第102話 再び地下遺跡　作：ヒラーズ

「・・・」
「？・・・あるじさま？」
この石碑、刻まれている文字は魔法生物の言語だが、内容は・・・地図かこれは？
内容－
『我らの楽園は未来での孤児を預かる施設と鉄残骸の場の地下に眠る。もし楽園に入る同胞がいるなら祝福を、無き者なら天罰を食らうだろう。我らマナニアンの居場所は人間には奪わせぬ』

「・・・」
「あるじさま！」
「！」
俺はクォーツの大声に反応し、振り向く。
「・・・（いやはやすまない、石碑を読むのに集中してた）」
「その石碑、何が刻まれていたのですか？」
俺は石碑に刻まれていた内容をクォーツ達に話した。




「なるほど、『孤児を預かる施設』と『鉄残骸の場』の地下に魔法生物たちの楽園ですか・・・信じられませんね」
「わたしも今知ったわ、、、」
「ボクも今知った」
そうだろうな、じゃなければわからんだろうよ。
「それにしても、孤児を預かる施設って孤児院ですよね？鉄残骸の場は蒼羽さんの家がある場所・・・しかもその地下となりますね」
シャルは少し考えながらに蒼羽に聞く。
「蒼羽さん、この町に孤児院ってありますか？」
「、、、、あるわ、結構遠いわよ、、、？」
あるのか、なら行くしかなさそうだな。
俺達は公園を後にし、孤児院に向かって歩いた。



――――



それから1時間後、俺達は孤児院の前に着く。
中に入ると沢山の子供達が遊んでいる姿が見える。
しかしその中でデュエルをしている子供もいた。
「もきゅ？（ん？あの人は・・・シドーさん？何やってんだあそこで）」
俺が見た先に、シドーが子供達と遊んでいる姿があった・・・今日も休業なのだろうか。
「・・・（孤児院の地下に入り口があれば良いが・・・）」
俺達が廊下を歩いていると、板で補強された扉が目に入る。
「、、、来たわね、、、開かずの間よ」
開かずの間って・・・そのままじゃねぇか。
「どうします？」
「きゅ・・・（どうするもこうするも、こうやるしか無いだろ）」
俺は扉に近づき、補強された板をはがし始める。
それに気づいたのか、シドーや周りの孤児院のスタッフが走り寄ってくる。
「おい！何してんだ！！」
「お客さん！困りますよ、そこは幽霊が出ると騒がれている所なんですから」
「あるじさま！」
「きゅ・・・（構うな、全部剥がせ）」
俺が一通り板を外し、扉をこじ開ける。
「・・・」
中を見ると何やら豪華な部屋で、本棚にベット、机があった。どれも埃を被っており、入っただけで咳をする。長期の間放置されていた事が分かる。そしてその中に不自然に気になる物があった。
「百騎兵さん・・・これって、棺ですよね？」
俺達の目に入ったのは石でできた棺。よくあるどこぞの遺跡にありそうなデザインで施されている。
「中身・・・調べて見ます？」
「ふきゅ・・・（いや、中身は俺が見る）」
俺が石の棺の蓋をこじ開け、中身を見る。
「もきゅぽ？」
俺が中を見ると、中にはミイラでは無く、地下に続く石造りの階段があった。
「何かありましたか？」
「きゅ・・・（幸先がいいな、地下へと続く階段を見つけた）」
正直、棺の中に地下への階段があるとはベタな仕掛けをしてるな・・・。
その時、俺は後ろから、何者かに掴まれる。
「おい百騎兵、ここで何してやがる」
やっぱり捕まったか、仕方ない。一通りを話すか。





「地下に上位魔法生物の遺跡だと？」
「うん、それであるじさまがここに目を光らせた訳です」
「それを俺達が信じろと？」
別に信じろとは言わない。その先が真実かも分からないからこそ、行ってみる価値がある・・・ただそれだけだ。
「ふきゅ」
「もし、地下に何も無ければ不法侵入の罪で逮捕しても良いって言ってます」
「ほう？いいじゃねぇか、なら俺もいくぜ」
修理屋を怒らせたのは謝る。だが真実を知るために行くしか無い。
シドーはスタッフに許可をもらい、地下への階段を降りる。
「暗いですね」
「わたし達はライトを持ってるから大丈夫よ、、、」
まあ俺は頭の灯があるし、クォーツは暗視があるらしいからな。十分だろう。
「・・・」
しばらくして俺達は階段を降りきる。中は洞窟のようにあちこちが穴だらけ、階段とは比べて少し明るいが、それでも明かりが必要なくらいの暗さであった。
「本当にあるんでしょうか？」
「百騎兵、ここすごい力を感じるね」
まぁ、常人から感じればパワースポットにはなるだろう。
「行きましょう、あるじさま」
「・・・（そうだな、慎重に進もう）」
こうして俺達の地下探索が始まった。





そんな中、俺達が探索する遺跡の内部、一人の少女が倒れ込んでいた。



次回、楽園前に眠る者

※タイトルが変わる可能性があります。