DRAW:１８８ -Mine-　作：人喰い

(188)




〜YAGAMI本社ビル45階・神託の間〜



【Side 火群】



八神【LP 6400】
(モンスター)
『クリフォート・アーカイブ』[ATK 1800]
『クリフォート・ゲノム』[ATK 2400]
『機殻の凍結』[DEF 1000]
(魔法)
『クリフォート・ツール』[♦︎ 9](P)
『機殻の要塞』(フィールド)
(罠)
『機殻の再星』(永続)
伏せ:0
手札:1


マイン【LP 8000】
(モンスター)
『インフェルノイド・リリス』[ATK 2900]＊EPまで効果無効
『インフェルノイド・ヴァエル』[ATK 2600]
伏せ:0
手札:5
墓地:ネヘモスx1、アドラメレクx1、ヴァエルx1、アシュメダイx1、シャイターンx1 デカトロンx1



◉TURN:０２◉






マイン「ーーーーーこの決闘の先に何が“視えている”のかなど、知った事か。
……俺の前に立ち塞がるモノは、…何であろうと焼き尽くす。
………黒焔の中で永遠に眠れーーーーー」




マインの周囲を、ドス黒い焔が包むーーーー


火群「……っ…！」


社長はマインの猛攻を何とか凌いではいるけど…、社長の消耗に対して、ここまでの展開でマインは手札を１枚しか使っていない…っ…！ それにまだバトルも行なっていないーーーーー



マイン「ーーーーーバトルフェイズだ」


その宣言と共に、感じた事の無い殺気が全身を突き刺す。

火群「……ッ…！」


反帝アリーナで俺と戦った時とは比べ物にならない………それだけマインの力が回復してきてるってことか……っ……！



マイン「……ヴァエルッ！！
お前の“抜け殻”ーーーーー『クリフォート・アーカイブ』を破壊しろッ！！」


『インフェルノイド・ヴァエル』
[ATK 2600]
ーーーVSーーー
[ATK 1800]
『クリフォート・アーカイブ』



ヴァエルは緑色の焔を纏った長槍を、アーカイブの“核”に突き立てる。


ｷﾞｷﾞ……ｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ…ｯ


機械音が鳴り響く中、長槍は力強く引き抜かれ、直後に機殻は爆散したーーーーー


八神「……ッッ…！」【LP 6400→5600】


休む間も無く、次の攻撃が繰り出される。


マイン「ーーーーリリスッッ！！ 『クリフォート・ゲノム』を焼き払えッ！」


『インフェルノイド・リリス』
[ATK 2900]
ーーーVSーーー
[ATK 2400]
『クリフォート・ゲノム』


リリスの放った紫焔の熱線はゲノムに直撃し、爆風が立ち込める。


八神「…グ……ッ……！」【LP 5600→5100】

社長は爆風を右手で振り払いながらマインをしっかりと見据える。

八神「……」

曇りのない瞳でーーーーー


マイン「……ッ……」

煙の合間で２人の視線は重なり合い、その一瞬の間だけ、俺には２人が目だけで会話しているように見えた。

火群「……っーーーー」


その直後に表情を曇らせたマインは、拳を固く握りバトルフェイズ終了を宣言する。

マイン「ーーーーーこのバトルフェイズ終了時…ッ…、このターンに攻撃を行った『インフェルノイド・ヴァエル』の効果発動…ッ！
ーーーー貴様の『機殻の凍結』を除外させて貰う…ッ…！」


ヴァエルの長槍が再び刃先に緑色の焔を灯し、機殻の凍結に投擲されるーーーーー


八神「……っ…！」

凍結された“核”は煉獄に燃え、跡形もなく消え去った。


マイン「ーーーーそのカードが３体分の生贄になれるモンスターだという事は当然知っている………最優先で処理させて貰った」


八神「……良い狙いだ。
余程、“第１０のクリファ”を警戒していると視えるーーーー」


火群「……っ…！」

“第１０のクリファ”ーーーーーマインの持つ『インフェルノイド・ネヘモス』に対応したクリフォートか……ッ……！



マイン「……。
………ターンエンドだ」[手札 5]



◉TURN:０３◉


八神「……ワタシのターンーーーーー」[手札 2]


八神「ーーーー『クリフォート・ツール』のP効果を発動……ッ……」【LP 5100→4300】


火群「……っ…」

社長……顔には出さないようにしてるけど、息づかいを見る限り…、明らかに辛そうだ……。
とっくに身体の限界が来ているんじゃーーーーー


八神「……ワタシはデッキから、『クリフォート・アセンブラ』を手札に加えーーーーーPゾーンにセット」[♦︎ 1]


《クリフォート・アセンブラ/Qliphort Monolith》 †
ペンデュラム・通常モンスター
星５/地属性/機械族/攻2400/守1000
【Ｐスケール：青１/赤１】
(1)：自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。
この効果は無効化されない。
(2)：自分がアドバンス召喚に成功したターンのエンドフェイズに発動できる。
このターン自分がアドバンス召喚のためにリリースした「クリフォート」モンスターの数だけ、
自分はデッキからドローする。


『クリフォート・ツール』[♦︎ 9]
・
・
・
『クリフォート・アセンブラ』[♦︎ 1]


八神「これでワタシは、レベル2からレベル8のモンスターが同時に召喚可能ーーーーー」



火群「……っ…！？ どういうことだ……？」

シルバ「Pゾーンにセットされたスケール間の数値のレベルを持つ、手札及びEXデッキに表側で存在するモンスターを、同時に特殊召喚できるのだ。
それこそがーーーーー」



八神「ーーーーーペンデュラム召喚ッッ！！！」


社長の背後で振り子が大きく揺れ、空中に光の弧を描き出すーーーーー

そして光の中から２体のモンスターが姿を現した。


EXデッキ→EXゾーン
『クリフォート・アーカイブ』[ATK 2400→1800]☆6→4

手札→メインゾーン
『クリフォート・ツール』[DEF 2800]☆5


火群「……っ！！ ノーコストで同時に２体の上級モンスターを……っ…！
これがペンデュラム召喚……っ…！！」

しかしそれよりも気になったのは、クリフォート・アーカイブの存在しているモンスターゾーンだ。


火群「……クリフォート・ツールの…、前……！？」

通常、横に5つ並んでいるはずのモンスターゾーンが、それに加えて端から２番目の前にも伸びていたのだ。

火群「…どうなってんだ……あれ…っ…！？」


八神「ーーーーー精霊界と繋がる、時空の歪んだこの地では、決闘システムにも大きく影響を及ぼす……」

火群「…！」

八神「…具体的には、EXデッキからの特殊召喚に制限がかかる。
EXデッキから特殊召喚する際はEXモンスターゾーンにしか召喚できず、そのEXモンスターゾーンは互いに一箇所ずつしか使用できない」

火群「……なんだって…っ…！？」

つまり、ここではEXデッキからの連続展開ができないって事か……っ…！


八神「EXデッキから特殊召喚するモンスターはどれも強力だ。普段は精霊王の加護が働いているから意識していないだろうが、それらを操るには莫大なエネルギーを必要とするーーーーー
それ故、精霊王の加護の行き届かない不安定な空間においては、EXデッキから複数のモンスターを呼び出す為には少しばかり“工夫”が必要なのだーーーーー」

火群「……工夫…？」



八神「ーーーーー今は時間が無い。詳しい話は端折るとしよう。
ーーーーー待たせたな、マイン。決闘続行だ」


マイン「………」


二人は無言で睨み合い、社長は残り１枚の手札に指をかけた。


八神「ーーーーワタシは『クリフォート・アーカイブ』と『クリフォート・ツール』をリリースしーーーーーアドバンス召喚……ッ……！！」


灰色の“核”が光り輝き、機体を成形してゆくーーーーー


八神「現れよ……愚鈍なる第２のクリファ[エーイーリー]ーーーーー『クリフォート・エイリアス』……ッ！！」[ATK 2800]


マイン「……ッ…！」

八神「……エイリアスの召喚成功時、クリフォートをリリースあいて召喚したエイリアスと、リリースされたアーカイブの効果を発動するーーーー」


《クリフォート・アーカイブ/Qliphort Carrier》 †
ペンデュラム・効果モンスター
星６/地属性/機械族/攻2400/守1000
【Ｐスケール：青１/赤１】
(1)：自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。
この効果は無効化されない。
(2)：自分フィールドの「クリフォート」モンスターの攻撃力は３００アップする。
【モンスター効果】
(1)：このカードはリリースなしで召喚できる。
(2)：特殊召喚またはリリースなしで召喚した
このカードのレベルは４になり、元々の攻撃力は１８００になる。
(3)：通常召喚したこのカードは、このカードのレベルよりも
元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果を受けない。
(4)：このカードがリリースされた場合、
フィールドのモンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主の手札に戻す。


《クリフォート・エイリアス/Qliphort Stealth》 †
ペンデュラム・効果モンスター
星８/地属性/機械族/攻2800/守1000
【Ｐスケール：青１/赤１】
(1)：自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。
この効果は無効化されない。
(2)：自分フィールドの「クリフォート」モンスターの攻撃力は３００アップする。
【モンスター効果】
(1)：このカードはリリースなしで召喚できる。
(2)：特殊召喚またはリリースなしで召喚した
このカードのレベルは４になり、元々の攻撃力は１８００になる。
(3)：通常召喚したこのカードは、このカードのレベルよりも
元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果を受けない。
(4)：「クリフォート」モンスターをリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時、
フィールドのカード１枚を対象として発動できる。
そのカードを持ち主の手札に戻す。
この効果の発動に対して、相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。


チェーン②
『クリフォート・エイリアス』
対象→インフェルノイド・リリス

チェーン①
『クリフォート-アーカイブ』
対象→インフェルノイド・ヴァエル



八神「……それぞれ、対象のカードを手札に戻す効果だ。
更にチェーン②で発動したエイリアスの効果に対しーーーーー相手はカードの効果を発動できないーーーー」


マイン「……。（リリスの無効効果、そして墓地の『煉獄の虚無』すらも無視して上手く対処して来やがるとはなーーーーー）
…機殻の再星の効果を受けたリリスは手札に戻らず除外されるーーーー」



『インフェルノイド・リリス』場→除外

『インフェルノイド・ヴァエル』場→手札


マイン[手札 6]

火群「……これでマインの場はガラ空きーーーーー」



八神「ーーーーバトルフェイズ。
『クリフォート・エイリアス』でダイレクトアタック…ッ…！」



『クリフォート・エイリアス』[ATK 2800]


マイン【LP 8000】


マインを守るものは何もなく、エイリアスの攻撃がマインに直撃した。


マイン「……ッッ……！！！」【LP 8000→5200】


マインは二歩、三歩後ずさり上半身をやや落とす。
そして顔を地に向けたまま肩を揺らし笑う。

マイン「……クク……ク…ッ…！」

八神「……」

その様子を社長はただ無表情で見据え、


八神「……ターンを終了する」

そう宣言した。


八神「…そしてこのエンドフェイズ時、『クリフォート・アセンブラ』の効果により、このターンリリースした『クリフォート』モンスターの数だけ、カードをドロー…ッ」[手札 2]



◉TURN:０４◉


社長は何とか持ち直したけど、マインにはまだ6枚の手札と、膨大な墓地アドバンテージがある……っ……崩せるのか…っ？



マイン「…俺のターン、…ドローッ…！！」[手札 7]


マインの引いたカードが邪悪な焔を纏うーーーー

火群「……！！」


マイン「……クク……ククク……！！
“少しは戦えているつもり”かもしれないが……、終焉の焔を舐めるなよ……ッッ！！」

マインはものすごい剣幕で、剥き出しにした“殺意”を解き放った。
目に見える“殺意”は螺旋状に渦巻き、縦横無尽に暴れ回るーーーーー


マイン「ーーーーー貴様ら人間共にも魅せてやる……ッッ…“闇黒の世界”をなァ……ッッ…！！」


そして、高く掲げ上げられたカードにより、その“殺意”はより一層深く濃くなり、辺りを漆黒に染めた。





マイン「フィールド魔法ーーーーー
『闇黒世界ーシャドウ・ディストピアー』
ァァアァッッッ！！！！」





《闇黒世界
あんこくせかい
－シャドウ・ディストピア－/Lair of Darkness》 †
フィールド魔法
(1)：フィールドの表側表示モンスターは闇属性になる。
(2)：１ターンに１度、自分がカードの効果を発動するために自分フィールドのモンスターをリリースする場合、
自分フィールドのモンスター１体の代わりに相手フィールドの闇属性モンスター１体をリリースできる。
(3)：自分・相手のエンドフェイズに発動する。
このターンにこのカードが表側表示で存在する状態でリリースされたモンスターの数まで、
ターンプレイヤーのフィールドに「シャドウトークン」（悪魔族・闇・星３・攻／守１０００）を可能な限り守備表示で特殊召喚する。



メアリー「……Why…！？」


シルバ「…なんだ……あのカードは…ッ…！」


火群「………っっ…！！！」




八神「ーーーーーッ…！」



機殻が漆黒の闇に蝕まれて行く中、煉獄の悪魔は一人喉を鳴らす。


マイン「……クク…ク…ッ！
……誰にも渡すものかーーーーー」



そして拳を固く握り、歪んだ形相で言って魅せた。





マイン「…世界はーーーーー




◉遊戯王 Ph.X◉
ーーDRAW:１８８ーー
《- World is Mine-》




ーーーーー俺のものだ…ッ…！！」








To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１８９ 第１０のクリファ






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙