最終話 未来輝く世界　作：ヒラーズ

あれから10ヶ月後－


追放世界「レクス公国」領内、俺の自宅の裏庭墓地にて。
俺は追放される前の世界で失った家族の墓参りに来ていた。
「・・・母さん、父さん、姉さん。俺は・・・また世界を救ってきたよ。これで何度目になるだろうか・・・俺は生まれた頃から姉弟がいないと思わされ、生きてきた。そんなある時、母さんが教えてくれた・・・俺より先に生まれるはずだった姉さんの存在を教えてくれた事・・・けど、生まれた瞬間に亡くなったんだろ？可哀想だよな・・・」
俺は家族の入っている墓地を見て過去を語る。
そんな遠いところから、ハルがその会話を聞いていた。

（陸也さん・・・ずっと・・・孤独だったんだね・・・）
だがそんな孤独を破るかのように俺は笑いかけた。
「けどな・・・新しい友達ができたよ。ハルバードとセージって言う「世界樹の子供」と言う温厚的な種族だよ。俺より幼いけど、とても良い子だ。他にも異世界に沢山いるけど、また会えるか分からない・・・」
俺は花束を置き、祈る。
少ししてから目を開け、喋る。
「それじゃ、俺はハル達に追放者の仕事を教えなきゃいけないから行くよ」
そう言って俺は墓地から去る。
自宅に戻るとハルとセージが私服に着替え、待っていた。
「お帰り！さあ行こうよ！陸也さんの仕事場に…！」
「私、楽しみです！」
「ああ、行こう」
俺はハル達をDホイールに乗せ、仕事場まで向かった。













そしてレクス公国、「レクス城」城門前。
「ここがレクス城…結構大きい…」
「ここに神様で在り、領主のレクス様が…」
「あまり失礼のないようにな」
俺はハル達をDホイールから降ろし、機体を駐車場に駐める。
「行くぞ、先ずはレクス様に挨拶及び報告書を渡さないとな」
「大変なんだね…」
俺は「まぁな」と言いながらハル達を城の中に入れ、案内する。
そんな事から数分、俺は司令室の前で足を止め、振り向く。
「ここにレクス様がいるから、大人しくしてろよ」
ハル達はそれに首を縦に振り、待つ。
俺は扉をノックし、返答を待つ。
「入りたまえ！」
レクス様の声が聞こえ、扉を開ける。
中に入ると同時にハル達もは入り、俺は敬礼する。
「失礼致します！白皇陸也大尉、帰還いたしました！」
そう言った後、ハル達にとっては初めて見るのか、喋る。
まぁ見た目が12歳くらいの少年のような姿だから仕方ないが・・・。
「この人がレクス様…？陸也さんより若そうだけど…？」
「おい！！」
俺が注意した時だった。
「良い、許す。陸也大尉、ご帰還ご苦労であった。サンプルも見事無傷で届き、我が公国もまた一歩、繁栄の道を歩くだろう」
「はっ！ありがたき言葉です！！」
レクス様は笑い、よいしょよいしょと車椅子を動かし、ハルとセージに興味深そうに近寄る。
「君達二人が「世界樹の子供」のハル君とセージちゃんだね？僕の名はレクス。レクス公国の主で在り、この世界の神格の一人だよ」
レクス様はセージの頭を撫で、次にハルと握手する。
「よ…よろしくお願いします…レクス様」
「ははは！レクスと呼んで良いよ。前から陸也君にも呼び捨てしていいと言ってるけど」
「・・・」
じゃあ言わせて貰おう・・・。
「ようこそ、レクス公国へ！君達二人を歓迎するよ」
「…いいの？」
「ああ良いとも、陸也君が連れてきた友達なら大歓迎さ！」
その言葉にハルとセージは喜び、はしゃぐ。
俺とレクスはその光景を見て、言う。
「若いっていいよね」
「ええ、全くですよ。同じ不老不死でもハルやセージにとっては俺とレクス様は先輩のようなものですからな・・・」
そう言って俺はレクスに報告書を渡し、自分の部下に命令する。
「俺はレクス様と話がある。残りの案内はお前さんらに任せる」
部下達は敬礼し、ハル達を連れて行く。









「さて、陸也君。転生しては、前世の姿に戻ったりと、ご苦労であった。そんな重労働を与えてしまった我々は今後、対策を練らねばあるまい。2ヶ月後に対策会議を行う。その間、君には新しい任務を与える」
レクスは机から1枚の資料を俺に渡す。
俺は咄嗟に内容を見る。
「・・・！これは・・・！！」
「君の予想通りの任務だよ、すぐにとは言わない。ゆっくりと休養を取ってから向かいたまえ」
「・・・了解！」
俺は敬礼し、司令室を出る。
（陸也君・・・君は本当に羨ましいよ）





















案内からさらに5ヶ月後－

休養を終えた後、俺は追放世界からライトテラへ向かい。
ある大会に出場していた。
そんな中、クロノス・ノア船内でハルとセージがテレビの電源を入れ、ライトテラのあるチャンネルを回していた。
「観てろって言われたけど…」
「何が始まるんでしょう…？」
その大会の状況が放送されている番組「ＺAＰ！」のチャンネルを回し、見守る。
「でもこの大会って確実に陸也さんの優勝だよね」
「さぁ…？観てみないと分かりませんよ、どうなるかは…」
「あっ！始まった！デュエル大会決勝戦だ…！！」

『さぁお待たせしました！ＶC（ヴァレスコーポレーション）主催！デュエルトーナメント決勝戦！！数々のデュエリストを倒し、多くのドラマを魅せてくれた今大会は終盤を迎え、決勝戦に突入します！』
VC、通称「ヴァレスコーポレーション」と呼ばれる大手会社。
俺が出場しているこの大会を主催している会社らしい。
だが名前的にどこかで聞いたことがあるような会社名だな・・・。
『3位に当たるリュウカ＝ドラグネス選手は銅メダルは確定、この決勝戦を制するのは誰か！？』
「リュウカさん、出場してたんだ…」
「残念なところで3位、まさか…！」
ハルとセージは順位を確認した後、出場する人物が誰なのかを見守る。
『それでは選手入場です！赤コーナー、対アメリカ戦のデュエル大会で銀メダルを取った人造人間デュエリスト！果たしてこの大会で優勝となるか！！VC所属、リーサル・ウェポンのこと、クォーツ＝ヴァレス！！』
観客席で女性客がキャーキャーと声を上げ、声援を受けながら出場する。
『続いて青コーナー！別の世界からやってきた最強の魔法生物で、青い灯が特徴の小さきダークホース！リュウカ選手を破り、見事決勝戦に上り詰めた。この世界初の魔法生物デュエリスト！！』
声援を浴びながらテクテクと歩きデュエルフィールドに俺が入場する。







『伝説の魔神こと……百騎兵！！』







「お久しぶりですね、あるじさま」
「ふきゅ（ああ、本当な。まさかこんな短い内に会社なんか建てるとはな。しかもクォーツが副社長とは・・・世も末だな）」
「それほどじゃない…です」
『さぁ！お互いディスクを構えて…！！デュエル…開始！！』

「デュエル！！」






俺は生き続ける。
そうする事で多くの仲間、友を見つけ。
不老不死の者として誠な生き方を教えるのも悪い話ではない。
そして俺は・・・。




追放者として――――




白き邪神として―――――




伝説の魔神・・・百騎兵として―――――






今を・・・明日を・・・輝かしく光る未来を・・・






生きる！！





「うにぇ！（俺のターン！！）」






終わり