DRAW:３４ 焔の中で…　作：人喰い

黒髭中学ーーー３階廊下。突き当たりには家庭科室が立地されている。


「ここかなぁ…？」


知的な眼鏡をかけた女子生徒『桜庭和泉』は家庭科室の前で一瞬足を止め、ぽつりと呟いた。


『…どうかしらね。』


和泉の隣でふわふわと浮いているデュエルモンスターズの精霊《ダーク・フェアリー・チア・ガール》こと《闇口 千愛》もそう言う。


「……っ」


和泉はゴクリと息を呑みこんで、家庭科室の窓ガラスを覗き込んだ。


「……んっ…っと。ーーーあ！ 火群くんだ！」


探し人を見つけた様で、ブレザーの袖をパタパタとさせて嬉しそうに千愛の方を振り返る和泉。
千愛もふわふわと浮きながら和泉の後ろへ回り窓ガラスを覗き込む。


『…あら、デュエルをしているのね。お相手はきっと家庭科教師かしら』


「……むぅ。初めて見たけど…先生、胸大きいね。
……胸、大きいね。
………胸、大きいね(´ ; ω ; ｀)」


胸元に手を当てて俯く和泉の表情は、先ほどの嬉しそうな表情とは打って変わって今にも泣き出してしまいそうで、目が潤んでいて口元が震えていた。


『…3回も言わなくてもいいわよ……和泉ちゃん。私なんてもう成長しないんだし、和泉ちゃんにはまだまだ未来があるでしょう？……うん、そうよ。和泉ちゃんには…まだ、先が、あるもの……』


「あっ！ ご、ごごごめん千愛ちゃん！ その位のサイズが好きって言う人もきっといるだろうし、お互い頑張ろう！？」


和泉の励ましのつもりで言ったであろう鋭いナイフの様な切れ味を持った言葉を受けた千愛は、

『えぇ、そうね…』

と返答するが、お互い言っていて悲しくなったのか、そのうち二人とも自分の胸元に手を触れたまま、俯きしばらく黙り込んでしまった。












遊戯王 Ph.X DRAW:３４
《焔の中で…》












?TURN:０７?


市瀬 火群【LP 500】
場:『綿毛トークン』[守 0]
伏せ:１枚/手札:３枚


美 好【LP 2600】
場:『神秘の中華料理-神龍包』[攻 2800]
『中華料理人-娘娘』[攻 1900]
『中華料理人-美美』[攻 1500]
伏せ:２枚/手札:３枚



火群「ーーー伏せカードオープン！ 速攻魔法『手札断殺』を発動！お互いのプレイヤーは手札を２枚捨て、デッキから２枚ドローする！」


好（…手札断殺…それほど手札が弱かったのか…？ それとも、市瀬はドローに賭けているのか…？）


火群「手札のネフティスの鳳凰神と炎王の急襲を捨てて２枚ドロー！！」【手札:３枚】


好「同じく２枚捨ててドロー！！」【手札３枚】


火群「そして手札から魔法カード、『大嵐』を発動ッ！ フィールド上の魔法罠カードを全て破壊する…！！」


好「…流石に出し惜しみはしないか…！ リバースカードオープン！カウンター罠『魔宮の賄賂』！『大嵐』の発動を無効にして破壊！」


火群「…！」


好「その後、相手はデッキからカードを１枚ドローする」


火群「………！」


好「早くカードを引きな。市瀬。
……それとも怖いのかい？ エースモンスターであるガルドニクスがいないんじゃあ、まともに闘えないとでも言うのかい？」


ニクス「……っ」


火群「…くっ……」


火群（…わかってる。本当はわかってるはずなんだ。俺がガルドニクスに頼りすぎていて、柔軟な戦い方ができていないってことくらい）

火群（……でも…）


火群「いなくなってなんか、ない」


火群「…ガルドニクスはいつだって俺の側にいいます。 俺はこいつと、テッペンに行くって約束したんだ…！」


ニクス「！」



火群「……ドロォォーっ！！」ゴォォオオッッ！！
【手札:３枚】


好「…っ！ またあの炎…！ いいね…！ いいネ…！！ 熱い炎の中での人の覚醒は計り知れない…」



火群（『炎王転輪』……！ よし、これなら…！）


火群（……やっぱ俺には、ニクス抜きのデュエルなんてできっこないみたいだ）



火群「…綿毛トークンを生贄に捧げ、『炎神機-紫龍』を生贄召喚！！」


紫龍『ゴガォォォオォォォオ！！』[攻 2900]

効果モンスター
星８/炎属性/炎族/攻2900/守1800
このカードはモンスター１体をリリースして召喚できる。
この方法で召喚している場合、
自分はエンドフェイズ毎に１０００ポイントダメージを受ける。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。


好「ーー！ 生贄召喚……！ 神龍包の攻撃力を超えてきたか…！」


火群「…このモンスターは本来なら生贄が２体必要なレベル８モンスターだけど、生贄１体による妥協召喚が可能…！」


火群「ーーーいきますッ！ 先生！」


ニクス（…だがこのターンで決着を付けなければ、妥協召喚した紫龍の効果ダメージで火群のライフは０に……それは火群もわかっているはずだが…）


火群「バトルフェイズ！ 紫龍で神龍包を攻撃！〝紫炎煉獄弾〟！！」



『炎神機-紫龍』
ーー[攻 2900]ーー
ーーーVSーーー
ーー[攻 2800]ーー
『神秘の中華料理-神龍包』



好「…っく…！！」【LP:2600→2500】



火群「ーーー更に手札から速攻魔法発動！『炎王の転生』！」



《炎王の転生》＊オリカ
(速攻魔法)
①:墓地及びゲームから除外されている自分の同種族・同レベルの名前の異なる炎属性モンスターを１体ずつ選択して発動する。
選択した墓地のモンスターをゲームから除外し、選択したゲームから除外されているモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。また、この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。




好「ゲームから除外されているモンスターを……ッ！？」



火群「…そう！ 俺は、手札断殺で墓地に送った鳥獣族・レベル８の『ネフティスの鳳凰神』をゲームから除外し、除外されているネフティスと同種族・同レベルの炎属性モンスターを特殊召喚する！」


好「……アハハ…ッハハハ…！」


ニクス「火群…っ！」




火群「ーーー輪廻の果てより蘇れ！ 不死鳥ぉおお！！『炎王神獣 ガルドニクス』！！」



『炎王神獣 ガルドニクス』
[攻 2700]



火群「まだ俺のバトルフェイズは終わってない…！ ガルドニクスで、美美を攻撃！〝バーニング・イレイザー〟！！」


『炎王神獣 ガルドニクス』
ーー[攻 2700]ーー
ーーーVSーーー
ーー[攻 1500]ーー
『中華料理人-美美』





ゴォオオオォオオッ！！



好「くぅううう…ッ！！」【LP 2500→1300】



火群「……俺は絶対に、WDCSに出場して、優勝するんだ！！」



好「ーーー！！」


好（………）



ーーー-ーーー-ーーー



『アタシはWDCSで絶対優勝する！ するったらする！！』




ーーー-ーーー-ーーー


ゴォオオオォオオッ！！




好（ーーーなんで昔の事なんか思い出すかなぁ……ったく）




好「…さて、まだデュエルの途中だ。まさかこれでターンエンドって言うわけじゃないだろうね」



火群「…流石にまだ勝負は捨ててませんよ。ーーこれが俺を勝利へ導く、最後の１枚だ…ッ！！」


火群「ーーー手札から、 速攻魔法『鳳翼の粉塵』！！」



『鳳翼の粉塵』＊オリカ
(速攻魔法)
①自分フィールド上に炎属性・鳥獣族モンスターが表側表示で存在し、相手フィールド上のカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。フィールド上のモンスター１体を選択して破壊する。その後、破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分の数値分のダメージを相手に与える。



好「………っ！」


火群「…俺はこの効果で、『炎神機-紫龍』を破壊！ そしてその攻撃力の半分……１４５０ポイントのダメージを、受けてもらいます！ 先生！」


ゴォォオオオッ！！


火群「……いっけぇえええぇええッッ！！」



ゴォォオオオォオオッッ！！




好「…アハ、ハ…っ！」【LP 1300→0】


☆Winner:市瀬 火群☆



ニクス「………勝っ…た…！」


火群「……ぜぇ…はぁ」



好「……市瀬、アンタは、WDCSに出場して優勝するって言ったね」


火群「……はい」



好「………また来な。稽古くらいはつけてやるよ。今のままではまだ優勝なんて不可能だ。もっと腕を磨くには、講師が必要だろう」



火群「……え…？ あ、っありがとうございます！！」


好「…アタシに勝ったくらいで浮かれるなよ？ あと、授業も絶対にサボるな。…ホラ、これサボった時のプリント！ ちゃんと確認しておくように」


火群「…は、はい…」



好「…あと、最後に一ついいかい」


火群「…なんでしょう？」






好「…市瀬。アンタは、アタシの様には、なるなよ」






火群「ーーーっ…？」






キーンコーンカーンコーン

キーンコーンカーンコーン







ーーー-ーーー-ーーー-ーーー-ーーーTo Be Continued…



～おまけ～



. . 人人人.人人人.人人人.人人人.
＜教えて！ スッキーせんせー！＞
. . Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y



＊このコーナーは、読者のみんな(少数)から寄せられた質問(多分無い)に、『美 好先生(以下スッキー先生)』が一刀両断！ 快刀乱麻の回答をしていくコーナーだ！！
質問が無い場合は自問自答をしていく痛々しいコーナーになるから気をつけな！(ドン☆)

質問待ってるぜ！！(切実)



《第２回》



好「さて、今回のゲストは……(?ω?`)」



栗須「俺だ！(□ワ□ )


好「………へぇ、これまた珍しいのが来たね…（誰だっけ…）」


栗須「…フフフ……久々に登場できた事だし、この古宮栗須サマの武勇伝を皆聞きたいだろう
( □ワ□)」


好「尺が無い。早く質問をしろ(≖ω≖`)（…マジで誰だっけ…）」


栗須「」


栗須「くっ、くそう。……それでは質問に入るぜ、、

《古宮栗須はなんでガルドニクスのいない市瀬火群に負けたのですか》

(□-□ )



好「……(≖ω≖`)


栗須「…(□ω□;)


好「…そんな個人的な質問をしにわざわざこのコーナーに押しかけてきたのか？(≖ω≖`)


栗須「…え？ あ、えと…(□ワ□;)


好「…あともう一ついいか、アンタは誰だ(≖ω≖`)


栗須「」


好「でも、アタシからその質問に答えさせて貰うとすれば、それは『アンタが弱いからだ』としか言いようがないね(≖ω≖`)


栗須「」


好「それでは次回も、お楽しみに(≖ω≖`)



栗須「」
( 山□山)




和泉（む、無慈悲なり…）
(౪ワ౪;✿)







《次回予告》



ーーー私ね、
貴女に腕を斬ってもらったこと、
後悔してないよ。




次回、『遊戯王 Ph.X』
DRAW:３５ One Hand Red