28話 「タッグデュエル」！？　作：名無しのゴーレム

眩しい光を浴びながら、俺は街中を歩いていく。朝の日差しは心地よく、自然と歩みも速くなる。
「待ってください、歩くの速いですよ～。」
おっと、忘れていた。今日は美愛と一緒なんだった。
「…今、私のこと忘れてませんでした？」
「いや、忘れてなんかいない。断じてそういえば美愛もいたなとか思っていない。」
「やっぱり忘れてたんじゃないですか！」
「ハハハ、ごめんごめん。」
「…もういいです。早く行きましょう。」
謝ったが、美愛はそっぽ向いたまま足早に俺の前を進んでいく。
「それは賛成だけど、道間違えてるぞ。」
「え！？」

今、俺たちは舞網市の中心部に位置する、あるカードショップまで向かっていた。そこについ最近、そこにエクシーズモンスターが入荷されたと知り、早速仙波さんが俺たちを行かせた、というわけだ。…それはいいが、どうして仙波さんが来なかったのか、そして美愛と一緒に行かせたが分からない。仙波さんいわく「行けば分かる」とのことだが…
「あ、あれじゃないんですか？」
「そうみたいだな。さて、どんなカードがあるのか楽しみだな。」
「そうですね。まあ、今回は京子たちの使うカードを探しに来たんですけどね。」
「ああ、そうだな。さっさと入るか。」
そうして俺と美愛は舞網市の大手カードショップ、「帝王堂」に足を踏み入れた。…それにしてもすごい名前だな。


「いらっしゃいませ！ どんなカードをお探しですか？」
入店するとすぐ、若い店員が俺たちの対応をした。
「エクシーズモンスターが入荷されたって聞いたんですけど…」
「ああ、もしかして仙波さんのところの方ですか？」
「ああ、はい。」
なんだ、仙波さんが事前に話を通してくれていたのか。
「少々お待ち下さい。ただいま店長をお呼びいたしますので。」
「え？ 店長？」
店員はそう言い残して店の奥の方へと行ってしまった。
「…どういうことだと思う？」
「店長さんが風斗さんの知り合い、とかですかね？」

2人でそんなことを話していると、店長と見える大柄な男性と、さっきの店員さん、そしてもう1人、さっきの店員とどこか似ている店員が現れた。兄弟だろうか？
「やあ、君たちが仙波のところの居候かい？」
「え？ はい。そうですけど…」
「君たち、相当強いんだろう？ 仙波からいろいろ聞いてるんだよ。」
…どうやら、美愛の推理が当たったようだ。
「えっと、私たちはここにエクシーズモンスターがあるって聞いて来たんですけど…」
「ああ、塾生に使わせたいんだろう？だったら、こいつらとデュエルして貰おうか。」
店長さんがそういうと、店員2人が前に出る。
「ちょ、どういうことですか？」
「おい、仙波から聞いていないのかい？タッグデュエルで勝ったらエクシーズモンスターを譲ってやるって話なんだが。」
まったく聞いていない。一体どういうことなんですか仙波さん。
「…分かりました。タッグデュエルですね？」
「美愛、やるのか？」
「そういう話なら仕方ないでしょう。まあ、出来るだけのことはしましょう。」
「話は決まったみたいだな。うちの中にデュエルフィールドがある。アクションデュエルも出来るんだぜ？ デュエルディスクは貸してやる。付いてきな。」
…話が勝手に決まってしまった。…はあ。やるしかないか。俺たちは店長さんの後に付いていった。



「ああ、そういや自己紹介もまだだったな。俺は大江 正昭（おおえ まさあき）。おい、お前らも自己紹介しろ。」
「椿 直人（つばき なおと）です。よろしくお願いします。」
「…椿 虎太朗（つばき こたろう）です。…よろしく。」
なるほど、さっきの店員さんが直人君でもう1人の方が虎太朗君か。
「矢次 強志です。よろしく。」
「美愛です。どうかよろしくお願いいたします。」
俺たちが互いに自己紹介を済ませた後、デュエルフィールドに立っていた。
「形式は…タッグだしスタンディングでいいか。ライフは共有で8000。フィールドは2人で共有。それでいいな？」
「はい。構いません。」
「よし。じゃあ審判は俺が務める。両者準備を。」
正昭さんの合図で俺たちはデュエルディスクを構えた。



「「「「デュエル！！」」」」