第135話　伝説への挑戦　俺は強くなる　作：ター坊

~ユイ サイド~

俺の相手は武藤遊戯…。みんなが最強･伝説と口を揃えて語るデュエリストだ。だけど…マスターDを倒して世界を戻すために、ここで負けて立ち止まる訳にはいかない。
「行くぞ！」
「デュエル！」



先攻:遊戯

「俺のターン！『魔導戦士ブレイカー』を召喚！魔力カウンターを1つ乗せる。カードを２枚伏せてターン終了！」
やはり伝説と謳われるだけあって堅実なプレイングだ。
「俺のターン、ドロー。『決意の救世者 ラドー』を召喚し、コイントス判定を行わせてもらう」
「そうはさせないぜ！リバースカードオープン！『黒魔族復活の棺』！！」
「何！？」
そんな伏せカードがあったのか。ブレイカーと槍兵は棺に吸い込まれてしまう。そして棺がゆっくり開き…
「俺が特殊召喚するのは『ブラック･マジシャン』！！」
いきなり最上級モンスターを出されたか。『ブラック･マジシャン』自身は効果がないが、サポートカードの多さで群を抜いている。
「俺はカードを２枚伏せてターンエンド」
「俺のターン！ドロー！魔法カード『師弟の絆』を発動！自分の場に『ブラック･マジシャン』が存在する時、その弟子である『ブラック･マジシャン･ガール』をデッキから特殊召喚！さらに『マジシャンズ･ヴァルキリア』を召喚！」
やるならここか？
「罠発動！『救世の夢想歌(トロイメライ)』を発動！このカードが存在する限りお互いにバトルフェイズはスキップされる」
「このターンの攻撃は封じられたか…。ならば俺はこのままターン終了！」
「俺のターン、ドロー」
行けるか？
「『救世の夢想歌』は維持コストを払えないため破壊する。『奏笛の救世者 アルル』を召喚。コイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…裏！

「これで手札から『金管の救世者 シエラ』を召喚。コイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…表！

「デッキから『護法の救世者 ゴールド･ゴーレム』を手札に加える。そしてレベル4のアルルとレベル4のシエラをチューニング！シンクロ召喚、レベル8『運命の救世者 ギアフェイト･Xドラゴン』！！ギアフェイト･Xドラゴンの効果発動！バトルフェイズを放棄する代わりに相手フィールドの表側表示のカードを全て破壊し、破壊した枚数１枚につき500、つまり1500ダメージを与える！」
ギアフェイト･Xドラゴンから放たれるビームの嵐がマジシャン達に降り注ぎ、殲滅する。
「俺のマジシャン達が全滅…。やるじゃないか」
「このくらいは出来なきゃ、これからのマスターDとの戦いも勝っていけないさ。俺はこのままターンエンド」

遊戯:LP 6500
ユイ:LP 8000

「俺のターン、ドロー！…ユイ」
ん？
「お前はマスターDを倒すつもりなのか？」
「ああ。倒さないとお前の住んでいた世界も滅茶苦茶になるんだぞ？それでもマスターDに協力するのか？」
「それは違うな」
「なんだって？」
「マスターDは世界を変えるために俺達に協力を求めてきたんだ。むしろ世界を壊していたのはお前じゃないのか？」
「言いがかりもいいところだな」
「その化けの皮、すぐに剥がしてやるぜ。このカードでな。儀式魔法『ナイトメア―黒魔術の儀式』を発動！」
「ん？ちょっと待て」
おかしいことに俺は気付いた。遊戯の手札は儀式魔法を発動した時点で１枚。その１枚が儀式モンスターとすればリリースするモンスターがいない。
「この儀式魔法は相手のLPが自分よりも多い場合、相手の場のモンスターを儀式の生け贄にできる！」
「なんだって！？」
「これにより俺はギアフェイト･Xドラゴンを生け贄に儀式を執り行う！またこのカードの発動に対して別のカードは発動できない」
俺のモンスターが遊戯のフィールドに移り、生け贄にされる。
「光を呑み込む闇よ。今こそ世界に降り立ち、禁断の秘術を以て敵を討て！降臨せよ！『マジシャン･オブ･ブラック･ダークナイトメア』！！」
魔法陣から現れたのは『混沌の黒魔術師』に似ているが、禍々しさから全くの別物だと分かる。
「『マジシャン･オブ･ブラック･ダークナイトメア』の効果発動！1ターンに１度、デッキ･墓地から魔法カードを合計３枚選択して手札に加える」
「なんだって！？」
効果が無茶苦茶過ぎるぞ！
「これで俺は『死者蘇生』『復活の祭壇』『魔法効果の矢』をデッキから手札に加える。俺はまず『死者蘇生』で『ブラック･マジシャン』を復活！さらに『復活の祭壇』を発動！デッキの上から２枚カードを除外して墓地の『死者蘇生』を再び手札に加えて発動！『ブラック･マジシャン･ガール』を復活させる！」
なんという展開の仕方だ。
「そして『マジシャン･オブ･ブラック･ダークナイトメア』はこのカード以外の魔法使い族のモンスターのレベルの合計×１００攻撃力がアップするぜ」
魔法カード使い放題の他にも自己強化まで。
「覚悟しろよ！バトル！」
「そのアタックは通せないな。『護法の救世者 ゴールド･ゴーレム』を手札から捨て全てのダメージを０にする」
「くっ！俺はカードを１枚伏せ、『マジシャン･オブ･ブラック･ダークナイトメア』の効果発動！自分のターン終了時、このターン魔法カードを発動した回数だけドローする。俺が発動した回数は３回。よって３枚ドロー」
しかもドロー効果まで。とんでもない性能だな。
しかし、困ったことになった。早急と思って温存した『黄薔薇の救世者 フレンディー』が、先程遊戯がサーチした『魔法効果の矢』によって封じられた。これではペンデュラムスケールをセッティングした瞬間、破壊されているのは目に見えている。
……考えても仕方ない。
「俺のターン、ドロー！」
……来たか。
「俺は魔法カード『死者蘇生』を発動してギアフェイト･Xドラゴンを復活させる！」
「そのモンスターの効果は使わせないぜ。罠カード『幻想の呪縛』によって攻撃力を５００下げて効果を無効に…」

ｶｲｰﾝ

「何！？跳ね返されただと！？」
「ギアフェイト･Xドラゴンには元々カードの効果の対象にならない効果があるからそのカードは効かない！効果発動！フルバースト･フィナーレ！！」
ビームの嵐が再びフィールドに走り、眩い閃光が収まったら遊戯のフィールドは伏せカードを１枚残し再びがら空きとなった。
「俺のターンはこれでエンドだ」

遊戯:LP 4500
ユイ:LP 8000

「俺のターン…ドロー！」
あの反則クラスのモンスターを倒したんだ。これ以上は…
「俺は、俺は！うわぁあぁ！うわああぁぁ！！」
急に頭を抱えて叫び出す遊戯。あの取り乱しよう、一体…。
「俺はお前を倒ス！儀式魔法！『究極剣士の降臨』を発動！これで手札から『疾風の暗黒騎士ガイア』と『バフォメット』を生け贄に、究極の戦士を降臨させる！現れろ！『マスター･オブ･カオス･ソルジャー』！！」
ここに来て新たな儀式モンスターだと！？さっきの倒すだけでも一か八かだったのに。もう１回倒せるか？
「カオス･ソルジャーがモンスターと戦闘を行うダメージ計算時、攻撃力は１００００になる！攻撃！」
なんだと！？そんなダメージを食らうわけには！
「罠カード『救世の鎮魂歌』を発動！救世者モンスターをリリースして２枚ドローするが、リリースしたモンスターが融合･シンクロ･エクシーズのいずれかだった場合、３枚ドローになる！」
「だが、これでお前に直接攻撃できるぜ！」

マスター･オブ･カオス･ソルジャー ATK 3000

「ぐあ！」
「まだだ。カオス･ソルジャーは1ターンに２回攻撃できるぜ！行け！閃光双覇斬！！」

マスター･オブ･カオス･ソルジャー ATK 3000

「っ！」
「俺はこれでターン終了だぜ」

遊戯:LP 4500
ユイ:LP 2000

…一気に追い込まれた…。攻撃力１００００、連続攻撃…ここまでの破壊力は初めてだ。
「考えても無駄だ。カオス･ソルジャーは相手のカードの効果を全て受け付けない」
しかも完全耐性ときたか…。
「無駄だ！俺のカオス･ソルジャーは倒せないぜ！諦めるんだな」
「…確かにそうかも知れない」
「ならサレンダーするんだな」
「けど、お前だってこういう状況の時があったんじゃないのか？」
「なに？」
「だけど、それを乗り越えたからこそ舞や城之内、万丈目や遊星からも最強や伝説と呼ばれるまでに強くなった。違うか？」
「何が言いたいんだ？」
「…俺もお前を乗り越えて、強くなる！俺のターン、ドロー！！」
…！これは…。
「速攻魔法『サイクロン』！これで伏せカードを破壊する！」
「っ！」
「そしてペンデュラムスケールに『黄薔薇の救世者フレンディー』をセットして効果発動！LPを1000支払ってこのカードを破壊し、デッキから『赤薔薇の救世者 ラブリ』と『白薔薇の救世者 ピュアリー』でペンデュラムスケールをセッティング！ペンデュラム召喚！フレンディーと『勇気の救世者 シグナム』、そして『未来の救世者 スキュルートEP』を召喚！」
「そんなモンスターが束になったとしても勝てないぜ」
「それはどうかな？俺は魔法カード『無限の可能性』を発動！これで墓地のラドーとゴールド･ゴーレムを融合！『剣聖の救世者 ボルガラッドVG』！さらにフレンディーとシグナムでオーバーレイ！エクシーズ召喚！『輪廻の救世者 ソル･ReBフェニックス』！」
「これは一体…」
「ボルガラッドVGの効果発動！デッキの一番上を確認する」

ﾍﾟﾗ…『救世の聖火』(魔法)

「これにより俺のモンスターの攻撃力はターン終了時まで１０００アップ。さらにボルガラッドVGがいる限り全ての救世者の攻守は３００アップ」
「だが、カオス･ソルジャーの攻撃力１００００には遠く及ばないぜ」
「ソル･ReBフェニックスの効果発動！オーバーレイユニットを1つ使ってコイントスを３回行う。その結果、表の数だけこのカード以外のモンスターを選択して攻撃力を全て上乗せする」
「なんだと！？だが当たるわけ」
「いや、当ててみせる！コイントス！」

ﾁﾘｰﾝ…表！表！表！

「そんな馬鹿な！」
「これが諦めなかった結果だ！さらに魔法カード『救世の結束』を発動！これで墓地のギアフェイト･Xドラゴンを除外してさらに加算する！これでThe ENDだ！」

輪廻の救世者 ソル･ReBフェニックス ATK 16300 VS マスター･オブ･カオス･ソルジャー ATK 10000

「うわああぁぁ！！」






…もしあの時コイントスを外してたら……いや。全てはこの結果だ。今は素直に、勝てて良かったと喜ぶことにしよう。



「螺旋のストライクバースト！！」
「シューティング･ブラスター･ソニック！！」

遊矢と遊星も決着がついたようだ。
「ば、馬鹿な！」
「に、逃げろ！！」
広場にいた黒タイツの集団は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「あ」
ふと目に入ったのは先程苦しめられた２枚の儀式モンスターだが

ｻﾗｻﾗ~

あの時の『カラミティ･フューチャー･ドラゴン』のように燃え尽きた灰のように風に流れた。
「ドロップアウトボーイ！大丈夫ナノーネ！？」
「遊馬！しっかりしろ！」
「遊戯さん！」
全員が倒れた３人に駆け寄った。

この中華街に来て遊矢達の失った記憶探しやマスターDの手掛かりを見つけることは出来なかったが、それぞれが慕うメンバーが戻ってきたのはとても大きな収穫と言えるだろう。