DRAW:１２７ 疾風迅雷　作：人喰い

(127)




〜積木町・海岸〜


和泉「……ダメ…、全然勝てない…」

結維「…今ので19連敗ね…。少し休憩したら？」

和泉「…いや、みんなに早く追いつくためには…、もっともっと頑張らないと……っ！！」

メアリー「…かといって、無理しすぎもダメよ？」

和泉「……うぅ…、わかりました。少し休憩してからまた頑張ります」


和泉（……まだモヤモヤが消えない……。どうしてぇ……っ)
















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAWーーー
《疾風迅雷》














〜積木町・山奥〜


戒【LP 1300】
(モンスター)
なし
伏せ:3
手札:2

栗須【LP 6800】
(モンスター)
なし
(罠)
『魔封じの芳香』(永続)
伏せ:0
手札:0




栗須「…俺は……強く……なりたい……ッッ！！」



戒「ーーーその意思があれば、人は強くなれる。お前も例外ではない」

栗須「………ッ！」


戒「……俺のターン！！」


◉TURN１０◉


戒「ドローッ！！」【手札 3】

戒「俺は、『聖騎士ガラハド』を召喚！」[ATK 1500]

戒「更に、場に光属性の通常モンスターが存在する事で、手札から『聖騎士ガウェイン』を守備表示で特殊召喚！」[DEF 500]

戒「２体のレベル4モンスターでオーバーレイ！ エクシーズ召喚！！現れろ…ッ！『聖騎士王アルトリウス』！！」[ATK 2000]


《聖騎士王
せいきしおう
アルトリウス/Artorigus, King of the Noble Knights》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク４/光属性/戦士族/攻2000/守2000
「聖騎士」と名のついたレベル４モンスター×２
このカードがエクシーズ召喚に成功した時、
自分の墓地の「聖剣」と名のついた装備魔法カードを
３種類まで選択してこのカードに装備できる。
また、１ターンに１度、このカードのエクシーズ素材を１つ取り除いて発動できる。
自分フィールド上の「聖剣」と名のついた装備魔法カードの数まで、
フィールド上の魔法・罠カードを選んで破壊する。


栗須「……！」

戒「アルトリウスのエクシーズ召喚時に墓地の聖剣をこのカードに装備するッ！
カリバーンをアルトリウスに装備！！」

『聖騎士王アルトリウス』[ATK 2000→2500]

戒「…カリバーンの効果でライフを500回復する！」【LP 1300→1800】

戒「そしてアルトリウスの効果発動…ッ！ エクシーズ素材を１つ使い、場の表側の聖剣の数まで場の魔法・罠カードを破壊するッッ！
魔封じの芳香を斬り裂けぇぇ！！」

駆け抜けた一閃は香りすらも断ち、斬り捨てる。

栗須「…くっ…！！」

栗須（…こいつ……っ！！ やっぱりとんでもなくつえぇ…！)

場も手札も全て失い、栗須はデッキの上に手を置こうとする。
だが戒の一言がその思考を遮る。

戒「……全てを捨ててここで諦めたら、お前はずっと弱いままだ。それでもいいのか？」

栗須「…！！」

栗須はデッキに伸ばしかけた右手をぐっと握り、左手の中指で眼鏡の位置を軽く直すと、挑発的な笑みを浮かべた。

栗須「…諦める……？
んなわきゃねーだろ……ッ！！ 来やがれ…ッ！」

その挑発を受け、戒も思わず静かな笑みを漏らす。

戒「ーーーフッ…。ならば全力でいかせてもらう…ッ！！」

戒「……俺は、伏せていた『聖剣ガラティーン』、『聖剣EX-カリバーン』をアルトリウスに装備！！」

『聖騎士王アルトリウス』[ATK 2500→3500]

戒「まだだ…！ 墓地のギネヴィアの効果発動！ アルトリウスに装備！」

『聖騎士王アルトリウス』[ATK 3500→3800]

戒「……行けッ！ アルトリウス！ プレイヤーへダイレクトアタック！
〝キングダム・セイバー〟ッッ！！」


聖剣は光り輝き、騎士王は一瞬で間合いを詰め栗須に一太刀を浴びせる。

栗須「…ぐぁぁぁあ…ッッ！！
諦めて……たまるかよ…！！」【LP 6800→3000】


◉TURN１１◉


栗須「ーーー俺のターン！！ ドローッッ！」【手札 1】

戒「……」

栗須「…俺は魔法カード『強欲で貪欲な壺』を発動ッッ！！」

戒「…！！ “禁忌のカード”だと…ッ！？
（だがあのカードは恐らくレプリカ…、古宮に“代償”はないはず…ッ)」

戒（…しかしそこでそのカードを引き込むとはな…）

栗須「俺はデッキの上から１０枚のカードを除外しーーー２枚ドローッ！！」【手札 2】

栗須「…全力で足掻いて足掻いて……足掻きまくってやるぜぇぇっ！！
手札から魔法発動！『死者蘇生』！！」

戒「…！」

栗須「墓地から『SR ベイゴマックス』を特殊召喚！」[DEF 600]

栗須「更にベイゴマックスが特殊召喚に成功した時、俺はデッキから『SR タケトンボーグ』を手札に加え、タケトンボーグを自身の効果により手札から特殊召喚！」[DEF 1200]

栗須「まだまだいくぜぇ！！ ２体の風属性モンスターをリリースしーーーアドバンス召喚！！」

明日人「…またダーク・シムルグか…！？」

火群「……いや違う…、あれは…！」

戒「…っ……！」


栗須「ーーー巻き起これ、嵐！！
風を纏いて現れろ！！『始祖神鳥シムルグ』！！」[ATK 2900]


《始祖
しそ
神鳥
しんちょう
シムルグ/Simorgh, Bird of Ancestry》 †
効果モンスター
星８/風属性/鳥獣族/攻2900/守2000
このカードが手札にある場合通常モンスターとして扱う。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
風属性モンスターの生け贄召喚に必要な生け贄は１体少なくなる。
風属性モンスターのみを生け贄にしてこのカードの生け贄召喚に成功した場合、
相手フィールド上のカードを２枚まで持ち主の手札に戻す。


明日人「闇に染まってない…シムルグだ…！」

火群「…やっぱ栗須はこうでなくっちゃな…！！」


栗須「始祖神鳥シムルグの効果発動！ 風属性モンスターのみをリリースしてアドバンス召喚に成功した時、相手の場のカードを２枚まで手札に戻す！！」

戒「…！ だが、『聖剣 EX-カリバーン』を装備したアルトリウスは効果の対象にならない…！」

栗須「だったら…！ ギネヴィアとガラティーンは手札に戻ってもらうぜ…！！」

始祖神鳥が放った突風により、アルトリウスの持つ聖剣のうち2本が吹き飛ばされ、戒の手に戻る。

戒「…くっ…！ 聖剣の装備が外れたことにより、アルトリウスの攻撃力は下がる…！」

『聖騎士王アルトリウス』[ATK 3800→2500]


栗須「バトルだ…！！ 行けぇぇっ！シムルグ！！ 聖騎士王アルトリウスを攻撃！！
〝ゴッド・バード・サイクロン〟！！」


『始祖神鳥シムルグ』
[ATK 2900]
ーーーVSーーー
[ATK 2500]
『聖騎士王アルトリウス』


始祖神鳥は美しき金色の翼を広げ空高く飛び上がった。

戒「ーーー！」

そして落下の勢いをつけ、風と一体となり騎士王へと突進する。

ｶﾞｷｲｨｨﾝ‼︎

騎士王は歯を食いしばり、二刀の聖剣でその一撃を受け止める。
だが始祖神鳥の一撃は重く、騎士王は押される一方だ。

栗須「…一矢だ……、せめて一矢は報いてやる…！！ いけぇぇぇっっ！！」

しかし、押され行くこの状況でも、この男は動じない。

戒「……フッ…。いい攻撃だ。だがーーー」

直後騎士王の背後から、１つの聖剣が現れる。

栗須「……！？ あれは…！！」

ガラティーンだ。聖剣ガラティーンが騎士王の背後から現れ、再びその手に宿る。

栗須「…なぜだ…！？ ガラティーンはさっき手札に戻したはず…！！」

戒「ーーー伏せカードを発動させてもらった。速攻魔法『栄光の聖騎士団」！！」


《栄光
えいこう
の聖騎士団
せいきしだん
》 †
速攻魔法
このカード名のカードは１ターンに１枚しか発動できない。
(1)：自分フィールドの「聖騎士」モンスター１体を対象として発動できる。
その自分のモンスターが装備可能な装備魔法カード１枚をデッキから選び、そのモンスターに装備する。


戒「シムルグの攻撃宣言時に、この効果でアルトリウスにガラティーンを装備した」

栗須「何…！！」

戒「そしてガラティーンが装備されたことによりアルトリウスの攻撃力は上昇…っ！！」

『聖騎士王アルトリウス』[ATK 2500→3500]

明日人「…シムルグの攻撃力を上回った…！！」


戒「ーーー断ち…斬れッッ！！」

騎士王の持つ聖剣は1本の巨大な剣となり、始祖神鳥を一刀両断、斬り伏せた。


栗須「……ッッ！ ぐあぁぁっ！！」【LP 3000→2400]

栗須（…戒……ッ…！ ムカつくヤローだが…、望んで手に入れた闇の力を持ってしても、敵わなかった……こいつの決闘の腕は本物だ……ッ！！）


◉TURN１２◉


栗須（……それだけは……認めねーとな…っ…！）

戒「ーーー俺のターン！！
聖騎士王アルトリウスの攻撃ッ！
〝キングダム・セイバー〟ッッ！！」


高く掲げた騎士王の剣は栗須に振り落とされ、栗須の身体に巻き付かれた影絲を一糸残らず断ち斬った。




栗須「ーーーっッッ！」【LP 2400→0】



◉Winner◉
-斬波 戒-








＊＊＊




栗須「ーーー借りを作ったみてぇだな、戒…」

戒「…“糸”が目障りだっただけだ。お前を助けたつもりなどない」

栗須「ぬわにぃぃ〜っ！？
……相変わらず減らず口のきかねぇ野郎だぜ…！
あと火群たちにも、迷惑かけたな…」

火群「…まあ気にすんなって！」

明日人「戒が来てくれなきゃやばかったけどな…」

戒「……古宮。俺はすぐにお前を操っていた人物を追う。だがその前に、起こったことを手短に話せ」

栗須「…わかったよ…！ーーー」


………


栗須は森に入ってからの出来事を戒たちに話した。


戒「…力を求め、身体が糸で縛られた、か…」

火群「…そうだ、栗須！ お前のデッキのカードは…！？」

栗須「……！ 俺のデッキのカード。もう元に戻ってやがる…。
……あ…っ！？」

明日人「どうした…？」

栗須「…『ダーク・シムルグ』のカードだけ、消えてない…！ それに、雷鳥の攻撃を受けたからか、カード自体が微妙に電気を纏っている…！？」

明日人「本当だ。こんなこともあるのか…」

火群「…ともあれ、無事？見つかってよかったな。…俺たちは帰るけど、戒は行くのか…？」

戒「……ああ。古宮を操っていた男は俺が断罪しなくてはならない相手だ」

栗須「…戒、そのことなんだけどよ、もうそいつはこの近くにいない……と思う」

戒「…何……！？」

栗須「さっきまであいつに操られてたからわかるんだよ、なんとなくだけど。
…この山の付近、風ももう落ち着いてる」

明日人「…大先輩様。どうだ？」

アルセイ『……ふむ。森も静かだ。悪意の存在は感じられない』

ニクス『…ならば無理して捜索するのは危険だな。
痩せ我慢しているようだが、先程の決闘でかなり体力を消耗しているはずだ』

戒「…チッ…、余計なお世話だ。
だが、元よりシルバさん達に相談なしに動くつもりもない。俺も帰らせてもらう」

火群「…よしっ、じゃあ帰ろうっ！」





………





〜積木町・海岸〜


メアリー「…あ！ みんな戻ってきたー！」

火群「ただいま戻りました！」

栗須「メェァルィーさぁぁんっっ心配おかけしましたぁ！！
古宮栗須、完全復活っス！！」

メアリー「…OK！ 帰ってくるって信じていたワ！
斬波くん、あなたもネ！」

戒「……む…（こういうタイプの女はやはり得意になれんな…）」

メアリー「それじゃあもうお昼時だし…、シルバさんが帰ってきたらお昼にしよっか」

栗須「…いえ、その前に……」

ｽﾞﾋﾞｼｨｨｯ

栗須はアーミーくんを指差した。

栗須「リベンジだぜ兵隊ロボ野郎！！ 今度こそ負けねぇ！ レベルはひゃ……50だ！！」

鈴華「自信満々なのに引き腰ですわっ！」

和泉「わっ、わたしもっ！ きゅーけーおわりっ！ レベルは50で…っ」

雫「和泉さんもがんばってくださーいっ！」


そして波打ち際に並んで決闘盤を構える栗須と和泉。


和泉（今度こそ…っ、今度こそ……っ！）

栗須「…あー、桜庭さん」

和泉「……？ どうしたの？ 古宮くん」

不思議そうに問いかける和泉に、栗須は若干声を潜めて言った。


栗須「調子悪いみたいっスけどーーー火群のこと、考えてません？」

それは不意打ちだった。

和泉「は？」

栗須「ーーーだって火群のこと、好きなんスよね？」



和泉「そんなわけあらへんで？」


和泉はズレ落ちた眼鏡を直す間も無く、かつてない真顔でそう答えた。








To Be Continued…






《次回予告》



好「やぁ、金髪ポニーテール」

ニクス「む、久しいな。スッキー先生」

好「…アンタにそう呼ばれるのはなんか変な感じがするねぇ…。
それはともかく、今日はアンタのために料理を作ってきたんだ」

ニクス「ほう……それは楽しみだ。
だが果たして、私の舌を満足させることはできるかな…！？」



好「次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１２８《砕ける“へーじょーしん”》！」



好「ーーーお待たせ。
棒棒鶏に、鶏の唐揚げ、北京ダック、それから油淋鶏に……」


ニクス「」ﾊﾟﾀﾘ





＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙