第48話　一時の安らぎ　作：ター坊

コンコンコンコン、

ジャー、ジャー

ゴォオオ

シャッシャ…

よし、ラスト一品上がり。
俺は今、中華鍋をおろし、酢豚を皿に盛ったところだ。

あれから吹雪さんは何事もなかったように元気になったが、やはり何も覚えていなかった。それでも元に戻ってくれたと明日香さんは大喜びだった。一応、俺達の所に誘ってみたが、返事は当然OKで吹雪さん曰く
「迷惑かけたみたいだしね。それに可愛い娘も多いからついていこう」
とのこと。どうやらイメージとは違って、ただの爽やかお兄さんというわけではないようだ。

そして今。夕飯を作っているが今日は歓迎会なので豪勢にいこうということで、こうして腕を振るっていたのだ。何故か昔から料理が得意だったような感じで、今まで料理当番は俺が引き受けていた。
「ほいよ。お待たせ~」
「わぁ…」
「相変わらず、すげぇな」
テーブルには和･洋･中華、俺が作った料理が並べられている。
「今日は歓迎会だ。吹雪さん、明日香さん、凌牙、璃緒、梶木、これからよろしくな」
俺はグラスを持つ。
「それでは、みんなグラスを持って」
「カンパーイ！！」
こうして一時の祝宴が開かれたのだ。


「あら？美味しいですわ」ﾓｸﾞﾓｸﾞ
「うん！ユイさんって料理すっごい上手なんですよ」
「あぁ、全くだな」
「フガ、フガ！」
「城之内、行儀悪い」
「うーん。美味しいけど、作ったのが男って言うのが…」
「……」
「ハハ、明日香、そう睨むなよぉ」
(私もユイから料理習おうかな？)
「こら、凌牙！ピーマン残さないの！アユちゃんは好き嫌いなくて良い子ですねー」
「うん！ユイお兄ちゃんのごはん、おいしいから大好き！」
「うっ…」
「かぁー！うまいぜよ！」
「うむ。いつもながら感服する」
「上品な味わいナノーネ」
「アム、アム…」
「意地汚いぞ、おジャマイエロー」ｸｯﾁｬ,ｸｯﾁｬ,ﾓｸﾞﾓｸﾞ,ﾓｸﾞﾓｸﾞ
「万丈目くん、人のこと言える？」
「ハハ、良いじゃねーか！今日はハメ外しても」
「クロウ…」
「そうだ！ノリ良くいこうぜ！」





結局、夜遅くまで大宴会は続き、片付けが終わって寝床に入ったのは12時を過ぎた頃だ。
「今日は色々あったなぁ」
新しいデッキ『救世者』、クロウの襲来、リーダー決定戦、謎のデュエリスト･ツヨシとのデュエル、建物の出現、探索、そしてまた新しい仲間。
「それにしても…」
俺はデッキから１枚のカードを引き抜く。
「似てるよな…これ」
俺が引き抜いたのは『未来の救世者 スキュルート』だ。強力なバウンスで助かった場面も幾度かある。このカードが あの人 に似ているような気がしたのだ。
「…いや、やっぱり気のせいだろう」
俺はスキュルートをデッキに戻し、そのまま眠った。




目を開けるとあの向日葵畑に立っていた。そしてまた

「ゆう君、いらっしゃい♪」

あの人 の明るい声が聞こえた。