第136話 猫侍　作：ヒラーズ

俺達は壁と扉を粉々に砕いた後、武器を引き寄せ回収する。
「ひ・・・ひどいにゃあ・・・」
突然後ろから声が聞こえた。
俺は慌てて後ろを振り向き、声の主を見る。
「・・・」
「へぇ・・・猫人族の女性か、珍しい」
俺達の前に現れたのは黒髪ロングの琥珀色の猫目の女性。
服装は和服で、両腰には刀を1本づつぶら下げている。
「攻撃したのは謝ろう。そして誰だ、お前さん・・・」
「盗み聞きしてたんだ、誰かの組織の者かな？」
「ちょっと待つにゃ！何か勘違いしてないかにゃ！？私は決してどこかの組織の人間とか違うにゃ！」
「・・・」
「・・・」
僅かながらの沈黙が続く・・・正直、疑いすぎか？
「・・・失礼した、俺は陸也、今は前世体のままだが、転生体の時の名は百騎兵だ」
「あっさり名を言うの！？」
ネクロはどん引きするが、猫人族の女性は名を言ってくれた。
「にゃはは、私はルナと申しますにゃ！こう見えて異界を旅する猫侍にゃ！まぁ宛てはにゃいけど」
ないのに何しにここに来たんだ・・・この人は。
「猫耳はついているが、猫らしい髭がないな、完全に人間に近いな。尻尾は隠しているつもりだと思うが」
その時、ネクロが俺の肩を掴み、逃げたそうに言う。
「あー陸也君、私は用事を思い出したから帰らせてもらうよ」
空気の読めない奴だ、まぁいい。
「行け・・・」
そう言ったとたん、ネクロは魔法を行使していなくなる。
「邪魔者はいなくなった、二人きりで会話出来るな」
「・・・」

















「ほう・・・？それで今に至ると？」
「まぁここで会ったも何ですにゃ、私とデュエルしませんかにゃ？」
「別に構わんが？」
その時だった。
「！陸也ちゃん！？体が燃えてるにゃ！！」
鏡持ってる奴がここからいなくなったか、仕方ない。
俺は百騎兵に戻り、ディスクを構える。
「それが転生体、百騎兵かにゃ！相手として不足はないにゃ！！」
「きゅ・・・（それは俺も同じだ）」



「デュエル！！」


ルナ　LP4000
手札5

百騎兵　LP4000
手札5


「先攻は貰うにゃ、ドロー！」
ルナ
手札5→6

「手札から王立魔法図書館を召喚にゃ」
王立魔法図書館　ATK0　☆4

攻撃表示？誘いなのか・・・？
「さらに手札から『魔力掌握』を発動にゃ！魔力カウンターを置けるモンスター1体に魔力カウンターを1つ乗せるにゃ、さらに図書館の効果でカウンターを1つ置くにゃ」
王立魔法図書館　カウンター0→2

ついでに新たな掌握を手札に加える、1ターンに1枚しか使えんものの厄介だな。
「さらに手札から『成金ゴブリン』を発動にゃ、ドローする代わりに相手はLPを1000回復するにゃ！」
ルナ
手札5→6

百騎兵　LP4000→5000

なるほど、回復や得させる代わりに手札を加速させているのか・・・色々厄介だな。
「図書館の効果でカウンターを全て取り除いて、1枚ドローにゃ」
ルナ
手札6→7

「カードを2枚伏せて、ターンエンドにゃ！」
「きゅ・・・（俺のターン、ドロー）」
百騎兵
手札5→6

迂闊に魔法を使うとカウンターが乗っかる、だが気にしていられん。
「きゅ・・・（魔法カード『手札抹殺』を発動！互いに手札を全て捨てて、捨てた枚数分、デッキからカードを補充する）」
「・・・！（あ・・・エグゾディアパーツが2つ墓地逝ったにゃ）」
「・・・（さらに、墓地に経典と名のつくカードが存在する時、手札から嫉妬経典の人魚を特殊召喚する）」
嫉妬経典の人魚　ATK1200　☆1

「人魚にゃ？」
「ふきゅ・・・（効果発動！このカードが召喚に成功した時、相手フィールド上のカードを1枚破壊して相手の手札を1枚ランダムでデッキのⅠ番下に戻す！破壊するのは図書館で、戻すのは右端のカードだ！）」
「これはやられたにゃ・・・」
ふむ、カードカーDを戻したか、ターンを逃したら危なかった。
「きゅ・・・（D条件達成！出でよ美食経典魔王ベルゼブブ！）」
美食経典魔王ベルゼブブ　ATK2600

「で・・・でかいハエにゃ！！」
「きゅ・・・（効果により、相手フィールド上のカードを全て吹き飛ばす！メギドラオン！！）」
ベルゼブブの振り下ろした錫杖から放たれる魔法で相手の場に存在する全てのカードが吹き飛んだ。
「！？」
「うにぇ！（バトルだ！ベルゼブブでダイレクトアタック！効果でバトルフェイズ中、攻撃力が4000になる！ベルゼビュート・フルスマッシュ！！）」
ルナ　LP4000→0

「こ・・・これが噂のワンキルにゃー！？」




WIN
百騎兵



正直、ワンキルできるとは思わんかった。
墓地にエグゾディアを確認できた以上、すごい危ないデュエルだった。


次回、決勝前の争い
※タイトルが変わる可能性があります。