第168話　世界を賭けた日　作：ター坊

「ここか！」
「はい」
皆に世界の運命を託された遊戯・十代・遊星・遊馬・遊矢・ユイは城のアトラクションへとやって来たが…

「確か、ここにディヴァインの元に行くための道が」
「バクラの話だとそうだけどよぉ。…だ～もう、何処にあるんだよぉ！」
「遊馬落ち着け」

とまぁ頓挫していた。そんな時である。

『まさか戻ってくるとは予想外だったよユイ君』
謎のアナウンスが入るが、遊戯達はこの声の正体にすぐ気付いた。
「何処にいるディヴァイン！？俺とデュエルしろ！」
『ふっ。焦るんじゃない、不動遊星。今、見せてやろう』
すると

ヴゥゥン

変な機械音と共に城の壁がスライドし、金属の扉が現れた。
「これが…？」
『そうだとも。その扉の横にあるカードリーダーに君たちが所有するアクセスカードキーを読み込ませると良い。そしてエレベーターの最下層のボタンを押せ。待っているよ』
そこでアナウンスはぷっつり切れた。
「遊戯さん。これって何かの罠じゃ…」
「ああ。確かにそうかも知れない…」
この丁寧な説明に裏があるのではと思う遊矢が遊戯に問い掛ける。
「だがたとえ何かの罠としても、俺達は打ち破れる！そうだろ？」
「はい！当然ですよ」
遊戯の決意に十代を始め、他の全員が首を縦に振る。
「さぁ行くぜ」

ﾋﾟｯ

遊戯はバクラのカードを読み込ませる。

「おっしゃあ！行くぜ！」

ﾋﾟｯ

十代は龍牙のカードを

「俺達は勝つ！」

ﾋﾟｯ

遊星は鬼柳のカードを

「よっしゃあっ！」

ﾋﾟｯ

遊馬はＭｒハートランドのカードを

「皆、待ってろよ！」

ﾋﾟｯ

遊矢はミエルのカードを

「全部、終わらせてみせる」

ﾋﾟｯ

ユイは秀長のカードを

順々に翳すと

ウィーン

金属の扉が開き、デュエリストはそこを通る。中は狭い箱のような感じでまさにエレベーターといった形だ。ボタンを押すと機械音を低く唸らせながら下降し始めた。
















ガコン…ガガガ ガガガ…

最下層に到着すると扉が開く。廊下は不自然なまでに真っ白に照らされ、まっすぐ一本道に伸びており、その一番奥に扉と思われる縦の黒のラインが見える。
「あの奥に…」
「ああ」
「行くぜみんな！」
遊戯を先頭に全員が白の廊下を走る。



一番奥の扉の前に着くと自動ドアのようにシャッと左右に割れた。そこを潜るとまるで別世界のようだった。



地下とは思えない程の広く高い空間


あちこちで光る機械のランプ


一番奥に鎮座する巨大な装置とその上に浮かび、呼吸しているかのように僅かに動いている黒い球体


「フッフッフ。ようこそ、最強のデュエリスト諸君」
そしてそこには全ての元凶が椅子に座っていた。
「ディヴァイン！！」
「そんなに大声を出さずとも聴こえているよ、ユイ」
ディヴァインは不敵な笑みを浮かべながらゆっくり歩み寄る。
「ディヴァイン。私には１つ不可解なことがある」
「何かね？アストラル」
「貴様にとって我々は邪魔な存在の筈。それなのに罠を仕掛けることもなく何故ここまで招き入れた？」
「フッフッフ。強いて言えば暇潰し…座興と言ったところかな？」
「ざ、ざきょー？」
「そう。人間こうも上手くいくと張り合いのためにイレギュラーを欲するものさ。まぁ、そういった意味ではユイ君。君は最高の座興だったよ。初期の実験を生き残り、先々で私に誤算を繰り返させ、最高の理想郷に閉じ込めても脱出した君はね」
「こっちはお前を楽しませる為にやった覚えは無いけどな」
「ふっ…。しかし、些か遊びが過ぎたようだ。これで最後の座興にしよう」
そう言ってディヴァインがデュエルディスクを展開すると

ﾋｭﾝ、ｶﾁｯ

デュエルディスクからコードのようなものが伸びてディヴァインの後方の機械のパネルに繋げられた。
「ディヴァイン！何をした！？」
「最後の座興と言っただろう。今デュエルディスクから伸びたコードはカオスジェネレーションシステムの制御コントロールのプログラムに接続した。私のＬＰを０にした瞬間、カオスジェネレーションシステムは止まる。そして君達は６人で掛かってくるがいい。その中で一人でも立っていれば君達の勝利としよう」
「お前、ふざけているのか？俺達まとめて相手にするなんて」
「遊城十代。人が一番絶望する瞬間はどんな時だと思う？」
「なんだと？」
「それは僅かに見えた希望が砕かれた瞬間だよ。君達はまさに私を倒せるだろうと仲間達に託された僅かな希望。それを砕いて世界が絶望する様はさぞ愉快だろうな」
「ふざけるな！何度倒れても、何度でも立ち上がって…」
「九十九遊馬。君達に何度もチャンスはないよ。このデュエルでＬＰが０になった場合、命の保証はしかねるからね」


一頻り、話し終わった。
カオスジェネレーションシステムを止めるための命を賭けたデュエル。しかし、それを恐れる者はこの場にいなかった。



「…良いぜ！その勝負、受けて立つぜ！」
遊戯が―

「世界が懸かってるっていうのに…ワクワクするぜ！」
十代が―

「俺達が希望となってお前を倒してみせる！」
遊星が―

「行くぞ遊馬！ディヴァインを倒し、全員の世界の未来を守るぞ！」
「ああ！当然だぜアストラル！！」
「 「かっとビングだ！俺ぇ（私ぃ）！！」 」
遊馬が―

「お前が作ろうとする世界に本当の笑顔なんか訪れない！俺達が止めて、世界を笑顔にしてみせる！！」
遊矢が―

「俺が戦うのは誰かに頼まれてじゃない…。俺自身が望む道を進むためにディヴァイン、お前を倒す！！」
ユイが―

デュエルディスクを構え、世界を賭けた最終決戦の火蓋が切って落とされた。


「デュエル！！」



カオスジェネレーションシステム
稼働準備完了まであと　４５分