第89話 1日目の終わり　作：ヒラーズ

「！（よっしゃあ！勝った！）」
俺は自身の勝利にガッツポーズを決める。
「すごい・・・岩石族で勝つなんて」
クォーツも驚きを隠せておらず、少しだけ後ずさりする。
「ふきゅ・・・（楽しいな、ビルドデッキデュエル）」
俺は司会にデッキを返し、客席に戻る。







それから十数分、ライブが終わり、俺達は会場前に集まった。
「すごいですね！あんな使いづらい種族のモンスターを使って勝つなんて！あるじさまはすごいや！」
そこまですごいか？
そんな話で盛り上がってると。
「おい！そこの魔法生物！」
俺の後ろから声が聞こえる、しかも俺当てかよ。
「・・・」
俺が後ろを振り向くと、そこにヲタクのような男が立っていた。
「もきゅ？」
「お前・・・よくもベルコンちゃんを・・・！」
嗚呼・・・どうやら俺はファンの人を怒らせてしまったようだ・・・。
「お前・・・！ちょっとこっちに来い！」
ヲタクのような男は俺の手を引っ張り、路地裏に連れて行く。
「百騎兵君、初日から散々ね」
「でも、それはここに連れてきた蒼羽さんが悪いんだと思うけど」
「そ、、、それは、、、その」
「・・・」
「大丈夫かな・・・百騎兵」





「・・・（で？俺に用とは？）」
「俺が・・・ここでお前に制裁を与えてやるぞ！」
ヲタクのような男は俺をゴミ箱へ投げ飛ばし、バールで殴る。
「てやぁ！」
ｶﾞｧﾝ！

見事に兜に直撃するが痛みを感じない。
「きゅ・・・（どうした？最近のヲタクはアイドルをデュエルでぶっ飛ばすと魔法生物をゴミ箱に投げ飛ばして、バールで叩くもんなのか？）」
正直、コイツをどう黙らせるかを俺は考える。
「このっ！このっ！このぉっ！」
ｶﾞﾝｯ！ｺﾞﾝｯ！ｶﾞｧｧｧﾝ！
やたらめったらバールで俺を殴るが、俺は痛みを感じない。
しばらく殴り続けるうちにバールが折れ、ただの鉄の棒きれになる。
「え・・・？」
「きゅ・・・（気は済んだか？）」
俺は立ち上がり、ヲタクのような男の胸ぐらを掴む。
「ひぃ！！」
「きゅ・・・（今度はこっちの番だ）」
俺はストマックストックから電磁鈍槌を取り出し、思いっきり殴る。
ﾄﾞｸﾞｼｬ！
ものすごくグロい音を立て、辺りに血の海をまき散らす。
俺が電磁鈍槌をしまうと、ヲタクのような男の姿はなかったいや、鈍槌の力で体が原型を留めてなく、粉々になっていた。
「・・・（しまった・・・やり過ぎた）」
俺は人が見ていないことを逆手に取り、クォーツ達の所に戻る。







「百騎兵・・・遅いね」
「・・・」
「。。。」
俺を待っている間、クォーツ、リュウカ、蒼羽は俺について話していた。
「そういえば、百騎兵って少し不思議だよね。普通、マナニアはＤホイールは作れないのに、作って乗ってるんだよね？そんな知識どこから持って来たんだろう」
「話だと転生前の記憶が関係してるってあるじさまが言ってました」
「銃の事も？」
「うん・・・」
「（そこまですごい知識を持つのね、、、、百騎兵君）百騎兵君の転生前はどんな人だったのかしら、、、？」
クォーツは少し考え、数十秒後答える。
「恐らく、エンジニアさん・・・かな？」
「さぁ？」
そうやって話しているうちに俺と合流する。
「あるじさま、何されたんですか？」
「きゅ・・・（ちょっと、大人の話だ）」
「「（大人の話・・・）」」
「あ、、、もう夕方ね」
よく見ると、もう日が暮れていた。








しばらくして俺達はシャルが待っている所に着く。
「旅館・・・ですか」
「観光初日、散々でしたね。百騎兵さん」
「ふきゅ・・・（全くだ、それと1名追加なんだが）」
俺の代わりにクォーツがシャルに訳を説明した。
まぁ、いきなり仲間が増えたことは思ってなかったからな・・・当たり前か。
「じゃあ、わたしは家に帰るわ、、、」
「また・・・案内して・・・くれます？」
「ええ、、、約束は守るわ」
蒼羽とは一時別れ、観光案内を明日もして貰うことにした。
武器の修理はいつでもできるしな・・・。






その夜、俺は起きていた。
夜空が見える窓を俺は見つめていた。
「・・・眠れないんですか？」
途中でシャルも来て、俺の隣に座る。
「・・・」
「その顔からすると、悩みですか？」
「・・・」
「・・・百騎兵さん？」
「・・・」
俺は思い出していた・・・俺が失っていた記憶を・・・。
「・・・」
「？・・・百騎兵さん？」
変だな・・・話しかけられてるのに反応できない・・・。
しかも・・・段々と意識が・・・遠く・・・。
俺が見ていた夜空に、赤い月が現れていた。





次回、記憶

※タイトルが変わる可能性があります。