第177話　希望皇と救世者　作：ター坊

~遊馬サイド~

「遊馬、アストラル。これで終わると思うなよ？」
「えっ！？」
ユイの奴、新しい召喚方法ドライヴだけじゃないって言うのか…。
「確かにな。ユイのフィールドにはまだシエラとミスリル・メイドがいる。恐らくあれらを素材にまだ召喚してくるぞ！」
「さすがアストラル。分かってるな。なら行かせて貰うぞ！俺はレベル４のミスリル・メイドにレベル４のシエラをチューニング！！」
ユイ…今度はシンクロ召喚かよ！マジ強ぇ…。
「月満ち輝く時、愛しき者の力の片鱗重ね新たなる救世の力が生まれる。顕現せよ、シンクロ召喚！レベル８『夢幻の真救世者-ルシア・ライトムーン』！！」
あのモンスターは確か！

「あれって…美羽さんの！？」
「ううん。私のルシアとは細かい所が違う…」
「じゃあ、あれは…」

観てるみんなもどよめいてる。
「美羽のルシアを取り込んだということか！」
「ああ…。けど…」
取り込んだっていうより、なんつーか…。
「取り込んだと言うと悪役っぽいな。…力を分けて貰った、とでも言って欲しいもんだ」
「あっ！そうそう！それだ」
「フフッ。それじゃあ、改めて…」
「来るぞ、遊馬！」
「おう！」
ユイの全力の攻撃が始まる！
「ルシア・ライトムーンの効果を発動！１ターンに１度、相手フィールドの表側表示のモンスター１体を装備カード扱いでルシアに装備する！対象は『ガガガガンマン』！フルムーン・ルーラー！！」
ルシア・ライトムーンが杖を振りかざすと『ガガガガンマン』は光の粒になって吸い込まれちまった。
「さらに装備した『ガガガガンマン』の攻守の数値分パワーアップ！バトルだ！まずはレヴァンディオンで『ガガガザムライ』を攻撃！」
「くっ！これは受けるしかない！！」

勝利の真救世者-レヴァンディオン ATK 3000 VS ガガガザムライ ATK 2200

「うおっ！」

遊馬:LP 6500→5700

「さらにレヴァンディオンが相手モンスターを戦闘によって破壊したことで効果発動。デッキをシャッフルした後でデッキトップを確認し、そのカードの種類で様々な効果を発揮する。デッキトップチェック」

ﾍﾟﾗ…『無限の可能性』

「魔法カードの場合、このカードの攻撃力を５００アップさせ、もう一度攻撃を行う！」
「な、なんだって！？」
「もう一度行け、レヴァンディオン！！」
「まずいぞ、遊馬！罠カードだ！」
「おう！罠カード『マスター・ピース』を発動！これでオレは墓地の『ガガガマンサー』と『ガガガマジシャン』を復活させてオーバーレイ！２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！来い、Ｎｏ.３９！光の使者、希望皇ホープ！！」
頼んだぜ、ホープ！
「やはり来たか、ホープ…。だが止めはしない。バトル続行！！」
「させるか！希望皇ホープの効果発動！！オーバーレイユニットを１つ使ってレヴァンディオンの攻撃を無効にする！ムーン・バリア！！」
「続いてルシアで攻撃！」
「なっ！攻撃力は同じなのに…相撃ちか！？」
「遊馬！ここも防ぐんだ！」
「ああ、分かってる！！ホープの効果を使ってルシアの攻撃も無効にする！」
これであとは攻撃力が低いメルティエルだけだからなんとか次のターンに…
「それはどうかな？」
「何っ！？」
「ルシア・ライトムーンの効果発動！ペンデュラム・トリック！！」
その瞬間、ルシアが閃光に包まれ、目を一瞬瞑り、再び開いた時だった。
「こ、これは！」
フィールドにはある変化が起きていた。フィールドには攻撃してきた筈のルシアがペンデュラムゾーンに置かれ、代わりにユイのエースモンスター、スキュルート Eternal Ace がフィールドに存在していた。
「これは一体…！」
「ルシア・ライトムーンは１ターンに１度、好きなタイミングでモンスターゾーンのペンデュラムモンスターと入れ替わる事が出来るのさ！」
「そんな！」
「入れ替えたスキュルートで希望皇ホープを追撃！」

ボフッ！

希望皇ホープはこの世界じゃＮｏ.が持つ『Ｎｏ.はＮｏ.でなければ倒せない』と言う効果は発揮されず、自壊されちまう。

「フィールドががら空きになったことでスキュルートとメルティエルのダイレクトアタック！」

未来の真救世者-スキュルート Eternal Ace ATK 2500 ＋ 純愛の真救世者-メルティエル ATK 2400　直接攻撃

「うわぁああ！！」
「くぅっ！」

遊馬:LP 5700→800

「…へへっ。かなり減っちまったな…」
「だけど、楽しそうな目をしてるな」
ユイもオレもついつい口許を緩めてしまう。
「あったりまえだろ！こんなワクワクするデュエル、なかなか無いもんな！見てろよ、次のターンで逆転してやる！」
「よし、来い！俺はカードを１枚セットしてターンエンド」
「おっしゃあ！かっとビングだあぁ！オレェェェ！！ドロー！！！」

シャキーーン！

このカードは…！
「オレは魔法カード『ドドドドロー』を発動！手札から『ドドドバスター』を捨てて２枚ドロー！さらに『ガガガドロー』を発動！墓地から『ガガガマンサー』『ガガガマジシャン』『ガガガ』を除外して２枚ドロー！！」
よし、この手札なら！！
「魔法カード『死者蘇生』を発動！再び蘇れ、希望皇ホープ！」

「そうよ！遊馬の希望、ホープは簡単に負けないわ！いっけぇ、遊馬！！」
「ユイ殿！ここが正念場ですぞ！！」
「どっちも負けんじゃねぇぞ！！」

小鳥たちの声援で一気に盛り上がる。
「魔法カード『ＲＵＭ-ヌメロン・フォース』を発動！」
「ヌメロン・フォース…しまった！チェーンしてスキュルート Eternal Ace の効果で自身を守備表示に変更！！」
「ユイ！これがオレのかっとビングだ！！希望皇ホープでオーバーレイネットワークを再構築！！現れろ、ＣＮｏ.３９！未来に輝く勝利をつかめ。重なる思い、繋がる心が世界を変える！希望皇ホープレイ・ヴィクトリー！！」
そして引き当てたこれだ！
「さらに手札から『ＺＷ-阿修羅副腕』をホープレイ・ヴィクトリーに装備！攻撃力が１０００アップし、相手フィールドのモンスター全てに１回ずつ攻撃できるようになる！！」
「くっ！」
「バトルだ！希望皇ホープレイ・ヴィクトリーでレヴァンディオンを攻撃！！そしてホープレイ・ヴィクトリーの効果発動！オーバーレイユニットを１つ使い、ターン終了時までレヴァンディオンの攻撃力分、ホープレイ・ヴィクトリーの攻撃力をアップさせる！！ビクトリー・チャージ！！！」
ホープレイ・ヴィクトリーの剣に光が溢れるくらいに輝く。
「ホープ剣・ダブルビクトリースラッシュ！！」

ＣＮｏ.３９希望皇ホープレイ・ヴィクトリー ATK 6800 VS 勝利の真救世者-レヴァンディオン ATK 3000

「うおっ！」

ユイ:LP 8000→4200

「そしてこれでトドメだ！メルティエルに２回目の攻撃！」
この攻撃が通ればユイのＬＰが０になる！










「俺は負けない！！手札から『輝翼の救世者-プラチナ・ペガサス∞』を捨てて効果発動！」
「なっ！」
「これでバトルフェイズ終了時までメルティエルの攻撃力・守備力を１０００アップさせる！」

ＣＮｏ.３９希望皇ホープレイ・ヴィクトリー ATK 6800 VS純愛の真救世者-メルティエル ATK 3400

「そんな！」
「…っ！」

ユイ:LP 4200→800

「馬鹿な…。私達の渾身の連撃を凌いだだと…」
アストラルもビックリするだろうさ。オレ達はオレ達の出来る最高のかっとビングで挑んだんだ…。やっぱユイはすっげぇや。
「…それだけではないさ」
「え？」
「メルティエルが戦闘によって破壊されたことで効果発動。これは墓地で発動する効果だからヌメロン・フォースの影響を受けない」
「くっ、…確かに！」
「これによって相手フィールドの最も攻撃力が高いモンスター１体を除外し、その攻撃力分のＬＰを回復する」
ホープレイ・ヴィクトリーがメルティエルを切り伏せた瞬間、メルティエルが大きな翼となってホープレイ・ヴィクトリーを包み込み、一緒に消えてしまった。

ユイ:LP 800→3600

「…オレはカードを１枚セットしてターンエンドだ！」
「俺のターン、ドロー。『勇気の救世者-シグナム∞』を召喚して効果発動。コイントス判定で表が出ればモンスターを破壊し、裏が出れば魔法・罠カードを墓地に送る」

ﾁﾘｰﾝ…








裏！

「さすがユイと言ったところか…」
「ああ…」
シグナムの斬撃の衝撃波がオレの最後のセットカードを切り裂く。

『攻撃の無敵化』ﾊﾟﾘｰﾝ

「スキュルートを攻撃表示に変更して…これでThe Endだ！ダイレクトアタック！！」

未来の真救世者-スキュルートEternal Ace ATK 2500　直接攻撃

遊馬:LP 800→0








デュエルが終わった後、ユイはオレに近づいてきた。やっぱデュエルは勝っても負けても心がスッとする。
「相変わらず強いなユイ！」
「いや。あの時スキュルートを咄嗟に守備表示にしてなかったらやられてたのはこっちだったさ」
「いいや。そういう咄嗟の判断が出来ることこそ優れたデュエリストたる証だ。ユイ。良いデュエルだった」
「遊馬、アストラル。ありがとう」
ユイはそう言って手を差し伸べる。
「元の世界に帰っちまったらもうできねぇかもしんないけど…またデュエルやろうぜ！」
「ああ。その時勝つのも俺だけどな」
「いいや。次はオレだぜ！」
そんな言い合いをしながら握手を交わす。

「素晴らしい第１回戦ナノーネ」
「遊馬、アストラル！良かったぜ！」
「ユイっち、やるやん」

トーナメント第１回戦は全員に賞賛を浴びながら終わった。
ユイ。この後のデュエルも頑張れよ！