DRAW:１７４ 私の中の白と黒　作：人喰い

(174)


ーーー終焉の焔襲撃の前日。

〜積木町・病院〜


鈴華「ーーーーそれじゃあママ。私、もう行くね……決闘機兵ファクトリーに」

鈴音「……行っちゃうのね、鈴華」

鈴華「…うん、守らなきゃ。パパやママが大切に積み上げてきたものを、悪い奴らになんか絶対渡せない。
ーーーー私自身の手で守りたいの」

鈴音「…そう。
行くのは構わないけど、絶対に生きて帰ってくると約束して」

鈴華「……ええ、もちろんっ！
…ですわっ！」

鈴音「…ふふっ、信じてるわ。鈴華。
……それからこれ、御守りに持って行きなさい」

鈴音から手渡されたのは、１枚のモンスターカードーーーーー

鈴華「…！ これ……っ！ この間ママが開発してるって言ってたーーーーー！」

鈴音「…ええ、鈴華の為に研究・開発したカードよ。
急ぎで手配して、なんとか出発の前に間に合わせたの」

鈴華「…で、でも、このカードの使い方、まだ私にはわからないよ……っ…！」

鈴音「……だから、“御守り”って言ったでしょ？
エクストラデッキに入れておくといいわ。
きっと鈴華を護ってくれるはずよ」

鈴華「……わかった…っ！
ママーーーーありがとう…っ！
行ってきますっ！」















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１７４ーーー
《私の中の白と黒》
















〜決闘機兵ファクトリー・B1F格納庫〜


星奈「ーーー自己紹介がまだだったねっ！
あたしは、終焉の焔・上層『伍召焔(ごしょうえん)』のエクシーズ担当！
ーーー《星火燎原-ｽﾀ-ﾗｲﾄ☆ﾋﾞｯｸﾞﾊﾞﾝ-》ーーー
『常盤 星奈(ときわ せな)』だよっ！
よろしくねっ！彡☆」


鈴華「……私は鈴華…！『西蓮寺 鈴華(さいれんじ すずか)』ですわ…っ！！」


鈴華は涙を拭い、決闘盤を起動させる。

鈴華【LP 8000】

星奈【LP 8000】



「「ーーーー決闘！！」」


鈴華（……この決闘…っ…！！ 絶対に負けられない……っ…！！）


鈴華（私の手でーーーーこの場所を護るっ！！）





……………



〜積木町・ネットカフェ〜


和泉「………っ……」

爽香「…急にどうしたの和泉ちゃん…！？ 顔色悪いよ！？」

和泉「…なんか……嫌な予感がするんです…っ…！」

爽香「……っ？」

和泉「…うまく言えないんですけど…、大切な友達が…っ…いなくなってしまうようなーーーーそんな感覚……っ…」

爽香「……それってどういうーーーー」

和泉「ーーーーとにかく、私……行ってきます…っ！！」

和泉は震える手をぎゅっと握り、立ち上がる。

爽香「…え、ちょっ、待っ……！」

和泉「…ごめんなさい明石さんっ！ お代は後で必ず払いますので！」

爽香「…えっ…！ そういう事じゃなくてーーーー」

爽香の言葉を聞くより前に、和泉は早足で出て行ってしまう。


爽香「……行っちゃった…！
精霊が付いてるとはいえ、流石に危険でしょ…！
…えと、一応知らせておくか…っ、無理させるのは良くないけどーーーー」







……………





〜決闘機兵ファクトリー・B1F格納庫〜


◉TURN:０１◉


鈴華「……私のターンっ！！」[手札 5]


鈴華「…私は、魔法カード『おろかな埋葬』を発動！」

《おろかな埋葬
まいそう
/Foolish Burial》 †
通常魔法（制限カード）
(1)：デッキからモンスター１体を墓地へ送る。

鈴華「この効果でデッキから『エクリプス・ワイバーン』を墓地へ送りますわ！」

鈴華「ーーーそして墓地へ送られたエクリプス・ワイバーンの効果！！」


《エクリプス・ワイバーン/Eclipse Wyvern》 †
効果モンスター
星４/光属性/ドラゴン族/攻1600/守1000
(1)：このカードが墓地へ送られた場合に発動する。
デッキから光属性または闇属性のドラゴン族・レベル７以上のモンスター１体を除外する。
(2)：墓地のこのカードが除外された場合に発動できる。
このカードの(1)の効果で除外されているモンスターを手札に加える。


鈴華「…私はデッキの『ダーク・アームド・ドラゴン』を除外！」


鈴華「そして続けて魔法カード『光の援軍』を発動！」

《光
ひかり
の援軍
えんぐん
/Charge of the Light Brigade》 †
通常魔法
(1)：自分のデッキの上からカードを３枚墓地へ送って発動できる。
デッキからレベル４以下の「ライトロード」モンスター１体を手札に加える。


コスト
デッキトップ→墓地
『ダークフレア・ドラゴン』
『闇の誘惑』
『ファントム・オブ・カオス』



鈴華「…デッキから『ライトロード・アサシン ライデン』を手札に加えて、通常召喚！」


《ライトロード・アサシン ライデン/Raiden, Hand of the Lightsworn》 †
チューナー・効果モンスター
星４/光属性/戦士族/攻1700/守1000
「ライトロード・アサシン ライデン」の(1)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分メインフェイズに発動できる。
自分のデッキの上からカードを２枚墓地へ送る。
この効果で墓地へ送ったカードの中に「ライトロード」モンスターがあった場合、
このカードの攻撃力は相手ターン終了時まで２００アップする。
(2)：自分エンドフェイズに発動する。
自分のデッキの上からカードを２枚墓地へ送る。


鈴華「ライデンの効果！ デッキの上から２枚のカードを墓地へ！」

デッキトップ→墓地
『ライトロード・メイデン ミネルバ』
『輝白竜 ワイバースター』

鈴華「…ライトロードが墓地へ送られた事でライデンの攻撃力は相手のエンドフェイズまで２００ポイントアップ…！」

『ライトロード・アサシン ライデン』[ATK 1700→1900]


鈴華「……まだまだいきますわ…っ！ デッキから墓地へ送られたミネルバの効果で、デッキの一番上のカードを墓地へ！」

デッキトップ→墓地
『終末の騎士』

鈴華「ーーーー更に！ このカードは墓地の光と闇を１体ずつ除外して、手札から特殊召喚できる…っ！！ 私は墓地の『エクリプス・ワイバーン』と『終末の騎士』を除外…！！」

足元に光と闇の波動が広がる。
そして波動の中心に空いたブラックホールの中から、パルス状の光線を放つ光竜が姿を現す。

鈴華「…その輝きは、白ーーーー全てを照らす希望の光っ！！
…来なさい…っ！！『ライトパルサー・ドラゴン』！！」[ATK 2500]


《ライトパルサー・ドラゴン/Lightpulsar Dragon》 †
効果モンスター
星６/光属性/ドラゴン族/攻2500/守1500
このカードは自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを
１体ずつゲームから除外し、手札から特殊召喚できる。
また、手札の光属性と闇属性のモンスターを１体ずつ墓地へ送り、
このカードを自分の墓地から特殊召喚できる。
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、
自分の墓地のドラゴン族・闇属性・レベル５以上の
モンスター１体を選択して特殊召喚できる。


星奈「すっごーい！ いきなり手札から攻撃力2500のモンスターが出て来ちゃった！」

星奈は目を輝かせてライトパルサーを眺める。

鈴華「…それだけじゃありませんわ！ 墓地のエクリプス・ワイバーンが除外された事で、自身の効果で除外した『ダーク・アームド・ドラゴン』を手札に！」[手札 3]


鈴華「……私はこれで、ターンエンドですわ」[手札 3]

エンド宣言と同時に、ライデンの効果によってデッキの上から２枚のカードが墓地へ送られる。


デッキトップ→墓地
『暗黒竜コラプサーペント』
『ギャラクシー・サイクロン』


鈴華（…よし…！ これで私の墓地には闇属性モンスターが３体…！ 次のターンにダーク・アームド・ドラゴンを出す事ができますわ…っ！）


◉TURN:０２◉


星奈「やっっっと星奈の番だねーっ！！
ドローっ☆」[手札 6]


鈴華（…一見、ただの無邪気な子供だけど……この子は１３人の精鋭を僅か５分足らずで殲滅させた終焉の焔の幹部……っ…！！
……油断なんて微塵もできない…！！）


星奈「あたしは、『星因士 ベガ』を“しょーかん”！！」[ATK 1200]☆4


《星因士
サテラナイト
ベガ/Satellarknight Vega》 †
効果モンスター
星４/光属性/戦士族/攻1200/守1600
「星因士 ベガ」の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
手札から「星因士 ベガ」以外の「テラナイト」モンスター１体を特殊召喚する。


星奈「ベガが召喚に成功した事で、効果はっつどぉーっ！
手札の『星因士 デネブ』を特殊召喚！」[ATK 1500]☆4

鈴華（…彼女は自分の事を“エクシーズ担当”って言ってた…！ デッキも同レベルを並べる事に特化している……っ！）

星奈「……今度はデネブの効果で、デッキから『星因士 アルタイル』を手札に！」[手札 5]

鈴華（…レベル4のモンスターが２体…！）


星奈「…いっくよーっ！
２体のモンスターでオーバーレイっ！彡☆」


周囲に映し出された星々は赤く、不気味に煌めいたーーーー

星奈「ーーーー覚悟、信念、ぜんぶ燃やして…っ、降り注げっ！煉獄の凶星っ！！
エクシーズ召喚！！ ランク4っ！
『煉獄の騎士 ヴァトライムス』っ！！」[ATK 2600]


《煉獄の騎士
テラナイト
ヴァトライムス/Darktellarknight Batlamyus》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク４/闇属性/戦士族/攻2600/守 550
レベル４「テラナイト」モンスター×２
(1)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
フィールドの全ての表側表示モンスターは闇属性になる。
(2)：このカードのＸ素材を１つ取り除き、手札を１枚捨てて発動できる。
光属性の「テラナイト」Ｘモンスター１体を、
自分フィールドのこのカードの上に重ねてＸ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分はモンスターをＸ召喚できない。
自分の墓地に「テラナイト」モンスターが７種類以上存在する場合、
この効果は相手ターンでも発動できる。


そのモンスターの出現によって、周囲の星々が激しく燃え、熱を持ち始める。

鈴華「……！！ なによ…これ……っ…！
熱い…っ…！」

鈴華は急な温度上昇に思わず足を崩す。

星奈「この程度で倒れちゃわないでよねっ。あたしまだまだ遊び足りないんだからさっ☆」

星奈はぴょんぴょんと跳ねながら言う。


鈴華「…わかって……ますわよ…っ！」

なんとか立ち上がるも、息は荒い。
だがそんな鈴華に追い打ちをかけるように、星奈はプレイを続ける。

星奈「…バトルいっくよーっ！
ヴァトライムスで、ライトパルサー・ドラゴンを攻撃！！」


『煉獄の騎士 ヴァトライムス』
[ATK 2600]
ーーーVSーーー
[ATK 2500]
『ライトパルサー・ドラゴン』


ライトパルサーは胸部からパルス状の光線を放ち応戦するが、ヴァトライムスの煉獄の焔に一歩及ばず、破壊されてしまうーーーー


鈴華「……くっ！」【LP 8000→7900】

鈴華「ライトパルサーはタダではやられませんわ…！ フィールドから墓地へ送られた時、効果発動っ！
墓地に眠る『ダークフレア・ドラゴン』を特殊召喚！」[ATK 2400]

星奈「へー、やるじゃん…っ！
けどね、あたしの前にそれは意味ないよっ！」

鈴華「……！？」

自信満々な笑みを浮かべる星奈はバトルフェイズを終了させメインフェイズ２に移行すると、エクストラデッキから１枚のカードを抜き出した。

星奈「このカードはメインフェイズ２に、あたしの場のテラナイトエクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚できるーーーー！」

鈴華「…！！ エクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚ですって…っ…！？」


煉獄の焔は勢いよく燃え上がり、やがて焔は光となって５角形を作り出すーーーー


星奈「ーーーーエクシーズチェンジ！
『星輝士 セイクリッド・ダイヤ』！！」[ATK 2700][ORU:3]



フィールドに降り立った幻竜は、闇の決闘空間の中で光り輝き、咆哮する。



『ディィィィィァァァァァアアァァアァァッッ！！！』


鈴華「……ッッ…！！」



星奈「……っ♫」


光と闇が入り乱れる混沌とした空間で、星奈は一人笑う。


星奈「……“ちぇっくめいと”だよ、くるくる頭のおねーちゃんっ☆」




To Be Continued…






《次回予告》




「次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１７５ 女神の微笑み






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙