第180話 悪神との決着（修正）　作：ヒラーズ

「貴様…我のターンに何をした…！？」
異界の夢のターンはいきなり終了し、俺のターンへと移り、カードを引く。
ドローされたカードは『死者蘇生』、だが正直言ってこのカードが使われる事はない。
百騎兵（陸也）
手札3→4


「アクセル条件は・・・達成した！俺のライフが相手より下回り、自分フィールド上にモンスターが存在せず、相手モンスターの攻撃及びカード効果を発動した時、その攻撃、効果を無効にし、ターンを終了する！その後、デッキ、手札、EXデッキからこのカード以外【経典】モンスターを全て墓地に送り、このカードをアクセル召喚する！！」


―――――7つの罪よ我が手中に結集し、1つとなれ！！―――――






―――――絶望を希望に変え・・・悪神に生きる力を示し―――――








―――――世界に・・・人類に・・・自由の光を与えよ！！！―――――







―――――アクセル召喚！！！―――――








「む…？突然空が…曇っただと…！？」
空が暗雲に覆われ、雨が降り出し、雷が落ちる。
そして天空から・・・1体の神が・・・降臨した！
その神の名は・・・。



―――――経典創造主サタナエル！！―――――





経典創造主サタナエル
☆12　闇属性　創造神族／アクセル／効果　ATK0／DEF0
【A条件】
自分のLPが相手より下回り、自分フィールド上にモンスターが存在せず、相手モンスターの攻撃及びカード効果が発動された時、その攻撃、効果を無効にしてターンを終了する。その後、手札、デッキ、EXデッキからこのカード以外の「経典」モンスターを全て墓地に送り、このカードをA召喚する。
【モンスター効果】
このカードはA召喚でしか特殊召喚できない。このカードのA召喚は無効化されず、このカードがA召喚された時、このカード以外のカード効果を無効にする。①：このカードの攻撃力、守備力はルール上、10000として扱う。このカードは攻撃力、守備力を下げる効果を受けない。②：自分の墓地に「奈落経典」「邪淫経典」「美食経典」「強欲経典」「嫉妬経典」「反逆経典」「傲慢経典」と名のつく「経典」カードが7枚以上存在する時、このカードをコントロールしているプレイヤーはデュエルに勝利する。この効果に対し、相手はカード効果を発動できない。



「何だ・・・」
「巨大な・・・神・・・いや、悪魔・・・！」
サタナエルが召喚された衝撃でやられていたレンギア達が起き上がり、召喚されたモンスターを見る。
「これが・・・異世界の奇跡・・・」
「何という・・・圧力にゃ・・・」
そして下の方には何か盛り上がったような声が響いた。
「すげぇ！」
「まさに神VS大魔王だぜ！！」
「こんなすげぇモンスターがいたのか！！」
その言葉に反応し、レンギアが喋る。
「そうか・・・！！神が悪い事をするなら・・・最強の悪魔の王で倒すって事ね！！さすが百騎兵さん！この世界で最高の決着よ！！」
だが、異界の夢が嘲笑うかのように俺をコケにした。
「貴様…たかが元々の攻守が『0』のモンスターで何が出来る…！！」
確かに、これでは勝てない。だが攻守で勝敗が決まるほどデュエルは甘くないのは誰もが分かっていること・・・本題はそこではない。
「魔法カード『サイクロン』！破壊するのは・・・『奈落経典-呪いの書-』だ！！」
大きな竜巻で奈落経典が破壊され、特殊召喚のライフラインが失われた。
だが・・・これでいい！！
これで・・・俺の勝ちなのだからな！！
「サタナエルのモンスター効果発動！！自分の墓地に『奈落経典』『邪淫経典』『美食経典』『強欲経典』『嫉妬経典』『反逆経典』『傲慢経典』と名のつく【経典】カードが7枚以上存在する時、このカードをコントロールしているプレイヤーはデュエルに勝利する！！」
その効果に驚き、異界の夢は口を滑らす。
「それが貴様の本命か…！！」
「ああ、これが・・・俺の生き様であり、人類が忘れた・・・希望だ！！」
俺は拳銃を・・・サタナエルは懐からソードオフショットガンのような銃を取り出し、構える。その銃口は不思議な事に7つもあった。
「人類から夢を…希望を…繁栄を…奪い去る気か…！！」
「人間って言う生物はな・・・『可能性を生み出す』生物だ。時の流れ次第で悪魔にもなれば天使にもなれる・・・この希望は唯一、人類が手放さない大きな『欲』だ。お前さんは・・・人類を甘く見すぎたんだ。そして今・・・楽にしてやる！」
俺とサタナエルはトリガーを引き、銃声が鳴り響く。
その技名は・・・。




―――――大罪の炸裂徹甲弾！！！―――――





金属の天使の体が撃ち抜かれ、四肢に大きな風穴を開け、最終的には顔にも大きな風穴が開く。
そして勝敗が決まった・・・俺達の・・・人類の・・・勝ちだ！！

You WIN！
百騎兵（陸也）
トウマ
クォーツ
ハル

You Lose…
異界の夢



「これが…【伝説の魔神】と【白き邪神】…いや、【転生者】の力か…。
裏切り者（レンギア）め…あの時の言葉は戯れ言ではなかったのか…」
そう言って異界の夢は光の粒となって消え、消滅した。
もう蘇る事はないだろう。
悪神に勝利したトウマ達は喜び、声を上げる。
「よっしゃあ！勝った！！」
「ついに・・・やったんですね・・・！」
「ぼく達・・・神様に勝利したんだ・・・！正直、信じられないよ！」
神は滅ぼした、これでライトテラは偽物の世界ではなく、今後、ダークテラと同じく本物の世界として、輝かしい未来の世界へと変わるだろう。
「・・・」
だが俺の体は【ダメージ・リンク】でボロボロ、勝った衝撃で地面に倒れ込む。
「！」
「百騎兵さん！」
「大丈夫！？」
出血が酷い・・・意識が段々と遠くなっていく俺は細々と喋る。
「ふふ・・・勝った・・・これで・・・ライトテラは・・・良い方向に・・・廻・・・る・・・」
トウマやクォーツ達が俺の方に駆け寄るが、その前に俺の意識が途絶えた。



















しばらくしてクロノス・ノア内部、医務室にて・・・。
「むぅ・・・ん？」
俺は意識を取り戻すとそこは自分の船の医務室のベッドに寝ていた。
体中には包帯が巻かれ、頬には絆創膏のようなものが張られていた。
誰が治療したんだろうか・・・？まぁいい。
俺は辺りを見渡すと月明かりのような光を見る。恐らく夜だろう。
どれだけ時間を経たせてしまったんだろうか・・・クォーツとハルが座りながら寝ている。
（助けてくれたのはありがたいが・・・座りながら寝るのは行儀が悪いぞ）
「・・・」
まぁ・・・何もしないよりはマシか。
俺は起き上がり、クォーツ達を背負い。客間に寝かせる。
その後俺は自分の能力を確認する。
「・・・百騎戦術トーチカが全て失われているな。文字通り先祖返りしたって事か・・・」
となると、俺はもう「百騎兵」とは呼ばれなくなるのか・・・。
「伝説の魔神は・・・悪神と共に消えた・・・か」
俺は1度操縦席に向かい、通信モニターを開く。
そして通信を行った。
「こちらクロノス・ノア、追放世界の「レクス公国」に連絡を送る・・・。船の損傷が激しい、運航不可能と判断し回収部隊を派遣してくれ。救難信号は常に放っておく。応答されたし・・・」
俺は僅かな希望を賭け「異界通信」を行い、応答を待った。
その時だった。
『こちら、レクス…その声…陸也君かい！？』
奇跡が起きたのか、通信が復活したのだ。
画面には車椅子に座った少年のような人物が映り、ほっとした表情を見せる。
そう・・・これが俺の上司であり、レクス公国の主。追放世界の神格の1人。「レクス・マキナ・プロトコル」である。
『よかった…悪神を撃破したんだね…』
「ええ、全く手間取りましたよ・・・これでまた俺の罪状が増えますな」
『回収部隊は先程、派遣させたよ。明日頃の午後くらいには到着するだろう』
「ありがとうございます・・・レクス様・・・」
『回収部隊が来るまで、君は船で待機していてくれ』
「了・・・解・・・」
俺は安心したのか、返答をする前に意識が落ちた。
『陸也君！？陸也君！？陸也大尉！？』
















その頃、マナニアハンターズ本部では―――――
「急げ！もうこの世界は使えん！早く場所を変え」
ｺﾂ…ｺﾂ…
一つ・・・違う足音が廊下に響く。
辺りは何者かに襲撃されたかのように兵士達が死屍累々と倒れている。
そしてマナニアハンターズ指令官の前にある男が立ちふさがった。
「驚いたよ、まさか本部の地下にこんな施設があったとはねぇ・・・。当初は進入不可能だったからねぇ・・・」
司令官が震え声を上げながら男を問う。
「おっ・・・お前は・・・？」
「私の名は・・・異界の観測者、っと言えばお分かりかね？」
その言葉に司令官は驚き、銃を取り出す。
「ネクロ・・・ヴァルハラ・・・！！」
司令官は構えて発砲しようとする直前一つの銃声がネクロ側から響いた。
その弾丸が司令官の腹をえぐり取り、壁に大量の血しぶきが飛ぶ。
「き・・・さ・・・ま！！」
「勘違いしないでくれたまえ？私を裏切ればどうなるかを理解できなかった君達が悪かったんだ。君達に取って「夢」であった「異界の夢」を利用したデータを・・・こちらで処理させて貰う」
そう言ってネクロはトドメを刺し、資料及びデータを抹消した。
「君達は実に愚かな種族だったよ。本当に・・・残念だ・・・」
ネクロは本部を出て、若干遠いところでスイッチを押す。
「それでは・・・あの世で閻魔に詫びているが良いさ」
ﾎﾞｵｫｫｫﾝ！！

本部は大爆発を起こし地上から消えた。
人も資料も跡形もなく消したのであった。







次回、魔神が消える日
※1：修正しました。
※2：タイトルが変わる可能性があります。