DRAW:１０６ いざ、合宿へ！！　作：人喰い

(106)




ーーー小テスト当日。


〜黒髪中学・教室〜


宮本「ーーー皆、この三日間よく頑張った。全員合格だ」


火群「！！！」

明日人「！！！」

栗須「！！！」


一同「ーーーしゃぁおらぁーーっっ！！！」
















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１０６ーーー
《いざ、合宿へ！！》















ーーーそして翌日、７月３０日。


〜市瀬家〜

ニクス「ーーー火群！ デッキは持ったか！？ 着替えは持ったか！？ デッキ構築用のカードも持ったよな！？」

火群「わーってるって！ ちゃんと全部持ったってばぁ！」

ニクス「お前がちゃんと前日に準備をしておかないから私がこんなに口うるさく言っているのであろう！」

火群「…ぅ…！ でもそんなに急かさなくたってよ、余裕で間に合うんだから良いじゃんかよぅ！」

ニクス「…そういう問題ではなくてだな…っ！
……言い争っている場合ではないか。行くぞ、火群！」

火群「おう！」





〜〜〜


ーーー合宿の地や荷物については、2日前にメアリーさんから連絡があったんだ。
合宿地は俺たちの住む黒髪町から約100km離れたとこにある海岸沿いの町『積木町(つみきちょう)』。そこにあるメアリーさんの別荘で合宿を行うそうだ。
クラース達のことをメアリーさんに話したら、あっさりと『OK！』の一言で快く迎え入れてくれた。人数が2人増えたところで大した問題はないんだと。
そして合宿当日の今日、俺たちは黒髭駅前の『危機一発像』の前で待ち合わせをしていたのだがーーー


ニクス『……少々早く着きすぎてしまったようだな…』

火群「だから言ったじゃんか！ まだ待ち合わせ時間の30分前だぞ！」

ニクス『…遅刻するよりは良いではないか』

火群「…それはそうなんだけどよ…っ」

ニクス『……なあ、火群』

火群「…ん？ なんだよ」

ニクス『いや、やっぱりなんでもない』

火群「？？？ 一体どうしたんだよ、気になるだろ！？」

ニクス『…お前の精霊で良かった。って思っただけだよ』

火群「…！ ほ、本当にどうしたんだよ…急に…っ」

ニクス『ははは、照れてるのか？ こいつーっ！』

火群「っ！ ばっ、やめろってっ！ 違うっつの！」

そんなやりとりをしてると、クラースがこちらに気づき歩いてくるのが見えた。

火群「…お、クラース！」

明日人「…早えな、火群。
……あと、あなたが不死鳥、ガルドニクスなんですね」

火群「！」

ニクス『…ああ、そうだ。聞いたぞ、クラース。お前も精霊の力を手にしたと』

明日人「…手にしたって言いますか…、俺自身もまだ全然そんな実感なくて…。俺の精霊…『アルセイ』も、まだ自由に出てくることもできないみたいだし…」

ニクス『だが精霊体である私を目視できているのだから、確実にお前にもその力があるはずだ」

明日人「…そう言ってもらえると嬉しいですけど」


栗須「………おーーっすお前ら待たせたなぁ！！
……なんだよ…まだ全員揃ってねぇのか」

明日人「…話の腰を折るんじゃねぇ！」ﾊﾞｼｯ!

栗須「あだっ！ …テメッ！ 何すんだ！
………って……！！！ 誰っすかこの金髪ポニテ巨乳美女！！」

ニクス『！！？？ 私が見えるのか！？』

栗須「是非俺と、決闘を前提にお付き合いをーーー！」

栗須は空中を漂うニクスに対して抱き付こうと飛びかかるが、栗須の身体は精霊体であるニクスの身体をすり抜けて、その背後の『危機一発像』に直撃した。

栗須「ぁがっっ！！」

火群「…確かにニクスは精霊体なのに、それが見えるって事は……」

明日人「…栗須も精霊を…！？」

栗須「……ぃつつ…っ！ 精霊…？ なんか終焉の焔って組織の幼女にもそんなこと言われたけど、俺はそんなカード持ってねぇぜ？」

ニクス「…余計謎だな。こいつの存在そのものが」


？？「……はわわわ…っ！ 知らない男の人が2人も…！」

？？「…だ、だだ大丈夫ですわ。落ち着いて雫。初対面の人と話す時はまず深呼吸して、手のひらに『にん人』って3回書いて飲む混むといいと……」

そこに、2人の女子が身を寄せ合いながらが現れる。

火群「…あ、柏木さん。西蓮寺さんも」

なぜかこちらを警戒しながら現れたのは、白ワンピースに青いカーディガンを羽織った、目元までスッポリと覆う前髪っ娘の柏木さん。
アップで２つに束ね、くるくると竜巻のように巻かれた茶髪が特徴的な西蓮寺さんだ。
だが西蓮寺さんは前に着ていたゴスロリ姿ではなく、ポロシャツに膝丈のフレアスカート、という服装だったため、前にあった時とは印象がまるで違った。

栗須「……新手の女子か！！」

明日人「…いきなり怖がらせんなよ、馬鹿」

雫「はわわわ……っ、はぅわじめまして…っ！ 柏木 雫です…っ！ よ、よよろしくお願いしまぁーっっ！！」

鈴華「落ち着いて雫ーーっっ！！」

火群「……か、柏木さん…」

鈴華「…コホン。……わ、わたくしは、西蓮寺財閥の令嬢……西蓮寺 鈴華ですわ。
よ、よろしく……お…おね…っお願い………しまぁーーっっ！！」

火群「西蓮寺さぁーーんっっ！！」



〜〜〜


そして互いに自己紹介を終えーーー


火群「…戒とメアリーさん、それからシルバさんは直接現地に行くって言ってたから、あとは２人と１体だけか」

火群「…そういえば2人とも、桜庭さんとは一緒に来なかったの？」

雫「…はい、もう少し準備に時間がかかるとから先に行っててと言われたので、私達だけ先に来たんです」

火群「…準備……？」

鈴華「…あ、来たみたいですわ」

西蓮寺さんの向く方向に目を向けると、和泉、結維さん、チアガールの姿があった。
彼女らもこちらに気づき、手を振りながらかけてくる。


和泉「…ごめんお待たせーっ！」

和泉は、前髪を目の上で切り揃えたショートカットの髪を揺らし駆け寄ると、左手で眼鏡の位置を直し、申し訳無さそーにこちらを見て謝る。

火群「…いや、まだ待ち合わせ時間の10分前だから平気平気」

と声をかけたとこで違和感に気付く。

火群「…！ 桜庭さん、その“腕”……！！」

フレアスリーブで、涼しげな水色のサマーニットの右袖から、和泉に本来存在しないはずの“右腕”が顔を出していた。

和泉「…うん、結維ちゃんに頼んで入手してもらったの。義手。
これの取り付けしてて遅れちゃったの」

火群「…！ そっか、義手か…っ」

和泉「まだ全然慣れてないんだけどね…っ。ごはん食べるのも一苦労だよー」

結維「…和泉は私みたいに“奥の手”を出せるわけじゃないから、右腕の感覚をなるべく早く思い出してもらおうって思ってたし、高性能なのを手配したわ。慣れれば決闘だってできるはずよ」

和泉の後ろから結維さんがヌッと現れる。

火群「！」

さっきは遠かったから気にならなかったが、結維さんは前までの和泉そっくりの髪型ではなく、和泉よりは少し長めのショートカットなのだが、右側だけ耳にかけているからか、赤縁眼鏡との相乗効果で若干大人っぽく見える。

結維「……っ、あんまりジロジロ見ないで貰えますか。変態」

が、当たり前のように吐かれる毒と、ウサ耳フード付きのパーカーにジーンズ生地のショートパンツという可愛らしい服装。それに加え、和泉と変わらぬ平らに平らを重ねた肢体。
先ほどの大人っぽく見えた幻想は一瞬にして砕け散った。

火群「……いやっ、ジロジロは見てねーし」

和泉「…どうだかねー」


明日人・栗須「…あ、あのー…」

火群「ん？ どうした？ 2人とも」

栗須「…俺たちの見間違いじゃなければよ…」

明日人「…桜庭さんが2人いるように見えるんだが……」

火群「……あ……」

そういえばクラース達には結維さんの存在もまだ話してなかったな…。

結維「…私は2人に会った事あるけど」

明日人・栗須「！？」

そういえばそうだった。夏休みに入る前、風邪引いた和泉の代わりに結維さんが学校に来た日があったっけ。

結維「…遅れて来て言うのもあれだけど、とりあえず全員揃った事だし、その辺の事は移動しながら話さない？」

火群「…そうだな！ よし、じゃあ行こう！『積木町』へ！」




鈴華「………」

結維「…あんた、さっきからずっとソワソワしてるけど、大丈夫？」

鈴華「…だ、大丈夫ですわ。心配はいりません」

和泉「…お腹痛いの…？」

鈴華「違いますわ…」

雫「はわっ…もしかして……痛み止め忘れちゃったんですか…？」

鈴華「だから違いますわよっっ」



鈴華「………」


鈴華（積木町………か……）









To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１０７ 海だぁぁあぁあっっ！！




＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙