DRAW:９６ VS黒焔トークン⑧逆境　作：人喰い

(96)


【火群side】

メアリーさんが上の階に行ってから約3分が経過したが、まだ3人の決闘は続いているようだった。決闘の情報が一切わからないのがなんとももどかしい。

戒は少し離れた場所で周囲を気にかけていてとても話しかけづらいので、必然的に結維さんと会話をする事になる。

火群「…そういえばさ、結維さん」

結維「……なに？」

火群「…俺、まだよく知らないんだけど、西蓮寺さんってどんな人なんだ…？」

結維「…なによ、鈴華の事も口説こうとしてるの？」

火群「いや…っ！ 違くて！
軽く自己紹介はしたけど、いまいちキャラが掴めてなくてさ。これから一緒に戦う仲間なんだし、どういう人なのかくらいは知っておかなきゃなって」

結維「…そうね…。
彼女、お嬢様らしいわよ」

火群「お嬢様…。確かに、口調とかそれっぽかったもんな…。他には？」

結維「…私とはWDCS予選で戦って知り合ったんだけど、デッキは【天魔神】を使っていたわ」

火群「…【天魔神】…。珍しいデッキを使ってるんだな。それから？」

結維「…あとは、後頭部にぶら下げた２つのチョココロネはちぎって食べてもすぐに再生するんだって」

火群「…お、おう…！？ マジでか…！？」

結維「うん、マジマジ。今度試してみて。鈴華優しいからきっと快くOKしてくれると思う」

火群「わ、わかった」

結維（ごめん鈴華。流石に調子乗ったわ）


火群「……あ、ところで話は変わるんだけどさ」

結維「…？」

火群「さっき戦った奴が『地縛神』ってモンスターを使ってたんだけど、何か知ってるか？」

結維「…質問ばっかね。まぁいいけど。
……地縛神は私の相手も使ってきた。けどその正体は何も知らないわ。よければさっきの決闘の事、互いに話しましょう」

火群「ああ、そうしよう」


俺たちは、先程の黒焔トークンとの決闘の内容を話し合った。


………

結維「……どうやら、地縛神ってのは複数居て、黒焔それぞれが異なる種類の地縛神を軸としたデッキを使うって事みたいね」

火群「俺も苦戦はしたけど、新しくデッキに入れた仲間、それからニクスのおかげでなんとか勝つ事ができた」

結維「……なるほど、ね」

火群「…戒でさえ、今は落ち着いてるけど、決闘直後はかなり疲労している様子だった。でもそれ考えるとなおさら、雫さんや西蓮寺さん、それに和泉が心配になってくるな…っ」

結維「…まったく…。
……けど、時間はかかるだろうけれど、3人はきっと負けない」

火群「……？」















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:９６ーーー
《VS黒焔トークン⑧逆境》















【鈴華side】


鈴華【LP 8000】
(モンスター)
カオス・ソーサラー[ATK 2300]
伏せ:0
手札:2

黒焔【LP 5700】
伏せ:1
手札:4


◉TURN０６


黒焔「ワタシノターン、ドロー」【手札 5】

鈴華「……っ…」

不気味ですわね…！ さっきから防戦一方で攻めてくる気配がありませんわ…っ。


黒焔「………ソロソロオ遊ビハ終ワリダ。データモ取レタシナ…。オ前ハワタシノ敵デハナイ」

鈴華「……！？」

黒焔「ワタシハ、フィールド魔法『神縛りの塚』ヲ発動！！」


《神縛
かみしば
りの塚
つか
/Mound of the Bound Creator》 †
フィールド魔法
(1)：フィールドのレベル１０以上のモンスターは
効果の対象にならず、効果では破壊されない。
(2)：フィールドのレベル１０以上のモンスターが
戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。
破壊されたモンスターのコントローラーは１０００ダメージを受ける。
(3)：フィールドのこのカードが効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
デッキから神属性モンスター１体を手札に加える。


黒焔「コノカードガ場ニアル限リ、ワタシノ場ノレベル10以上ノモンスターハ効果対象ニナラズ、効果デハ破壊サレナイ。
更ニ罠カード発動！『悪魔の憑代』！」


《悪魔
あくま
の憑代
よりしろ
/Sinister Yorishiro》 †
永続罠
(1)：このカードが魔法＆罠ゾーンに存在する限り、
自分はレベル５以上の悪魔族モンスターを召喚する場合に必要なリリースをなくす事ができる。
この効果は１ターンに１度しか適用できない。
(2)：通常召喚したレベル５以上の悪魔族モンスター１体のみが破壊される場合、
代わりにこのカードを墓地へ送る事ができる。


黒焔「コノ効果ニヨリ、手札ノレベル５以上ノ悪魔族モンスターヲ、リリース無シデ召喚スル！！
ーーー深キ眠リヨリ目覚メ、降臨セヨ！！！
『地縛神 Ccapac Apu』！！」[ATK 3000]


《地縛神
じばくしん
Ｃｃａｐａｃ
コカパク
Ａｐｕ
アプ
/Earthbound Immortal Ccapac Apu》 †
効果モンスター
星１０/闇属性/悪魔族/攻3000/守2500
「地縛神」と名のついたモンスターはフィールド上に１体しか表側表示で存在できない。
フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合このカードを破壊する。
相手はこのカードを攻撃対象に選択できない。
このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。
また、このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、
破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。


ｺﾞｺﾞｺﾞ…ｯ

急に地鳴りがしたかと思うと、地面が割れそこからありえない大きさの巨人の手が顔を出す。

鈴華「！？」

やがてその巨人は地面から完全に姿を現し私の前に立ち塞がる。

鈴華「…じょ、冗談じゃありませんわ…っっ！」

こんなのを相手しろって言うの…！？

黒焔「バトルダ！ Ccapac Apuデ、『カオス・ソーサラー』ヲ攻撃！！」


『地縛神 Ccapac Apu』
[ATK 3000]
ーーーVSーーー
[ATK 2300]
『カオス・ソーサラー』


地縛神の強烈な掌打によってカオス・ソーサラーは破壊されてしまう。
そしてそれだけではなく、そのインパクトの際に生じた地割れが私に襲いかかる。

黒焔「…Ccapac Apuガ相手モンスターヲ破壊シタ時、相手ハソノモンスターノ攻撃力分ノダメージヲ受ケル…！ クラエェェ！！」

鈴華「……そんな…っ！！ きゃぁぁああぁぁっっっ！！」【LP 8000→5000】

黒焔「…マダダ！ 『神縛りの塚』ノ効果ニヨリ、レベル10以上ノモンスターガ戦闘デモンスターヲ破壊シタ事デ、更ニ1000ポイントノダメージヲ受ケテモラウ！」

鈴華「…ぁぁぁあぁっッ！！」【LP 5000→4000】

何…よ……これ…！ 痛い……っ！！ こんなの普通の決闘じゃありませんわ…！

鈴華「……はぁ…っ、はぁ…ッ！」

黒焔「…ターンエンドダ」【手札 3】


◉TURN０７◉


黒焔「…ドウシタ、息ガ上ガッテイルゾ」

鈴華「…ぅる……ッさいですわねっ！ 私のターン！ ドロー！」【手札 3】

あのフィールド魔法がある限り、地縛神を対象にも取れず、破壊もできない…。
けど、まだ私に勝機はありますわ…！
まだ相手に、私の切り札である『天魔神』のカードは１枚も見せていない……、それさえ出せれば…！！

鈴華「……っ」

けど、この手札じゃ攻撃を凌ぐので精一杯ですわね…。

鈴華「私は、モンスターをセット。
更にカードを１枚伏せて、ターンエンドですわ…っ！」【手札 2】


◉TURN０８◉


黒焔「クク…！ 勝負ハ見エタナ…！ ワタシノターン！ ドロー！」【手札 4】

黒焔「伏セモンスターニ隠レタツモリダロウガ、ソンナモノ地縛神ノ前ニハ無力！
地縛神ハ相手ノ場ニモンスターガイテモ、プレイヤーヲ直接攻撃デキル！！」

鈴華「！！」

黒焔「…地縛神デ、ダイレクトアタック！」

『地縛神 Ccapac Apu』[ATK 3000]

鈴華「……く…っ！！ ここでライフを1000以下にする訳にはいきませんわ…っ！ 伏せカードオープン！『攻撃の無力化』！」

黒焔「…！」

鈴華「…地縛神の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させますわ！」

黒焔「…コザカシイ…！ ターンエンドダ…」【手札 4】


◉TURN０９◉


鈴華「…っ…」

…さっきくらったダメージの所為で意識が朦朧としてきましたわ…っ…。
結維さん達はこんな相手と闘って来たんですのね……。やっぱり私なんかが気安く入って来ていい世界じゃないの…？ いやーーー

そんな時ふと蘇ったのは、結維さんの言葉。



『ーーー友達を助けに来たのよ』



鈴華「……」

友達。
結維さんは私の事をそう言ってくれましたわね。
結維さんだけじゃない。
みんなーーー今まで友達なんてできたことのなかった私を、『デュエル』が繋いでくれた。
そんな大切なものを、簡単には捨てられませんわ…っっ！！


鈴華「私はーーー勝つ！！
私のターン！！ ドローですわっっ！！」【手札 3】

ーーー引いた！ 後は捲るだけ……！！

鈴華「ーーー私は魔法カード『モンスターゲート』を発動！！」


このカードが、このターンが、私の最後の勝負…！！
お願い…！！ 奇跡、起きて…！！






To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:９７ VS黒焔トークン⑨




＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙