第55話　ずーっと見守ってるからね♪　作：ター坊

先攻:ユイ

「行くよ、姉さん！俺のターン！俺は『金管の救世者 シエラ』を召喚！コイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…表！

「これでデッキから『錬成の救世者 オリハルコン･クロック』を手札に加える。カードを1枚伏せて、ターンエンド」
「私のターン、ドロー。相手フィールドのみにモンスターが存在する場合、手札から『放浪者(トラベラー)-シグナム』を特殊召喚！」
なんだ？シグナム？けど、服装が異なるが、空似にしては似すぎている。
「姉さん…。まさか『救世者』って…」
「お姉ちゃんのターンよ。あとで話してあげるから待ってね。さらにチューナーモンスター『放浪者-シエラ』を召喚！召喚時の効果でデッキの上からカードを4枚めくり、『放浪者』モンスターを1枚加える。私は『放浪者-アルル』を加える」
今度はシエラと似たモンスターが現れる。天使の羽こそないが俺のシエラと比べると瓜二つだ。
「さらにシグナムの効果よ。自分フィールド上に他の『放浪者』が存在する場合、相手フィールド上のモンスター1体を墓地に送るわ！」
『放浪者-シグナム』の斬撃が俺のシエラを捉える。
「さらに私はレベル4のシグナムにレベル4のシエラをチューニング、聖なる竜よ。私に栄光の勝利をもたらして。シンクロ召喚！『グローリー･フェイト･ドラゴン』！」
やはり、クロウの言う通り間近で見るとギア･デスティニー･ドラゴンとよく似ている。レーザー砲や装甲を外した感じだ。
「行くよ、ゆう君。ダイレクトアタック！」

グローリー･フェイト･ドラゴン ATK 2900　直接攻撃

「くっ！」
「さらにグローリー･フェイトは相手に1000以上のダメージを与えた場合、相手は次のターンカードをセットできなくなる。ゆう君、どうするのかな？カードを2枚伏せて、ターンエンドよ」

ユイ:LP 5100
ミライ:LP 8000

「俺のターン、ドロー！さすが姉さん、一気にピンチだ。だけど、守りを固めれないなら進むだけだ！俺は『赤薔薇の救世者 ラブリ』と『白薔薇の救世者 ピュアリー』でペンデュラムスケールをセッティング！これでレベル4~8のモンスターを同時に召喚可能！ペンデュラム召喚！『錬成の救世者 オリハルコン･クロック』『慈愛の救世者 ココロナ』！オリハルコン･クロックのコイントス判定」


ﾁﾘｰﾝ…表！

「さらにリバースカードオープン『救世の継承』！これで墓地のシエラと同じレベル･種族である『奏笛の救世者 アルル』を手札に加える。さらにアルルを召喚！アルルのコイントス判定にラブリの効果発動！800LPを払い表の効果を適用！墓地のシエラを蘇生させる！」
「うん、うん♪」
「俺はまず、オリハルコンクロックの効果でココロナと共にリリース！融合召喚！『剣聖の救世者 ボルガラッド』！エクストラデッキに送られたココロナのコイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…裏！

「LPを1200回復！さらにシエラとアルルでオーバーレイ！エクシーズ召喚！『闘魂の救世者 ダイブレード』！ダイブレードの効果でオーバーレイユニットを１つ消費しデッキから『救世の聖火』を手札に加える。またボルガラッドの効果発動！ダイスロール！」

コロコロ…4！

「デッキトップ4枚をめくる」

ﾍﾟﾗ…『輝翼の救世者 プラチナ･フェザー』『サイクロン』『赤薔薇の救世者 ラブリ』『誠実の救世者 タリス』

「これでボルガラッドはこのターン、4回攻撃が可能！まずはダイブレードでグローリー･フェイトにアタック！」
「させないわよ！罠カードオープン！『次元幽閉』！これで」
「ピュアリーのP効果発動！このカードを破壊することでこのターン『救世者』は魔法･罠の効果を受けない。そのままコイントス判定！」

ﾁﾘｰﾝ…表！裏！

闘魂の救世者 ダイブレード ATK 3400 VS グローリー･フェイト･ドラゴン ATK 2900 (戦闘ダメージは半分)

「行け！ボルガラッド！」

剣聖の救世者 ボルガラッド ATK 2800 ×4　(戦闘ダメージは半分)

「フフ…」
「姉さん？」
「ここまで使いこなしてくれるなんてね。お姉ちゃん、作った甲斐があったな♪」
「その言い方…。やっぱ『救世者』って」
「そっ。元はお姉ちゃんのカードなのよ。でも正確に言えば想いを込めすぎちゃってカードが変わったみたいだけどね」
「そうだったんだ。…姉さんの想いがこもったカードたちだったのか…。ありがとう、姉さん。このカードのおかげで皆の為に戦えてるよ」
「どういたしまして♪…さ、ゆう君。今度はどうする？」
「そうだった…。グローリー･フェイトの効果で伏せれないもんな…。このままターンエンド」

ユイ:LP 5500
ミライ:LP 2150

「私のターン、ドロー！でも、お姉ちゃんの元のカードも負けてないよ！私は罠カード『我望む世界(ビリーブ･フューチャー)』を発動！！これは私のフィールドにモンスターが存在せず、相手フィールド上にエクストラデッキから特殊召喚したモンスターが2体以上存在する場合、相手と同じ種類･レベルもしくはランクのモンスターをエクストラデッキから特殊召喚できる！ゆう君の場にはレベル8のボルガラッドとランク4のダイブレードがいるから、私もレベル8融合モンスターとランク4エクシーズモンスターを特殊召喚できる！」
突如、空が虹色に輝いて紋章が浮かび上がり、そこから２体のモンスターが降臨する。
「レベル8融合モンスター『賢樹-ユグドラン』、ランク4エクシーズモンスター『フェニックス･THE END』！」
「え！？」
「まだ行くよ？手札から魔法カード『スターダスト･ジェネシス』を発動！これで墓地から『グローリー･フェイト･ドラゴン』を除外し、同じレベルのシンクロモンスターを特殊召喚できる！いでよ！『天舞神-アメウズメ』！」
輝く星の輪が回り、そこから和装の女神が舞い降りる。
「アメウズメが特殊召喚に成功したとき、相手のカード1枚をデッキの1番下に戻す！私はダイブレードを戻す！」
アメウズメが扇を翻すとダイブレードは光の粒となって俺のエクストラデッキに戻っていく。
「バトル！『フェニックス･THE END』はオーバーレイユニットがない場合、攻撃力が1500アップするよ！」

フェニックス･THE END ATK 4000 VS 剣聖の救世者 ボルガラッド ATK 2800

「さらにアメウズメでダイレクトアタック！」

天舞神-アメウズメ ATK 2300　直接攻撃

「うっ…！」
「ゆう君、大丈夫？」
「あぁ、平気さ。…姉さんは楽しい？」
「えぇ、もちろんよ。こんなデュエル、あの時の大会よりも…ううん、今までのデュエルで最高よ！」
「そっか。そう言ってもらって嬉しい」
「さぁ、ゆう君。お姉ちゃんともっと楽しいデュエルをしましょ？永続魔法『神王の護符』を発動！これで次のターン終了時に自壊するまでの間、私のモンスターはこのカードの効果以外受けないわ。これでターンエンド」

ユイ:LP 2000
ミライ:LP 2150

「俺のターン、ドロー！」（俺が逆転するにはあのカードを引くしか…！）
（さぁ、ゆう君。どう出る？）
「俺は『友愛の救世者 エミュリン』を召喚し、コイントス判定！その時、ラブリの効果で裏の効果を適用してエクストラデッキで表になってるピュアリーを手札に戻す。さらに手札から速攻魔法『救世の聖火』発動！エミュリンをリリースして『神王の護符』を破壊し、ドローする！」（頼む、来てくれよ）
（この盤面を逆転するにはあのカードじゃなきゃね）
「ドロー！……え？」
俺がドローしたカードは望んだものではあったが、おかしかった。イラストがない。
「ゆう君。あれを引いたみたいだね…」
「え？」
「そのモンスター…召喚してみて？」
「え？あ…。うん。俺は再びピュアリーをPゾーンにセッティング！ペンデュラム召喚！現れよ虹の翼を持つ未来を司る女神、『未来の救世者 スキュルート』！」




スキュルートを召喚した瞬間だった。閃光が迸り、光が消えたときには
「あれ？姉さん？」
対峙してたハズの姉さんが居なくなっていた。フィールドに展開してた他のモンスターも消えている。
「ん？絵が戻ってる…」
ふと、自分のデュエルディスクを見るとスキュルートのイラストが戻っている。不思議に思いながら、俺は消えた姉さんを探そうとカードをディスクから外すとスキュルートのカードから光の球が出てきた。
「何これ？うわぁ！」
その光の球が激しい輝きを放ち、収束するとそこに立っていたのは
「姉さん？」
「はーい♪お姉ちゃんでーす」
「姉さん、どういうことなの？」
「えーと、ゆう君ごめんね？びっくりしたでしょ？」
「そりゃあ対戦相手が消えたら…って本当に何があったの？」
「それはね…え？もう時間なのかな？」
「え？姉さん？」
「お姉ちゃんは夢の中でしか会えないからね…ゆう君が目覚めるとお別れなの」
「そんな！？やだよ！せっかく姉さんのことを思い出せたのに！それにデュエルの決着が！」
「大丈夫。また夢の中で会えれば…ね？」
「でも、最後って」
「あー。あれはね…ウ･ソ♪」ﾃﾍﾍﾟﾛ
「へっ？」
「お姉ちゃんがあんな風に頼んだらお願い聞いてくれるかなーって」
「もう…。姉さんってば。まぁ、俺はもう子供じゃないから許す！」
「ゆう君、ありがとうね！大好き！」
姉さんは俺に抱き付いてあの時のようにぎゅっとしてくる。
「姉さん…。さすがにこれは恥ずかしいからやめて？」
「もう恥ずかしがり屋さんなんだから。ぎゅー」
姉さんは抱き締める力を一層強める。
「起きたらベッドの下を見てね」
「え？」
突然、姉さんが俺の耳元に呟く。


「ずーっと見守ってるからね♪」










「ん？」
「ユイ！ようやく目を覚ましやがったか！」
「あれ？クロウ…。他のみんなも」
俺が目を覚ましたのはベッドの上だった。
「ユイお兄ちゃん、大丈夫？」
「ユイさん？」
「あぁ、大丈夫だ。俺は確か…」
「クロウの話だとあの時襲撃してきた少女にまた襲われてデュエルが終わったあと倒れたって…」
「そうだったな」
「でも変な奴だな。気絶してる間、涙流したと思えばニヤケ顔になったりして」
「そういえばユイ。何か思い出せた？DVDは見れたんでしょ？」
「本名は思い出せなかったけど…」
「けど？」
「それ以上に大切なものを思い出せたからいいや」
「ふ、ふぅん。そう…」


「オーイ！城之内探検隊、帰ってきたぜ！」
遠くから城之内の叫び声が聞こえてきた。舞網スタジアム組が帰ってきたか。みんなが迎えに行く。俺も行こうとしたが、姉さんの言葉を思い出した。
「ベッドの下を…ねぇ」
俺はしゃがみ、ベッドの下を探ると固くて大きい物体の感触がある。
「これは…」
俺がそれを引き摺り出すと
「カードがセットされたデュエルディスク？」
このデザインは…姉さんがさっきのデュエルで付けていたものと同じだ。それにセットされているカードは
「新しい『救世者』？」
紫、白、黒の枠のカードが並ぶ。
「これのことだったか…」
俺はデッキからあのカードを取り出す。
「姉さん…ありがとうね。これからも見守ってて…」
『未来の救世者 スキュルート』のイラストは、なんとなくいつもより穏やかな表情に見えた気がした。