはいない。あるのはたった1枚の伏せカードだけ。
対して我々の場にはまだ2体のモンスターがいる」


ニカク「…更に更に、我はまだこのターンの召喚権を残している。
… 終末の騎士を生贄に捧げーーー『邪帝 ガイウス』を生贄召喚！」[攻2400]


ニカク「ガイウスのモンスター効果！ ガイウスが生贄召喚に成功した時、相手フィールド上のカードを1枚選択して除外する！ その伏せカードを除外させてもらおう！」


明日人「ーーー負けてたまるか！ チェーン発動！『禁じられた聖槍』！ ガイウスの攻撃力をこのターンのエンドフェイズ時まで800ポイントダウンさせる！！」


ガイウス[攻2400→1600]


ニカク「くっ！ バトルだ！ ガイウスでダイレクトアタック！」


ガイウス[攻1600]
明日人/火群【LP4000】


明日人「…ぐ…ァ……！」
火群「ぐぁあぁっ！」
【LP4000→2400】


ニカク「続いてダークグレファーでダイレクトアタック！」


ダークグレファー[攻1700]
明日人/火群【LP2400】


明日人「…ぐぅぅ…ッ！」
火群「…がはっ！」
【LP2400→700】


ニカク「我はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」


ガイウス[攻1600→2400]



明日人「……はぁ、はぁ…っ！ 悪い、火群…！ 場もガラ空きで、ライフも残り少ないこんな状況でお前にターンを渡すことになっちゃって…」


火群「…気にすんなって！ ターンを繋いでくれただけ感謝してるぜ。それに心配もすんな…！ 次は、俺の番(ターン)だからな……！」




ニカク/(イッカク)【LP4000】
場:ガイウス[攻2400]
ダグレ[攻1700]
伏せ:3枚
手札:0枚/(3枚)
墓地:ネクガx2


火群/(明日人)【LP700】
場:なし
伏せ:なし
手札:5枚/(3枚)



◉TURN:０４◉



火群「ーーー俺のターン！ ドローッ！」【手札6枚】




ゴォォオオォオオ！！




その時、明日人には確かに見えた。
火群の右手を真っ赤に包むーーー激しくも穏やかな炎が。


火群はドローしたカードを見ないままに流れるような動作で、デュエルディスクの魔法・罠ゾーンに差し込む。




火群「魔法発動！ 『炎王の急襲』！この効果で、デッキから現れろ！

ーーー 逆境をも恐れぬ真紅の翼！『炎王神獣 ガルドニクス』！！」



ニクス『キィィィアァァァアアッッ！！』[攻2700]



ニカク「甘い！伏せカードオープン！『奈良の落とし穴』！ 召喚・特殊召喚された攻撃力1500以上のモンスターを破壊する！」


ニクス『……！』


火群「…させるか！ 絶対に護ってやる！ 手札から速攻魔法『炎王炎環』を発動！ 自分フィールド上の炎属性モンスター1体を破壊し、墓地の炎属性モンスター1体を特殊召喚！」


ニカク「何！？ 無駄無く除外を回避しただと！？」


イッカク「…だが、やつらの墓地に炎属性モンスター何て…！」



明日人「…いや、いるさ。俺のモンスターがな…！」


火群「ガルドニクスを破壊しーーー墓地のローンファイア・ブロッサムを特殊召喚！」[攻500]


イッカク「…しかし、今更そんなモンスターを出したところで何になる？ 次の相方のターンまで守り抜けるかな？」


火群「…いいや、俺は今、このローンファイアの効果を使わせて貰う」


ニカク「…なんだと…？」



明日人「…そうだ……！ 居た…！ 火群のデッキには、1体だけ、植物族のモンスターが…！」




火群「ーーーローンファイア・ブロッサムを生贄に捧げ、デッキから『ダンディライオン』を特殊召喚！」



ダンディ『がる…っ！』[攻300]




火群「…こいつも怒ってるんだ。大事な自然が無慈悲にも奪われて…！ 今こそその怒りをぶつける時だ！ 行くぞ！！」




ーーー-ーーー-ーーー-ーーー-ーーー-ーーーTo Be Continued…






〜おまけ〜



. . 人人人.人人人.人人人.人人人.
＜教えて！ スッキーせんせー！＞
. . Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y



◉このコーナーは、読者のみんな(少数)から寄せられた質問(多分無い)に、『美 好先生(以下スッキー先生)』が一刀両断！ 快刀乱麻の回答をしていくコーナーだ！
質問が無い場合は自問自答をしていく痛々しいコーナーになるから気をつけな！(ドン☆)
＊質問をいただいた時点で、本SSに載せる事を承諾したものと見做します。あらかじめご了承ください。
匿名希望の場合は言ってくださいね！



質問待ってるぜ！！(切実)



好「さて、間が空いてしまったが、今回もコメント欄にてお便りをいただいてるぞ(≖ω≖`)


PN.増殖しないGさん

スッキーせんせーのスリーサイズを教えてください（土下座フォーム）
ついでにニクスさんや桜庭さんのスリーサ（――文章はここで途切れている）


好「………な、なんて下心丸出しな質問なんだーーーっ(≖ω≖`;;)だが作者はこういう質問を待っていたに違いない！
お望みならば、全てさらけ出してやろうじゃないか(≖ω≖`)


スッキーてんてー(≖ω≖`)
身長:177cm
体重:64kg
B:88
W:60
H:85
・きゃっ(っ//ω≖)



〜ついでの人たち〜

にくす(廿V廿 )乙
身長:175cm
体重:62kg
B:87
W:58
H:88
・っょぃ。


いずみ((౪ワ౪✿))
身長:151m
体重:36kg
B:76
W:52
H:77
・貧。一応メインヒロイン。


ちあ(V_廿rz)
身長:154cm
体重:45kg
B:77
W:56
H:80
・貧part2。最近空気。




好「今回はここまで！(≖ω≖`)ちなみに今回載せた情報は桜庭たちの許可を一切とってないから、後でボコボコにされるだろう(作者が)。

それではまた次回も……


『質問待ってま〜〜す！！』





《次回予告》




「……久しいな」



次回、『遊戯王 Ph.X』
DRAW:３９ 〝断罪の剣〟



ーーー奴は一体、どれほどのモノを背負って、その剣を振るうのだろう。