14話　衝撃　作：名無しのゴーレム

「…私のターン、ドロー。私は手札から、チューナーモンスター、カメンレオンを召喚します。」
チューナーモンスター？　何だそれ？
「カメンレオンの効果発動。墓地のアンブラル・グールを特殊召喚。私はレベル4のアンブラル・グールにレベル4のカメンレオンをチューニング。シンクロ召喚。来て、えん魔竜 レッド・デーモン！」
シンクロ召喚…　聞いたことはあったが実際に見たのは初めてだ。京子たちもそのようで、呆然となっている。
「レッド・デーモンの効果発動。このカード以外のフィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスターを全て破壊します。」
「そんなっ…」
レッド・デーモンの放つブレスが播磨君の場のモンスターを一掃する。
「バトル。レッド・デーモンでダイレクトアタック。」

智 LP4000→1000

「ぐうっ…」
「カードを1枚セット。私はこれでターンエンド。」

智　LP1000　手札2枚 フィールド　ポジションチェンジ
少女 LP3200　手札3枚 フィールド　えん魔竜 レッド・デーモン　伏せカード1枚

戦況は一気に覆った。播磨君の場にモンスターはなし。手札も少ない。ここから持ち直せるか…？
「…僕のターン、ドロー！　僕は手札からアレキサンドライドラゴンを召喚。」
…？　なぜそんなモンスターを召喚したんだ？
「そして通常魔法、龍の鏡発動！　墓地の青眼の究極竜、3体の青眼の白龍、場のアレキサンドライドラゴンを融合する。F・G・Dを融合召喚！」
すごいのが出てきたな…。攻撃力5000だって？
「バトル！　F・G・Dでレッド・デーモンを攻撃！　その瞬間、速攻魔法、決闘融合－バトル・フュージョン発動。F・G・Dの攻撃力にレッド・デーモンの攻撃力を加える。これで終わりだ！」

攻撃力5000→8000

何だよあの攻撃力…。食らえば一溜まりもないぞ。これで終わりか…？
「速攻魔法、禁じられた聖槍を発動。F・G・Dは攻撃力を800ポイントダウンして、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。」

攻撃力　8000→4200

「っ…、でもまだこちらの攻撃力の方が上だ！」
F・G・Dがレッド・デーモンを破壊する。
「……」

少女 LP3200→2000

「…僕はこれでターンエンド。」

智　LP1000　手札0枚 フィールド　F・G・D、ポジションチェンジ
少女 LP2000　手札3枚

「…これってさ、あの子、ピンチだよね。」
そう京子が呟くと、それに神宮寺君が答えた。
「いや、ピンチなのは智の方だろう。」
「え？　なんで？」
「智にはもう手札がない。墓地にももうドラゴンはいない。これでF・G・Dを攻略されたら智の負けは決定的だろう。」
…俺も同意見だ。F・G・Dには効果による破壊の耐性が一切ない。少女の手札の中にF・G・Dを倒すカードがあれば、そのまま勝負はつくだろう。
「私のターン、ドロー。……」
少女が黙り込んでしまった。何かあったのだろうか？
「…この勝負、勝たせてもらいます。私は手札から通常魔法、影依融合発動。」
！！　まさかあいつ、エクシーズとシンクロだけじゃなくて…
「このカードで融合召喚を行うとき、相手フィールド上にエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターが存在するとき、私のデッキの中のモンスターを融合素材にすることができます。私はデッキからシャドール・ドラゴンとライトロード・ハンター　ライコウを融合素材とします。融合召喚。来て、エルシャドール・ネフィリム！」
…何てこった。エクシーズ、シンクロ、融合、3つの召喚方法を同時に使うなんて。…本当に、一体何者なんだ、あいつ？
「融合素材としたシャドール・ドラゴンの効果発動。このカードが効果で墓地に送られたときフィールドの魔法・罠カード１枚を1枚破壊します。私はポジションチェンジを破壊。」
これで播磨君の場にはF・G・Dしかいなくなった。
「通常魔法、悪夢再びを発動。墓地のアンブラル・グールとシャドール・ドラゴンを手札に加えます。私はシャドール・ドラゴンを召喚。バトル。エルシャドール・ネフィリムでF・G・Dを攻撃。」
「え!?」
京子が驚きの声を上げた。このバトルが成立すれば少女は2200ポイントのダメージを受けて敗北する。つまり何かあるということだが…
「エルシャドール・ネフィリムの効果発動。このカードが特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うとき、そのモンスターを破壊する。よってF・G・Dを破壊します。」
「ぐうっ…」
「シャドール・ドラゴンでダイレクトアタック。」

智　LP1000→0