第103話 ありがちなカラクリと少女　作：ヒラーズ

しばらく慎重に洞窟内を進んで行くと、岩で作られた巨大な門の前に着く。
「何だ・・・？このでけぇ門は？」
シドーは門の扉を押すがびくとも動かない。
こういう岩細工のでかい門は何らかの仕掛けがあるはず・・・。
「・・・」
俺は辺りを見渡すと岩壁にレバーのようなものを見つける。
「・・・（ここを引くと開くのか？それともこれ自体が罠か？）」
俺は躊躇なくレバーを引く。
ｷﾞｷﾞｷﾞｯ！

「お？開いたぞ」
岩細工の門の扉が開いた。ベタな仕掛けをしてんなぁ。
「・・・」
よく見てみると扉に文字が刻まれているな、何々？
『楽園を荒らす者に天罰を与えん』だと？つまりここの物を許可無しに持って行くと良くない事が起きるのか？
「どうしたですかあるじさま？」
「・・・（クォーツ、ここの物を勝手に持って行くと罰（ばち）が当たるらしいぞ）」
「罰・・・ですか？」
だが俺らは墓荒らしでもなければミイラ取りでもないからな、宝は興味が無い。
「ふきゅ・・・（ここからは俺が先行する。いいな？）」
俺はクォーツ達より先に進み、警戒しながら辺りを見渡す。



だが、その警戒は先に写った景色で解けた。
「！（おいおい、こんなすごい所あるのかよ）」
俺が見た景色は洞窟内にもかかわらず草木や太陽があるかのように明るい、まるで別の世界に転移したかのような空間が写った。
後をつけてきたクォーツ達も驚きを隠せずにいた。
「嘘だろ・・・町の地下がこんな風になってるなんて」
「ある意味、秘境を発見してしまいましたね」
「、、、（百騎兵の話が正しければ、、、ここはわたしの家の地下、、、）」
「住みやすそうなところだね」
「ここにあるじさまの仲間がいたんだ・・・」
仲間・・・なのか？どのマナニアも種類バラバラだからよく分からん。
「ここ地下だよな？なんでこんなに明るいんだ？」
「きゅ・・・（見ろ、魔法で出来た偽物の太陽だ）」
あの石碑に刻まれていることが本当なら、ここが恐らく楽園だろう。
「・・・」
「・・・」
しかし妙だ、こんな簡単に楽園が見つかって良いのだろうか？
普通ならもっと罠があってもいいはずだが、別の道に来てしまったか？
俺は自分の頬をつねる、だが景色は変わらず楽園である。
「・・・（嫌な予感がするな）」
その時だった。
「、、、誰？」
蒼羽が何かに気づいたのか、気配があった方向に向かう。
「あるじさま・・・蒼羽さんが向かった先って・・・」
確か・・・何だろうか、古い建物の方だったな、俺達も追うか。
「ふきゅ・・・（っとその前に）」
俺はチビヘイを8体召喚し命令する。
「きゅ・・・（俺は蒼羽を追うから、この辺りを探索してこい）」
「うにぇ！（了解！）」
そう言ってチビヘイ達は散開する。
これで良し、後は蒼羽を追うだけだ。




――――





蒼羽を追い、たどり着いたところは大きな教会・・・いやそれでは小さいか、大聖堂か・・・。
「！、、、百騎兵、、、」
途中で蒼羽と合流し、大聖堂に入る。



中に入って最初に目に映ったのは木製の空間、まるで人工的に建てたかのような作り・・・古い建物にも変わらず木製の柱や床板は腐ってもいなければ虫食い後すらもない。
「・・・（こりゃあすごい、建設したばかりの新しさを感じるな）」
「信じられねぇ、町の地下の楽園に大聖堂、魔法生物はどんな文明をしてたんだ！？」
「何かの宗教でもやってたんでしょうか？」
シャルとシドーの雑談を聞き流していると・・・。
俺は1つの人影が見えた。だがその影は横たわっているものだった。
「もきゅ？（うん？誰か倒れてるぞ？）」
俺が近寄ると、クォーツと同じ服装をした少女を見つける。
ぐったりと倒れており、体を見るとクォーツと同じ胸に大きなパネルがある。
見た目的に・・・クォーツと同い年の女の子か？
「あるじさま・・・この人は・・・」
「・・・（ああ・・・お前さんの仲間だ）」



次回、もう一人のヴァレス

※タイトルが変わる可能性があります。