DRAW:１５８《連立方程式》　作：人喰い

(158)



〜黒髭中学校・理科室〜



ｺﾞｺﾞｺﾞ……ｯ‼︎


明日人「ーーークソッ…！ 扉は開かねーし、揺れも強くなって来てるぞ…！」

栗須「…俺たちまさか…、このまま生き埋め……！？」

明日人「…冗談じゃねぇ！
学校で死ぬなんて絶対に御免だ！
…どうにかして抜け出す方法を探すぞ！」


栗須「…ーーーッ！！ まずいぜ…っ！！ もう天井が崩れてーーー！！」

明日人「…！？ くそ…っ…！ ここまでなのかよ………ッッ…！！！？」















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーDRAW:１５８ーー
《連立方程式》















好【LP 8000】
(モンスター)
『神秘の中華料理人ー蘭蘭』[ATK 1700]
『神秘の中華食材ー鶏蛋』[DEF 1700]
(魔法)
『神秘の中華ー庖厨』(フィールド)
伏せ:2
手札:0

真和【LP 8000】
(モンスター)
『神秘の中華料理ー炒男』[ATK 3000]
伏せ:0
手札:5


◉TURN ０２◉


真和「ーーー僕のターン…！ カードドローッ」[手札 6]

真和（……美先生が僕の場に寄越してくれた攻撃力3000のモンスター、炒男が存在する限り、僕は特殊召喚する事ができない…。
全くいやらしい戦術だ）

好「…さぁ、熱いうちに食べな…っ」

真和「……言われなくてもそのつもりですよ。
ーーー『神秘の中華料理ー炒男』の効果発動ッ！ 手札を２枚捨て、1000ライフを払う事でこのカードをリリースする…！」【LP 8000→7000】

コスト(手札→墓地)
『ブンボーグ001』
『ブンボーグ002』


好「…お粗末様ッ♪
それじゃアタシは次の料理の仕込みをさせてもらうよ…っ！
ーーーアタシのモンスターがリリースされた事で、場の『神秘の中華ー庖厨』、そして墓地の『神秘の中華料理人ー来来』の効果を発動！！」


《神秘の中華ー庖厨(パォチュウ)》＊Ph.X Original card
フィールド魔法
このカード名の①③の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①このカードの発動時の効果処理として、デッキから「神秘の中華」魔法・罠カード１枚を手札に加える事ができる。
②自分の墓地に昆虫族モンスターがが存在する場合、フィールドゾーンのこのカードは破壊される。
③手札・フィールドの、元々の持ち主が自分となるモンスターがリリースされた場合に発動できる。デッキから「神秘の中華」モンスター１体を墓地へ送る。その後、自分の墓地から「神秘の中華」モンスター１体を選び手札に加える。


チェーン②『神秘の中華料理人ー来来』
チェーン①『神秘の中華ー庖厨』


好「来来は自身の効果により特殊召喚！」[DEF 1000]

好「そして庖厨の効果でデッキから『神秘の中華ー棒棒鶏』を墓地へ送り、その後、墓地の棒棒鶏を手札に加える！」[手札 1]


真和「…僕のターンだと言うのに、忙しい人ですね…」

好「……じゃなきゃ次のオーダーに間に合わないからネ…っ…！」

真和「ーーーそんなものは無意味…ッ！
すぐに会計を済ませてやりますよ…ッ！」

好「…へぇ…っ♪ 面白いジョークじゃないか。
……なら、どっからでもかかって来なヨ……ッ！」

好が向けるは挑発的な視線ーーー
ーーー対する真和もまた、余裕溢れる冷淡な笑みを薄っすらと浮かべ、カードをプレイし始める。



真和「ーーー炒男を食した事により僕は特殊召喚が可能となる…！
まずは『ブンボーグ003』を召喚」[ATK 500]


真和「…003の召喚時、効果発動。
デッキから『ブンボーグ002』を特殊召喚」[ATK 500]

真和「002が場にいる限り、他の機械族は強化される…！」

『ブンボーグ003』[ATK 500→1000]

真和「ーーー更にッ、002が特殊召喚された事で、効果発動！ デッキから『ブンボーグ006』を手札に加えるーーー」[手札 4]


真和が手札に加えたのは、好の見たことのないーーーペンデュラムのカードだった。

好「……っ…！？」

上半分が効果モンスターと同じ茶色。そして下半分が魔法カードと同じ緑色となっているその異色なカードを初めて目の当たりにし、好は思わず息を飲む。

好「……なんだい、そのカードは」

真和「ーーー今にわかる」


真和はそう言って手札から２枚のカードを抜き出すと、その２枚を魔法・罠ゾーンの両端に表側でセッティングするーーー


真和「ーーースケール10の『ブンボーグ005』と、スケール1の『ブンボーグ006』をペンデュラムゾーンにセッティング…ッ！」

好「……ッ！？」


戸惑う好には気もくれず、真和は流れるような動作で眼鏡の位置を修正しつつ続ける。

真和「これで僕はレベル2から9のモンスターが同時に召喚可能…ッッ！！」

ーーーそして振り子は揺れる。

真和「いきますよ…ッ…！
ーーー“ペンデュラム召喚”ッ！！」


振り子は天空に光の弧を描き、上空から光と共にモンスターが召喚されるーーー


『ブンボーグ004』[ATK 500→1000]
『ブンボーグ005』[ATK 500→1000]

好「手札から２体のモンスターを同時に特殊召喚したのか…！？」

真和「…そうだ。これこそがペンデュラム召喚…ッ…！
……更にまだ終わりではない。005が特殊召喚された時、効果発動！」

《ブンボーグ００５
ゼロゼロファイブ
/Deskbot 005》 †
ペンデュラム・効果モンスター
星５/地属性/機械族/攻 500/守 500
【Ｐスケール：青１０/赤１０】
(1)：自分は「ブンボーグ」モンスターしかＰ召喚できない。
この効果は無効化されない。
【モンスター効果】
「ブンボーグ００５」の(3)のモンスター効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、
フィールドの魔法・罠カード１枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
(2)：このカードの攻撃力は、
自分のエクストラデッキの表側表示の「ブンボーグ」モンスターの数×５００アップする。
(3)：このカードがＰゾーンで破壊された場合、
自分の墓地の「ブンボーグ」モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。


真和「その目障りなフィールド魔法を破壊させてもらう…！
…そしてその効果にチェーンし、僕の場に機械族モンスターが２体同時に特殊召喚された事で、墓地の001の効果発動！」

《ブンボーグ００１
ゼロゼロワン
/Deskbot 001》 †
チューナー・効果モンスター
星１/地属性/機械族/攻 500/守 500
(1)：このカードの攻撃力・守備力は、
自分フィールドの機械族モンスターの数×５００アップする。
(2)：このカードが墓地に存在し、
フィールドに機械族モンスターが２体以上同時に特殊召喚された場合に発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。


チェーン①『ブンボーグ005』
チェーン②『ブンボーグ001』

好「ーーッッ…！ させるか…っ…！
この瞬間、私の場の庖厨と墓地の炒男を対象に、『神秘の中華料理人ー来来』のモンスター効果を発動！」


《神秘の中華料理人ー来来》
効果モンスター
星4/水属性/戦士族/攻 800/守 1000
このカード名の②③の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できず、このカードの③の効果を発動するターン、自分は「神秘の中華」モンスターしか特殊召喚できない。
①手札・及びモンスターゾーンに存在するこのカードはリリースできない。
②このカードが手札・墓地に存在し、元々の持ち主が自分となるモンスターがリリースされた場合に発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
③自分フィールド及び墓地から、「神秘の中華料理人ー来来」以外の「神秘の中華」カードを１枚ずつ対象として発動できる。選択したカードを手札に戻す。
この効果は相手ターンでも発動できる。


真和「……ッ…」

チェーン③『神秘の中華料理人ー来来』


好「……来来の効果で、場の庖厨と墓地の炒男を手札に戻す！
これで破壊は免れた…ッ！」[手札 3]

真和「…フッ…、このくらい、誤差ですよ。誤差。
……001は自身の効果により墓地より特殊召喚！」[ATK 500→3500]

好「…攻撃力3500…ッ…！」

真和「…更に…ッ！
レベル４『ブンボーグ004』、レベル５『ブンボーグ005』にーーーレベル１『ブンボーグ００１をチューニング！！」

好「……！！」

真和「……シンクロ召喚ッッ…！！
現れよーーーレベル１０『ブンボーグ・ジェット』ッッ！！」[ATK 500→1000]

《ブンボーグ・ジェット/Deskbot Jet》 †
シンクロ・効果モンスター
星１０/地属性/機械族/攻 500/守 500
チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
「ブンボーグ・ジェット」の(2)(3)の効果は１ターンに１度、いずれか１つしか使用できない。
(1)：このカードの攻撃力・守備力は、フィールドの「ブンボーグ」カードの数×５００アップする。
(2)：自分フィールドの「ブンボーグ」カード１枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、デッキから「ブンボーグ」モンスター１体を特殊召喚する。
(3)：自分フィールドの「ブンボーグ」カード１枚と
フィールドの表側表示のカード１枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。


好「……これが…、メアリーから話に聞いていた……シンクロ召喚か…ッ…！
まさか二つの召喚法を同時に操るなんてネ…っ…！」

真和「……ブンボーグ・ジェットは、場のブンボーグ１枚につき攻撃力を500上昇させるーーー」

『ブンボーグ・ジェット』[ATK 1000→3500]

真和「ーーー続いてブンボーグ・ジェットのモンスター効果、発動。
僕のPゾーンのブンボーグ005を破壊し、デッキから『ブンボーグ』モンスター１体を特殊召喚する！
現れよーーー『ブンボーグ009』！！」[ATK 500→1000]

《ブンボーグ００９
ゼロゼロナイン
/Deskbot 009》 †
効果モンスター
星９/地属性/機械族/攻 500/守 500
(1)：１ターンに１度、自分メインフェイズ１に発動できる。
このカードの攻撃力は相手ターン終了時まで、「ブンボーグ００９」以外の
自分フィールドの「ブンボーグ」モンスターの攻撃力の合計分アップする。
この効果を発動するターン、このカードしか攻撃できない。
(2)：このカードが戦闘を行う場合、
相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。
(3)：このカードが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりに自分フィールドの「ブンボーグ」カード１枚を破壊できる。


真和「…Pゾーンの005が破壊された事で効果発動！ 墓地の002を特殊召喚！」[ATK 500→1000]

真和「更に002が特殊召喚された時、デッキから『ブンボーグ・ベース』を手札に加える！
そして発動…ッ！」


《ブンボーグ・ベース/Deskbot Base》 †
フィールド魔法
(1)：フィールドの「ブンボーグ」モンスターの攻撃力・守備力は５００アップする。
(2)：１ターンに１度、自分メインフェイズに発動できる。
手札の「ブンボーグ」カードを任意の数だけ相手に見せ、
デッキに戻してシャッフルする。
その後、自分はデッキに戻した数だけデッキからドローする。
(3)：「ブンボーグ・ベース」以外の自分のフィールド・墓地の
「ブンボーグ」カード９種類を１枚ずつ除外して発動できる。
相手の手札・フィールド・墓地のカードを全て持ち主のデッキに戻す。

真和「…ブンボーグ・ベースの効果により、場のブンボーグモンスターの攻守は500上昇するーーー」

『ブンボーグ002』[ATK 1000→1500]
『ブンボーグ002』[ATK 1000→1500]
『ブンボーグ003』[ATK 1500→2000]
『ブンボーグ009』[ATK 1500→2000]
『ブンボーグ・ジェット』[ATK 4500→5500]


真和「…そして009の効果を発動！！ 場のブンボーグの攻撃力を009に集約させる……ッッ！」

好「……くっ…！！ 伏せカードオープン！ 速攻魔法『神秘の中華釜』、発動！」


《神秘の中華釜》＊Ph.X Original card
速攻魔法
このカード名のカードは１ターンに１枚しか発動できない。
①自分フィールドの「神秘の中華」モンスター１体をリリースし、攻撃力または守備力を選択して発動できる。
リリースしたモンスターのその数値+５００以下の攻撃力を持つフィールドのモンスターを２体まで選んで破壊する。


真和「…モンスター破壊効果をもった速攻魔法か…！ ならばそれにチェーンして、002を対象に003の効果を発動ッ！」

チェーン①『神秘の中華釜』
チェーン②『ブンボーグ003』

真和「…002の攻撃力を、場のブンボーグカード１枚につき500ポイント上昇させるーーー」

『ブンボーグ002』[ATK 1500→5000]

真和「…これで１体の002を破壊から守れる」

好「ーーー…っ…！ アタシの場の鶏をリリース…その守備力は1700。
よって2200以下の攻撃力を持つ、アンタの場の003と、003の効果を受けていない方の002を破壊…ッッ！」

真和「…002が場を離れた事で場のブンボーグの攻撃力が変動する……ッ」

『ブンボーグ009』[ATK 2000→1500]
『ブンボーグ・ジェット』[ATK 5500→4000]
『ブンボーグ002』[ATK 5000→4500]

真和「……ッ…！ 009の効果…ッ！！ 場のブンボーグ全ての攻撃力を集約させる…！！」

009の持つハサミを模したブレードは仲間の光を受け、強く光輝く。


『ブンボーグ009』[ATK 1500→10000]


好「…くっ…！ まだだ…！ リリースされた鶏の効果…！ デッキから『神秘の中華食材ー鶏蛋』を特殊召喚…！」[DEF 1700]

真和「…どれだけ足掻こうと、10000もの攻撃力をもってすれば、貴女のライフを刈り取るにはすでに十分…ッ！」

好「……ッ…！」

真和「…ブンボーグ009……。このカードこそ、この決闘を終結させる解答だ。
……学校周辺にいたデュエルポリスも、深夜の学校に忍び込んだ不良生徒共も皆……このカードによってそのライフを刈り取られ、散っていった」

好「…何……！？
アンタ…ッ…！ 生徒たちにも、手を…ッッ！！」

真和「…そういえば、まだ不真面目な生徒たちがこの学校には残っているみたいですね…」

好「……！！」

真和「……どうやら彼等は理科室で閉じ込められ、崩れた天井に埋もれているようですがねーーー」

真和は決闘盤のボタンを操作し映像を映し出す。
少し荒いが、理科室の映像であることはこの学校の教師の好にはすぐにわかった。

好「！！」

好は瓦礫に埋もれ身動きが取れずに苦しむ明日人と栗須の姿を確認し青ざめる。

好「……アイツら…、校舎の外に逃げたんじゃ…！？」

真和「…外へ出るなら理科室を経由して出た方が近いですからね…。それを読んで理科室には罠を仕掛けておきました」

好「…！」

真和「…僕が用意した決闘者は彼らによって倒されたようですが、十分爆破の時間は稼いでくれましたよ」

好「……宮本…アンタ…ッ…！！」

真和「…美先生。貴女もこの場で生徒たち同様、倒れてもらいます」

真和は眼鏡の位置を修正し、バトル開始の宣言をする。

真和「ーーーバトルフェイズ」

好「……ッ……！！」



真和「『ブンボーグ009』で……『神秘の中華料理人ー蘭蘭』を攻撃……ッッ！！」


『ブンボーグ009』
[ATK 10000]
ーーーVSーーー
[ATK 1700]
『神秘の中華料理人ー蘭蘭』



真和「ーーー圧倒的な数値の前に朽ちるがいい……ッッ…！！！」





ーーー刃が襲いくる中、料理人の瞳の炎は絶えず燃え続けている。

その炎は、目の前の勝利と、苦しむ生徒たちの為に。


好「ーーーッッ」





To Be Continued…






《次回予告》




「次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１５９ 炎の料理人・美 好






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙