第125話(特別企画)　別次元の喧嘩野郎　作：ター坊

ユイ達が駆けつける数十分前

~？ ？ ？サイド~

ここはどこだ？俺は家で寝てただけだが、寝惚けてどっかの街に来たか？…そんな訳ねぇか。俺はその場から歩き出す。


「あれは？」
街の広い道をあてもなく歩いているとおかしな奴に会う。
「おい」
呼び掛けるとソイツはゆっくりと振り向く。
「ほぅ。久々に見るぜ。そんな眼の奴はな」
俺より年下の中坊くらいか？トマトみてぇな変わった髪型をしており、ぎらついた視線で俺を睨む。
「お前も…敵か！デュエル！」
「ふっ、問答無用ってか。良いだろう…。受けてやるぜ！この遊太郎がな！」


先攻:遊太郎

「俺のターン。俺の場にモンスターがいない場合、手札から『喧嘩竜(ケンカ･ドラゴン)リトル･ネリチャギ』を特殊召喚！さらに喧嘩竜がいるため『喧嘩竜ライジング･アッパー』も特殊召喚！俺はレベル3のライジング･アッパーにレベル2のリトル･ネリチャギをチューニング！シンクロ召喚、レベル5『喧嘩竜ファンキー･カポエラ』。リトル･ネリチャギがシンクロ素材として墓地に送られた場合、デッキから２枚ドローし、手札から1枚捨てる。カードを2枚伏せてターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー！俺はスケール8の『時読みの魔術師』をペンデュラムゾーンにセット！『EMドクロ･バッドジョーカー』を召喚し、デッキから『星読みの魔術師』を手札に加える！そしてスケール1の『星読みの魔術師』をペンデュラムゾーンにセットし、ペンデュラムスケールをセッティング！これで俺はレベル2~7のモンスターが同時に召喚可能！揺れろ！魂のペンデュラム！天空に描け光のアーク！ペンデュラム召喚！現れろ！俺の僕(しもべ)たち！『EMアメンボート』、『EMドラミング･コング』、そして『オッドアイズ･ペンデュラム･ドラゴン』！」
一気に盤面を揃えてきたか。
「俺はアメンボートとドクロ･バットジョーカーでオーバーレイ！2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙！今、降臨せよ！エクシーズ召喚！現れろ！ランク４！『ダーク･リベリオン･エクシーズ･ドラゴン』！！さらにドラミング･コングとオッドアイズをリリースすることで、エクストラデッキから融合召喚を行える！胸を打ち鳴らす森の賢人よ。神秘の竜と一つとなりて新たな力を生み出さん！融合召喚！出でよ！野獣の眼光りし獰猛なる竜！『ビーストアイズ･ペンデュラム･ドラゴン』！」
ほぅ。やるじゃねぇか。
「ダーク･リベリオンの効果を発動！オーバーレイユニットを2つ消費してファンキー･カポエラの攻撃力を半分にして吸収する！トリーズン･ディスチャージ！そしてビーストアイズで攻撃」
「させるかよ！ファンキーカポエラは１ターンに1度表示形式を変更できる。これで守備表示から攻撃表示に変更」
「ビーストアイズは戦闘でモンスターを破壊した場合、融合素材として使用した獣族モンスターの攻撃力分のダメージを与える効果がある！」
「ふっ。だが攻撃が通ればの話だがな」
「何？」
「ファンキー･カポエラが攻撃表示になった場合、相手モンスターの表示形式も変更する！これでビーストアイズを守備表示にさせてもらうぜ」
「くっ！ならば、ダーク･リベリオンで攻撃！反逆のライトニング･ディスオベイ！」
「そっちも思い通りには行かないな。罠カード『殴り合い上等』を発動！これでこのターン、ファンキー･カポエラは戦闘･カードの効果では破壊されず、受ける戦闘ダメージの半分を相手に返す！」

ダーク･リベリオン･エクシーズ･ドラゴン ATK 3450 VS 喧嘩竜ファンキー･カポエラ ATK 950

「俺が受けるダメージは2500…つまり半分の1250ダメージを受けてもらうぜ」
「くっ…！俺はこのままターンエンド」

遊太郎:LP 5500
遊矢:LP 6750

「俺のターン、ドロー。さてと一気に突破するか。『喧嘩竜ドリル･ストレート』を召喚し、ファンキー･カポエラを守備表示に変更。バトル！」
「何？勝てるモンスターがいないのにか！？」
「ファンキー･カポエラは守備表示の状態でも攻撃でき、その場合、守備力を使ってダメージ計算を行うことが出来るのさ。これでビーストアイズに攻撃！」

喧嘩竜ファンキー･カポエラ ATK(=DEF)2450 VS ビーストアイズ･ペンデュラム･ドラゴン DEF 2000

「そしてバトルフェイズ中、ファンキー･カポエラの効果で守備から攻撃表示にし、ダーク･リベリオンを守備表示に！」
「だが、ダーク･リベリオンの守備力は2000！戦闘破壊できないハズだ！」
「ドリル･ストレートは守備表示のモンスターを攻撃する際、攻撃力を1000上げる効果があるのさ」
「！？」
「さらに貫通効果もあるぜ！行け！ドリル･ストレート！」

喧嘩竜ドリル･ストレート ATK 2850 VS ダーク･リベリオン･エクシーズ･ドラゴン DEF 2000

「うわあぁぁ！」
「さらにドリル･ストレートが戦闘ダメージを与えた場合、デッキからレベル4以下の喧嘩竜を手札に加える。俺はカツイレ･エルボーを手札に加えてターンエンドだ」

遊太郎:LP 5500
遊矢: LP 5900

「俺のターン、ドロー！再びペンデュラム召喚！現れろ『オッドアイズ･ペンデュラム･ドラゴン』、ドラミング･コング！そしてオッドアイズのレベルを3つ下げ、『貴竜の魔術師』を特殊召喚！俺はレベル4になったオッドアイズにレベル3の『貴竜の魔術師』をチューニング！その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て！シンクロ召喚！現れろ、レベル7！『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』！バトルだ！クリアウィングでファンキー･カポエラに攻撃！旋風のヘルダイブスラッシャー！！」
ちっ…。ここで足掻いてもクリアウィングの効果でファンキー･カポエラの効果を無効にされ、余計なダメージを喰らうことになる。ここはおとなしく通すか。

クリアウィング･シンクロ･ドラゴン ATK 2500 VS 喧嘩竜ファンキー･カポエラ ATK 950

「さらにドラミング･コングでドリル･ストレートに攻撃！ドラミング･コングの効果で600アップ！」

EMドラミング･コング ATK 2200 VS 喧嘩竜ドリル･ストレート ATK 1850

「ちっ！」
「俺はこれでターンエンド！」

遊太郎:LP 3600
遊矢:LP 5900

「俺のターン、ドロー！落とし前は着けてやるぜ！俺は『喧嘩竜クイック･ワンツー』を召喚！デッキから『喧嘩竜ハートショック･プレス』を手札に加える。さらに攻撃表示で喧嘩竜がいる時、カツイレ･エルボーを特殊召喚できる！俺はレベル4のクイック･ワンツーにレベル2のカツイレ･エルボーをチューニング！シンクロ召喚！レベル6『喧嘩竜スンダ･エイシュン』！」
「だが、攻撃力ではクリアウィングが上だ！」
「そいつはどうかな？カツイレ･エルボーを素材にしたシンクロモンスターは攻撃力を600アップするぜ」
「なっ！」
「バトルだ！」

喧嘩竜スンダ･エイシュン ATK 2900 VS クリアウィング･シンクロ･ドラゴン ATK 2500

「さらに戦闘破壊に成功したとき、追加で700のダメージを与えるぜ」
「ぐわぁぁ！」
「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

遊太郎:LP 3600
遊矢:LP 4800

「俺は…負ける訳にはいかないんだ…」
「おい、どうした？」
「せっかく取り戻した柚子がいなくなって、ユイって奴に洗脳されて…！俺は早く倒さなきゃいけないんだ…早く、早く…」
ユズ？ユイ？なんかブツブツ呟き始めやがった。
「俺は…勝つ！全てを取り戻すために！俺のターン、ドロー！！」
殺気に近いものが感じられる。
「俺は再びペンデュラム召喚！『オッドアイズ･ペンデュラム･ドラゴン』。そしてLPを1000支払い、魔法カード『超次元融合』を発動！これで手札･フィールド･墓地から融合素材を除外して融合召喚を行う！」
「何！？」
ふざけた範囲だぜ…。あんなカード、見たこともねぇな。
「俺は墓地から融合モンスター『ビーストアイズ･ペンデュラム･ドラゴン』、エクシーズモンスター『ダーク･リベリオン･エクシーズ･ドラゴン』、シンクロモンスター『クリアウィング･シンクロ･ドラゴン』、そしてフィールドのペンデュラムモンスター『オッドアイズ･ペンデュラム･ドラゴン』を融合！」
な！
「全ての次元を支配する災いの竜よ。虹の眼に映る全てを滅せよ！『超次元竜レインボーアイズ･クロスオーバー･ドラゴン』！！」
なんだ…このバカでかいドラゴンは…。攻撃力5000…。
「クロスオーバー･ドラゴンの召喚時、俺のフィールド上のカードを全て破壊する」
割られる2枚のペンデュラムゾーンのカード。
「クロスオーバー･ドラゴンは融合素材として使用したモンスターの数だけ連続攻撃ができ、相手は1ターンに1度しか魔法･罠カードを発動できない。さらに『超次元融合』で召喚されたモンスターは相手の効果を全て受けない」
やれやれ…。厄介だな。
「バトル！スンダ･エイシュンを攻撃！」

超次元竜レインボーアイズ･クロスオーバー･ドラゴン ATK 5000 VS 喧嘩竜スンダ･エイシュン ATK 2900

当然、スンダ･エイシュンの効果は発動できねぇか。
「これで終わりだ！！」
「まだだな！罠カード『ド根性』を発動！自分のLPよりも高い数値の攻撃力を持つモンスターの直接攻撃宣言時、俺のLPを100にしてターンを強制終了させる！」
「くっ！俺はこれでターンエンド！」

遊太郎:LP 100
遊矢:LP 3800

「いいぜ。気に入った」
「？」
「喧嘩やるなら強い奴じゃないと張り合いがねぇからな！見せてやるぜ男の勝利！ドロー！」
来たか！
「俺は『喧嘩竜ハートショック･プレス』を召喚！こいつの効果で墓地からカツイレ･エルボーを特殊召喚。さらに手札から『喧嘩竜ビューティー･サマーソルト』を召喚し、ハートショック･プレスとチューニング！シンクロ召喚！『喧嘩竜スンダ･エイシュン』！そしてレベル6のスンダエイシュンにレベル2のカツイレ･エルボーをチューニング！紅蓮の拳で理(ことわり)も限界も、全てをぶち抜け！シンクロ召喚！『喧嘩竜グレン･ショウリン』！」
「だが攻撃力はあのチューナーモンスターの効果を含めても3100でしかない。俺のクロスオーバー･ドラゴンは倒せない」
「ああ。まだだな俺は罠カード『友情の喧嘩魂』を発動。これで自分の墓地の喧嘩竜をフィールド上の喧嘩竜に装備してその攻撃力分アップする俺はドリル･ストレートを装備させる」
「ふざけるな！スンダ･エイシュンを装備させれば5400になって勝てるのに！俺をなめているのか！？」
「違うな。なめてないからこそ、この一撃に賭ける！見せてやるぜ、俺の魂をな！行け！グレン･ショウリン！」
「攻撃力は合計しても4950…勝てないはず…」
「ダメージステップ開始時、効果発動！自分の攻撃力以上のモンスターとバトルする時、墓地の喧嘩竜を除外して攻撃力を倍にする！」
「なんだって！？攻撃力が…9900…」
「これが男遊太郎、魂の一撃だ！コイツのこの手が紅蓮に燃える！アイツに勝てと轟き吼える！必殺！！爆裂グレン･フィンガアアァァ！！」

喧嘩竜グレン･ショウリン ATK 9900 VS 超次元竜レインボーアイズ･クロスオーバー･ドラゴン ATK 5000

「良い勝負だったぜ…」

ドッカーーン！！


デュエルの決着がついた後、アイツは糸が切れた人形のように倒れた。
「？おい、大丈夫か？」
俺がそいつに近づこうとすると

「なんだ？足元が光って…」
俺の目の前は真っ白になった。











目を開けるといつものボロ屋の天井が視界に広がる。窓から朝日が射し込む。
「夢…か？」
にしては妙にリアルだったな。…ん？俺は封筒のような物が玄関に落ちているのに気付いた。それを手に取る。
「これは…」
中には手紙と飛行機のチケットが入っていた。



~遊月サイド~

私とユイ様は遊矢様を連れて船に戻ってきました。
「あれ？遊月さん早いですね…って遊矢！」
出迎えてくれた柚子様はひどく驚いた様子でした。
「ユイさん！どうして遊矢が！？」
「それが俺達にもよく…。大きな音がして駆けつけたときにはもう倒れてて…」
「すぐ部屋に運びます！」
そのあとは船内は騒然となりました。医術の心得が多少あるじいやの見立てではひどく疲労が溜まってるだけで安静にしていれば大丈夫とのことですが…。
「ごめんな遊月…。デート…台無しになっちゃったな」
「いえ、とっても楽しかったです」
「…良かったらさ。また当番の休みが重なった時、行くか？」
「はい！喜んで」