DRAW:１８７-Infernoid-　作：人喰い

(187)



〜YAGAMI本社ビル45階・神託の間〜


【Side 火群】



八神【LP 6400】
(モンスター)
・『クリフォート・アーカイブ』[ATK 1800]☆4
『クリフォート・ゲノム』[ATK 1800]☆4
(魔法)
・『クリフォート・ツール』[♦︎ 9]
『竜剣士ラスターP』[♦︎ 5]
手札:3
伏せ:1


マイン【LP 8000】
手札:5
伏せ:0




◉TURN:０１◉



火群「………一気に３枚のカードをドローした……っ…！
あれが……、“禁忌のカード”の１枚……っ…！
……『命削りの宝札』ーーーーー！」

メアリー「……このターン中相手に与えるダメージが０になるデメリットも、先攻だから気にならないわ…！」



マイン「……だが、貴様はこのエンドフェイズに手札を全て捨て無くてはならないーーーーー」


冷めた口調のマインに対し、『機殻の要塞』の上から見下ろす社長は変わらぬ無表情で返す。

八神「ーーーー要らぬ心配だ。ワタシは場の『クリフォート・ゲノム』を対象に、手札から速攻魔法『禁じられた聖杯』を発動」


《禁
きん
じられた聖杯
せいはい
/Forbidden Chalice》 †
速攻魔法
(1)：フィールドの表側表示モンスター１体を対象として発動できる。
ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が４００アップし、効果は無効化される。


八神「…この効果により、ターン終了時までゲノムの効果を無効にし、攻撃力を４００アップさせるーーーーー」


『クリフォート・ゲノム』[ATK 1800→2800]☆4→6


火群「自身の効果で変化していた攻撃力とレベルも元に戻った…！
…けど、速攻魔法の『禁じられた聖杯』なら、伏せておくことで相手への妨害としても使えたはず……なんでこのタイミングでーーーー」

シルバ「……社長の魔法罠ゾーンはPモンスター含め既に3箇所埋まってしまっている。
恐らく、エンドフェイズに手札を捨てない為の調整だろう」

火群「…！」



八神「……ワタシはカードを２枚セットし、ターンエンド」[手札 0]


メアリー「…なんとか無駄に手札を捨てずにに済んだみたいネ！」

火群「…これでドローソースとしてとんでもない役割を果たした事になる…！」



『クリフォート・ゲノム』[ATK 2800→2400]



◉TURN:０２◉



マイン「……相変わらず性格の悪そうな初動だ……ッ…吐き気がするーーーーーー」


八神「………“堅実派”…と言ってもらいたい」


マイン「……俺のターンッッ！」[手札 6]

怒りのままにカードを引くマインを見据え、社長は僅かに身構える。



マイン「…貴様の山札は先攻1ターン目にして３５枚から２９枚まで減った……４０枚デッキということもあってなかなかの回転力だ」

八神「……」


マイン「ーーーー対して俺は欲深い男でな……メインデッキすら４０枚に収まらない…」


火群「…っ……！」

今気づいたけど、マインのデッキ……明らかに分厚すぎる……！！ まさかーーーーー


マイン「……側から見れば似たようなカードの山同士だが、俺は貴様の薄い山札を、とても羨ましく思う…」


八神「……」

火群「…マインは…、何を言っているんだ……っ…？」


マイン「…こういうのを……この世界の、日本の“ことわざ”でなんと言うか知っているかーーーーー」



八神「ーーーーー…“隣の芝生は青い”……」



マイン「……ククク……ッ……！
正解だ…ッ…！」

マインは不気味に笑いながら、１枚のカードに指をかけるーーーーー


マイン「ーーーーそしてこのカードは…ッ…その醜き“感情”を………ッ…醜き“欲求を…ッ…！
……満たす為のカード…ッ…！！」


八神「……！」


邪悪な瘴気を纏ったカードが、発動された。


マイン「魔法発動……ッッ！！！
ーーーーー『隣の芝刈り』ーーーーー」




《隣
となり
の芝刈
しばか
り/That Grass Looks Greener》 †
通常魔法
(1)：自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動できる。
デッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。



シルバ「……ッ…！
やはり……、“禁忌のカード”…ッ……『隣の芝刈り』か……ッ…！！」


火群「……！！」


マインが精霊王から盗み出した、３枚の内の１枚……！！



マイン[デッキ 54]

八神[デッキ 29]


八神「…デッキ枚数の差は25枚………ッ…」


マイン「ーーーーーよって、デッキの上から25枚のカードを墓地へ送るーーーーーー！！」



ｶｯ‼︎



刹那ーーーーーマインの背後に現れた大鎌が、マインのデッキを刈り取った。


火群「……ッ……！」

八神社長の倍近くあった山札は同じ厚さまで減り、デッキの上から25枚ものカードが混沌の闇へと吸い込まれてゆくーーーーーー



デッキ→墓地
『インフェルノイド・ネヘモス』x1
『インフェルノイド・リリス』x2
『インフェルノイド・アドラメレク』x1
『インフェルノイド・ヴァエル』x2
『インフェルノイド・アシュメダイ』x1
『インフェルノイド・アスタロス』x3
『インフェルノイド・ルキフグス』x2
『インフェルノイド・ベルゼブル』x2
『インフェルノイド・シャイターンx1
『インフェルノイド・デカトロン』x2
『煉獄の死徒』x1
『煉獄の虚無』x1
『煉獄の消華』x2
『名推理』x1
『モンスターゲート』x1
『未来融合-フューチャーフュージョン』x1
『煉獄の狂宴』x1



マイン「ーーーーークククハヒャフヒハヒャハァッッ！！」



笑い声だけがこだまする異空間に、煉獄の焔が揺れ始めた。
















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーDRAW:１８７ーー
《-Infernoid-》















マイン「焔来の時は来たーーーーー今こそ現れよ……ッッ…！！」

マインは両手を大きく広げ、漆黒の焔を纏うーーーーー


墓地→除外
『インフェルノイド・ルキフグス』
『インフェルノイド・アスタロス』


墓地からは２体のインフェルノイドが除外され、フィールドに緑色の光が灯った。


マイン「ーーーーー第７のクリファ……[ツァーカブ]…ッ…！！
《色欲》の悪魔ーーーー『インフェルノイド・ヴァエル』！！」[ATK 2700]☆７


《インフェルノイド・ヴァエル/Infernoid Seitsemas》 †
特殊召喚・効果モンスター
星７/炎属性/悪魔族/攻2600/守 0
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドの全ての効果モンスターのレベル・ランクの合計が８以下の時、
自分の手札・墓地から「インフェルノイド」モンスター２体を
除外した場合のみ手札・墓地から特殊召喚できる。
(1)：このカードが相手モンスターを攻撃したバトルフェイズ終了時に発動できる。
フィールドのカード１枚を選んで除外する。
(2)：１ターンに１度、自分フィールドのモンスター１体をリリースし、
相手の墓地のカード１枚を対象として発動できる。
そのカードを除外する。
この効果は相手ターンでも発動できる。



マイン「ーーーーまだだ…ッ！！ 煉獄の焔の恐ろしさは…ッ…この程度では無い…ッ…！」


墓地→除外
『インフェルノイド・アスタロス』
『インフェルノイド・アスタロス』
『インフェルノイド・ルキフグス』


今度は３体のインフェルノイドが墓地から除外され、現れたのは紫色の光ーーーー


マイン「……煉獄の淵より現れろ……ッ！
ーーーー第９のクリファ……[アィーアツブス]…ッ！
《不安定》なる悪魔ーーーーー『インフェルノイド・リリス』ッ！！」[ATK 2900]☆９



渦を巻いた焔の中から、巨大で機械的な悪魔が姿を現す。


火群「…ッ……！」



《インフェルノイド・リリス/Infernoid Devyaty》 †
特殊召喚・効果モンスター
星９/炎属性/悪魔族/攻2900/守2900
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドの全ての効果モンスターのレベル・ランクの合計が８以下の時、
自分の手札・墓地から「インフェルノイド」モンスター３体を
除外した場合のみ手札・墓地から特殊召喚できる。
(1)：このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。
「煉獄」カード以外のフィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。
(2)：１ターンに１度、このカード以外のモンスターの効果が発動した時、
自分フィールドのモンスター１体をリリースして発動できる。
その発動を無効にし除外する。


マイン「ーーーーリリスの特殊召喚成功時…ッ…効果発動……ッ！！
『煉獄』カード以外の、フィールドの魔法・罠カード全てを……破壊するッ！！！」


火群「……！！」

メアリー「…っ…マズいワ…ッ！」


社長の場には計６枚の魔法罠がある……！
これを全て破壊されたら…っ…手札の無い社長に勝ち目は無い…！！


八神「……っ…」

マイン「……やれぇッ！！ リリス！！」


押し寄せる煉獄の焔に汗を垂らすも、社長に届くすんでのところでリリスの焔は消滅した。


マイン「…ッッ…！」


見ると、社長の伏せカードが発動しているーーーー


八神「……悪いが、罠カードを発動させてもらった。
永続罠ーーーー『機殻の再星』…！！」



《機殻の再星
リクリフォート
/Re-qliate》 †
永続罠
(1)：モンスターが召喚・反転召喚された時、
そのモンスターがレベル４以下の場合にこの効果を発動する。
そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
(2)：モンスターが特殊召喚された時、
そのモンスターがレベル５以上の場合にこの効果を発動する。
そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
そのモンスターはフィールドから離れた場合に除外される。
(3)：フィールドに「機殻の再星」以外の
「クリフォート」カードが存在しない場合にこのカードは墓地へ送られる。



マイン「……チ…ッ…！！」

八神「…この効果により、特殊召喚したリリスの効果はターン終了時まで無効となる……！」


火群「…なんとか凌いだけど……、攻撃力では２体ともマインのモンスターに負けている……！」


『インフェルノイド・リリス』[ATK 2900]

『インフェルノイド・ヴァエル』[ATK 2600]


『クリフォート・アーカイブ』[ATK 1800]

『クリフォート・ゲノム』[ATK 2400]


八神「………」


マイン「…ククク…！ この程度で終わったと思うな……ッ！
…場のリリスをリリースし、ヴァエルの効果を発動…！！」

火群「…！！ リリスをリリースした……っ…！？」


マイン「この効果で、貴様の墓地の『命削りの宝札』を除外させて貰うぞ…ッ…！」


墓地→除外
『命削りの宝札』


マイン「……しかし機殻の再星の効果を受けたリリスは除外されるーーーー」


八神「……っ…！」


火群「…一体何の意味が……っ…？」

メアリー「……場のレベルの合計を下げたのよ…！ これでまたインフェルノイドモンスターを展開されてしまう…！」

シルバ「……マズイな…、奴の墓地にはもう一体のリリスがいるーーーーッ」



マイン「ーーーー震えろ…ッッ…！！ 墓地のインフェルノイド３体を除外…ッ！！」


墓地→除外
『インフェルノイド・デカトロン』
『インフェルノイド・ベルゼブル』
『インフェルノイド・ベルゼブル』



マイン「ーーーー再び現れろッ…！『インフェルノイド・リリス』！！！」[ATK 2900]



先程と同じように煉獄の焔がフィールドを包むーーーーー


火群「…っ…！ 何度来ても機殻の再星の効果でーーーーーいや違う！」

機殻の再星の効果は強制効果…！！
だからリリスの特殊召喚成功時に発動する任意効果よりも先にチェーンブロックが組まれてしまう…！！


マイン「…ククク………馬鹿でも流石に気づいたようだな……ッ…」


八神「…ッ……リリスの特殊召喚成功時、『機殻の再星』の効果発動…！」


マイン「ーーーーその発動にチェーンし、リリスの効果を発動…ッ！！ 今度こそ邪魔な魔法罠を破壊させて貰う…ッ…！！」


八神「……！！」

煉獄の焔が勢いよく社長に襲いかかるが、社長は残り２枚の伏せカードを続けざまに発動するーーーーー


八神「…その程度……ッ…対処できぬワタシでは無い…ッ！！
永続罠『機殻の凍結』、通常罠『隠されし機殻』…ッ、発動ッ！！」


《機殻の凍結
クリフォートダウン
/Qlifes End》 †
通常罠
(1)：このカードは発動後、効果モンスター（機械族・地・星４・攻１８００／守１０００）となり、
モンスターゾーンに特殊召喚する（罠カードとしては扱わない）。
この効果でこのカードを特殊召喚したターン、
自分フィールドの「クリフォート」魔法・罠カードは効果では破壊されない。
(2)：このカードの効果で特殊召喚したこのカードは、
「アポクリフォート」モンスターをアドバンス召喚する場合、３体分のリリースにできる。


《隠されし機殻
アポクリフォート
/Qlimate Change》 †
通常罠
「隠されし機殻」は１ターンに１枚しか発動できない。
(1)：自分のエクストラデッキから表側表示の
「クリフォート」Ｐモンスターを３体まで手札に加える。



チェーン④『隠されし機殻』

チェーン③『機殻の凍結』

チェーン②『インフェルノイド・リリス』

チェーン①『機殻の再星』



八神「ーーーー『隠されし機殻』の効果でEXデッキの表の『クリフォート・ツール』を手札に加え、『機殻の凍結』の効果でこのカード自身をモンスターゾーンに特殊召喚する…ッ！」[DEF 1000]


八神「…更に、自身のカード効果でこのカードが特殊召喚されたターン、ワタシの場の『クリフォート』魔法・罠カードは効果では破壊されない…！」


マイン「……ッ…！！ チェーン②…ッ…リリスの効果…ッッ」

しかし、続くリリスの焔は次々と凍結していくーーーーー

八神「…『クリフォート』ではない『竜剣士ラスターP』のみ破壊されるが、残りのカードは『機殻の凍結』の効果により破壊されないーーーーー」


そしてその後、『機殻の再星』の効果でリリスの効果が無効となり、一連の処理が終了した。




マイン「……クク…ククク……ッ…！」


突如、マインは嗤う。

火群「……っ…！？」


何故ーーーーー？


マイン「………八神コウ……貴様は仮にも、この俺を産み出した産みの親だ」


八神「………ああ」

マイン「…俺の手の内も、ある程度は把握してるって訳だなーーーーー」


八神「……その通りだ。
ワタシはお前という悪魔を産み出してしまった自分の過ちを……自分の罪を償う為に、お前と闘う答えを出した」


マイン「………クク……未来予知とやらで、俺のことなどいつでも殺れただろう……。
それでもやらなかったのは貴様の甘さか……？
それとも精霊王の言うーーーーー“慈悲”とかいうヤツか？」


八神「……迷いがあったのは事実だ。
しかし、不意打ちで決着をつけても、お前の中の“邪悪な魂”は怨念となってこの世界に再び蔓延るだろう……。ワタシも精霊王もそれだけは避けたかった…」

マイン「……」

八神「だからワタシはーーーー
…正々堂々と、正面切ってお前と向き合おうと思ったのだ。
ーーーーー１体１の決闘でな」

火群「……っ…！」


八神「…ワタシの声なら、きっとお前に届くと信じているーーーーー」




マイン「…クク……ククク…ッ……笑わせるな……」


マインは再び肩を揺らして嗤う。

今度は先程とは違う、呆れたような笑い声だったーーーーー


マイン「…貴様との日々など俺の記憶に無ければ、恩など微塵も感じていない………ッ……」

八神「……」


マイン「……貴様の声が俺に届くとすればーーーーーそれは俺の“命(ライフ)”がゼロになった時だけだ」



マインはそう言い放ち、右手を大袈裟に振り払った。

すると黒焔がマインの周囲を渦巻き始め、ゆらゆらと燃える。



マイン「ーーーーーこの決闘の先に何が“視えている”のか知らないが……、俺の前に立ち塞がるモノは、…何であろうと焼き尽くす。
………黒焔の中で永遠に眠れーーーーー」







To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１８８ -Mine-






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙