side智：絶体絶命　作：名無しのゴーレム

「くそっ、待て！」
逃げる男を追っていると、気付けば遺跡エリアまで来ていた。そして、ようやくあいつは足を止めて、こちらを向いた。

「はぁ、はぁ、……どこまで付いてくるんだよ。」
「はぁ、はぁ、…お前が付いてこいって行ったんだろ。そんなことより、そのカードは何だ！」

あいつがさっき僕たちに見せたあのカード、さっきは遠くて本当にそうなのかは分からなかった。まずはそれを確かめなければ…

「ハハハ、誰が教えてやるかよ。どうしてもっていうなら…」
「…デュエルか。いいだろう、受けてやる！」

僕がデュエルディスクを構えると、やつは可笑しそうに笑った。

「残念だけどさ、僕は忙しいから、相手は彼らにお願いするよ。それじゃあ、任せたよ。」

あいつの号令と同時に、仮面を付けた2人組が現れた。

「どうして俺たちがこんなやつの命令を…」
「いいじゃねえか、おかげで楽に戦果を挙げられるんだからな。」
「…それもそうか。さあ、さっさと始めるぞ。」

くっ…こんなやつらに構ってやる時間はないのに…

「…さっさと終わらせる。行くぞ！」


「「「デュエル！！」」」


オベリスク・フォースA LP4000 手札5枚
オベリスク・フォースB LP4000 手札5枚
智 LP4000 手札5枚


「俺のターン！ 俺は手札から古代の機械猟犬を召喚！ カードを1枚セットしてターンエンド。」


オベリスク・フォースA LP4000 手札3枚 古代の機械猟犬 伏せカード1枚
オベリスク・フォースB LP4000 手札5枚
智 LP4000 手札5枚


「俺のターン、ドロー！ 俺は手札から通常魔法、融合発動！手札の古代の機械猟犬2体を融合！ 融合召喚！ 古代の機械双頭猟犬！ バトルだ！ 古代の機械双頭猟犬でダイレクトアタック！」

「ぐっ…」

智 LP4000→2600

バトルロイヤルなら、最初のプレイヤー以外なら1ターン目から攻撃できるのか…

「カードを1枚セットしてターンエンド。」


オベリスク・フォースA LP4000 手札3枚 古代の機械猟犬 伏せカード1枚
オベリスク・フォースB LP4000 手札3枚 古代の機械双頭猟犬 伏せカード1枚
智 LP2600 手札5枚


「僕のターン、ドロー！ 手札から通常魔法、おろかな埋葬発動！ デッキから青眼の白龍を墓地に送る。そして速攻魔法、銀龍の号咆発動！ 墓地の青眼の白龍を特殊召喚！ これで…」
「古代の機械双頭猟犬の効果発動！ 相手がモンスターを召喚、特殊召喚したとき、そのモンスターにギア・アシッドカウンターを置く。そしてギア・アシッドカウンターが乗ったモンスターが戦闘を行うとき、そのモンスターを破壊する！」
「何だって！？」

それじゃあ、青眼の白龍は攻撃できない。さらに、次のターンには無抵抗で破壊される。クソ…

「手札から通常魔法、ワン・フォー・ワン発動！ 手札を1枚捨てて、デッキから青き眼の乙女を特殊召喚！ …これでターンエンド。」


オベリスク・フォースA LP4000 手札3枚 古代の機械猟犬 伏せカード1枚
オベリスク・フォースB LP4000 手札3枚 古代の機械双頭猟犬 伏せカード1枚
智 LP2600 手札2枚 青眼の白龍 青き眼の乙女


「俺のターン、ドロー！ 古代の機械猟犬の効果発動！ 相手に600ポイントのダメージを与える！」

智 LP2600→2000

「さらに手札から通常魔法、融合発動！ 場の古代の機械猟犬と手札の古代の機械猟犬で融合！ 融合召喚！ 古代の機械双頭猟犬！ バトルだ！ 古代の機械双頭猟犬で青眼の白龍を攻撃！ この瞬間、青眼の白龍は破壊される！ そのまま青き眼の乙女を攻撃！」
「青き眼の乙女の効果発動！ このモンスターを守備表示にして、相手モンスターの攻撃を無効に、そしてデッキから青眼の白龍を特殊召喚する！」
「古代の機械双頭猟犬の効果で、青眼の白龍にはギア・アシッドカウンターが置かれる。俺はこれでターンエンド。」


オベリスク・フォースA LP4000 手札2枚 古代の機械双頭猟犬 伏せカード1枚
オベリスク・フォースB LP4000 手札3枚 古代の機械双頭猟犬 伏せカード1枚
智 LP2000 手札2枚 青眼の白龍 青き眼の乙女（守備表示）


「俺のターン、ドロー！ …どうやらこのデュエルも終わりのようだな！ 手札から通常魔法、融合回収発動！ 墓地の古代の機械猟犬と融合を手札に加える。融合発動！ 俺の場の古代の機械双頭猟犬と手札の古代の機械猟犬を融合！ 融合召喚！ 古代の機械参頭猟犬！ バトルだ！ 古代の機械参頭猟犬で青眼の白龍を攻撃！ 青眼の白龍を破壊！ そのまま青き眼の乙女を攻撃！」

…これで僕の場にカードはなくなった。

「 さらに速攻魔法、融合解除発動！ 古代の機械参頭猟犬を古代の機械猟犬と古代の機械双頭猟犬に分離する！ これで終わりだ！ 古代の機械猟犬でダイレクトアタック！」

智 LP2000→1000

「く…くそっ…」

こんなところで終わるのか…チクショウ、やっと兄さんに勝ったっていうのに…

「古代の機械双頭猟犬でダイレクトアタック！」



「英雄の武器持ちの効果発動。手札のこのモンスターを墓地に送って、双頭猟犬の攻撃を無効にする。」


英雄の武器持ち（オリジナルカード）
星4/地属性/戦士族/攻1500/守1600
①：相手モンスターの直接攻撃宣言時、このカードを手札から捨てて発動する。その攻撃を無効にする。②：墓地のこのカードをゲームから除外し、自分フィールド上に存在する「古の騎士」と名のついたモンスター１体を選択して発動できる。このターンの間、選択したモンスターの攻撃力を800ポイントアップさせる。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。



突如、僕の目の前に巨大な盾を持った戦士が現れ、双頭猟犬の攻撃を防いだ。

「だ、誰だ！？」



「…お前たちに名乗る名は無いな。」
「そう言うなよ郁哉。…俺たちは、元LDS最強の神宮寺 郁哉と、現LDS最強の播摩 秀だ！」


「なっ…兄さん…それに、郁哉まで…」
「良くやった、智。ここから先は俺たちに任せろ。」
「ハッ、俺を倒しておいて、こんなやつらに負けてんじゃねえよ。…でも、よくここまで時間を稼いでくれた。おかげで間に合った。」


『乱入ペナルティ、2000ポイントダメージ。』


「「ぐわぁぁぁ！！」」

秀 LP4000→2000
郁哉 LP4000→2000

「……」
…途中までかっこよかったのになぁ…

「クソッ、邪魔が入ったか。」
「…俺はこれでターンエンド。」


オベリスク・フォースA LP4000 手札3枚 古代の機械双頭猟犬 伏せカード1枚
オベリスク・フォースB LP4000 手札2枚 古代の機械猟犬、古代の機械双頭猟犬 伏せカード1枚
智 LP1000 手札2枚
秀 LP2000 手札5枚
郁哉 LP2000 手札4枚


「それじゃあ行くぜ？ 俺のターン、ドロー！ 俺はスケール1のP・G デッドブルーとスケール5のP・G クレイジーイエローでペンデュラムスケールをセッティング！ 冥府の門よ、今こそ眠れる死者たちを解放せよ！ ペンデュラム召喚！ 現れろ、馬頭鬼、ユニゾンビ、ゾンビ・マスター！ ユニゾンビの効果発動！デッキからゾンビ・キャリアを墓地に送り、ユニゾンビのレベルを1つ上げる！」


P・G　クレイジーイエロー（オリジナルカード）
星4地属性/アンデット族/ペンデュラム/攻1600/守0
ペンデュラム効果　【Ｐスケール：青5/赤5】　①：自分はアンデット族モンスターしかＰ召喚できない。この効果は無効化されない。②：自分がペンデュラム召喚に成功したときに発動できる。墓地の「P・G」と名のついたモンスター1体を手札に加える。
モンスター効果　①：このモンスターのP召喚に成功したとき発動できる。手札のアンデット族モンスター1体を捨てて、カードを1枚ドローする。


ユニゾンビ レベル3→4

「俺はレベル4の馬頭鬼にレベル4のユニゾンビをチューニング！ シンクロ召喚！ 深き闇より出でよ、魔王龍 ベエルゼ！」
「…ペンデュラムだかシンクロだか知らねぇが、双頭猟犬の効果の前には無意味だ！ ベエルゼにギア・アシッドカウンターを置く！ これでお前のモンスターが戦闘したとき、そのモンスターは破壊される！」
「ハハハ、残念だったな！ ベエルゼは効果では破壊されない！」
「何だと！？」
「まだまだ行くぜ！ 墓地の馬頭鬼の効果発動！このカードを除外して、墓地のゾンビ・キャリアを特殊召喚！ レベル4のゾンビ・マスターにレベル2のゾンビ・キャリアをチューニング！ シンクロ召喚！ 来い、獣神ヴァルカン！」
「くっ…双頭猟犬の効果発動！ ヴァルカンにギア・アシッドカウンターを置く！」
「またまた無駄だったな！ ヴァルカンの効果発動！ 俺の場のクレイジーイエローとお前の双頭猟犬を手札に戻す！ 双頭猟犬がいなけりゃギア・アシッドカウンターが乗っていようが関係ない！」

…すごい。相手を完全に手玉に取っている。

「バトルだ！ ベエルゼ、ヴァルカンでダイレクトアタック！」
「うわぁぁぁ！！」

オベリスク・フォースA LP4000→1000→0

「…俺はこれでターンエンド。さあ、後は任せたぜ、郁哉！」


オベリスク・フォースB LP4000 手札2枚 古代の機械猟犬、古代の機械双頭猟犬 伏せカード1枚
智 LP1000 手札2枚
秀 LP2000 手札1枚 ペンデュラムゾーン P・G デッドブルー モンスターゾーン 魔王龍 ベエルゼ、獣神ヴァルカン
郁哉 LP2000 手札4枚


「ああ、任せろ。俺のターン、ドロー！ 俺の場にモンスターが存在しないことにより、手札の古の騎士 ゲオルギウスを見せて、手札から英雄の従者を特殊召喚！」


英雄の従者（オリジナルカード）
星3/地属性/戦士族/攻800/守1500
「英雄の従者」の①、②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。①：自分フィールドにモンスターが存在しないとき、手札の「古の騎士」と名のつくカード1枚相手に見せることで、手札からこのモンスターを特殊召喚することができる。②：このモンスターが墓地に送られたとき発動する。デッキから「古の騎士」と名のついたモンスター1枚を手札に加える。③：このモンスターをリリースして「古の騎士」と名のついたモンスターをアドバンス召喚するとき、このモンスター１体で２体分のリリースとする事ができる。


「英雄の従者をリリースして、古の騎士 ゲオルギウスをアドバンス召喚！ ゲオルギウスの効果発動！ お前の伏せカードを破壊して、1000ポイントのダメージを与える！」

オベリスク・フォースB LP4000→3000

「さらにゲオルギウスの効果発動！ お前の場の双頭猟犬を破壊して、その攻撃力をゲオルギウスの攻撃力に加える！」

ゲオルギウス 攻撃力3000→4400

「バトルだ！ ゲオルギウスで古代の機械猟犬を攻撃！」
「うわぁぁぁ！！」

オベリスク・フォースB LP3000→0



仮面のやつらは敗北してすぐに光となって消えてしまった。

「ふぅ。もうバトルロイヤルも終わる。これで俺の仕事も一段落ってところかな。」
「…兄さん！ 無事だったんだ！」
「…ああ。当たり前だろ？ …つっても、あいつには負けちまったんだけどな。」
「そうして倒れていた秀を、俺が見つけたというわけだ。大体の事情は秀から聞いた。」
「…え？ 兄さん、もしかして今何が起こっていたのか知ってるの？」
「…まあな。話せば長くなる。まずは他の選手のところに向かおう。歩きながら話せるだけ話すよ。」



――こうして、僕たちのジュニアユース選手権3回戦、いや、ジュニアユース選手権そのものが終了したのだった。