DRAW:１７７〝生命の焔〟　作：人喰い

(177)




〜積木町３丁目〜



火群【LP 8000】

ーーーVSーーー

黒ローブA【LP 4000】

黒ローブB【LP 4000】

黒ローブC【LP 4000】


＊3対1の変則決闘。
黒ローブA→B→C→火群の順でターンが回る。火群のターンから攻撃が可能。



和泉「……火群くん…っ……あんなに大怪我してたのに……どうしてーーーー」

千愛「…私達を囲ってるこの“白き炎”……これに何か秘密があるのかもしれないわね……」



…………


ニクス「ーーーー火群、気を抜くな。
奴らは決闘ルールを多少弄っているようだ」

火群「……条件は圧倒的にこっちが不利………。
……けど、心配はいらねぇ」


拳を固く握る火群の眼に焔が灯るーーーー


◉TURN:０１◉


黒ローブA「ーーーまずは俺からだぜぇ…ッ！！」[手札 5]

黒ローブはカードをプレイする前にニクスを凝視したかと思うと、視線を火群に移す。

黒ローブA「…よく見れば、不死鳥の精霊ーーーお前、市瀬 火群だろ」

火群「……ああ、そうだ」

火群は一瞬目を細め、答える。

黒ローブA「…ハハッ…！ こいつは運がいいぜ…ッ…！！ お前のその不死鳥の精霊はマイン様が最も欲しがる精霊の一つ…ッ！！」

黒ローブは高らかに笑い、手札のカードに指をかけた。

黒ローブA「ーーーこれで俺たちも昇進確定だッッ！！
……手札の『真紅眼の黒竜』を墓地に送り、『コスモブレイン』を特殊召喚！！」[ATK 1500]☆7


《コスモブレイン》 †
特殊召喚・効果モンスター
星７/闇属性/魔法使い族/攻1500/守2450
このカードは通常召喚できない。
手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、
効果モンスター以外のモンスター１体を墓地へ送った場合に特殊召喚できる。
このカード名の(2)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードの攻撃力は、このカードを特殊召喚するために墓地へ送ったモンスターのレベル×２００アップする。
(2)：自分フィールドの効果モンスター１体をリリースして発動できる。
手札・デッキから通常モンスター１体を特殊召喚する。


黒ローブA「ーーーそしてコスモブレインの攻撃力は、墓地へ送ったモンスターのレベルx200アップする！！」

『コスモブレイン』[ATK 1500→2900]


和泉「…いきなり攻撃力2900のモンスター……っ…」

千愛「…それだけじゃないわ。奴が墓地へ送ったカードーーーー『真紅眼の黒竜』……ッッ…！！ あれほどのレアカードすら容易に手に入れることができるとはね……っ」


黒ローブA「…ハッ！ まだまだこんなもんじゃねぇぜ…ッ…！！ 続けて『紅眼の飛竜』を通常召喚！」[ATK 1700]


《真紅眼の飛竜
レッドアイズ・ワイバーン
/Red-Eyes Wyvern》 †
効果モンスター
星４/風属性/ドラゴン族/攻1800/守1600
このカードの効果を発動するターン、自分は通常召喚できない。
(1)：自分エンドフェイズに墓地のこのカードを除外し、
自分の墓地の「レッドアイズ」モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。


黒ローブA「…そして真紅眼の飛竜をリリースしてコスモブレインの効果を発動！！」

発動の宣言と共に辺りの黒焔が揺らぎ、燃え上がる。

火群「……ッ…！」


黒ローブA「ーーーーデッキより現れろッ！！『真紅眼の黒竜』！！」[ATK 2400]☆7


《真紅眼の黒竜
レッドアイズ・ブラックドラゴン
/Red-Eyes B. Dragon》 †
通常モンスター
星７/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000
真紅の眼を持つ黒竜。
怒りの黒き炎はその眼に映る者全てを焼き尽くす。


黒竜は真紅の眼を輝かせ、陽炎の中に姿を現しすーーーー

火群「…！！」

ニクス「……火群…っ…！
…！」

火群に目配せをするニクスだったが、火群の決してブレない表情を見て安心し、再び目の前の敵に目線を合わせる。

火群「……こんなすげぇモンスターを相手にできるなんてな………っ…！」

火群は僅かに頰を吊り上げ、笑う。


黒ローブB「…ククク……！」

そんな時、黒ローブBが手札のカードに手をかけた。

黒ローブB「ーーーーこの瞬間、手札から『カオスハンター』の効果を発動ッ！！」


《カオスハンター/Chaos Hunter》 †
効果モンスター
星７/闇属性/悪魔族/攻2500/守1600
(1)：相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、
このカード以外の手札を１枚捨てて発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
相手はカードを除外できない。


黒ローブB「…真紅眼の黒竜の特殊召喚成功時、手札の『超電磁タートル』を捨てることでカオスハンターを特殊召喚！！」[ATK 2500]☆7


ニクス「…！」


そのモンスターの召喚後、黒ローブの男たち３人揃って不気味に笑い出す。

黒ローブ「「「……くく……ッ…クククク…ッッ……！！」」」


火群「……何がおかしい……ッ…」

問う火群に男たちは答えず、何やら懐から黒い注射器のようなものを取り出した。
３人同時に、だ。


火群「…！」

ニクス「…なんだアレは…っ…！？」


そしてそれを自らの首筋に打ち込んだ。
またも３人同時に。

打ち終わった注射器がカランと音を立てて地に転がる。


黒ローブ「「「ーーーーキクククキキャクハハハハァァァァッッッ！！！」」」


すると３人は奇声を上げ、ドス黒い炎に包まれる。


火群「……ッ…！！」

炎は渦を巻き、やがて場のコスモブレインと真紅眼の黒竜をも包み込んで行くーーーー


黒ローブA「……この注射器の中には、マイン様の黒焔が入っててなァ……！ これを体内に取り入れた今……ッッ…！！ 俺たちは人を超えた力を得た…ッッ！！」

黒ローブB「…テメェみたいな雑魚にも一切手は抜かねぇ…！ 全力で灰にしてやるぜ…！！」

黒ローブC「……精霊は俺たちのものだァ…！！」


場のモンスターを包んでいた黒焔が強き闇のエネルギーを放つーーーー


黒ローブA「ーーーー２体のモンスターでオーバーレイ！！ エクシーズ召喚！！」


コスモブレイン、真紅眼の黒竜の２体がそれぞれ１つの輪となり重なり合う。
そして２体を包んでいた黒焔が弾け、鋼竜が炎を纏い降臨するーーーー



黒ローブA「ーーーー絶望の炎に飲まれなッ！！ 現れろ、ランク７ーーーー『真紅眼の鋼炎竜』！！！」[ATK 2800]


《真紅眼の鋼炎竜
レッドアイズ・フレアメタルドラゴン
/Red-Eyes Flare Metal Dragon》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク７/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
レベル７モンスター×２
(1)：Ｘ素材を持ったこのカードは効果では破壊されない。
(2)：Ｘ素材を持ったこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、
相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動する度に相手に５００ダメージを与える。
(3)：１ターンに１度、このカードのＸ素材を１つ取り除き、
自分の墓地の「レッドアイズ」通常モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。



ニクス「………！ エクシーズ……召喚…ッ……！」



◉TURN０２◉


黒ローブB「ーーーー次は俺のターンだ」[手札 5]


黒ローブ「…俺は『可変機獣ガンナードラゴン』をリリース無しで召喚！！」


《可変機獣
かへんきじゅう
ガンナードラゴン/Fusilier Dragon, the Dual-Mode Beast》 †
効果モンスター
星７/闇属性/機械族/攻2800/守2000
(1)：このカードはリリースなしで通常召喚できる。
(2)：このカードの(1)の方法で通常召喚した
このカードの元々の攻撃力・守備力は半分になる。


和泉「……レベル７のモンスターをリリース無しで…！」

黒ローブB「…リリース無しで召喚したこのカードの攻守はそれぞれ半分となるーーーー」

『可変機獣ガンナードラゴン』[ATK 2800→1400]☆7


千愛「…またレベル７のモンスターが２体………来るわよっ！！ 市瀬火群！！」

火群「…！」



黒ローブB「…マイン様の力があれば、俺等にもエクシーズ召喚を使いこなす事ができるんだよ……ッ…！！ いくぜオラァ！！ ２体のモンスターでオーバーレイ！！」


直後、再び黒焔が場のモンスターを包み込むーーーー


黒ローブB「エクシーズ召喚！！
現れろ、ランク７ーーーー『真紅眼の鋼炎竜』！！！」[ATK 2800]


ニクス「…２体目の鋼炎竜だと……ッ…！！」


◉TURN０３◉



黒ローブC「ーーーーククク……ッ…！ どんどん行くぜ…！！ 俺のターン！！」[手札 5]


千愛「……火群のターンが回って来るまでに、奴らは３ターンも攻撃の準備をする事ができる……っ…、卑怯な……ッ…！」

和泉「……っ…！（火群くんーーーー…っ……）」



黒ローブC「ーーーー相手の場にのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる！！ 現れろ！『暗黒騎士ガイアロード』！！」[ATK 2300]☆7


《暗黒騎士
あんこくきし
ガイアロード/Lord Gaia the Fierce Knight》 †
効果モンスター
星７/地属性/戦士族/攻2300/守2100
(1)：相手フィールドにモンスターが存在し、
自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)：１ターンに１度、このカードより攻撃力が高いモンスターが
相手フィールドに特殊召喚された場合に発動できる。
このカードの攻撃力はターン終了時まで７００アップする。


黒ローブC「更にこのカードは、リリース無しで召喚可能…！！ 『疾走の暗黒騎士ガイア』召喚！！」[ATK 2300→1900]☆7


《疾走
しっそう
の暗黒騎士
あんこくきし
ガイア/Charging Gaia the Fierce Knight》 †
効果モンスター
星７/光属性/戦士族/攻2300/守2100
「疾走の暗黒騎士ガイア」の(3)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードはリリースなしで召喚できる。
(2)：リリースなしで召喚したこのカードの元々の攻撃力は１９００になる。
(3)：このカードがリリースされた場合に発動できる。
デッキから「カオス・ソルジャー」モンスター１体を手札に加える。


和泉「……！！ あっという間にまたレベル７を２体…っ！！」



黒ローブC「…三度現れろ……！！ エクシーズ召喚！！ ランク７ーーーー『真紅眼の鋼炎竜』！！！」[ATK 2800]




火群「ーーーー…っ……」


『真紅眼の鋼炎竜』[ATK 2800]

『真紅眼の鋼炎竜』[ATK 2800]

『真紅眼の鋼炎竜』[ATK 2800]





黒ローブC「ーーー俺はこれでターンエンドだ。
さぁ、精々足掻けよ……！！ 命が尽きる、その瞬間までなァ…！！！」















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１７７ーーー
《〝生命の焔〟》















◉TURN０４◉


火群「…俺のターン！！ ドローッ！！」[手札 6]


火群は力強くカードを引き、流れるように１枚の魔法カードを発動させる。


火群「ーーーー魔法発動！！『炎王の急襲』！！！」


《炎王の急襲/Onslaught of the Fire Kings》
通常魔法
相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動できる。
デッキから炎属性の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター１体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、
エンドフェイズ時に破壊される。
「炎王の急襲」は１ターンに１枚しか発動できない。


火群「ーーーーデッキより現れろッ！！ 勝利へ導く紅蓮の翼！！
『炎王神獣 ガルドニクス』！！！」


《炎王神獣 ガルドニクス/Fire King High Avatar Garunix》
効果モンスター
星８/炎属性/鳥獣族/攻2700/守1700
このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、
次のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚に成功した時、
このカード以外のフィールド上のモンスターを全て破壊する。
また、このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
デッキから「炎王神獣 ガルドニクス」以外の
「炎王」と名のついたモンスター１体を特殊召喚できる。


ニクスの姿が不死鳥となり、炎を纏い舞い上がる。


ニクス『はァァァァアアァァアっっ！！！』[ATK 2700]☆8



黒ローブB「…はっ！ お前のデッキはすでに俺たちにバレてんだよ！ 当然ッ対策も完璧よ！！」

その発言と共に火群の足元から火柱が吹き出し、火群にダメージを与えた。

火群「……ッ！！」【LP 8000→6500】


黒ローブA「……お前がカードの効果を発動する度に、俺たちの場の『真紅眼の鋼炎竜』の永続効果によって、お前に５００のダメージを与える！！」


和泉「…そんな……っ…！ これじゃあほとんど身動き取れないよ…っ……！」


黒ローブC「…ククハハフファァッ！！ それだけじゃないぜ…！ X素材を持った鋼炎竜はカードの効果では破壊されないーーーー！！」

ニクス「……！」


和泉「…！！ にくすさんの効果でも突破できないなんて…っ…！！」

千愛「……一体どうするつもりなのよ…っ…！
市瀬火群ーーーーっ」


白き炎の囲う中から心配そうに見守る２人の言葉を受け、火群は右手をぎゅっと握り、ニクスに声をかけた。


火群「ーーーー行けるよな？ ニクス」


ニクスは振り返らずに応じる。


ニクス『ーーーー当たり前だ。私を誰だと思っている』



黒ローブA「……っ…？」



火群「ーーーー『幼炎王獣 ガルドニクス』を通常召喚！！」[ATK 200]☆1 チューナー



《幼炎王獣 ガルドニクス》＊Ph.X Original Cards
チューナー・効果モンスター
星１/炎属性/鳥獣族/攻 200/守 200
このカード名の②の効果は１ターンに１度しか使用できず、③の効果はデュエル中１度しか使用できない。
①自分フィールドに表側表示で存在する「炎王」モンスターがカードの効果で破壊された場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
②このカードがカードの効果で破壊され墓地へ送られた場合、「幼炎王獣 ガルドニクス」以外の自分の墓地の「炎王」モンスター１体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
③このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「炎王神獣」モンスターが存在する場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は炎属性モンスターしか特殊召喚できない。


ニクスの隣に、小さな雛鳥のような姿をした『ガルドニクス』の名を持つモンスターが火炎を纏い現れる。


和泉「…あのモンスターは……っ…！」

千愛「……チューナーモンスター…！？ まさかーーーー！」


火群は右手を勢いよく突き出し、目を閉じて精神を集中する。



火群（……“あの夢”が覚めてから、俺の身体は回復して…、そして白紙だったカードも１枚ーーーーー）




火群「ーーーーレベル８『炎王神獣 ガルドニクス』に…ッ！ レベル１、『幼炎王獣 ガルドニクス』をチューニング！！！」


二体の周囲に揺らぐ赤き炎は徐々に白みを帯び、真紅の翼に灯ってゆくーーーーー


火群「ーーーー白炎の魂、その身に灯しーーー“生命の焔”よ全てを包めッ！！
シンクロ召喚！！ レベル９ーーーーー
『炎王神獣 アニマ・フェニックス』ッ！！！」



白き炎が不死鳥を中心として大きく弾け、辺りの闇を照らし出す。



ニクス『ーーーーはぁぁぁぁあぁぁぁっっっ！！！』[ATK 1700]


《炎王神獣 アニマ・フェニックス》＊Ph.X Original Cards
シンクロ・効果モンスター
星９/炎属性/鳥獣族/攻 1700/守 2700
炎属性チューナー+チューナー以外の炎属性モンスター１体以上



黒ローブA「……シンクロ召喚だと……っ…！？」

黒ローブB「だが、元の不死鳥より攻撃力が下がってるんじゃ話になんねーな…ッ！」



和泉「……いや…、あのにくすさんからは……うまく言葉にできないけど…、すごい…優しい力を感じる…っ…！」

千愛「…あれが……、私たちを取り囲む、白きーーーー“生命の焔”の正体……っ！！」


不死鳥は場に降り立つと同時に、熱く燃える翼を羽ばたかせ、振り払われた火の粉が火群の手札を１枚焼き尽くす。

火群「ーーーーアニマ・フェニックスの効果発動ッ！！！」


①このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。このカード以外の自分の手札・フィールドの炎属性モンスター１体を選んで破壊し、自分はそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。その後、自分の墓地の「炎王獣」モンスター１体を選んで特殊召喚できる。



火群「……特殊召喚成功時、手札の『炎王獣 キリン』を破壊ッ！
ーーーそして俺は、その元々の攻撃力分のダメージを受ける…っ！！」

『炎王獣 キリン』[ATK 1000]

火群「…ぐぁ…ッ…！」【LP 6500→5500】


火群はなんとかその場に踏みとどまるが、すぐに足元から火柱が上がる。

火群「…がぁぁぁッ！！」【LP 5500→4000】

黒ローブC「…馬鹿め…！ 効果を発動する度に『真紅眼の鋼炎竜』三体の永続効果によりお前は1500のダメージを受けるというのにーーーー」

黒ローブB「それだけじゃなくわざわざ自分の効果でもライフを削っていくとはな…！」

黒ローブA「…よっぽどの死にたがり野郎か…、それともーーーー」



煙が晴れ、火群の姿があらわとなる。


黒ローブA「……！？」


和泉「……あれってーーーっ」


煙の中から姿を現した火群は身体に白き炎を纏っていた。


黒ローブ「「「！！？」」」



火群「ーーー先に進ませて貰うぜ」


火群は一言そう言って、効果の発動を宣言する。

火群「ーーーー俺が効果によるダメージを受けた事で…ッ。…アニマ・フェニックスの効果発動ッ！！」


②このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの①の効果または相手のカードの効果で自分がダメージを受けた時、自分のライフが６０００以下の場合に発動する。相手に１０００ダメージを与え、自分は１０００LP回復し、このカードの攻撃力は自分が受けたダメージの数値分アップする。


ニクス『受けた効果ダメージは計４回ーーーーよって私の効果も同一チェーン上に4回発動するーーーーー』


チェーン④『炎王神獣 アニマ・フェニックス』
チェーン③『炎王神獣 アニマ・フェニックス』
チェーン②『炎王神獣 アニマ・フェニックス』
チェーン①『炎王神獣 アニマ・フェニックス』


火群「ーーーー自分のライフを１０００回復させ、相手に１０００のダメージを与える！！」

火群【LP 4000→5000】

火群を包む白き炎がライフへと変換され、赤き炎が黒ローブの男に襲いかかる。


黒ローブC「ぐぁぁっ！！」【LP 4000→3000】

火群「…更に自分が受けたダメージと同じ数値だけ、アニマ・フェニックスの攻撃力はアップする！！
ーーーー〝ディスチャージング・アニマ〟！！！」

『炎王神獣 アニマ・フェニックス』[ATK 1700→2200]


黒ローブC「…そんなの痛くも痒くもねぇ…！ それになぁ、お前がカードの効果を発動した事で、チェーン③の処理の前に鋼炎竜三体の火柱がお前を襲うぜ！！」

火群「…ぐっ…！！」【LP 5000→3500】


そしてその直後、チェーン③の処理により火群に白き炎、黒ローブの男に赤き炎が与えられる。

火群【LP 3500→4500】

黒ローブB「…ぐ……ッ…！」【LP 4000→3000】

『炎王神獣 アニマ・フェニックス』[ATK 2200→2700]

火群がカード効果を発動した事で、火群の足元から火柱が上がるーーーー

火群「…！！ まだまだ…ッ…！！」【LP 4500→3000】

続くチェーン②の処理ーーーー

火群【LP 3000→4000】


黒ローブA「……がはッ…！」【LP 4000→3000】

『炎王神獣 アニマ・フェニックス』[ATK 2700→3200]


火群「…ぁが…っ…！！」【LP 4000→2500】


千愛「…ダメだわ…っ…！ 回復量が追いついていない……！ それに、鋼炎竜が相手の場に一体ずつバラバラで存在している以上、相手に与えるダメージも分散してしまう……！」

和泉「…違うよ千愛ちゃん。
もう、勝負はついてるーーーーー」

千愛「……！？」



黒ローブC「……何をするつもりかと思えば、大した事ねーな…ッ！ このペースだと確実にお前の方が早くーーーーいや、待てよ……？」

言葉を途切らせ、考え込む黒ローブの男。


火群「今更気づいてもおせーよ…ッ！！ チェーン①の処理！！
自らの効果で受けたダメージで発動したこの効果だけは、好きなプレイヤーにダメージを与えられる…！！
確か、鋼炎竜の永続効果が最後に発生していたのはそこだったよなーーーー」

火群はそう言って黒ローブCを指差し、ニクスに指示する。

火群「ーーーーそこだ…、ニクス！！ 頼む！！」


赤き浄化の炎が黒ローブを焼き払う。

黒ローブC「……ぐぁぁぁッ！ クソ…ッ…！ よくもーーーー」【LP 3000→2000】


火群【LP 2500→ 3500】

ニクス『はァァァァアアァァア！！』[ATK 3200→4200]


何度目になるだろう火柱が火群を襲うーーーー

火群「…ッ…！！」【LP 3500→2000】


すべての処理が終わった直後、再びニクスの身体が強力な光を放ち始める。


ニクス『一連の処理の中で火群が受けた効果ダメージはーーーー計１２回』


火群「ーーーーよって、アニマ・フェニックスの効果が１２回発動ッッ！！！」



チェーン(12)『炎王神獣 アニマ・フェニックス』
チェーン(11)『炎王神獣 アニマ・フェニックス』

〜〜〜

〜〜〜

チェーン②『炎王神獣 アニマ・フェニックス』
チェーン①『炎王神獣 アニマ・フェニックス』




黒ローブC「………おいおい……冗談だろ……っ…？」【LP 2000→1000】


火群【LP 2000→3000】


『炎王神獣 アニマ・フェニックス』[ATK 4200→4700]


火群【LP 3000→1500】


激しい数値の変動の中、黒ローブの男たちの表情は先程の余裕を失い険しさを増す。

この決闘の決着のヴィジョンが頭をよぎったのだ。


チェーン(11)、⑩の処理により、全員のライフは徐々に減って行くーーーー

黒ローブA【LP 2000】

黒ローブB【LP 2000】

黒ローブC【LP 1000】

火群【LP 2000】


処理後に永続効果で火群のライフは削られる。

火群【LP 2000→500】


黒ローブC「……クソ……クソが……っ…！！」


千愛「…そうか…っ！ 次のにくすの効果で１０００ダメージを受けるのは……黒ローブC…！！」

和泉「ーーーそう！
１人倒した事で真紅眼の鋼炎竜が１体減れば、にくすさんが効果を発動する度に受けるダメージも５００減って、このループの中で火群くんの“受け”が成立する……っ！！」


和泉（けど問題は…、闇のゲームでそこまでのダメージを受けて火群くんの身体が保つのかどうかーーーー）


心配そうな視線を送る和泉に、火群は一瞬振り返り、余裕の笑みを返す。


火群「……“生命の焔”が俺を護ってくれてる。
だから平気だっ、心配すんな！」


和泉「……！」

普段、どんなに辛い時も強がって笑って見せる火群をよく見てきた和泉だからこそわかる。
今の火群の姿勢、表情、息づかいから、その言葉に嘘偽りが無いという事がーーーー


安心した和泉は、力一杯叫ぶ。




和泉「ーーーーーいっけええぇぇええっっっ！！」





声援に応えるように放たれた炎は、黒ローブを１人、焼き貫いた。


黒ローブC「…がッッ……！！！？」【LP 1000→0】

火群【LP 500→ 1500】


黒ローブCのライフが0となった事で、場に存在していた鋼炎竜も消滅するーーーーー


黒ローブB「…くっ…！！」

黒ローブA「…クソ……っ…！！ フザけ……やがって……ッッ…！！！」



火群「ーーーーこれでもうこのチェーン上で俺のライフが減る事は無い……ッッ！！」


火柱の上がる中、火群はゆっくりと前へ進んで行く。
そして力強く叫ぶ。



火群「そこを………退けぇぇぇえぇぇえっっっ！！！」




不死鳥から放たれた紅蓮の炎は、残りの２人を一瞬にして焼き払った。





黒ローブ「「ーーーーがァァァァァああァアァァ………ッッ！！！！」」【LP 2000→1000→0】




ニクス『ーーーー生憎だが、貴様ら如きが奪える代物じゃないんだ。私はな』[ATK 8200]




◉Winner◉
-市瀬 火群-













To Be Continued…






《次回予告》




「次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１７８ 炎は奔る






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙