第130話　ユイ、倒れる　作：ター坊

結局、初のアクションカードを拾ったものの外れたようで、余計なダメージを受けてしまった。ターンは遊矢に移る。

ユイ:LP 7000
遊矢:LP 8000

「俺のターン、ドロー！俺はスケール3の『相克の魔術師』とスケール8の『相生の魔術師』でペンデュラムスケールをセッティング！ペンデュラム召喚！現れろ！俺のモンスター達！『EMハンマー･マンモ』『オッドアイズ･ペンデュラム･ドラゴン』！！」
「出た！遊矢おにいちゃんのペンデュラム召喚！」
「俺はまずオッドアイズでシグナムを攻撃！螺旋のストライク･バースト！」
オッドアイズは戦闘ダメージを倍加させる効果がある。なんとか避けたいところだが…。
「あ！」
あっちの車の屋根にアクションカードが！あれが『回避』なら！俺は駆けて…ちょっとふらつくな……。あと少しで攻撃が届く瞬間、俺はアクションカードを手にした。


アクショントラップ『ソード･ブレイク』

またかよ！効果は…『自分フィールドのモンスターの攻撃力をターン終了時まで300ダウンする』…。ダメじゃん…。

オッドアイズ･ペンデュラム･ドラゴン ATK 2500 VS 勇気の救世者 シグナム ATK 1500

「ぐぉっ！」
「さらにハンマー･マンモでアメウズメに攻撃！効果で相手のセットカードを全て手札に戻す！」
「…！」
近くにアクションカードを見つけたが…三度目の正直か。それとも二度あることは三度あるか。

EMハンマー･マンモ ATK 2600 VS 天舞の救世者 アメウズメ ATK 2000

「くっ！」
拾わなかった。このターンで負けるわけではないしこれ以上拾って不利になったら目も当てられない。
「さらにシルバー･クロウでダイレクトアタック！」

EMシルバー･クロウ ATK 2100　直接攻撃

「がっ！」
「俺はこれでターンエンドだ」

ユイ:LP 2300
遊矢:LP 8000

「俺のターン、ドロー…」
頭がボーッとするのが強まってる気がする。けどこんなことでギブアップはできない。
「俺はスケール3の『白薔薇の救世者 ピュアリー』をペンデュラムゾーンにセット！これで俺はレベル4~8のモンスターが召喚可能になった！ペンデュラム召喚！『友愛の救世者 エミュリン』、『未来の救世者 スキュルートEP』！エミュリンのコイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…表！

「これで墓地からシグナムを手札に戻す。そして墓地からミスリル･メイドを除外してスキュルートEPの効果発動！コイントスを3回行って表の数だけ相手フィールドのカードをデッキに戻す！」
「させない！」
遊矢はシルバー･クロウに乗って車から車へと跳び移り、アクションカードを拾う。
「アクションマジック『エフェクト･カット』！これでスキュルートEPの効果を無効にする！」
なんだって！？…仕方ないか……。
「シグナムを召喚し、効果発動！」

ﾁﾘｰﾝ…裏！

「これでペンデュラムゾーンの『相克の魔術師』を破壊！」
「まだだ！アクションマジック『ディフェンス･シールド』！これで破壊を無効にする！」
「またか！」
シグナムの衝撃波が盾に弾かれる。こうも悉く防がれるとは…。やはり相手は慣れてる分、こっちが不利なのか？…いや。それ以前にさっき遊矢から聞いていた話のエンタメデュエルのスタイルとかなり違う気がする。表情も楽しんでいるというよりも俺を打ち倒さんとする気迫を感じる。アイツ…自分のデュエルが出来てないんじゃ…。
「さらにアクションマジック『スター･ロスト』で相手フィールドのモンスターのレベルを全て1つ下げる！」
これではエクシーズも出来ない。
「俺はスキュルートEPでシルバー･クロウを攻撃！」

未来の救世者 スキュルートEP ATK 2500 VS EMシルバー･クロウ ATK 1800

「おっと」
遊矢はその攻撃をかわしてオッドアイズの背中に跳び乗った。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド…」ｾﾞｪ､ｾﾞｪ

ユイ:LP 2300
遊矢:LP 7300

「俺のターン、ドロー！俺は再びペンデュラム召喚！シルバー･クロウ、アメンボート！俺はシルバー･クロウ、アメンボートでオーバーレイ！現れろ。ランク4『ダーク･リベリオン･エクシーズ･ドラゴン』！そして『相克の魔術師』のペンデュラム効果でダーク･リベリオンのランク分のレベルを与える」
「エクシーズにレベルを？」
つまり狙いは…。
「さらに『相生の魔術師』のペンデュラム効果でオッドアイズとレベルを同じにする。俺はレベル7になった『ダーク･リベリオン･エクシーズ･ドラゴン』と『オッドアイズ･ペンデュラム･ドラゴン』でオーバーレイ！二色の眼の龍よ、その黒き逆鱗を震わせ、刃向う敵を殲滅せよ！エクシーズ召喚！！いでよ、ランク7！怒りの眼輝けし龍、『覇王黒竜 オッドアイズ･リベリオン･ドラゴン』！！オッドアイズ･リベリオン･ドラゴンの効果でレベル7以下のモンスターを全て破壊し、破壊したモンスター1体についつき、1000ダメージを与える！」
「思い通りにいくと思うなよ？俺は『救世の鎮魂歌』を発動。これでエミュリンをリリースして2枚ドロー」
「だが、シグナムは破壊させてもらう」
「鎮魂歌の効果で1000のダメージは回復になる！」
これでゴールド･ゴーレムを引ければ…。

ｼｭﾊﾞ…『次元幽閉』『強制脱出装置』

違う！そうじゃない。
「なら、バトルだ！行け！」

覇王黒竜オッドアイズ･リベリオン･ドラゴン ATK 3000 VS 未来の救世者 スキュルートEP ATK 2500

「オッドアイズ･リベリオン･ドラゴンは3回攻撃できる！お前のライフは残り2800。これで最後だ！行け！反旗の逆鱗！ストライク･ディスオベイ！！」
「…くっ」
確かにこの直撃で負けてしまう。…はっ！アクションカード。これで良いのが引ければ凌げるか？俺は藁にもすがる思いで走り…


あ…！ダメだ。ここで走っては…

覇王黒竜オッドアイズ･リベリオン･ドラゴン ATK 3000　直接攻撃

ふわりと宙に浮き、アスファルトにぶつかった感触がした。それ以降の感覚は…もう……。






~柚子サイド~

遊矢…。なんだか今日はデュエルの様子がおかしい。まるで怒りに任せたような…、ちっとも遊矢らしくもないデュエルだった…。それよりも倒れたユイさんが心配だわ！私達は駆け寄った。


~遊月サイド~

「ユイ様！」
私が呼び掛けても反応しません。荒く呼吸をしており、近づくにつれ息遣いが聞こえてきました。
「ユイ様！！」
駆け寄って抱き起こす。
「…っ！ひどい熱…。それに血まで……」
ユイ様の顔からは汗が吹き出し、額に手を当てると焼けるように熱かった。それに地面で激しく擦りむいたのか右腕から血が滲んでいた。
「早く！船に！」
取り乱して思わず叫んでしまう。


~権現坂サイド~

俺はユイを背負って船へと走った。俺は最後の瞬間を思い起こす。
ユイは最後のダイレクトアタックを仕掛けられた瞬間、近くのアクションカードに賭けることが出来た。ユイ本人もそれに気付いて駆け出した様子は見ていた。しかしユイはそれを止めて、そのままダイレクトアタックを受けることを選んだ。

その真意はユイが吹き飛ばされたあとに気付いた。

その時の位置関係はユイの十数メートル後ろに俺達ギャラリーがいたという構図だ。もしユイがアクションカードを取りに走った場合、オッドアイズ･リベリオン･ドラゴンの攻撃が勢い余って俺達に突っ込んで来たのかもしれなかったのだ。
「…ユイ。お前という男は……」
無茶しおって。
「………ぃ…」
耳元でユイがうわ言のように何かを呟いていた。
「どうしたのだ？」
「………ゅぅ……ぃ…」
な、なんと…。