DRAW:８８ 禁忌のカード　作：人喰い

(88)




〜YAGAMI本社ビル前〜


警備A「……このビルの中には精霊を持った決闘者が大量にいるって言うのに、入り口に3人も警備が必要なものかねぇ」

警備B「万が一に備えるのは重要な事だろう」

警備C「…俺たちも決闘の腕を見込まれてここの警備に抜擢されたわけだしな。文句なんて言ってられないさ」

警備A「…まぁ、それもそうなんだけどさぁー。なぁ、お前はどう思う？」ﾄﾝｯ

警備D「………」

警備A「なんか喋ったらどうだぁ？」

警備B「…？ おいお前、誰と喋ってんだ？」

警備C「俺たち入り口の警備は3人のはずだろ…？」

警備A「……へ？」





警備ABC「「「ッッッ！！！
ァァぁああァァアアあぁァァアアッッッ！！！」」」

















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:８８ーーー
《禁忌のカード》















〜YAGAMI本社ビル・B2F広間〜



火群「…禁忌の…カード…！？」

ニクス「…反帝アリーナでも千愛の口から出た単語だな」

シルバ「……まず、禁忌のカードとは何なのかという事だが、精霊王の９つの鏡の中にそれぞれ一枚ずつ眠る……文字通り忌み禁じられたカード達だ」

シルバ「…それら９枚のカード全てに邪悪な力が宿っており、持つ者の人格に深い影響を与えると言われている」

火群「……持ってるだけで人格にも影響を…！？」

雫「…はわわ…っ、怖すぎます…っ」

鈴華「…そんなオカルト……っ、……うーん…余裕でありえますわね…」

和泉「…敵のボスさんはそんなカードを３枚も持っているだなんて……」

結維「相当な人格破綻者って事よね」

メアリー「それは言い過ぎなんじゃない…？ ライト眼鏡ちゃん」

千愛「もちろん、元はあんな性格じゃなかったわ……ただ純粋に強さだけを求める、そんな決闘者だった」

シルバ「…だが奴は強さを求めるあまり、禁忌のカードにまで手を出してしまった」

戒「……その禁忌のカードというのは、それほど強力な効果を持っているという事か…？」

シルバ「…あぁ、一枚一枚が強力なアドバンテージを取る効果、もしくは強力な阻害効果を持っている」

火群「…！」

シルバ「奴が盗み出した３枚のカードは、
『左腕の代償』
『強欲で貪欲な壺』
『隣の芝刈り』
この３枚だ」

火群「……どれも、聞いた事ないカードだ…」

結維「…左腕の代償は、私との決闘で使ってきた。２枚以上の手札を全て除外して、デッキから好きな魔法カードを１枚手札に加える。って効果だった」

和泉（腕の……代償…）

結維「……他のカードに関しては、何も知らないわ」

シルバ「…順に説明していこう。まず、『左腕の代償』。カードの効果は桜庭が言った通りだ。魔法カードには、コストに見合うだけの、１枚で強力なパワーを持ったカードが多い。それのサーチできてしまうというのだから、非常に強力なカードだ。
しかし、かつてそのカードを手にした者は、欲望を満たす為の犠牲として左腕を切り落とし、その痛みに耐えられずにこの世を去ったという…」

和泉「！！」

結維「……っ」

鈴華「……そ、そそ、そういえばあいつ……義手だったわよね…っ…」

シルバ「……ああ、マインも左腕を切り落としている。
マインは精霊としての力が強かったおかげで、死には至らなかったようだが」

鈴華「…ははは…、腕を切り落とすなんて…っ、きっととんでもない痛さなんでしょうね…」

雫「鈴華さんっ！」ｷﾞｭﾑｯ!

鈴華「いたぁ！！ お尻をつままないでちょうだいっ！！」

結維「………」ｼﾞﾄ-

鈴華「……ぁ、ごめんなさい…、結維さん、和泉さん…」

和泉「…へ？ …あー別にっ、気にしなくても平気だよっ？」

結維「………」ｼﾞﾄ-

鈴華「…ごめんってばぁ！ 結維さん！」



シルバ「…続いて次のカードだが、『強欲で貪欲な壺』。これは、自分のデッキの上から１０枚のカードを裏側で除外し、デッキから２枚ドローするという効果を持っている」

戒「……ハイリスクハイリターンなカードだな…」

メアリー「…デッキや使いどころを選びそうだけど…これもリスクに見合うリターンは充分に得られるね」

シルバ「強力なカードだが、このカードを手にした者は、目先の欲に勝てず未来を奪われるそうだ」

火群「……“欲”を満たすためには、何かを犠牲にしなくてはならない…。確かマインはそんな事を言っていたような気がするな…」


シルバ「そしてもう一枚が、『隣の芝刈り』。これは、自分の山札が相手の山札と同じ枚数になるように、自分のデッキの上のカードを墓地に送る、というカードだ」

火群「…！」

戒「…６０枚のデッキを構築すれば、１枚で一気に２０枚近くの墓地肥やしが可能というわけか…！！」

結維「…マインの使っていたインフェルノイドは墓地から蘇る……相性はバッチリね」

シルバ「…だが恐らく、完全に力を回復していない今のマインは、禁忌のカードを2種以上デッキに組み込むことはできないはずだ。
いくらマインといっても、完全でない状態で精神が持つとは思えない」

火群「…じゃあ今の状態のうちに倒してさっさと奪い返した方がいいってことだな！」

シルバ「…ああ、決戦の日までは１カ月あるが、我々人間界の決闘者との抗争は一切禁止だと精霊王は告げた。決戦までにこれ以上奴の力が増幅する事はないと思いたい」

火群「…一カ月、か。その間に俺たちはもっともっと強くなんないといけないんだよな…！」

メアリー「……」

シルバ「…短期間での大幅なパワーアップは、特別な強化プログラムを組む必要があるが……」



メアリー「ーーー合宿よっっっ！！！」



一同「！！？」

メアリー「〜♪」ﾄﾞﾔｧｧ


シルバ「………悪くないな」

一同「！！！？」

火群「…え…っ、あの、合宿って、リア充っぽい奴らが一つ屋根の下で食事や勉学を共にし友情を育み、あわよくば恋に発展するとかいう、あの合宿っすか…！！？」

雫「はわわ…！？ なんという夢みたいなイベントなのでしょう…っっ」

メアリー「YES YES！！ 若い子たちは合宿ならモチベ更に上がるわよね！！」

鈴華「…わ、わわわぁたくしはそんな庶民的なイベントなど……」

結維「震えてるわよ。鈴華。
…ったく、みんなはしゃいじゃって…。ねぇ和泉ーーー」

和泉「な、なななっな何かな！？ 結維ちゃん！！」

結維「…ぇぇぇー……あんたもかい…」



戒「………くだらんな。俺は俺のやり方で強くなる。好きにやらせてもらうぜ」

メアリー「…！
……まぁまぁそう言わずに！！ たまにはこういうのもいいじゃん！？」

火群「…行こうぜ、戒」

和泉「！！
（…火群くんが自分から人を誘うなんて……珍しい…っ）」

千愛「ーーーもしかして、市瀬火群の本命って……彼なんじゃ…」


ｶﾝ☆ｺ-ﾝ!


和泉「！！！」

雫「！！？？」

鈴華「┌（┌ ＾o＾）┐ 」

ニクス「っ！！」

結維「…？」

火群・戒「貴様ら決闘盤を構えろ」


メアリー（息ぴったりじゃん…）

結維「…まぁでも、プロレベルの強い人が二人もいるから、悪くない話だと思うけど？」

戒「……ぐ…っ…、わかっ…た…。参加しよう」

火群「…！」

戒「…ただし！ お前たちとの仲良しごっこに付き合うつもりは無いからな！」

結維（…案外この人もちょろいのね）


メアリー「…じゃあ決まりね♪ 日程は来週の日曜日から一週間！！
場所とか細かい連絡事項は後日連絡するわ！
予定あけといてねー！
…あ、シルバさんから何か今連絡することあります？」



シルバ「……８つだ」


火群「…へ？ そんなにあるんですか」

メアリー「…？
ーーー！！ やばっ！ 全然気づかなかった！！」

火群「…？？？」

シルバ「ーーー来るぞ」

メアリー「…みんな伏せてーっっ！！！」




ﾄﾞｺﾞｫ!!!




激しい爆風と同時に黒い靄が立ち込める。

火群「！！？ なんだ…ッ！？」

やがてその靄が外側から集まり、８体の一ツ目の黒き焔を作り出していく。


シルバ「……地上には警備も居たはずだが……まさか全員倒されたというのか…！」

結維「…敵！？ けど、終焉の焔は攻めてこれないんじゃなかったの！？」

鈴華「……別の敵って事……！？」

雫「…それは考えにくいかと思います…っ！ あの焔の姿は、速攻魔法『終焉の焔』から出て来る『黒焔トークン』の姿そのものですっ！！」

戒「ーー奴ら……やる気だぞ…！！」

シルバ「…敵の数は８体…！ 我々は桜庭和泉を除くと７人……」

和泉「……私も…戦います！」

シルバ「…！」

火群「！？ まて！ 無茶だ和泉！！」

和泉「…無茶でもなんでも、やるしか無いよ！ 護られてるばっかりは嫌だから！！」

火群「ーー！」

和泉「…千愛ちゃん、“右”はよろしくっ！」

千愛「……リン♪ 知らない間に随分たくましくなったわね、和泉ちゃん。
…任せなさい、絶対に勝つわよ」

火群「……！ 和泉…っ」

和泉「…もーっ、心配しすぎ！ 火群くんも、そっちに焔来てるよ！」

火群「！！」

シルバ「ーーーこれで８人…、総員……デュエルスタンバイ！！」


火群「やるしかねぇか…！」【LP 8000】

戒「…雑魚が…、肩慣らし程度にはなると良いな」【LP 8000】

シルバ「……（精霊王……、一体どうなっている……ッ…？）」【LP 8000】

和泉「…私だって…っ！」【LP 8000】

結維「…暴れ足りなかったし、ちょうど良いわね」【LP 8000】

メアリー「…やったろーじゃん…♪」【LP 8000】

雫「…は、はわわわ…っ…！ 終焉の焔が相手なら…っ！ 負ける訳には…っ！」【LP 8000】

鈴華「…え、ちょ、皆さん…！？
……もーっっ！ こうなったらわたくしもやってやりますわっっ！！」【LP 8000】


黒焔トークン「「「………ッ」」」【LP 8000】x８





「「「決闘！！！」」」








To Be Continued…










《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:８９ VS黒焔トークン




＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙