DRAW:４２ 開幕！ 夏の権利戦！　作：人喰い

ーーー植物園での事件から月日は流れ、7月5日。土曜日。

時刻はPM 12:52


蝉も鳴くようになり、暑くなってきた頃。
火群、明日人、和泉の3人+ニクス、千愛は、カードショップ「カナリア」へと、足を運んでいた。
黒髭町のカードショップ「カナリア」にて、今日はWDCS出場権利をかけた大会が開催されるのだ。
それに参加するため、常連さんを始め、数々の決闘者がこのショップに集まってきている。
13:00開始なので、受付を済ませた決闘者が、デュエルスペースでトレードやフリー対戦などをして盛り上がっているようで、会場内の熱気は店の外以上だ。



火群（…そんな手の内を晒すような真似していいのかねぇ。大会前だってのに）


店員「ーーはい、市瀬 火群くん。倉川 明日人くん。受付完了だよ」



火群「ーーーあ、はい！ どうも」

明日人「ありがとうございます」


火群「…和泉は、大会出ないの？」


和泉「…え？ うん。私は見てるだけで楽しいし！ それに、初対面の男の人とデュエルするのって…ちょっと、怖いかな…って」

火群「…そっか。ま、仕方ない、か！」


和泉はこの2カ月で、少しクラスに馴染めてきたようだ。クラスメイトも、以前のように和泉に対して無神経な発言をしなくなっていた。


明日人「でも桜庭さんがデュエルをやってたってのは驚きだったな…」


などと明日人は言うが、実のところ、火群と和泉の過去の事は、まだ明日人には話していない。



火群「……そうだ、少し偵察でもするか？」


明日人「…お、そうだな。対戦相手の情報は多く知っておいた方がいい」




デュエルスペースでは未だデュエルが行われていた。
激しい攻防が繰り広げられていたが、もうすぐ決着のようだ。


少年「くっ！ 『攻撃の無力化』でバトルフェイズを終了させる！」



栗須「…いいのかなァ？そんな事をして！ 俺のエンドフェイズ時、『神鳥 シムルグ』の効果発動！
お前の罠が消えた今、お前を効果から守る盾は無くなった！ くらえ！〝ゴッド・トルネード〟！！」


少年「しまった！ うわあぁああ」【LP 1000→0】×




火群「………あっ…」



栗須「…ったく、大会前の肩慣らしにもなんねーぜ！ 次は誰だぁ？ この黒髭中無敗を誇る俺に挑戦してくる命知らずはー………って、げええぇえ！？ 市瀬 火群ァ！？」


火群「…おい無敗くん。次は俺とやろーぜ」ニコニコ


栗須「わぁああタンマタンマ！ 目が怖えって！」


明日人「…知り合いか？火群」


和泉「…えぇ…っと…(誰だっけ…)」


栗須「お前も俺の事知らねーのかよ！ 倉川 明日人！ 同じ学年だろーが！
ったく、よく覚えとけ！ 俺の名前は『古宮 栗須(こみや くりす)』！ (ゆくゆくは)世界に羽ばたく(つもりの)風属性使い(自称)だ！」


小物っぽさ漂う眼鏡を光らせ、栗須は自己紹介を始める。


栗須「…好きな食べ物はチキンラーメン、趣味はサッカー、μ,sの推しはこt……」



店員「…これより、大会を始めますので、少し静かにしてくださーい」


栗須「…あ、はい。すみません…」













遊戯王 Ph.X DRAW:４２
《開幕、夏の権利戦！》













参加者12名が集結する。
黒髭中の生徒も何人か来ているようだ。


新田「…よぅ、倉川」


明日人「…あ、新田。久しぶりだな」


剛田「おうおうおう火群ちゃん！ やっぱお前も来てたか！」


火群「…お、おう」



店員「…それでは、本大会のルールを説明させてもらいます。まずは付いてきてください」



和泉「…あ、あの！ 私、参加者じゃないんですけど、付いていっちゃダメ…ですか…？」


店員「…っ。見学ですね。構いませんよ」




そして店員さんに付いていく火群たち参加者+和泉。階段を下り、地下へと潜っていく。
どうやら地下のデュエルフィールドを使用するみたいだった。



一同「…おぉおおおーっ！」


店員「実はこのデュエルフィールド、最近できたばかりでして、今日が初のお披露目になります」



火群「…すげぇ…！ ここでデュエルするのかぁ。…なんか、緊張してきた…っ」


ニクス『らしくないな。火群』



店員「…では改めまして、ルール説明をさせていただきます。
ーーー本日の大会は、ダブルイリミネーション方式で行います」


一同「ダブルイリミネーション！？」



店員「はい。ダブルイリミネーションとは、2回負けるまで敗退にはならず、最終的に全勝者が1人になるまで試合が続く、といった変則的なトーナメント方式ですね」


明日人「…なるほど、1回負けても終わりじゃないってことか」


栗須「…でも！ WDCS出場の権利を貰えるのは全勝者1人だけなんだろ！？ それじゃあ結局、1回負けたら終わりなんじゃ…」



店員「…いえ、それは違います。この大会では特別に、“全勝者が1人になった時点で、まだ2敗していない方全員”に、WDCS参加の権利を差し上げます」



和泉「…えっと…つまり？」


火群「2回負けなきゃ、WDCS出場権利は貰える…って話だろ？」


店員「その通りです。一回負けたからといって諦めてはいけません。
続いてデュエルのルールについて説明を一応しておきます。ご存知だと思いますが、今大会では、先日導入されたーーー『マスタールール３』を適用します。なお、１回戦はライフ4000制で行ってもらいます」



火群「先攻ドローなしのルール、か…」



店員「それでは早速、マッチングを始めましょう」


店員さんはそう言うと、カードの束を取り出した。


火群（デッキ…？ にしては数が少ないな…）


店員「今大会の参加者は12名ですので、ここに12枚のカードを用意しました。この中には☆1〜☆6のモンスターカードがそれぞれ2枚ずつ入っています。ここから1人ずつカードを引いてもらい、出たモンスターの☆が同じ者同士で試合を行うという仕組みです。
それでは皆様、1枚ずつ引いていって下さい」


シュッ

シュッ、シュッ

シュッ



火群（俺の引いたカードは、☆1のモンスター、『キーメイス』…）




店員「デュエルディスクは貸し出し致します。 それでは自分の引いたカードと同じ☆の書かれたデュエルフィールドへ移動して下さい！」




ーーー




☆1フィールド、『市瀬 火群』VS『中村 敬太』！

☆2フィールド、『倉川 明日人』VS『剛田 武』！

☆3フィールド、『山田 太郎』VS『新田 和也』！

☆4フィールド、『東雲 竜貴』VS『吉田 大輔』！

☆5フィールド、『山中 健』VS『井頭 修平』！

☆6フィールド、『古宮 栗須』VS『吉岡 勇気』！







店員「先攻後攻はルーレットにより自動で決定する！ それでは一斉にーーーデュエル、開始ィ！」




ーーー




明日人「って、剛田！？ お前も参加してたのか！？」



剛田「…気づくのおせーよ！
それより、初戦が俺とは運がなかったなァ！ 明日人！ 俺のパワーアップしたデッキでお前を粉砕してやるぜ！」



明日人「…来い！」



ーーー



火群「………」



中村「…あの…よろしくお願いします」


火群「…あ、ああ。よろしく」


ニクス『…さっきからどうした？ 火群』



火群（ーーー緊張でモーレツに腹が痛い！）


ニクス『アホかぁああぁああっっ！！』



火群【LP 4000】

中村【LP 4000】


火群「…さァ、始めようぜ……っ！」



中村「…ひぃっ！（対戦相手の市瀬って人……凄い形相で僕を睨んでる…！！ 怖い！）」



火群「…先攻は俺だ…！」【手札:5枚】



火群「…俺は、永続魔法『補給部隊』を発動…！
更にモンスターをセット…！」



火群「…っ…ターンエンド」


ニクス『…おい火群、その手札の『ブレイクスルー・スキル』は伏せなくて良かったのか』


火群（…あっ、やべ……忘れてた…）


ニクス『…バカ！ そんなんでデュエル続行できるのか！？』


火群（…やるだけやるさ…！ 心配すんな）


ニクス『…ったく。それじゃあ私は引っ込んでるぞー』




◉TURN:０２◉


中村「…僕のターン！ ドロー！」【手札:6枚】



火群（…ブレイクスルーを伏せ忘れはしたものの、俺の展開はなかなか理想的…！ まず、『補給部隊』こいつは、1ターンに1度、俺のモンスターが破壊された場合、タイミングを逃さず1枚ドローできる。俺のデッキにとって貴重なドローソースだ）


火群（…次に、俺のセットモンスター。『炎王獣 ヤクシャ』こいつが破壊され墓地へ送られた場合、俺の手札か場のモンスター1体を破壊できる。これで俺の手札の『炎王神獣 ガルドニクス』を破壊すれば次のターンで一気に攻められる…！）




中村「…僕は、『切り込み隊長』を召喚！」


火群「…切り込み隊長…！？」


中村「切り込み隊長の効果発動！ このカードが召喚に成功した時、手札のレベル４以下のモンスターを特殊召喚できる！
現れろ！『閃光の追放者』！！」


火群「………ゑ？」



ニクス『…あっ(察し)』


中村「…閃光の追放者が場にある限り、墓地へ送られるカードは全て除外される！ バトルいきます！
切り込み隊長で、セットモンスターを攻撃！」



炎王獣 ヤクシャ
[守 200]
ーーーVSーーー
[攻 1200]
切り込み隊長



裏のカードが表になり、ヤクシャが姿を現したと同時に、切り込み隊長の構えた剣が振り払われ、ヤクシャの身体は真っ二つに切り裂かれた。



火群「…くっ！ 閃光の追放者の効果でヤクシャは除外か…！ だが、補給部隊の効果により、俺のモンスターが破壊されたことにより、1枚ドロー……！」【手札:4枚】


中村「…まだ攻撃は残ってますよ…！ 閃光の追放者でダイレクトアタック！」


閃光の追放者[攻 1600]


火群「…くぅ…っあぁあああっ！！」【LP 4000→2400




中村「メインフェイズ2に移行して、永続魔法、『墓守の使い魔』を発動！
このカードが場にある限り、相手はデッキの上から1枚を墓地に送らなければ攻撃することができない！」



火群「…何ッ！ これじゃあ攻撃ができない…！」


中村「…カードを1枚伏せて、僕のターンは終了です…！」



火群「…くぅぅ…！（更に腹が痛くなるような戦法を取りやがってぇぇえ…！）」



中村「…ひぃい！（やっぱり睨んでる〜っ！！）」



火群「…俺の…ターン！！ ドロ〜〜……っ」【手札:5枚】



中村（でもドローはヘナチョコだーーーっ！！）



ニクス『……本当に大丈夫なのか……？ 火群…』






ーーー-ーーー-ーーー-ーーー-ーーー-ーーーTo Be Continued…






〜おまけ〜



. . 人人人.人人人.人人人.人人人.
＜教えて！ スッキーせんせー！＞
. . Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y



◉このコーナーは、読者のみんな(少数)から寄せられた質問(多分無い)に、『美 好先生(以下スッキー先生)』が一刀両断！ 快刀乱麻の回答をしていくコーナーだ！
質問が無い場合は自問自答をしていく痛々しいコーナーになるから気をつけな！(ドン☆)
＊質問をいただいた時点で、本SSに載せる事を承諾したものと見做します。あらかじめご了承ください。
匿名希望の場合は言ってくださいね！



質問待ってるぜ！！(切実)




《第６回》


好「このコーナーも久々だな(≖ω≖`)今回から質問がない時は、キャラ紹介をしていくぞ。まずは主人公！アンタだよ！」



《市瀬 火群(いちせ ほむら)》＊DRAW:４２現在
・年齢:13歳/身長:149cm/体重:40kg
・誕生日:2月7日
・黒髪。
・使用デッキ
『炎王』
・主な使用カード
『炎王神獣 ガルドニクス』
『ダンディライオン』
『炎王の急襲』
『炎王炎環』
・カードから炎を生み出す謎の力を持った少年。その力がなぜ火群に与えられたのか、なぜ発動してしまうのか、まだ分かっていない事は多い。
小学6年の頃、いきなり現れたこの力に振り回され、訳も分からないまま、大切な友達ーーー『桜庭 和泉(さくらば いずみ)』を傷つけてしまう。それ以来2年もの間、デュエルを拒んできたが、クラスメイトの剛田の横暴をやめさせるべく、友達を守るため再びデッキを手にする。
その一件で、火群はカードの精霊『ガルドニクス』や、謎の力について知る少年『斬波 戒(ざんば かい)』らと出会い、火群の運命を、デュエルの世界へと再び誘う。
性格はデュエルとなれば熱く、時に冷静で、なにより負けず嫌い。
そしてプライドが高く、弱い部分をさらけ出したくないのかスポーツなどをやっても、一度の負けや失敗で何もかも投げ出してしまう事が多かったりと、子供っぽい一面もあるらしい(和泉談)。
その他にも、眼鏡っ娘と貧乳と前髪ぱっつんをとても好んでおり、その3種の神器を合わせ持つ(失礼)和泉の事が出会った頃からなんとなく気になっている。
使用デッキの『炎王』は、破壊され墓地へ送られる事によって効果を発揮し、アドバンテージを失わないようにしながら戦線維持をしていくため、展開速度やデッキパワーにこそ欠けるものの、持久戦でこそ真価を発揮する。
ガルドニクスの効果で道を開き、炎王炎環を絡めて攻め込む突破力もなかなかのもの。
ただし、除外やバウンス、速攻には滅法弱く、特にガルドニクスなどのキーカードをピンポイントで除外されてしまうと、一気にデッキパワーが落ちてしまうので、帰還カード頼りとなってしまったり、安定性も格段に落ちるので、注意が必要。
デッキに入っている『ダンディライオン』は、謎の人物から受け取ったカードで、火群にはその時の記憶がほとんど無く、最初は夢だと思っていた。
今後、その人物に会って、礼を言う機会はあるのだろうか…。








《次回予告》



白熱する権利戦、閃光の追放者と墓守の使い魔のロックに苦戦する火群の隣のフィールドでは、明日人と剛田の因縁のデュエルも行われていて……！？




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:４３ 再来！ ゴブ突ビート！





ーーーデュエルディスク・セット・イン！