第181話　エンタメでワクワクするんだ！　作：ター坊

「続いては~、柚子お姉ちゃんと十代お兄ちゃんです！」
アユの宣誓によって二人のデュエリストが前に出る。
「どっちも融合使い…どっちに傾くかしら？」
「十代！俺に勝った以上負けんなよー！」
トーナメントは進み、柚子は舞に、十代はゴーシュにもう勝っており、それぞれ２回目になる。
「よっしゃ！楽しいデュエルにしようぜ！」
「はい！よろしくお願いします！」




「「デュエル！！」」



「俺の先攻だ！俺は『Ｅ・ＨＥＲＯエアーマン』を召喚！エアーマンの効果で『Ｅ・ＨＥＲＯバーストレディ』を手札に加える。カードを２枚伏せてターンエンド」
「私のターン、ドロー！私のフィールドにモンスターがいないことで魔法カード『オスティナート』を発動！デッキから『幻奏の音女アリア』と『幻奏の音女エレジー』を墓地に送り、融合召喚を行う！響け歌声！流れよ旋律！タクトの導きにより力重ねよ！融合召喚！今こそ舞台へ！『幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト』！！」
聖歌とピアノの旋律が音姫を舞い降りさせる。
「さらに『幻想の歌姫ソロ』を召喚してバトルよ！マイスタリン・シューベルトでエアーマンを攻撃！」

幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト ATK 2400 VS Ｅ・ＨＥＲＯエアーマン ATK 1800

十代:LP 8000→7400

「おっとと！へへっ。けど俺のヒーローはやられっぱなしじゃないぜ！エアーマンが戦闘によって破壊されたことで罠カード『ヒーロー・シグナル』を発動！デッキから『Ｅ・ＨＥＲＯフォレスト・マン』を守備表示で特殊召喚！！」
頭上にアルファベットのＨを変形させたマークが浮かぶとその光から木に覆われたヒーローが見参する。
「くっ！守備力２０００じゃ攻撃はできないけど…マイスタリン・シューベルトの効果発動！これで十代さんの墓地からエアーマンと『ヒーロー・シグナル』を除外するわ！」
「やるなっ！」
「私はターンエンドするけど、ここで『オスティナート』の効果！この効果で融合召喚したマイスタリン・シューベルトは破壊されちゃうけど、融合素材になったアリアとエレジーが私のフィールドに戻ってくるわ！」
マイスタリン・シューベルトは花吹雪を散らしながら消えたが、その花びらが集束し、新たな音女２体へと姿を変えた。
「俺のターン、ドロー！！おっしゃあ！ワクワクしてきたぜ！」
「え？」
「スタンバイフェイズ時、俺はフォレストマンの効果で『融合』を手札に加えるぜ！そんでまずはアイツだ！魔法カード『融合』を発動！これで手札のバーストレディとフェザーマンを融合！来い、マイフェイバリットヒーロー、『Ｅ・ＨＥＲＯフレイム・ウイングマン』！！」

「来たわね。十代のフェイバリットモンスター」
「全く。どんな世界デーモ、バカのひとつ覚えナノーネ」
「でも柚子のフィールドには戦闘破壊されない効果を全体に与えているアリアがいる…。十代さんは一体どうやって…」

「さらに『融合回収』を発動！これで墓地の『融合』とバーストレディを手札に戻す！それでもう１回、フィールドのフォレストマンと手札のバーストレディで『融合』！！来い、紅蓮のヒーロー、『Ｅ・ＨＥＲＯノヴァ・マスター』！」
「れ、連続融合…！」
「さらに１０００ＬＰ払ってリバースカード『スピリッツ・フュージョン』を発動！！」

十代:LP 7400→6400

「これで墓地のフェザーマンとフォレストマンを除外して融合！」
「トラップでの融合！？」
「来い、荒ぶる風のヒーロー『Ｅ・ＨＥＲＯ Ｇｒｅａｔ ＴＯＲＮＡＤＯ』！Ｇｒｅａｔ ＴＯＲＮＡＤＯの効果で相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力を半分にする！タウン・バースト！！」
強烈な突風がフィールドを包む。
「きゃっ！」

「…！見え」
「ユイ様？」「ユイ？」ｼﾞﾛ
「いや…何でもないぞ。…さて、これでステータスは軒並み下がったが…どう切り崩すんだろうなー」

「そして『Ｎ・グラン・モール』を召喚！そんでバトルだ！まずはグラン・モールで『幻奏の音女アリア』を攻撃！」
「だけどアリアは戦闘では破壊されないし効果の対象には…」
「それはどうかな？グラン・モールの効果発動！！ダメージステップ開始時、コイツとアリアを手札に戻す！」
「ええっ！？」
グラン・モールがアリアに衝突するとお互いに弾かれるようにフィールドから去っていく。
「しまった…。グラン・モールのあの効果は対象に取ってない…。破壊だったらエレジーで対処できたけどバウンスだから…！」
「さて、これで戦闘破壊出来るぜ！今度はノヴァ・マスターでソロに攻撃！！」

Ｅ・ＨＥＲＯノヴァ・マスター ATK 2600 VS 幻奏の歌姫ソロ ATK 950

柚子:LP 8000→7050

「ノヴァ・マスターはモンスターを戦闘によって破壊した場合、俺はデッキから１枚ドローする」
「私だってやられてばっかりじゃないわ！！ソロが戦闘によって破壊された場合、デッキから『幻奏の音女タムタム』を特殊召喚！さらにタムタムの効果でデッキから融合を手札に！」
「へぇやるな。だけどまだ続くぜ！フレイム・ウィングマンでエレジーを攻撃！！フレイム・シュート！！」

Ｅ・ＨＥＲＯフレイム・ウィングマン ATK 2100 VS 幻奏の音姫エレジー DEF 1200

「だけどダメージは…」
「フレイム・ウィングマンはモンスターを戦闘で破壊した時、そのモンスターの攻撃力分のダメージを与える！やれ、フレイム・ウィングマン！！」
「そんな…きゃああっ！」

柚子:LP 7050→5050

「そして最後だ！Ｇｒｅａｔ ＴＯＲＮＡＤＯでタムタムを攻撃！スーパーセル！」

Ｅ・ＨＥＲＯ Ｇｒｅａｔ ＴＯＲＮＡＤＯ ATK 2800 VS 幻奏の音女タムタム DEF 2000

「私のフィールドが…」
「俺はカードを１枚伏せてしてターンエンド」
「私のターン、ドロー！よし、これなら！！いきます！」
「よし、来い！」
「私は魔法カード『独奏の第１楽章』を発動してデッキから『幻奏の音女セレナ』を特殊召喚！セレナは天使族モンスターをアドバンス召喚する時、２体分のリリースになれる！私はセレナをリリースして『幻奏の音姫ローリイット・フランソワ』をアドバンス召喚！ローリイット・フランソワの効果で墓地のタムタムを手札に戻すわ！さらに私も『融合』を発動！これで手札の『幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト』と手札に戻したタムタムを素材に融合！！至高の天才よ！気高き共鳴よ！タクトの導きにより力重ねよ。融合召喚！今こそ舞台に情熱の歌を！『幻奏の華歌聖ブルーム・プリマ』！！さらにタムタムは融合素材として墓地に送られた時、相手フィールドのモンスター１体の攻撃力を５００ダウンさせて、さらに５００ダメージを与えるわ！対象はＧｒｅａｔ ＴＯＲＮＡＤＯよ！」
「うっ！」

十代:LP 6400→5900

「さらに８００ＬＰ払って装備魔法『再融合』を発動！」

柚子:LP 5050→4250

「これで墓地からマイスタリン・シューベルトを特殊召喚！！特殊召喚したセレナの効果で私はこのターンにもう一度だけ幻奏モンスターを召喚できるから、さっき戻されたアリアを召喚！さぁ、これで私のステージは揃ったわ！バトル！ブルーム・プリマは融合素材としたモンスターの数×３００分、攻撃力がアップして２回攻撃ができる！フレイム・ウィングマンとＧｒｅａｔ ＴＯＲＮＡＤＯを攻撃！」

幻奏の華華仙ブルーム・プリマ ATK 2500 VS Ｅ・ＨＥＲＯフレイム・ウィングマン ATK2100＋Ｅ・ＨＥＲＯ Ｇｒｅａｔ ＴＯＲＮＡＤＯ ATK 2300

十代:LP 5900→5300

「おおっ！」
「まだまだ！続いてはマイスタリン・シューベルトの効果発動！これで十代さんの墓地から『融合』・Ｇｒｅａｔ ＴＯＲＮＡＤＯ・フォレストマンを除外してもらいます！これによってマイスタリン・シューベルトの攻撃力は６００アップ！ノヴァ・マスターを攻撃！」

幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト ATK 3000 VS Ｅ・ＨＥＲＯノヴァ・マスター ATK 2600

十代:LP 5300→4900

「これで最後！ローリイット・フランソワとアリアでダイレクトアタック！！」

幻奏の音姫ローリイット・フランソワ ATK 2300 + 幻奏の音女アリア ATK 1600　直接攻撃

十代:LP 4900→1000

「バトルフェイズを終わって、私は永続魔法『スローテンポ』を発動！これで通常召喚したモンスターはそのターン攻撃できない。私はこれでターンエンド！」
「…へへっ」
「十代さん？」
「あっはっはっはっ！」
突如として十代は笑いだした。
―世界が混ざり、滅亡の危機に瀕していた全ての次元を救った後に行われたこの大会。よく考えれば久々の、緊迫感がない平和の中で楽しく笑い合うデュエル、本来あるべきデュエルの姿がここにあった。十代はこの瞬間を全力で楽しんでいるのだ。
「なぁ柚子。お前達の世界でこういうのエンタメデュエルって言うんだよな？」
「はい！自分も相手も、見てる人も笑顔になれるデュエル、それを目指してます！」
「なら今度は俺がワクワクさせる番だぜ！俺のターン…ドロー！！魔法カード『ＨＥＲＯの遺産』を発動！墓地のフレイム・ウィングマンとノヴァ・マスターをエクストラデッキに戻して３枚ドロー！！…俺はカードを１枚伏せてターンエンド！」
「えっ！？」
「さぁ、来い！」
「なんだろう…。でもすごい生き生きしてるのが伝わってくる…！私もそれに応えなきゃ！私のターン、ドロー！私はマイスタリン・シューベルトでダイレクトアタック！！」
「ここで罠カード『ヒーロー見参』を発動！！」
「ふっふっふっ。すごい十代さんらしいカード…。ワクワクします！」
「だろ？これで柚子は俺の手札からカードを１枚選んでそれがモンスターなら特殊召喚し、魔法・罠カードなら墓地に送る。さぁ、どーれだ？」
十代はカードを突き出す。
「…じゃあ真ん中のカードで！」
柚子がビシッと指差しで選んだカードは…。








「俺が特殊召喚するのは…来い！俺の相棒、『ハネクリボー』！！」
「そのカードは…！…でも、改めてマイスタリン・シューベルトで『ハネクリボー』を攻撃！」
「その瞬間、速攻魔法『進化する翼』を発動！手札２枚を捨てて『ハネクリボー』はレベルアップする！」
『ハネクリボー』の翼はみるみるうちに大きくなり、鳳凰のような金の鎧と立派な翼を持つ姿へと成長した。
「綺麗…。でも攻撃力では」
「『ハネクリボーＬｖ１０』の効果発動！！相手のバトルフェイズ中にこのカードを生け贄に捧げることで相手フィールドのモンスター全てを破壊し、この効果で破壊したモンスター全ての攻撃力の合計分のダメージを与える！！」
「ええっ！？」
『ハネクリボーＬｖ１０』から溢れんばかりの閃光が迸り、フィールドのモンスターを消滅させていく。
「負けちゃったかぁ…」

柚子:LP 4250→0






デュエルが終わり、十代と柚子は握手を交わす。
「ガッチャ！楽しいデュエルだったぜ！」
「はい！私もすごくワクワクしました。ありがとうございました！」