第183話　最後の勝者は　作：ター坊

「さぁ、次はお前の攻めを見せる番だ。来い美羽！」
「うん！ドロー…私は速攻魔法『美麗魔術-アンコールショー』を発動！これで墓地のペンデュラムブランコをデッキに戻して効果をコピーし、デッキからスケール０の『幻麗華団-アシスタント・バニー』とスケール５の『幻麗華団-カード・ウィッチ』をペンデュラムスケールにセッティング！！輝く幻想の役者達よ！ステージに舞い上がって！エクストラデッキからエムシー・サキュバス、ジェイド・ワイバーン、ナイフダーツ・プリンセス、手札からチューナーモンスター、ローリング・キャットをペンデュラム召喚！！そしてエクストラデッキからペンデュラム召喚されたエムシー・サキュバスの効果でデッキから『美麗魔術-フラワーシャワー』を手札に加える」
「ふぅ。ギアフェイトはカードの効果の対象に取られないからな。ジェイド・ワイバーンのバウンスもナイフダーツ・プリンセスの弱体化も受けずに済んだ…」
「ううん！ユイのフィールド、突破するよ！私はレベル２のエムシー・サキュバスとレベル４のナイフダーツ・プリンセスにレベル１のローリング・キャットをチューニング！！残虐なる鮮血のナイフ、今はステージの輝きを彩る赤き花となれ！シンクロ召喚、レベル７『幻麗華団-ジル・ザ・リッパー』！！ジル・ザ・リッパーの特殊召喚に成功したことで相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力を半分にして効果を無効にする！」
ジル・ザ・リッパーが放ったナイフは何かしらの魔法のように無数に分裂して全方位からギアフェイトを襲う。対象に取られないギアフェイトもこれにはひとたまりもない。
「くっ！」
「さらに、ジル・ザ・リッパーの効果でエクストラデッキからローリング・キャットを特殊召喚！ローリング・キャットの効果でエクストラデッキからナイフダーツ・プリンセスを手札に加えて召喚！これでエムシー・サキュバスと入れ替えてエムシー・サキュバスの効果でデッキから『美麗魔術-ディメンションボックス』を手札に。そしてバトル！ジル・ザ・リッパーで弱体化したギアフェイト・X・ドラゴンに攻撃！」
「忘れたとは言わせないぞ！俺のモンスターが攻撃の対象になったことで手札から『銀麗の救世者-ミスリル・メイド∞』を特殊召喚！そして相手の攻撃はコイツに集中する」
ギアフェイト・X・ドラゴンを守るようにミスリル・メイドが立ち塞がる。
「コイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…表！

「得るのは効果破壊耐性だが、攻撃力が低い幻麗華団には充分な守備力だ！」

幻麗華団-ジル・ザ・リッパー ATK 1800 VS 銀麗の救世者-ミスリル・メイド∞ DEF 2000

美羽:LP 6500→6300

「でも…まだ！エムシー・サキュバスでミスリル・メイドに攻撃！」

幻麗華団-エムシー・サキュバス ATK 500 VS 銀麗の救世者-ミスリル・メイド∞ DEF 2000

美羽:LP 6300→4800

美羽は大きな反射ダメージを受けたがこれこそ突破口だった。
「エムシー・サキュバスのバトル終了時にエクストラデッキに送って新たにナイフダーツ・プリンセスを特殊召喚！ナイフダーツ・プリンセスの効果でミスリル・メイドの攻守を半減して効果を無効にする！」
ナイフダーツ・プリンセスが投擲したナイフはミスリル・メイドにダメージを与える。
「ナイフダーツ・プリンセスでミスリル・メイドを攻撃！」

幻麗華団-ナイフダーツ・プリンセス ATK 1500 VS 銀麗の救世者-ミスリル・メイド∞ DEF 1000

「攻撃が終わってナイフダーツ・プリンセスをエクストラデッキに戻して今度はジェイド・ワイバーンを特殊召喚！効果でギアフェイトをバウンス！」
「さすがにそれは通せんな。罠カード『救世の鎮魂歌』を発動！ギアフェイトをリリースして３枚ドロー」
「だったらダイレクトアタック！」

幻麗華団-ジェイド・ワイバーン ATK 1200 直接攻撃

ユイ:LP 7000→5800

「くっ！」
「ジェイド・ワイバーンをエクストラデッキに戻してローリング・キャットを特殊召喚！エクストラデッキからワイバーンを手札に加えて、ローリング・キャットでもう１回攻撃！」

幻麗華団-ローリング・キャット ATK 100

ユイ:LP 5800→5700

「そしてこのターンのバトルの最後はこれ！速攻魔法『美麗魔術-ディメンションボックス』！ジル・ザ・リッパーをエクストラデッキに戻すことでデッキからレベルの合計が等しくなるように幻麗華団モンスターを効果を無効にして２体特殊召喚できる！」
突如現れた棺桶のような箱にジル・ザ・リッパーが入ると蓋を閉じられ

ボンッ！

と爆発し、煙が晴れると
「デッキからレベル３のチェーンソー・ヴァンパイアとレベル４のフレイム・キマイラを特殊召喚！２体でダイレクトアタック！！」

幻麗華団-チェーンソー・ヴァンパイア ATK 1400 + 幻麗華団-フレイム・キマイラ ATK 1600　直接攻撃

ユイ:LP 5700→2700

怒濤の連続攻撃によりユイのＬＰは半分以下にまで追い込まれてしまった。
「ここまでやられるとはな…」
「でも私のターンは終わってないよユイ！」
「…元々レベル７のモンスターが分離したモンスター…それにレベル１チューナー…あれかっ！」
「私はレベル４のフレイム・キマイラとレベル３のチェーンソー・ヴァンパイアにレベル１のローリング・キャットをチューニング！！かつて天界に座した天使よ、黒き翼の輝きと共に奇跡を巻き起こせ！シンクロ召喚！！レベル８『幻麗華団-ミラクルマエストロ・ルシア』！！」
星の軌跡によって描かれた魔法陣から幻麗華団の長たる黒き翼の天使が降臨する。
「ミラクルマエストロ・ルシアの効果で１ターンに１度、エクストラデッキから幻麗華団モンスター１体を特殊召喚出来る。これで私はエムシー・サキュバスを守備表示で特殊召喚。エムシー・サキュバスの効果でデッキから『美麗魔術-クリアコフィン』を手札に加える。カードを２枚セットしてターンエンド」
ミラクルマエストロ・ルシア…美羽のエースで、可憐でありつつもその恐ろしさはここまでの大会の中でまざまざと見てきた。
「こんな追い込まれた状況でそれとはな。普段のおとなしさは何処へ行ったのか」
「でも…ユイは諦めてないんでしょ？」
「当然だ。俺のターン…ドロー！…俺は既にセッティング済みのペンデュラムスケールで再びペンデュラム召喚！エクストラデッキからフレンディー、タリス、ヴェルネッタ、ミスリル・メイド、そして手札から『未来の真救世者-スキュルート Eternal Ace』！！」
ここで両方のエースが並び立つ。
「まずはミスリル・メイドの効果を発動！」
「ドライヴ召喚はさせないよ！ミラクルマエストロ・ルシアの効果発動！エクストラデッキからチェーンソー・ヴァンパイアをデッキに戻して相手のカードの効果の発動を無効にして破壊する！」
そう、これがルシアの恐ろしい効果の１つである。
「ならば次はタリスの効果を…」
「今度はローリング・キャットを戻して無効！」
コストが払える限り何度でも使える無効効果。これがどれ程の脅威か分かるだろうか。美羽のエクストラデッキにはまだナイフダーツ・プリンセスとフレイム・キマイラがいるため、あと２発防がれてしまうのだ。しかしユイとて無闇に効果を乱発してる訳ではない。
「あと２発で…こちらにも分がある」
「…っ！」
そう。ユイが狙っているのは美羽のエクストラ切れである。幻麗華団はフィールドとエクストラデッキを入れ替えながら戦う性質上、エクストラに充分な役者がなければ上手く回らない。確かにミラクルマエストロ・ルシアの連続無効効果は強力無比だが、その重要なエクストラデッキを削ってしまう点で言えば相性が悪いのである。しかも美羽としてもユイが発動するどの効果がトリガーとなってドライヴ召喚に繋げられて逆転されるか分からないので、一見どうでも良いと思える効果も通す訳にはいかない。
「続いてフレンディーの効果発動！」
「…ナイフダーツ・プリンセスを戻して無効！」
「ならば、手札から速攻魔法『救世の聖火』発動！フレンディーをリリースしてルシアを破壊させてもらう！」
「うっ！ルシアで無効！」
最後に見せた２段効果でユイは少し安堵する。
「これでルシアの弾は切れた。行くぞ、スキュルート Eternal Ace の効果発動！エクストラデッキからタリスを戻すことでコイントスを」
しようとした瞬間だった。
「永続罠『美麗魔術-クリアコフィン』！！」
美羽が罠を発動するとスキュルートはガラス張りの棺桶に閉じ込められ、それに鎖ががんじがらめに巻かれていく。
「何っ！？これは…」
「クリアコフィンは相手フィールドのモンスター１体の効果を無効にしつつ攻撃を不可能にする効果があるから、デッキバウンスはさせないよ」
「おっと…まずいな。…ターンエンドだ」
ルシアの弾切れには成功したものの、不利な状況に変わりはなかった。
「私のターン、ドロー！…私は手札からジェイド・ワイバーンを召喚！バトル！ミラクルマエストロ・ルシアでスキュルート Eternal Ace を攻撃！」
ここでミラクルマエストロ・ルシアの第２の恐怖が襲う。

幻麗華団-ミラクルマエストロ・ルシア ATK 2000 VS 未来の真救世者-スキュルート Eternal Ace ATK 1000

「うおっ！」

ユイ:LP 2700→1700

ミラクルマエストロ・ルシアは連続無効効果の他に戦闘に関するトンデモない効果を持っている。それこそが今のバトルだ。まず永続効果としてフィールドのモンスターはこのカード以外のカードの効果以外によって攻守が変動しない、そしてもう１つも永続効果でルシアとバトルを行う相手モンスターの攻守をダメージステップ終了まで１０００に固定するという効果だ。つまり強化戦術が一切通用せず、戦闘では絶対に勝てないという訳だ。
「あと少し…エムシー・サキュバスでダイレクトアタック！」

幻麗華団-エムシー・サキュバス ATK 500 直接攻撃

ユイ:LP 1700→1200

「…！これで最後！ジェイド・ワイバーンでダイレクトアタック！！」
美羽は勝利を確信した。全てのダメージを０にしつつＬＰを回復するゴールド・ゴーレムを持っていたら、ユイはスキュルートがやられる時に使っているだろう。

幻麗華団-ジェイド・ワイバーン ATK 1200　直接攻撃

ジェイド・ワイバーンが放った風の刃がユイを襲い、土埃が舞う。


「私…ユイに勝ったの…？」












「…文句なしの強さだったぞ美羽。けど惜しかったな」