第164話 忍び寄る死霊使い　作：ヒラーズ

転移して3時間、俺達はある建物の中で休憩を挟んでいた。
「それにしても見つからないねぇ・・・」
「レンギアさん、どこへ行ったんだろう・・・？」
「ここにもいないとは・・・、出発が早すぎるな」
俺は窓から辺りを見渡し、ヒントがないかを探る。
すると・・・。
「ん？光・・・？」
微弱だが、建物の電気がついた建物を見つける。
「おい、あそこだ。微弱ながらだが明かりのついた建物が見えるぞ」
「・・・」
ハルは赤、青、黄、白のチョークをポケットから取り出し、床に絵を描き始める。
「ハル？何を描いてるんだ？」
「・・・」
黙々と床に絵を描き始めるハル、しかし描いていたのはただの絵ではなく地図だった。
「！・・・これって！！」
「この街の・・・地図か！」
何だ？しかも店の名や民家の特徴まではっきりと描いている・・・暗記や空間認識能力が人外級なのか・・・？それとも・・・。
「・・・出来た！今ぼく達がいるところはここ白い円がある建物、あの建物に行くには1㎞歩かないと行けないけど・・・近くにレンタカー屋さんがあるから・・・あれ？陸也さん？ネクロさん？」
俺とネクロは驚きが隠せなかった、10歳の割に地図をこんなに綺麗に描くと同時にここから近い店や、行き先、最短ルートまでも描いている・・・。
常人の力ではここまではこなせない。列車の線路や船の航路、出せる車の速度、災害時の避難ルートの最短版のルートやレンタカー屋にある車種なども詳しく記載され、もはやお絵かきのレベルを通り越して最高アートレベルに達している・・・。
しかもよく近くで見てみると、到達する時間や、距離までも細かく描いている。
俺はハルの能力を【ヘヴンズ・フィールド・ルーラー（異界空間の支配者）】と呼ぶことにした。
「す・・・すごい・・・！私でも覚えきれない量の情報だ！」
「ハル・・・ここまですごい奴とは・・・ものすごい才能だ！！」
「そ・・・そうかなぁ？えへへ・・・」
ハルは頬を赤くし、照れる。
「ダークテラから連れ出した際、新しくチョークを買ってあげないとな」
「やったぁ！！」
ハルは喜び、俺にすり寄る。
「だがまずはあの建物に向かわないとな、歩いて行くぞ」
「うん！」
「はぁ・・・子供の扱いが上手いねぇ・・・相変わらず」













「で、着いた訳だけど・・・本当にこの建物にヒントがあるのかい？」
「うん、陸也さんの考えはすごく当たってる。唯一電気が通ってる建物はここしかない・・・現在この建物に蓄電されている電力は100万ボルト・・・たぶん節電してる」
そこまで分かるのか・・・お前さんの能力が恐ろしいぞ・・・。
「じゃあ入ろうかねぇ」
ネクロがそう言った時だった。

「ククク・・・そうはさせませんよ？」
後ろから声が聞こえてくると同時に大鎌が飛んでくるが咄嗟の判断で俺が弾く。
ネクロとハルが後ろを振り向くとそこにはやせ細った体型の男が俺達を睨んでいた。
「こんにちは・・・私はサリオン・ツダと申します。ネクロマンサーです」
「へぇ・・・同業者かい？生憎、君と遊んでる暇はないんだよ。失せたまえ」
サリオンは少し笑い、懐からリモコンのようなものを取り出し、ボタンを押す。
ｶﾞﾗﾗﾗｯ！

当然入り口のシャッターが下り、行く手を塞がれる。
「！シャッターを下ろすスイッチか！！」
「ククク・・・探しているのでしょう？ヒントを・・・？ならばここで私とデュエルするのはどうでしょう？」
「いいだろう、俺が相手ｎ」
「ううん、ぼくが出る」
え？ハル、デュエルできるのか！？
「陸也さん、ディスクを貸してくれる？ぼくディスクがないから」
「お・・・おう」
俺は流れるようにすんなりディスクをハルに渡す。
「これが本物のデュエルディスク・・・ちょっと重い・・・」
「大丈夫なのかい？君、デュエル出来るのかい！？」
さすがのネクロも心配するか・・・無理もない。
「大丈夫！ぼく、こう見えてカナダのデュエルアカデミア内のスターヴパープルの元生徒だから」
また訳の分からない組が・・・。
「いくよ・・・！言っておくけど、クリアウィングホワイト組とリベリオンブラック組には引けを取らないよ！」
「ククク・・・見事あがいて見せなさい・・・」


「「デュエル！！」」

サリオン　LP8000
手札5

ハル　LP8000
手札5

「先攻は貰いますよ、ドロー！」
サリオン
手札5→6

「手札から悪王アフリマを捨てて『闇黒世界－シャドウ・ディストピア－』を手札に加え、発動！さらにクリバンデットを召喚し、カードを2枚伏せてターンエンド、エンドフェイズ時にバンデットをリリースし、『仁王立ち』を手札に加え、リリースしたモンスターの数分だけ私の場にトークンを置きます」
シャドウトークン　DEF1000　☆3

「ぼくのターン！」
ハル
手札5→6

「ぼくは手札のα、β、γ、3体の磁石の戦士を墓地に送り、いくよ！超電磁合体！！マグネット・バルキリオン！！」
磁石の戦士マグネット・バルキリオン　ATK3500　☆8

「さらに！マグネット・バルキリオンの合体を解除！！」
バルキリオンが分離され、3体のモンスターに分かれた。
磁石の戦士α　ATK1400　☆4
磁石の戦士β　ATK1700　☆4
磁石の戦士γ　ATK1500　☆4

「何をする気何だい？ハル君は・・・？」
「分からん、この展開ならリンクかXは普通だろう」
「ぼくはこのターン、まだ通常召喚を行っていない！」
確かに・・・特殊召喚しか行ってない。
「α、β、γ！3体のモンスターを生け贄に捧げ！出でよ！破壊神・・・オベリスク！！」
オベリスクの巨神兵　ATK4000　☆10

「三幻神！？・・・ああ、いきなりとは驚きました・・・」
「オベリスクでトークンを攻撃！ゴッドハンド・クラッシャー！！」
「ですがトークンを破壊しただけ・・・リンクをすればよかったものの、愚かですねぇ・・・！」
「カードを1枚伏せてターンエンド！エンドフェイズ時にぼくの場にシャドウトークンを3体特殊召喚するよ！」
「それをチェーンに速攻魔法『終焉の焔』を発動！私の場にトークンを2体特殊召喚します！」
ハルの場
シャドウトークン　DEF1000　☆3
シャドウトークン　DEF1000　☆3
シャドウトークン　DEF1000　☆3

サリオンの場
黒焔トークン　DEF0　☆1
黒焔トークン　DEF0　☆1

「私のターン！」
サリオン
手札3→4

「ククク・・・2体のトークンを生け贄に、魔王ディアボロスを召喚！」
「罠カード『混沌の落とし穴』！LPを2000払って、その闇属性モンスターを除外する！」
ハル　LP8000→6000

「！！・・・やりますねぇ、ですがエンドフェイズ時にトークンが出され、バーン以外ダメージが通りません。どうします？ターンエンド」
「ぼくのターン！」
ハル
手札0→1

「・・・これで・・・勝った！」
「何・・・？」
何か良いものを引いたのか、すんなりとターンが進んだ。
「このターンでぼくは勝つよ！自分フィールド上のトークン2体を生け贄に捧げ、ソウルエナジーMAX！！」
サリオンの場のモンスターが全て破壊され、オベリスクの打点がとてつもない数値となった。
オベリスクの巨神兵　ATK4000→∞

「攻撃力・・・∞！？」
「喰らえ・・・神の鉄槌！ゴッドハンド・インパクト！！」
オベリスクの剛拳がサリオンに直撃し、ライフが一気に削られる。
サリオン　LP8000→0

「ギィヤアアアア！！！」





You WIN！
ハル

You Lose…
サリオン








「馬鹿な・・・私があっけなく倒されるなどと」
ｷｭｲﾝ

突然ハルの右手が緑色に光り出し、その手でサリオンに向かって指をさす。
「罰ゲーム！【インフィニティ・スリープ（永久の眠り）】！」
そうハルが宣言したとたん、サリオンは倒れ、ゲームが終了する。
恐らく彼が起き上がる事はないだろう・・・。
「じゃあ、約束通り開けさせてもらうね」
ハルがリモコンを手に取り、シャッターを開ける。
「すごいな・・・ハル」
「我々2人いらないんじゃないのかな？」
「そ・・・そんな事はないよ！ほら・・・行こう？」






次回、世界樹への道
※タイトルが変わる可能性があります。