DRAW:８４ 〝次元の剣〟　作：人喰い

(84)





メアリー「…よっしゃ！ 対戦ありがとね！ “不死鳥くん”！」

火群「……ぅぅ…」ｼｮﾎﾞﾝ…

和泉「惜しかったねー、火群くん。でも、いい勉強になったんじゃない？」

火群「……ああ、俺たちも、まだ上に行けるってことがわかった。…対戦ありがとうございました。メアリーさん」

和泉（…よかった…。今の火群くんは落ち着いてる）

火群「…けど、メアリーさん、最後のターン……どうしてあんな突破方を…？」

メアリー「あー、あれねっ…、不死鳥の効果が割とワタシのデッキにぶっ刺さりでさ。
余裕そうにぺトルフィンを立てて返してたけど、あれを強いられるとカンナホークでのサーチを一回分減らさなきゃいけなくなるんだよね」

火群「……ふむ…」

メアリー「そんでこっちがカードを消費して炎王を破壊しても、結局破壊された時の効果やサクリファイスエスケープでキミにアドバンテージを取られてしまう。序盤〜中盤でゆっくり場を整えたいワタシのデッキだからこそ、そこで大きな差がつく前に無理をしてでも削りきってしまおうって思ったわけ」

メアリー（…それに、まだ何か“奥の手”を隠してそうだったしね…）

火群「…くぅ……思い返すほど悔しいな…。あそこでああしていれば……」

メアリー「そうそう！ そうやって敗北から学んで、人は強くなるのよ。これからもがんばんなさいなっ」

火群「ハイ！」


結維「ーーーそれで？ あの時私を助けてくれたあなたが、どうして急に火群に声をかけたんです？」

火群「！ …言われてみれば確かに……、ってか2人とも知り合い…！？」

メアリー「…あー！ こないだの眼鏡のお嬢ちゃんか！ あの時はこっちこそ色々とありがとうね！ってか同じ顔が2人！？」

和泉「…あはは…、どうも、双子の姉の和泉です」

メアリー「…双子かぁ…！ どうりで……、改めてよろしくね、眼鏡シスターズ♪
あ、それで質問の答えなんだけど、ちょっと“旧友”の頼みでね………多分、もうそろそろここに来る頃だと思うんだけどーーー」

メアリーさんはそう言うと胸の谷間から携帯を取り出す。
ちゅるんっ、と携帯が谷間から飛び出たかと思うと、その霞の谷を生み出している２つの巨体が超振動を起こす。

和泉「！！？？」

千愛『！！！？』

結維「！？」

雫「…！？」

鈴華「…！！？」

ニクス「お前たちは本当にいい反応するよな…」


火群「…旧友って……？ 俺の知ってる人なんですか…？」

ニクス（……そしてこいつは本当に巨乳には反応しないんだな…）

メアリー「ええ、そうよ！ あ！ もう着いたみたい！ ちょっとみんな、離れておいた方がーーー」


ーーーメアリーさんが何か言いかけた刹那。





？？「メェェェアアァァリィィィイィィイッッッ！！！」



地を駆ける音と共に女性の声が聞こえた。

豪速球で突進して来た俺もよく知る“その人物”は、俺の目の前で両腕を広げ急停止し、俺のすぐ後ろに立っていたメアリーさんと手を組む形となる。

火群「ッッ！！？？」

一瞬の出来事すぎて思考が追いつかないが、とりあえず今わかるのは、2人の爆弾人間…そして計4個の爆弾に挟まれて逃げられないという事実だ。



結維「…あ…、あの人は確かーーー」


和泉「…スッキー先生！！？」


メアリー「…ハァイ♪ 久しぶり！ 『コノミ』！ 相変わらずね…っ！」

好「…久しぶりだネ、メアリー…！ 最後に会ったのはお前がイギリスに戻る3年前か…！！」

メアリー「…せっかく会えたんだし1戦どう？ ワタシは丁度あんたの教え子と1戦終えたばっかでだいぶあったまってるけど…♪」

好「…ふふ…っ、望むところだ…！！」


雫「…あの2人…っ、手を組んで力比べしながら話してますよ…っ漢らしいです…っ」

和泉「あははは…」


好「……ところで、そのアタシの可愛い可愛い教え子の姿が見当たらないんだけど……」

火群「ンンンーーーッ！！」

和泉「…先生方の胸元で昇天してる物体が、多分その可愛い可愛い教え子だと思います……」

好「……おっと、これは悪いことしたネ。桜庭」

和泉「なんで私に謝るんですかっ！」


火群「ーーープハッ！ あぁあー…ッ、窒息死するかと思った…っ。
…スッキー先生、お久しぶりです…」

好「…市瀬、WDCSの件は、残念だったね…。それで、メアリーとの決闘、まぁ負けたと思うけど、どうだった？」

市瀬「…ぅ…！ 確かに負けましたけど…、なんかこう…、最後までプレイングに迷いっぱなしだった俺に対して、メアリーさんはプレイに迷いが無くて…メリハリのある動きができてました。…その差が、敗因だったのかな…と」

好「…なるほど。やっぱりメアリーに頼んで、正解だったみたいネ」

火群「先生がわざわざメアリーさんに頼んだんですか…？」

好「…市瀬にはもっと幅の広い相手と戦ったもらいたかったしね。それとメアリーはどんな相手でも手加減なんかしないから、市瀬の実力を測るには丁度いいとも思ったし」

メアリー「ワタシはあんたと違って手加減なんてしないのよっ」

好「…教師たるもの、時には生徒を立てる事も必要なのサ…！」

メアリー「…それはいいけど、ワタシ相手には手加減なんて無用だからね…っ！」

好「…当たり前…ッ♪ じゃあ早速やろーか！ さっきから腕が疼いて仕方ない…！」

火群「……ッ、スッキー先生の本気……ッ」ｺﾞｸﾘ

好「…市瀬！」

火群「…は、はい！」

好「…こんな機会滅多に無いんだ。もっと色んな人と決闘してきな！！
ほらそこの小娘たちも、見学だけじゃ強くなれないよッ！」

和泉「…はいぃっ！」

好「…あ、桜庭は腕の件があるし、市瀬の応援してやんな…？」

和泉「…はいぃ…っ」


火群「…じゃあ先生、行ってきます！」

結維「……私たちも行きますかね」

雫「はわわ…っ、さっきの火群さんの決闘を見て、私も負けてられない！ って思えてきました…っ！」

鈴華「…えぇ、あんなすごい決闘見せられちゃうとね…！」

和泉「……っ。
（すごい……火群くんの決闘で、みんなやる気に…っ！）」


火群「……和泉？」

和泉「…ううん、なんでもないっ」

火群「…？
……！ あっちの方、凄い盛り上がってる…！ 行ってみよう！」

和泉「…あっ、ちょ…待ってってばぁっ！」















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:８４ーーー
《〝次元の剣〟》















ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ


火群「ーーー！！ あそこで決闘してるのは……っっ！！」





戒【LP 8500】

シルバ【LP 8000】


火群「……シルバさんと……戒！？」



戒「ーーー掲げよ聖剣！ 円卓の主よ！ その双刃で騎士を導き、道を斬り開け！！！ エクシーズ召喚！ 来いッ！
『神聖騎士王 アルトリウス』！！！」[ATK 2200]


《神聖騎士王
しんせいきしおう
アルトリウス/Sacred Noble Knight of King Artorigus》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク５/光属性/戦士族/攻2200/守2200
レベル５「聖騎士」モンスター×２
(1)：このカードがＸ召喚に成功した時、
自分の墓地の「聖剣」装備魔法カードを３種類まで対象として発動できる。
対象のカードをこのカードに装備する。
(2)：１ターンに１度、このカードのＸ素材を１つ取り除き、
このカード以外のフィールドのモンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
(3)：このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、
自分の墓地のレベル４以上の「聖騎士」モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。


シルバ「…ッ…！」

戒「…アルトリウスの効果発動！！ 3種の聖剣よーーー騎士王の元に集えッ！！」

『聖剣カリバーン』
『聖剣ガラティーン』
『聖剣 EXーカリバーン』

『神聖騎士王 アルトリウス』[ATK 2200→3700]

戒「…再びカリバーンの効果でライフを500回復する！」【LP 8500→9000】

戒「更に！ 手札から『聖剣を抱く王妃ギネヴィア』をアルトリウスに装備！！」


《聖剣
せいけん
を抱
いだ
く王妃
おうひ
ギネヴィア/Gwenhwyfar, Queen of Noble Arms》 †
効果モンスター
星２/光属性/魔法使い族/攻 300/守 300
「聖剣を抱く王妃ギネヴィア」の(1)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドの「聖騎士」モンスター１体を対象として発動できる。
手札・墓地のこのカードを攻撃力３００アップの装備カード扱いとして
その自分のモンスターに装備する。
(2)：装備モンスターの属性によって以下の効果を得る。
●光：装備モンスターが効果で破壊される場合、
代わりにこのカードを破壊できる。
●闇：装備モンスターが相手モンスターと戦闘を行う
ダメージステップ開始時に発動できる。
そのモンスターを破壊する。
その後このカードを破壊する。


『神聖騎士王 アルトリウス』[ATK 3700→4000]


戒「…ターンエンド」【手札 2】


◉TURN０２◉


シルバ「…俺のターンだ、ドロー」【手札 6】

シルバ「……それにしても、驚いた。
俺がデッキを渡したあの時の少年が、短時間でここまで成長していたとはな」

戒「……あなたが指し示してくれた道があったから、今の俺がいます」

シルバ「…そう言ってもらえると嬉しい限りだが、だからと言って手は抜かない……全力で行くぞ…ッッ！！」

戒「ーーーッッ！！」


シルバ「ーーー俺は手札から儀式魔法『超戦士の萌芽』を発動ッ！！」


《超戦士
ちょうせんし
の萌芽
ほうが
/Super Soldier Synthesis》 †
儀式魔法
「カオス・ソルジャー」儀式モンスターの降臨に必要。
「超戦士の萌芽」は１ターンに１枚しか発動できない。
(1)：レベルの合計が８になるように、以下のどちらかの組み合わせのモンスターを墓地へ送り、
自分の手札・墓地から「カオス・ソルジャー」儀式モンスター１体を儀式召喚する。
●手札の光属性モンスター１体とデッキの闇属性モンスター１体
●手札の闇属性モンスター１体とデッキの光属性モンスター１体


戒「…儀式魔法……っ！」

シルバ「俺は手札の『開闢の騎士』とデッキの『宵闇の騎士』をリリースし、
……儀式召喚！！
ーーー光と闇を超越し、騎士は己が使命の為姿を変える…ッ！
天地……開闢ッッ！！ 今光臨せよッ！
『超戦士 カオス・ソルジャー』！！」[ATK 3000]


《超戦士
ちょうせんし
カオス・ソルジャー/Black Luster Soldier - Super Soldier》 †
儀式・効果モンスター
星８/地属性/戦士族/攻3000/守2500
「超戦士の儀式」により降臨。
自分は「超戦士カオス・ソルジャー」を１ターンに１度しか特殊召喚できない。
(1)：このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。
そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
(2)：このカードが戦闘または相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。
自分の手札・デッキ・墓地から「暗黒騎士ガイア」モンスター１体を選んで特殊召喚する。


火群「……！！（『カオス・ソルジャー』…！！ 当然名前は聞いた事がある…！ 伝説の決闘者『武藤 遊戯』が使用したっていう…あの……ッ！）」


戒「……ッ！」

シルバ「…更に、我が次元の剣は、いかなる場所からも縦横無尽に敵を斬り裂く」


ｽﾞｼｬｧｯ!!


戒「！？」

突如、戒の手元に亀裂が生じたかと思うと、戒の持っていた手札のうち一枚に、光を帯びた剣が突き刺さり、裏向きのまま床に刺さって封じられてしまう。

戒「……ッッ！！ （なんだ今のは…！？）」


シルバ「……今のは“宵闇の剣”だ。宵闇の騎士が儀式召喚に使用された時にカオスソルジャーの持つ剣へと与えられる特殊効果の１つ」


《宵闇よいやみの騎士きし/Evening Twilight Knight》 †
効果モンスター
星４/闇属性/戦士族/攻 500/守2000
「宵闇の騎士」の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードを使用して儀式召喚した「カオス・ソルジャー」モンスターは以下の効果を得る。
●１ターンに１度、相手フィールドのモンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを除外する。
●１ターンに１度、自分メインフェイズに発動できる。
相手の手札をランダムに１枚選び、
次の相手エンドフェイズまで裏側表示で除外する。
(2)：墓地のこのカードが除外された場合に発動できる。
デッキから儀式モンスター１体を手札に加える。


戒「…！（今除外されたカードは『聖騎士伝説の終幕』…！ この男は……俺の予想を遥かに超える力を持っている…ッッ！！）」


シルバ「……我々の剣は簡単には折れないぞ…。覚悟しろ…ッ、四方から攻め立てる次元の剣、その真の力をーーー心してその身に刻め」






To Be Continued…








《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:８５ 交わる剣




＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙