DRAW:２１８ 混沌の大渦　作：人喰い

(218)



【Side 戒】


〜生命の樹 内部・理解の間←→知恵の間〜


戒【LP 2300】
(モンスター)
『神聖騎士王コルネウス』[ATK 1500]
伏せ:0/手札:2

ヴァルキュルスの機兵【LP 8000】
(モンスター)
『魔轟神ヴァルキュルス』[ATK 2900]
伏せ:0/手札:1
墓地:レイヴン、グリムロ、ケルベラル、ルリーx2、レイジオン、クルス、ディアネイラ、キャシー


魔轟神獣キャシーと天罰、そして魔轟神ディアネイラによって初動を完全に止められてしまった戒は早くも大ダメージを負ってしまう。
しかし新たな騎士達の活躍もありなんとかレベル４のモンスターを2体揃え、新たな騎士王を降臨させたのだった。



機兵「ーーーーー神聖騎士王コルネウス…ッ……それが貴様の新たな切り札か……」

魔神を宿した機兵は黒焔を噴きながら騎士王の姿を観察し始めた。
戒と対戦している決闘機兵ーーーーヴァルキュルス。
機兵の解析能力、そして精霊の知能が合わさった強力な存在であるが、戒は臆せず、カードという名の剣をかざす。

戒「ーーーーーX素材となった『聖騎士コルネウス』の効果により、神聖騎士王はX召喚成功時に効果を発動する！」


●この特殊召喚に成功した場合に発動できる。
このターン自分は通常召喚に加えて１度だけ、
自分メインフェイズに「聖騎士」モンスター１体を召喚できる。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「聖騎士」モンスターしかＥＸデッキから特殊召喚できない。


機兵「…！！ X素材となった時に効果を与えるカード……！」

戒「その効果を使い、手札から『聖騎士ガウェイン』を召喚！！」[ATK 1900]

騎士王の傍に若き騎士が並び立つ。
直後、騎士王の剣が淡い光を帯び、その切っ先がヴァルキュルスを捉えた。


戒「ーーーー神聖騎士王コルネウスの効果発動！！」

(1)：このカードのＸ素材を任意の数だけ取り除き、取り除いた数だけ相手フィールドのカードを対象として発動できる。
そのカードを手札に戻す。

戒「オーバーレイユニットを一つ使い…ッ、ヴァルキュルスーーーー貴様自身をEXデッキへと戻させて貰うッ！！」

機兵「ーーーー！」

振り払われた聖剣。
三日月型の衝撃破が魔神を斬り裂く。

機兵「…グッ……、だが私は何度デモ……ッ！！」

舞い上がったヴァルキュルスのカードを右手で受けながら、機兵は唸る。

戒「…俺は手札の『聖剣ガラティーン』をコルネウスに装備！！」

《聖剣
せいけん
ガラティーン/Noble Arms - Gallatin》 †
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。
このカード名の(3)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：「聖剣ガラティーン」は自分フィールドに１枚しか表側表示で存在できない。
(2)：装備モンスターの攻撃力は１０００アップし、自分スタンバイフェイズ毎に２００ダウンする。
(3)：フィールドの表側表示のこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、
自分フィールドの戦士族の「聖騎士」モンスター１体を対象として発動できる。
その自分の戦士族の「聖騎士」モンスターにこのカードを装備する。

『神聖騎士王コルネウス』[ATK 1500→2500]

多少なりとも機兵の予想の範疇を超えた展開で進んでいるこの好機を戒は逃さず、すぐさまバトルを仕掛ける。

戒「ーーーガウェイン！ヤツを直接攻撃しろ！！」

『聖騎士ガウェイン』[ATK 1900]

駆け迫り、聖剣の重い一撃が振り下ろされた。

機兵「…グ…ガァァ…ァァッ！！」【LP 8000→6100】

仰け反り、体勢を立て直す間も無く、続くは騎士王の攻撃。

戒「……神聖騎士王コルネウスの攻撃！！
轟けッ！！！
〝キングダム・ヘリテージ・セイバー〟ッッ！！！！」

『神聖騎士王 コルネウス』[ATK 2500]

機兵が正面を向き直す頃には、既に眼前まで迫る聖剣ーーーーー

機兵「……ッ！！」

そして剣は振り払われる。機兵には受け身を取る余裕も無い。4メートル弱吹き飛び突き当たりの壁へと大きく音を立てて衝突した。

機兵「……ッッ…ガ…ッッ…グァギァ…ッッ！！」【LP 6100→3600】


先手を取られはしたものの、戒も負けじとライフを取り返す。
お互いにリソースをかなり荒消費しながらの一戦。ここから勝負を分ける大きな要因は、デッキトップの“引き”ーーーー

戒「ーーーーターンエンドだ」[手札 0]

◉TURN:０２◉

機兵「……ッ…」

機兵は立ち上がり、再び戒との距離を詰めながら、デッキの上に指をかけ、

機兵「……私のターン…ッ！！」【手札 2】

そのまま勢い良くカードを引き、機体の節々から噴かす黒焔がより一層燃え上がる。

機体「ーーーー私の引いたカードは、魔法カード『貪欲な壺』！！」

至極当たり前の様に引かれたカードは間髪入れず発動され、戒は僅かに眉を寄せる。


《貪欲
どんよく
な壺
つぼ
/Pot of Avarice》 †
通常魔法
(1)：自分の墓地のモンスター５体を対象として発動できる。
そのモンスター５体をデッキに加えてシャッフルする。
その後、自分はデッキから２枚ドローする。


機兵「……簡単に負けるつもりナド無い…！！！
私は墓地のモンスター５体をデッキに戻しーーーー」

『魔轟神レイジオン』
『魔轟神レイヴン』
『魔轟神グリムロ』
『魔轟神ルリー』
『魔轟神ルリー』

機兵「ーーーーソシテ2枚のカードをドローする！！！」[手札 3]

戒「……！」

機兵は引いたカードを横目で確認すると、瞬時に展開のプランを立てたようで、迷いなく１枚のカードに指をかける。

機兵「ーーー『魔轟神レイヴン』を召喚！！」[ATK 1300]☆2 チューナー

機兵「……そして、レイヴンの効果発動！！
手札から2枚のカードを捨て、自身のレベルと攻撃力を上昇させる！！」

手札→墓地
『魔轟神クシャノ』
『魔轟神ルリー』

『魔轟神レイヴン』☆2→4 [ATK 1300→2100]

戒「…手札から捨てられた時に蘇生できる☆1非チューナーと…、もう一方は始めて見るカード……。
あいつも捨てられた時に発動できるモンスターか…？」

機兵「…マァ、楽しみにしているんだな…！
まずはルリーが自身の効果により復活スル！！」[DEF 400]☆1

レイヴンのレベルが上がった事で、盤面のレベルの合計は、5。

戒「……！」

戒は身構え、腰を落とす。

機兵「ーーーーシンクロ召喚！！
再び現れよ！！ レベル5ーーーー『魔轟神レイジオン』！！」[ATK 2300]☆5

機兵[手札 0]

機兵「このシンクロ召喚成功時、私は手札が2枚になるようにドローする！！」[手札 2]

ここで引くカードすらも思い通りと言わんばかりに、機兵はノータイムでプレイを続行する。

機兵「墓地の『魔轟神クシャノ』の効果を発動！！」

《魔轟神クシャノ/Fabled Kushano》
チューナー（効果モンスター）
星３/光属性/悪魔族/攻1100/守 800
このカードが墓地に存在する場合、
手札から「魔轟神クシャノ」以外の「魔轟神」と名のついたモンスター１体を
墓地へ捨てて発動できる。
墓地のこのカードを手札に加える。


機兵「手札の『魔轟神クルス』を捨て、墓地のこのカードを手札に戻す！」

このプレイの早さ、そして引きの強さは単に決闘経験の深さから来るものではない。
精霊が生まれた時から持つーーーーカードとの強い繋がり。それが引きの強さに直結し、自分の手足の様にデッキを操る力の源なのだ。
元はカードの精霊だったマインが、人離れした強さを発揮できるのも、それに起因している。

機兵「手札から捨てられたクルスの効果により、墓地のレイヴンよ……ッ 復活セヨ！！」[ATK 1300]☆2 チューナー

更に、と機兵は続ける。

機兵「…レイヴンの効果！！ 手札を1枚捨てレベルと攻撃力を上昇…！」

手札→墓地
『魔轟神獣ケルベラル』

『魔轟神レイヴン』☆2→3 [ATK 1300→1700]

機兵「…ルリー同様、手札から捨てられたケルベラルは復活！！」[ATK 1000]☆2チューナー

戒「…来るか…！」

機兵「レベル5のレイジオンに、レベル3となったレイヴンをチューニング！！」

光の輪に星が連なり、溢れる力が天地を揺るがすーーーーー


機兵「ーーーーシンクロ召喚！！
レベル8！！『魔轟神ヴァルキュルス』！！！」[ATK 2900]


再び現れた魔神の放つプレッシャーを全身で受けながら、戒は僅かに笑みを漏らす。

戒「…そうこなくてはな…ッ…！」

機兵「……その余裕…ッ……すぐに打ち砕いてくれる……！！ ヴァルキュルスの効果発動！！ 手札の悪魔族モンスター、クシャノを捨て、１枚ドロー！！」

戒「…！」

クシャノの効果に、ターン１回の制約は無い。つまりーーーー

機兵「ーーーー墓地のクシャノの効果！！
手札の『魔轟神ケルベラル』を捨て、墓地の自身を手札に戻す！
そして墓地へ捨てられたケルベラルは復活！！」[ATK 1000]

戒「……またチューナーを展開した…？

警戒を緩めない表情の戒。機兵は淡々と流れる様な動作でプレイを続ける。

機兵「レベル8の『魔轟神ヴァルキュルス』に、レベル2の『魔轟神獣ケルベラル』をチューニング！！」

光の輪に星が連なり、溢れる力が天地を揺るがすーーーー

機兵「ーーーーシンクロ召喚！！
混沌の狭間より現れよ…ッ！！
レベル10ーーーー『魔轟神レヴュアタン』！！！」


《魔轟神
まごうしん
レヴュアタン/Fabled Leviathan》 †
シンクロ・効果モンスター
星１０/光属性/悪魔族/攻3000/守2000
「魔轟神」と名のついたチューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
自分の墓地の「魔轟神」と名のついた
モンスターを３体まで選択して発動できる。
選択したモンスターを手札に加える。


戒「……！ レベル10のシンクロモンスターだと…ッ…！」

機兵「これだけでは無イ…！！ 手札カラ魔法カード『死者蘇生』を発動！！
私は墓地より蘇る！！」

『魔轟神ヴァルキュルス』[ATK 2900]

並び立つ２体の魔神を前に、それでも戒の瞳は揺るがない。

機兵「…加減ナドシナイ……混沌ノ淵に沈めェ！！」

見えているのは、目の前の勝利のみ。















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:２１８ーーー
《混沌の大渦》















機兵「ーーーーバトルフェイズッ！！
まずはレヴュアタンでガウェインを攻撃！！」

『魔轟神レヴュアタン』
[ATK 3000]
ーーーVSーーー
[ATK 1900]
『聖騎士ガウェイン』

機兵が手を突き出すと、腕から噴き出す黒焔が勢いを増し、辺りが灼熱の空気に包まれる。

戒「……ッ…！」

そして戒は、眼前に立ち塞がる巨大な魔神の掌に邪悪なエネルギーが集まっていく様子を見上げ、拳を握った。
直後放たれたエネルギー弾はガウェインに直撃。衝撃の余波が戒を襲う。

戒「ーーーーッッぐァァッッ！！」【LP 2300→1200】

機兵「まだ私の攻撃が残っている…！！
コルネウスを滅殺せよ！！
〝魔轟・雷天破〟！！」

『魔轟神ヴァルキュルス』
[ATK 2900]
ーーーVSーーー
[ATK 2500]
『神聖騎士王コルネウス』

雷鳴が轟くと同時に、激しい落雷がコルネウスに襲いかかる。

戒「……！！」

圧巻の破壊力。
とても受け切れるものではない。

戒「……ッッ…！！」【LP 1200→800】

僅かに削られるライフ。しかしたかが400といえど、今の戒の残りライフでみれば決して無視できない数値だ。

機兵「……クク…！ ソノ残り少ないライフで攻撃表示は失敗だったな…！
残り800のライフを刈り取る事など私には容易い…！」

その場に膝をつき、胸を押さえながら俯く戒を嘲笑う様に機兵は言う。
しかし一呼吸置いて、

戒「ーーーーコルネウスの効果…ッ！！」

顔を上げながら宣言、地に落ちたコルネウスの剣が光り輝く。

(2)：このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。
「神聖騎士王コルネウス」以外の「聖騎士」ＸモンスターをＸ召喚扱いとしてＥＸデッキから特殊召喚し、
墓地のこのカードを下に重ねてＸ素材とする。

戒「ーーーーそれだけじゃない！
墓地の『Heritage of the Chalice』の効果発動ッ！」

《-/Heritage of the Chalice》
(2)：このカードが墓地に存在し、
「聖剣」装備魔法カードを装備した自分の「聖騎士」モンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。
墓地のこのカードを手札に加える。

機兵「…ッ…何ーーーーー」


チェーン②『Heritage of the Chalice』

チェーン①『神聖騎士王コルネウス』

戒「聖剣を装備した聖騎士が戦闘で破壊された事で、墓地の『Heritage of the Chalice』を手札に戻す！！ そしてーーーーー」

倒れたコルネウスが光の球となって、渦を巻く様に宙を舞い始める。

機兵「…ッ……何が起こっている…！？」

やがて渦中に1本の聖剣と1人の青年が現れ、青年は聖剣を力強く握りしめた。

戒「ーーーーー騎士王の意思は受け継がれる……！！
EXデッキより現れろ！！
『聖騎士王アルトリウス』！！！」[ATK 2000]

《聖騎士王
せいきしおう
アルトリウス/Artorigus, King of the Noble Knights》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク４/光属性/戦士族/攻2000/守2000
レベル４「聖騎士」モンスター×２
(1)：このカードがＸ召喚に成功した時、
自分の墓地の「聖剣」装備魔法カードを３枚まで対象として発動できる（同名カードは１枚まで）。
そのカードをこのカードに装備する。
(2)：１ターンに１度、このカードのＸ素材を１つ取り除いて発動できる。
自分フィールドの「聖剣」装備魔法カードの数まで、
フィールドの魔法・罠カードを選んで破壊する。


機兵「…馬鹿な…！！ 破壊された自身を素材にエクシーズ召喚だと…ッ！？」

機兵が驚きの声を上げるも束の間、騎士王の降臨とともに墓地から3本の聖剣が現れる。

『聖剣ガラティーン』
『天命の聖剣』
『聖剣アロンダイト』

戒「…チェーン①でコルネウスの効果により特殊召喚したアルトリウスの効果はタイミングを逃さず発動できる…！！
墓地の聖剣3種類までをアルトリウスに装備できる！！」

『聖騎士王アルトリウス』[ATK 2000→3000]
@『聖剣ガラティーン』
『天命の聖剣』
『聖剣アロンダイト』

騎士王の聖剣に輝きが灯り、辺りを光が包んで行くーーーーー

機兵「……ッ…ヴァルキュルスの効果…！ 手札のクシャノを捨て、１枚ドロー！！
……ッ…私はカードを1枚伏せてターンエンドォォ！」[手札 0]

◉TURN:０６◉

戒「……俺のーーーターンッ！！」[手札 2]

機兵（奴の手札の内1枚は、デッキ・墓地より『聖剣』カードまたは『聖騎士』モンスターを手札に加える魔法カード『Heritage of the Chalice』……今引いた1枚によっては、盤面が返される可能性もあるかーーーー）

機兵「…レヴュアタンは破壊された時に墓地の魔轟神３体を手札に戻す効果がある…！
例え盤面を返されたとしても、すぐにリカバリーが効くーーーーー」

戒「……」

機兵「……さァ、どこからでも来るがいい…！！」

余裕のある口ぶりの機兵に、戒は呆れたように、

戒「……何か勘違いをしていないか…？」

一言、そう言った。

機兵「……ッ…！？」

とても冷たく、吸い込まれそうな瞳。

戒「ーーーー何の為に思い切った勝負に出たと思っている…！」

確かに残り2300というライフ、敵の力量や情報不足を考えても、安全策を取るのが自然だ。
ましてこれは闇のゲーム。自分のライフを削るというのは、そのまま自分の命を削るという事である。しかしそれでも戒は自分の身を顧みず、攻めの姿勢を崩さなかった。
自らのライフ[肉]を斬らせ、相手のライフ[骨]を断つ道を選んだのだ。

戒【LP 700】

機兵【LP 3600】

最初のターン、初動のテンポを大幅に遅れさせられた時点で、既に気付いていたのだ。
長期戦になってはこの決闘に勝つ事は難しいと。

戒「ーーーーこのスタンバイフェイズ時、ガラティーンの効果によりアルトリウスの攻撃力は200下がる」

『聖騎士王アルトリウス』[ATK 3000→2800]

戒「そして俺の引いたカードは、『聖騎士ボールス』！！ 通常召喚！」[ATK 1700]


《聖騎士
せいきし
ボールス/Noble Knight Borz》 †
効果モンスター
星４/光属性/戦士族/攻1700/守 900
(1)：このカードはモンスターゾーンに存在する限り、通常モンスターとして扱う。
(2)：このカードが「聖剣」装備魔法カードを装備している限り、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードはレベルが１つ上がり闇属性になる。
●自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「聖剣」カード３枚を相手に見せ、相手はその中からランダムに１枚選ぶ。
そのカード１枚を自分の手札に加え、残りを墓地へ送る。
このカード名のこの効果は１ターンに１度しか使用できない。


機兵「…ドローカードはボールスか…ッ…。
だがそれよりもーーーー」

戒はこのターンに決着をつけるつもりでいる。

機兵「…一体、何をするつもりダ…ッ」

そしてもう一つの疑問。
コルネウスが破壊された時の効果で、なぜモンスター除去効果を持つランク5のアルトリウスではなく、魔法罠除去効果を持つランク4のアルトリウスを呼び出したのか。という疑問。
その時点では伏せカードは存在せず、機兵の手札は公開情報の『魔轟神クシャノ』1枚のみであった。そんな状況でランク4アルトリウスを選択する理由があるとすればーーーーー


戒「ーーーーアルトリウスの効果発動！！
オーバーレイユニットを1つ使い、場の聖剣の数まで、フィールドの魔法罠カードを破壊する！！」


機兵「……ッ…チェーン発動は無イ…！」


光り輝いた聖剣は目にも止まらぬ速さで振り抜かれ、真空波が一瞬にしてフィールドの魔法罠ゾーンを斬り裂いた。

機兵の場からは、伏せカードの『バージェストマ・ディノミスクス』が破壊され、
戒の場からは『聖剣アロンダイト』と『天命の聖剣』の2枚が破壊された。

機兵「…自分の聖剣を破壊…！！ やはりか……ッ…！」

戒「……今更気づいても遅い…ッ！ 破壊された『天命の聖剣』をボールスに装備！」

『聖騎士ボールス』[ATK 1700]
@『天命の聖剣』

戒「そしてボールスの効果発動！！」

●自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「聖剣」カード３枚を相手に見せ、相手はその中からランダムに１枚選ぶ。
そのカード１枚を自分の手札に加え、残りを墓地へ送る。
このカード名のこの効果は１ターンに１度しか使用できない。

宣言と共に戒はデッキから3枚の聖剣を引き抜き、公開する。

『聖剣クラレント』
『聖剣カリバーン』
『聖剣を抱く王妃ギネヴィア』

その後、そのカード達は裏側でシャッフルされ、機兵の前に現れた。

戒「…さぁ、この中から1枚を選べ。お前の運命を、そしてこの決闘の勝敗を決める最後の選択だ」

機兵は促され、一瞬の迷いを要したものの、すぐに意を決し無言のまま1番右のカードを指差した。

選択されたカードは戒の手札に加わり、

戒「…！」

残りの2枚は墓地へと送られた。

デッキ→墓地
『聖剣クラレント』
『聖剣を抱く王妃ギネヴィア』


墓地へ落ちたギネヴィアを見て、機兵は表情を曇らせる。

機兵…手札に加わったのはカリバーン…、そして墓地にはギネヴィア……！ だがーーーー」

それでもやはり、『魔轟神レヴュアタン』と『魔轟神ヴァルキュルス』を突破しつつ3600のライフを削りきる事など本当にできるのか、という最後の疑問が機兵の中に渦巻き消えない。

機兵「…しかしーーーー」

戒の目を見ながら、機兵は続ける。

機兵「ーーーー貴様のその目……その目は…、相手のライフを刈り取る“修羅の目”……。
…貴様には見えているというのか……ッ……目の前の相手のライフが尽きるその瞬間がーーーー」


戒「…………フッ…」

戒は小さく笑い、

戒「……馬鹿げたことを言うな」

呆れたように言いつつ残り1枚の手札を掲げ、高らかに叫ぶ。

戒「ーーーーー魔法発動…！！
『Heritage of the Chalice』！！」

それは、デッキ・墓地から『聖剣』カード1枚または『聖騎士』モンスター1体を手札に加えるカード。

戒「…俺が手札に加えるのは、墓地に眠る『聖剣クラレント』！！」

機兵「…！」

戒「……そして墓地のギネヴィアの効果を発動！！」

《聖剣
せいけん
を抱
いだ
く王妃
おうひ
ギネヴィア/Gwenhwyfar, Queen of Noble Arms》 †
効果モンスター
星２/光属性/魔法使い族/攻 300/守 300
「聖剣を抱く王妃ギネヴィア」の(1)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドの「聖騎士」モンスター１体を対象として発動できる。
手札・墓地のこのカードを攻撃力３００アップの装備カード扱いとして
その自分のモンスターに装備する。
(2)：装備モンスターの属性によって以下の効果を得る。
●光：装備モンスターが効果で破壊される場合、
代わりにこのカードを破壊できる。
●闇：装備モンスターが相手モンスターと戦闘を行う
ダメージステップ開始時に発動できる。
そのモンスターを破壊する。
その後このカードを破壊する。

戒「……ギネヴィアを攻撃力300アップの装備カード扱いとしてアルトリウスに装備する！！」

『聖騎士王アルトリウス』[ATK 2800→3100]

戒「…更に手札の『聖剣カリバーン』と『聖剣クラレント』をアルトリウスに装備！！」

『聖騎士王アルトリウス』[ATK 3100→3600]
@『聖剣カリバーン』
『聖剣クラレント』
『聖剣ガラティーン』
『聖剣を抱く王妃ギネヴィア』


機兵「…ッ…！」

更に、と、トドメに戒は告げる。

戒「…『聖剣クラレント』の効果発動ッ！！」


《-/Noble Arms - Clarent》 †
日本語訳
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。
このカード名の(3)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：「Noble Arms - Clarent」は自分フィールドに１枚しか表側表示で存在できない。
(2)：１ターンに１度、５００ＬＰを払って発動できる。
このターン、装備モンスターは直接攻撃できる。
(3)：フィールドの表側表示のこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、
自分フィールドの戦士族の「聖騎士」モンスター１体を対象として発動できる。
その自分の戦士族の「聖騎士」モンスターにこのカードを装備する。


戒「…500のライフを支払うことでーーーー」【LP 800→300】

戒「ーーーーこのターン、装備モンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる！！」


機兵「…っ！！？」

戒「ーーーーーバトルフェイズ！！」

宣言、そして刹那。

騎士王は魔轟神達の間を一瞬で駆け抜け、機兵の前で聖剣を高く掲げる。

機兵「…なるほど…な…ッ……」【LP 3600】

『聖騎士王アルトリウス』[ATK 3600]


機兵「…最初カラ、これを狙っていたという訳カ……！」


戒「ーーーーー闇を…………断ち斬れッッ！！！！」





戒「ーーーーー〝キングダム・セイバー〟！！！」


力強い雄叫びと共に聖剣は振り下ろされた。




機兵【LP 3600→0】





＊＊＊





戒「ーーーー時には思い切った勝負に出る事も必要だ…。勝利を得る為にはな。
…………さて、誰のセリフだったか」


言いつつ、決闘モードの解除と共に鈴華の元に向かおうとする戒だったが、倒れ伏す決闘機兵の脇を過ぎる際に、

戒「……？」

ふと足を止め、振り返る。


戒「……なんだ…アレは…？」







To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:２１９ 正義の味方






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙