第172話 対立　作：ヒラーズ

「陸也さん！レンギアさん！」
「ネクロさん！」
『駄目よ！この人達は悪者よ！こっちにおいでなさい！』
マザーの声でハル達は引き寄せられるかのように足を進ませられる。
「うぅ・・・あ・・・足が・・・」
「そんな・・・」
その時、俺は一つの策を考え発言した。
「それでいいのか・・・？」
『何？』
「無理に子供を引き寄せて、取り込んでエネルギーにする母親がいていいのか？」
『何を言ってるのかしら？良いに決まってるじゃない。この子達は私の子供なのだから』
「普通母親ってのはな・・・自分から子供の心配をして自分から探しに来るはずだぞ？探さず人に任せて連れてきて貰うなんざ、母親としてどうかしている・・・！」
『何が言いたいの？』
俺はその言葉を鼻で笑い、挑発した。
「フッ・・・要するに息子、娘を大事にしない母親なんぞ・・・母親ではないからだ！！つまりお前さんは自分の子供を・・・都合の良い解釈で自分の子供を餌にする鬼畜外道の人工知能（失敗作）だと言ってるんだ！」
『失礼な男ね・・・！まだ電撃が足りないのかしら！？』
マザーが再び魔法を行使しようとした時だった。
「いい加減にしてよ！お母さん！！」
「そうです！！さっきから言ってることが矛盾してます！！」
ハルとセージが怒り、マザーの声に抵抗する。
『・・・！？ハル・・・！？セージ・・・！？』
「陸也さんの言ってる通りだよ！探しに来てくれず、ぼくやセージは一人寂しく廃墟の中を迷い続けて・・・陸也さん達に会わなかったら・・・ぼく達は死んでたんだよ！？」
『・・・っ！？』
マザーの声に対抗し、ハル達は少しずつ、後ろに下がっていく。
（お母さんに取り込まれたら・・・ぼくは・・・変われなくなる！ぼくは・・・ぼく達は・・・変わるんだ！！）
「ハル・・・」
「セージちゃん・・・」
抵抗に成功したのか、まるで束縛から解放されたかのように素早く動き、俺達に近寄り、支える。
「ごめんね・・・ぼく達が油断したばかりに・・・こんな」
「ったく・・・心配かけさせやがって・・・まぁ、戻って来てくれたからいい」
その言葉にレンギアは「まるで保護者ね」と言った。
俺は「うるせー！」と言い返したが、不思議に思う。
ものすごい嬉しい感覚がした。
『何故・・・何故逆らうの！？母親は私よ！？』
「確かに・・・君はぼくとセージのお母さんだよ。けど・・・ぼくは・・・君をお母さんとは認めない！」
「私も！お母さんはこんな機械の女の人じゃない！」
ハルやセージも反論を起こし、対立の状態となった。
「ククク・・・早めの反抗期だな」
「良い意味での反抗期だけどねぇ・・・」
（クォーツとジェムは反抗期になってなければ良いけど・・・）

『ハル・・・セージ・・・。そう、なら仕方ないわね・・・手荒な真似はしたくなかったけど・・・』
「なら・・・俺達とデュエルをして勝ったら考えてやる」
俺はハルの前に立ち、ディスクをセットする。
「陸也さんがやるなら・・・ぼくも戦う！！」
「・・・私もやらせてもらうわ」
ハルとレンギアが俺の隣に並び、ディスクを装着し、デッキをセットする。
『愚かね・・・私に勝てると思うの？』
俺は後ろに振り向き、ネクロに言った。
「ネクロ、セージと共に世界樹の破壊工作及び脱出通路の確保を頼む」
「はぁ・・・分かったよ、行こうセージちゃん」
「はい！」
そう言ってネクロとセージは部屋を出て行く。
「さて・・・、始めるわね」
「ぼく達の・・・」
「デュエル（戦争）をな！！」



「「「『デュエル！！』」」」


マザー　LP8000
手札5

陸也　LP8000
手札5
レンギア　LP8000
手札5
ハル　LP8000
手札5


『先攻は貰うわ！ドロー！』
マザー
手札5→6

『手札から魔法カード『天人再生』を発動！手札から天使族モンスター1体を特殊召喚するわ。手札からTF（タイムフォース）ゼルドリアを特殊召喚！』
TFゼルドリア　ATK500　☆4

「タイムフォース？」
「この世界のカードのようね・・・」
『ゼルドリアのモンスター効果を発動！このカードが特殊召喚に成功した時、このカードをリリースする事でデッキからレベル5以上の天使族モンスター1体を特殊召喚するわ！出でよTFデリート・ブルム！』
TFデリート・ブルム　ATK3000　☆8

『カードを2枚伏せて、ターンエンドよ』
「俺のターン！」
陸也
手札5→6

「俺は手札から『奈落経典-呪いの書-』を発動！ライフを1000払い、デッキから闇属性の悪魔族、天使族どちらか1体を召喚条件無視して特殊召喚する！俺は経典魔法生物ケサランパセランを特殊召喚する。効果でデッキから【経典】カードをサーチする」
陸也　LP8000→7000
手札5→6
経典魔法生物ケサランパセラン　ATK500→1000　☆1

「カードを3枚伏せてターン終了だ。エンドフェイズ時にケサパセは手札に戻る！」
「私のターン！」
レンギア
手札5→6

「手札からA・O・Ｊアンノウン・クラッシャーを召喚し、カードを2枚伏せてターンエンド」
「ぼくのターン！」
ハル
手札5→6

「ぼくは手札の磁石の戦士3体を墓地に送り、手札からマグネット・バルキリオンを特殊召喚！」
磁石の戦士マグネット・バルキリオン　ATK3500　☆8

「永続魔法『冥界の宝札』を発動し、カードを1枚伏せてターンエンド」
バトルロワイヤル形式とはいえ・・・これで攻撃ができるな。
『私のターン！』
マザー
手札2→3

『TFデリートの効果発動！1ターンに1度、相手モンスター1体を選択し、そのモンスターを除外する！！その後、相手に除外したモンスターの攻撃力分のダメージを与えるわ！！選択するのはマグネット・バルキリオンよ！』
「させるか！罠カード『天罰』！」
しーん・・・

「あれ？『天罰』は？」
『残念だったわね、デリートの2つ目の効果よ。このカードを対象にしたカードの効果を無効にして除外し、代わりにあなたのデッキから別のカード1枚をあなたの場で発動するわ。発動するのは『ブラック・コア』よ、コストは払わずにバルキリオンを除外して貰うわ』
「なっ・・・！？」
「ぼくのバルキリオンが！！」
くっ・・・まさかこんな鬼畜効果が待っていたとは・・・どうやら一筋縄ではいかないようだな。
『効果は使えないけど、バトルよ！デリートで陸也、あなたにダイレクトアタックするわ！』
「そうはさせない！罠カード発動！『聖なるバリア－ミラーフォース』！」
レンギアの放った罠がデリートを破壊するが、それと同時に別のモンスターがマザーの場に現れる。
『デリートが破壊された時、デッキからレベル6以下の【TF】モンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する！出したのはTFグロリアス・タイムよ！』
TFグロリアス・タイム　DEF2000　☆6

『グロリアス・タイムが存在する限り、光属性モンスターは戦闘では破壊されないわ。ターンエンドよ』

唯一の逆転の鍵はレンギアのモンスターとなったか・・・正直気まずい。










次回、闇の正義と時間の力
※タイトルが変わる可能性があります。