DRAW:８７ 斬り開いた未来　作：人喰い

(87)




戒「ーーー天地の狭間より現れろッ！！
『カオス・ソルジャー-開闢の使者-』ッッ！！！」[ATK 3000]

《カオス・ソルジャー －開闢
かいびゃく
の使者
ししゃ
－/Black Luster Soldier - Envoy of the Beginning》 †
特殊召喚・効果モンスター（準制限カード）
星８/光属性/戦士族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地から光属性と闇属性のモンスターを１体ずつ除外した場合に特殊召喚できる。
このカードの(1)(2)の効果は１ターンに１度、いずれか１つしか使用できない。
(1)：フィールドのモンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを除外する。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
(2)：このカードの攻撃で相手モンスターを破壊した時に発動できる。
このカードはもう１度だけ続けて攻撃できる。




戒【LP 1800】
場:『カオス・ソルジャー -開闢の使者-』[ATK 3000]
『神聖騎士王アルトリウス』[ATK 3500]
@『聖剣ガラティーン』
『聖剣 EX-カリバーン』
『天命の聖剣』
『聖剣を抱く王妃ギネヴィア』
伏せ:0
手札:0

シルバ【LP 7800】
場:『超戦士カオス・ソルジャー』[ATK 3000】
伏せ:0
手札:1


◉TURN０５◉



戒「……開闢の使者の効果発動！！ このカードの攻撃を放棄する代わりに、超戦士カオス・ソルジャーをゲームから除外する！！」

シルバ「……ッ…！」

戒「…これで場はガラ空きになった…ッ！ バトルだ！！ 神聖騎士王アルトリウスで、ダイレクトアタック！！
〝キングダム・クロス・セイバー〟！！！」


騎士王は双剣を掲げ、突進する。
聖剣は風を受けて光を帯び、その目にも留まらぬ斬撃は十字を描いた。















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:８７ーーー
《斬り開いた未来》
















シルバ「……ッ…ッッッ！！！」【LP 7800→4300】


戒「…はぁ…ッ、はァ……ッ！
ターン…エンドだ
…！」【手札 0】


◉TURN０６◉


シルバ「……少年。一つ聞いていいか」

戒「……？」

シルバ「WDCSに優勝して、何を願うつもりだった…？」


戒「ーーー雷鳥の中に囚われた『白河 優香』を取り戻す事が、俺の願いだった」

シルバ「…そうか。それを聞けて、お前達の強さに納得した」

戒「……」

シルバ「…すまない、決闘の途中だったな。
俺のターン、ドロー」【手札 2】

シルバ「手札から、『闇の誘惑』を発動…！！ 俺はデッキから２枚ドロー、
その後、手札の闇属性モンスター『混沌の使者』をゲームから除外する」【手札 2】

戒「…！」

シルバ「……ここでこのカードを引き込んだのも運命の導きか…。行くぞ……斬波少年…ッ！
魔法発動！『原初の種』！！」


《原初
げんしょ
の種
たね
/Primal Seed》 †
通常魔法（制限カード）
「カオス・ソルジャー　－開闢の使者－」または「混沌帝龍　－終焉の使者－」が
フィールド上に存在する場合に発動する事ができる。
ゲームから除外された自分のカード２枚を自分の手札に加える。


戒「原初の種だと…！？」

シルバ「…このカードは、自分か相手の場に開闢の使者か終焉の使者がいなければ発動できないカード…。本来は自分で開闢の使者を呼び出して発動する為に採用したカードだが……今回ばかりは運命の悪戯か知らないが、お前の力を借りる事になったな」

戒「……っ！」

シルバ「そしてその効果により、除外されている『超戦士カオスソルジャー』と『混沌の使者』を手札に加える！！」【手札 3】

シルバ「続いて魔法カード『おろかな埋葬』を発動！ デッキから『宵闇の騎士』を墓地へ送る」

シルバ「更に、墓地の『超戦士の儀式』の効果を発動！ 墓地のこのカードと、光属性モンスター、闇属性モンスターをそれぞれ１体ずつ除外し、儀式召喚を行う…ッ！ 墓地の宵闇の騎士と開闢の使者を除外…！
手札より現れろ！『超戦士 カオス・ソルジャー』…ッ！！」[ATK 3000]


戒「ーーーッ！」

シルバ「……バトルだ……ッ、行くぞ…ッ！
超戦士 カオス・ソルジャーでカオス・ソルジャー-開闢の使者-を攻撃！！
〝天地・双滅斬〟！！！」

戒（…原初の種で超戦士と一緒に混沌の使者も手札に戻している…！）

シルバ「手札の混沌の使者を捨てる事で、超戦士の攻撃力は1500ポイントアップする…！！」[ATK 3000→4500]

戒（…そして超戦士には、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える効果が…ッ）


『超戦士カオス・ソルジャー』
[ATK 4500]
ーーーVSーーー
[ATK 3000]
『カオス・ソルジャー-開闢の使者-』


戒（ここまでかーーー）



超戦士の混沌に煌めく剣が開闢の使者を打ち倒し、戒とシルバ、断罪の剣と次元の剣の決闘は幕を閉じた。



戒「ーーーッッ」【LP 1800→0】




【Winner:シルバ】






＊＊＊




火群「……戒ッ！」

戒「…市瀬か。見ていたのか」

火群「…ああ、すげぇ良い決闘だった！」

戒「…慰めなどいらん」

戒（…それにあの人は、実力を半分も出していたかどうかすら怪しい。少なくとも、本気で無かった事は確かだ…）

火群「…なんでそんなに暗い顔してるんだ？」

戒「…お前には関係のない事だ。俺はもう行く。
シルバさん、対戦…ありがとうございました」

シルバ「……今の決闘で、道は開けたか？」

戒「……道ならあの時、貴方からこのデッキを受け取った時にすでに斬り開けていた」

シルバ「……そうか…」

戒「…だが、その先の未来には、絶望しかなかった。そしてその絶望を乗り越える為に俺は戦ってきた」

火群「………戒…」

戒「しかし俺は前に進む度に、何かを成す為に必要な、『他者を思いやり、仲間を信じる気持ち』を忘れていたんだな……」

シルバ「…」

戒「決闘の中で、自分のデッキの仲間を信じきれていなかった。けどここで貴方に負けたおかげで、俺はまだ強くなれると、まだ上に昇れるとわかった。
シルバさんーーーいつか必ず貴方を超えてみせる」

火群「！」

シルバ「……随分大きく出たな。その日を楽しみにしている。
（こういうところは……、やはり『無双』の息子か…っ）」

戒「……それでは、失礼します」

火群「…！ 戒！ どこ行くんだよ…？」

戒「…馬鹿、次の相手を探しに行くんだよ。
というか俺の心配より自分の心配をしたらどうだ？ その様子だと調子が良い様には見えないが」

火群「…う…っ、それはそうなんだけど…。
…あー、あとさ、最後に…変なこと聞くけど………今、ワクワクしてるか…？」

戒「……恐らく、そうだろうな」

火群「…！」

戒「……市瀬、お前との約束……忘れてないぜ。
終焉の焔との戦いが終われば、次は俺たちの決着を付ける番だ。
……それまで精々腕を磨いておけ」

火群「…おうッ！」


戒は一瞬振り返り、少し満足気に笑ったかと思うと、静かに次の対戦相手を探す為に歩いて行った。



火群「…さて、と」

シルバ「……挑戦なら受けるぞ。市瀬火群」

火群「…ええ…！ 是非お願いします！！」







＊＊＊







【火群side】

こうして決闘三昧の１日は終わった。
そして時刻は夜7時を回り、皆が帰ろうとしていたところーーー


シルバ「お前たち、少し時間いいか？」


シルバさんから、俺たち（火群、和泉、結維、鈴華、雫、戒、メアリー）に声がかかった。

火群「…どうしたんですか？ シルバさん」

シルバ「……お前たちはあのWDCSの会場で実際に終焉の焔を目の当たりにしている。奴らの実力をある程度知っているはずだ」

火群「…はい」

シルバ「…特に奴らのボス、マインと戦った、『市瀬火群』と『桜庭結維』……奴との決闘で何を感じた？」

結維「……とにかく憎悪の念が凄くて…。
全てを見透かしてる様な彼の漆黒の眼……不気味で仕方がなかった」

シルバ「……なるほどな、次、市瀬はどうだ？」

火群「……俺は、途中ニクスの助けがあったから、なんとか戦えてたってところはあるかもだけど、あそこで奴のデッキを知れたっていうのはとても大きいと思う」

シルバ「…それはそうだが、次も全く同じデッキで来るとも限らないぞ」

火群「…む……確かに…」

シルバ「ーーーデッキの枚数を２０枚ほど増やして来ることも考えられる」

火群「！？ ６０枚デッキにするってことか！？」

結維「…けどそれって、物凄い事故率が伴うんじゃない…？」

千愛「…まさか…！ “あのカード”まで持ち出したっていうの…！？」

シルバ「…精霊さんは察しがいいな」

千愛「…けどそれだと、計3種ものカードを盗み出したって事になるわよ…！？」

シルバ「…精霊王の話によると間違いないらしい」

千愛「そんな…っ！」

鈴華「…え…？ ちょっと話が全然わかんないんですけど…」

シルバ「…そうだな、丁度いい。その話もここでしていこう」

火群「…！」


シルバ「ーーー“禁忌のカード”の話を」






To Be Continued…










《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:８８ 禁忌のカード




＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙