第79話 もう一人の転生者　作：ヒラーズ

「きゅ・・・（転生者だと？俺以外に存在したのか！？）」
俺は少女の言葉に対しかなり動揺した。だがその中に僅かながらの喜びをを感じた。
何せ同じ転生者・・・同士じゃないか！
「きゅ・・・」
「君、名前は？」
「ボク？リュウカ＝ドラグネス、君と同じ転生者だよ」
リュウカ＝ドラグネスと名乗る少女は背を向き、言う。
「ここで話すのも良いけど、近くに公園があるんだ、そこで話をしようよ」
そう言ってリュウカ＝ドラグネスと名乗る少女は走り去った。
それをずっと見ていたクォーツは行くか行かないかを問い詰めたが、変わらない。
俺達はリュウカ＝ドラグネスと名乗る少女を追い、公園へ向かった。




――――




しばらく歩いて公園内、ブランコの席にリュウカ＝ドラグネスと名乗る少女が座り込んでた。
「・・・やっと来た、遅いよ君たち」
「・・・（悪い、ちょっと道に迷ってな）」
と言っても相手は俺の言葉、通じないんだっけ？
「ん？通じないって？通じてるよ、君の言葉」
・・・何？クォーツやシャルの他にも分かる奴がいたのか！？
「まぁ、落ちつてよ。ボクは君に会いに来たんだよ、それと・・・君の名前は？」
「・・・（百騎兵だ）」
「ふーん・・・百騎兵ね・・・絵本にしか登場しない魔神君か・・・」
なんか君付けされてる・・・俺は子供じゃないんだが・・・。
「ボクの事はリュウカって呼んでもいいよ、フルネームで呼ばれると面倒だし」
やけに良心的だな・・・。こいつから情報を引き出せるだろうか。
「きゅ・・・（聞こう、何が目的で俺に近づいた？）」
「目的？面倒いなぁ・・・君に興味を持った・・・は？」
なんだその投げやりな返答は・・・。
「逆に君に質問だけど、君は異世界出身の転生者？それともこの世界の住人の転生者？」
答えろと言われても・・・どこまで言えば良いか・・・。
「ふきゅ・・・（異世界出身の転生者だ）」
とにかく真面目に答えよう・・・そうした方が無難だ。
「・・・へぇ！君もなんだ！ボクも異世界出身なんだよ！」
なんか盛り上がっているな、この人。
リュウカは俺をジロジロ見ている。そんなときにクォーツが質問する。
「あの・・・なら、君も記憶を失ってるの？」
その質問にリュウカは答えるが首を横に振る、記憶喪失ではないようだ。
「・・・」ｶﾞﾀﾘ
何かに面倒くさがったのか、リュウカは立ち上がり、ディスクを構える。
「言葉で証明するのめんどくさくなったから、デュエルで証明しようよ。もちろん百騎兵、君が相手になってもらうよ」
マジか・・・転生者同士のデュエルってちょっと厳しいな・・・。
「あるじさま・・・」
「きゅ・・・（分かってる、任せろ）」
俺もディスクを取り出し、構える。


「デュエル」
「ふきゅ（デュエル）」

こうして転生者同士のデュエルが始まってしまったのだった。




一方、ある司令室にて、二人の男は会話をしていた。
「なるほど、教団は壊滅したのか」
「はい、誠です。大尉」
大尉と呼ばれている男はイスに座り、紅茶を飲む。
「それで・・・現状はどうだ？少尉」
「はい、例のマナニア（魔法生物）は我々が追っている少女「リュウカ＝ドラグネス」と接触、その後に我々に気づいたのか場所を変えたのこと」
大尉と呼ばれている男は少尉と呼ばれる男に背を向け会話を続ける。
「そうか、引き続き監視せよ。それとだが・・・例のアレは進んでるかね？」
「進行は遅めですが、このまま行けば完成するかと」
「そうか・・・あの戦列艦は？未だセキュリティが突破できていないままか？」
「・・・甲板から入ろうともしたんですが、謎の弾幕で隊員10名が負傷、キリがありません」
「まるで、飼い主を待つ犬のようだな・・・まぁいい、引き続きあのマナニアともう一人の転生者の少女、及び捕獲ターゲットのクォーツ＝ヴァレスの監視をせよ」
その命令に少尉と呼ばれている男は敬礼をする。
「了解・・・」
何やらまた新たな魔の手が俺達に迫ろうとしていた。



次回　転生者同士のデュエル

※タイトルが変わる可能性があります。